日本クリティカルケア看護学会誌
Online ISSN : 2187-400X
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ISSN-L : 1880-8913
7 巻, 1 号
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特別寄稿
解説
原著
  • 木下 佳子
    2011 年 7 巻 1 号 p. 20-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は三部構成からなる.第一部では,記憶のゆがみをもつICU入室後患者の体験および対処行動を質的に明らかにした.体験は「被害を与えられた体験」「恐怖感や不愉快な感覚を伴う非現実的体験」「非現実的な光景や音との遭遇」「記憶の欠落」で,対処行動は「ICU体験を否定されずに語りたい」「現実か錯覚・幻覚・夢かと自問する」「記憶の再構築を行う」「非現実的な体験は自分だけではないことを知ろうとする」「体験の意味づけ・理由づけを行う」だった.第二部では,これらを元に「記憶のゆがみをもつICU退室後患者への看護支援プログラム」を考案,試用後完成させた.第三部では,その有用性を半構成的面接法による質的評価および不安抑うつスケール(HADS)と改訂版出来事インパクト尺度(IES-R)による量的調査を統合した方法論的triangulationで検証した.プログラムを記憶のゆがみをもつICU退室後患者20名(適用群)に適用し,非適用ゆがみあり群(N=31)と非適用ゆがみなし群(N=28)と3群間で比較した.質的評価では,18名がプログラム目標を達成し,体験を語れた・説明され理解した・事実を確認した・意味づけができたなどが語られた.量的検証では,非適用ゆがみあり群に対し適用群がHADS,IES-Rで有意に低値を示した.
  • 村田 洋章, 井上 智子
    2011 年 7 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,急性呼吸不全患者がNPPVを継続していくために,看護師が行っている臨床判断を明らかにするとともに,看護ケア充足のための示唆を得ることを目的とした.研究対象者となった看護師は14名であり,参加観察と半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
    分析の結果,NPPV装着患者に対して看護師は《経験の蓄え》から,《継続困難の予期》を行い,《継続阻害要因の重点査定》,《継続のための手段の選択》へと進んでいた.その後,《振り返り》を通して《経験の蓄え》へと知識が蓄積され,《継続困難の予期》へと循環する臨床判断が明らかとなった.その中でも特徴的な点として,NPPVケア経験の豊富な看護師は,経験の蓄えから継続困難を予期することに特化していた点であり,納得を引き出すことや,生活と調和できることを重視した臨床判断を行っていた点であった.本研究結果を今後の看護師教育へ活用していくことで,より安全かつ安楽なNPPV継続のための看護に有用であると示唆される.
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