本研究は,急性呼吸不全患者がNPPVを継続していくために,看護師が行っている臨床判断を明らかにするとともに,看護ケア充足のための示唆を得ることを目的とした.研究対象者となった看護師は14名であり,参加観察と半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
分析の結果,NPPV装着患者に対して看護師は《経験の蓄え》から,《継続困難の予期》を行い,《継続阻害要因の重点査定》,《継続のための手段の選択》へと進んでいた.その後,《振り返り》を通して《経験の蓄え》へと知識が蓄積され,《継続困難の予期》へと循環する臨床判断が明らかとなった.その中でも特徴的な点として,NPPVケア経験の豊富な看護師は,経験の蓄えから継続困難を予期することに特化していた点であり,納得を引き出すことや,生活と調和できることを重視した臨床判断を行っていた点であった.本研究結果を今後の看護師教育へ活用していくことで,より安全かつ安楽なNPPV継続のための看護に有用であると示唆される.
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