1991年から臨床応用されたPOI2ピースインプラント
®は若年者から高齢者まで幅広い年齢層に使用され, 良好な臨床成績を収めていることが報告されている.
今回著者らは, POI2ピースインプラントを用いた高齢者の長期経過症例について, 臨床的検討を加えて報告する.
患者は78歳男性, 顎堤の吸収が著しく総義歯不適合のため, インプラント希望にて来院.1992年3月に下顎前歯部にPOI2ピースインプラント
®4本埋入を行った.免荷期間中に1本脱離したため, 32, 42部にバイオセラム
®インプラントを追加埋入した, 免荷期問終了後, セメント固定式補綴物を装着した.術後良好に経過するも1998年, 両側カンチレバー基底部の疼痛を主訴に来院.両側カンチレバーを除去し, 両側遊離端義歯を装着した.2002年4月に右腕の拘縮のため両側遊離義歯着脱困難になり来院.またストレートポストの緩みによるブリッジの動揺をみとめたため, 6月10日ブリッジ除去し, 旧両側遊離端義歯を増歯修理しボールアタッチメントを用いたオーバーデンチャーとした.その後, 32, 42部のバイオセラム
®インプラントの動揺により, 義歯着脱時に疼痛を伴うようになり, 主治医の承諾を得, 32, 42部のバイオセラム
®インプラント除去.インプラント除去後, 腫脹, 疼痛ともになく, また義歯の維持, 安定も良好である.
本症例のように患者の高齢化につれ, 補綴物のシンプル化, 着脱の容易化, 清掃性の向上にむけて, 補綴物の設計変更を.考慮する必要があると思われる.
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