日本クリティカルケア看護学会誌
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7 巻, 3 号
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原著
  • 櫻井 文乃, 井上 智子
    2011 年 7 巻 3 号 p. 1-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    大動脈バルンパンピング(IABP)装着患者への看護師の清拭実践を基に,「IABP装着患者への清拭規準」を作成し,患者の評価を基にその有用性を評価した.対象患者はIABP装着患者20名とした.対象患者の清拭前後の副交感神経活動(0.15-0.40 Hz)を測定し,清拭前より清拭後に副交感神経活動が上昇した15名の記述分析を基に「IABP装着患者による清拭のComfort評価表」を作成した.またその15名の患者に実施された清拭を基に「IABP装着患者への清拭規準」を作成した.作成した「IABP装着患者への清拭規準」と「IABP装着患者による清拭のComfort評価表」をIABP装着患者5名に適用した結果,IABP装着患者5名中4名が清拭前よりもComfortレベルが上昇した.
    看護実践から作成した清拭規準は,清拭で重症患者を安楽にする視点となり,Comfort評価表によって患者の評価を推定できる可能性があるといえる.また清拭によるComfortの提供は,患者との信頼関係構築に導く可能性があるといえる.
研究報告
  • 伊達 清美, 北尾 良太, 小西 邦明, 土井 香, 藤原 恵子
    2011 年 7 巻 3 号 p. 16-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    小児先天性心疾患での術後急性期管理の複雑さから,ICU看護師は常時変化する児に即座に介入判断できるアセスメント力が求められている.そこでこの時期の小児に対して,安全に看護介入する時機を判断するために何をどうアセスメントしているのか,ICU看護経験者17名から清拭場面を想定した聞き取り調査を実施した.その結果,【覚醒・鎮静レベルをみる】【覚醒して循環動態にどう影響するのかをみる】【ベッドサイドのパラメータから覚醒兆候を探る】【循環動態や呼吸状態をみて介入の是非を総合的に判断する】【安全な看護介入(清拭)を行うために必要なことは何か考える】【看護師個々の看護行為(清拭)に対する考え方を明確にする】というアセスメントが介入直前に行われていた.また特徴として,末梢循環や血中乳酸値の変動,術式,肺血管抵抗の変動,看護師の直感が,看護介入の是非を判断する際の重要な根拠になると考えられた.
  • 濱崎 真由美, 平松 八重子, 秋山 直美
    2011 年 7 巻 3 号 p. 26-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    摂食・嚥下障害へのリハビリテーションは原因疾患に対応する急性期から実施することが望ましいと言われている.しかし,高齢者等を対象とした評価表はあるが,ICU患者を対象としたものはほとんどない.そこで本研究はICU患者を対象とした独自の摂食・嚥下機能評価表を作成し,その妥当性の検討を行ったので報告する.評価表は,院内に勤務する言語療法士2名とICUに勤務する看護師2名が検討を重ね,13問の質問と簡易検査法「改訂版水飲みテスト」を統合した評価表を作成した.至適基準を経口摂取後72時間の再評価と言語療法士の再評価として敏感度と特異度を求めた.結果,感度66.7%,特異度93.4% と高く,評価表の有用性が確認された.次に,評価表の精度を上げるため,偽陰性,偽陽性を呈した対象について詳細に検討したところ,挿管状況が特異度の決定に関連していることが示唆された.
  • 梶原 弘平, 小島 昌人, 古賀 雄二, 清田 亜紀
    2011 年 7 巻 3 号 p. 35-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    緊急入院した脳神経疾患患者の患者特性と入院期間の関連について検討した.対象は,A県B病院の脳神経疾患専門病棟に脳神経疾患またはその疑いで緊急入院した患者133名であった.調査項目として患者の疾患,年齢,入院時のBarthel Index(BI),入院時のジャパン・コーマ・スケール(JCS),グラスゴー・コーマ・スケール(GCS),四肢麻痺の有無,高次脳機能障害の有無,家族背景,入院期間及びソーシャルサポートの状況を調査した.結果として、男性81名(60.9%),女性52名(39.1%).平均年齢は63.3±18.7歳.平均入院期間は17.5±16.5日であった.入院期間に関連する患者特性として,相関係数を用いた結果,BI合計得点,JCS,四肢麻痺の有無,脳卒中か否か及び高次脳機能障害の有無で有意な相関が認められた(p<0.05).この結果より,患者特性を入院時から的確に把握することは脳神経疾患患者の早期からの退院支援を展開する上で重要であるといえる.
その他
  • 村川 由加理, 池松 裕子
    2011 年 7 巻 3 号 p. 43-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,ラザルスの心理学的ストレスモデルを基に,術前不安の喚起過程と看護援助の内容について整理した.医学中央雑誌から62の論文を選出し,術前不安と看護援助を「不安の素因」「影響要因」「看護援助」と位置づけ,研究結果や記述された表現をカテゴリー化した.不安の素因は『生命への脅威』『未知への脅威』『麻酔の作用・副作用への懸念』『術後の身体的苦痛への心配』など13に,影響要因は『個人的背景』『疾患/手術内容』『情報と知識』,看護援助は『認知の促進』『情緒的支援』『連携と調整』『リラクセーション』に分類された.手術が「脅威」であれば,不安の素因で示した反応がみられ不安が喚起される.この過程には影響要因が関連する.看護援助は不安喚起の過程のどの部分に働きかけるかは不明ではあるが一部で不安低減の効果が検証されていた.本研究により術前不安に関する研究疑問が焦点化され,系統的な研究の促進が期待される.
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