Objective:本研究は,入院前待機手術患者の健康関連QOL および不安・抑うつ状態の特徴を明らかにし,効果的な看護援助について示唆を得ることを目的とする.
Methods:全身麻酔手術を受ける入院前待機手術患者201 名を対象に,麻酔科術前診察受診時にSF-8 およびHADS を用いた自記式質問紙調査を実施した.回答に欠損値のない188 名を分析対象とし,SF-8 スコアおよびHADS 得点について記述統計量を算出し,属性による比較はt 検定または一元配置分散分析を行った.
Results:入院前待機手術患者のSF-8 サマリースコアのPCS の平均値は45.8 ± 9.2 点,MCS の平均値は47.4 ± 8.2 点であり,日本国民標準値と比較し低値を示していた.特に女性は男性に比べ有意にMCS が低下していた.また,HADS の不安得点の平均値は5.7 ± 4.1 点,抑うつ得点の平均値は5.9 ± 3.8 点であり,40 歳以上の患者で不安得点が高かった.
Conclusion:入院前待機手術患者は健康関連QOL が低下していた.特に壮年期以上の女性の精神状態は不安定であり,精神面・社会的役割をふまえた支援の必要性が示唆された.
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