本研究は,看護の独自性を見失いがちなクリティカルケア看護において,看護理論を適用するための知見を得ることを目的とする.その第 1 部として,クリティカルケア看護に科学的看護論を適用する意義と課題を明確にすることをねらいとして,クリティカルケア看護に携わる看護師グループと理論の有用性を検証した研究者とで科学的看護論を適用した事例検討を行った.その過程で生じた看護者(看護師・研究者)全体の認識の変化を質的に分析し,以下の結果を得た.
1)看護者全体の認識は,看護学的視点に貫かれた諸現象の捉え方へと統合・発展し,問題解決に至っていた.
2)科学的看護論を適用した事例検討の意義は,自らを内観して使命感を高め,看護の喜びを分かち合い,看護理論適用の意義を実感するという看護者個々の認識の発展をもたらし,それがチーム全体の実践の変化へと拡大して対象のよい変化を支えていったことである.
3)理論の基盤を認識に形成し自在に活用するには積み重ねの訓練が必要である.
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