日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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33 巻, 3 号
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原著
  • 山崎 史晃
    原稿種別: 原著
    2013 年 33 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2013/11/26
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    現在行われている歯科大学教育において,下顎遊離端欠損部分床義歯の床外形は,総義歯の外形に準じるとし,頰側は骨外斜線,後縁はレトロモラーパッド1/2,舌側は顎舌骨筋線を越えるラインを基準線としている.しかし,多くの臨床医が製作している義歯の実態は,これとは大きく異なるものである.そこでその実態を知るため,患者が装着している義歯の床外形について,調査(200 症例)を行ったところ,興味深い結果が出た.患者が装着している下顎遊離端欠損部分床義歯の床外形の実態を知り,患者が求める義歯を考察するため,24 歯科診療所の質問紙法による協力を得て,200 人の患者が装着している下顎遊離端欠損部分床義歯に関して調査を行った.その結果,顎舌骨筋線を越えないものが68%,骨外斜線を越えないものが77%,レトロモラーパッドの1/2 を覆わないものが 81%であった.今回の調査結果から,臨床現場において製作されている義歯の床外形と学生教育における床外形と は大きく異なるものであることが明らかになった.【顎咬合誌33(3):195-201,2013
症例報告
  • ——多様な骨造成術による補綴主導型インプラント——
    石橋 知代子, 和田 義行, 神田 昌巳, 上林 毅, 新村 昌弘, 吉村 治範
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 33 巻 3 号 p. 202-212
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    インプラント埋入に際して骨量が不足している場合には,様々な骨造成法を用いてインプラントを理想的な位置に埋入し, 審美的にも良好な結果を得る試みが行われてきた.特に,高度に吸収した上顎臼歯部では上顎洞底挙上術による垂直的な骨造成が行われる. しかしこの方法だけでは,歯冠長の延長を招き,審美性,清掃性が損なわれることが多い.一方,皮質骨ブロック移植は,歯槽頂方向への骨量の増大が可能で,その臨床的な予後は良好であることが報告されている.本症例において,我々は上顎臼歯部の萎縮した顎堤に,自家骨移植とソケットリフトを併用しインプラントを埋入した.また術前にシミュレーションソフトを用いて骨採取部位,採取骨量のプランニングを行うと同時に,コンピューターガイディッドサージェリーを用い,全体として手術侵襲の軽減に配慮した治療を行い,長期的に良好な予後を得た.【顎咬合誌33(3):202-212,2013】
  • 𠮷永 仁
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 33 巻 3 号 p. 213-221
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    無歯顎患者のインプラント埋入に対して,術後管理は困難を伴う.術後,患者から義歯の使用が禁止されることによる摂食障害,粘膜の腫脹による義歯不適合と疼痛,床下粘膜調整材のたびたびの交換および厚みのコントロールなどの切実な訴えを受けた経験も少なくない.今回,残存歯が重度歯周炎で予後に不安が残るため戦略的抜歯を行い,上下顎無歯顎となった患者に上顎は総義歯,下顎は歯肉剥離を行い4 本のインプラントを支台としてブリッジを製作し,即時荷重を行った.そしてプロビジョナルブリッジによる治癒期間を経て,CAD/CAM を適用したチタン削り出しによりワンピースのフレームワークを作製し,補綴した.現在までトラブルもなく5 年間が経過した.このことからも無歯顎に対して支台となるインプラントの数を最小限にした即時荷重コンセプトは臨床的に有用な治療法であることが示唆された.【顎咬合誌33(3):213-221,2013】
  • 白石 康博
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 33 巻 3 号 p. 222-230
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    下顎高度顎堤吸収の無歯顎患者に対しtwo implant overdenture にて対応することがMacGill コンセンサス以後増加している.特に日本補綴歯科学会が定めた症型分類のLevel lII,IV に相当する患者に対してはtwo implant overdenture が適応になると思われる.しかし,インプラントのみに支持・維持を求めるような義歯形態では予後が 不良になることが予想される.また,超高齢社会においては全身疾患等によりインプラントを選択できない患者も少なくないと考えられる.そのような症例に対しては,インプラントに頼らない義歯形態の習得が必須となり,従来通りの総義歯にて対応せざるを得ない.今回,下顎高度顎堤吸収に伴いオトガイ孔が顎堤頂上に露出し,さらに下顎管の裂開部の出現を認める患者に対し,顎堤粘膜全体を支持域として取り込こんだ治療用義歯を用い,義歯の支持,維持,筋平衡,咬合平衡を獲得して機能的咀嚼系を再構築することにより良好な結果が得られた上下総義歯症例を報告する.【顎咬合誌33(3):222-230,2013
  • ——審美性を考慮した中等度慢性辺縁性歯周炎患者の1 症例
    田中 憲一
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 33 巻 3 号 p. 231-241
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    欠損補綴にインプラントを用いる場合,術前に多くのことを考慮する必要があり,その中でも私が特に重要と考えている事項は埋入位置である.すべてのケースにおいてトップダウンの概念で治療を行えるわけではないが,診査・診断の時点でトップダウンとボトムアップの両側面から考えるように心がけている.また,願わくば術前の治療計画に沿って,適確な治療を行いたいところであるが,治療が大きくなればなるほど,不確定要素も増し,高いスキルが要求されることとなる.そのような中で多数歯の修復治療を必要とする包括歯科治療を行う際,ファイナルレストレーションへ移行する前に精度の高いプロビジョナルレストレーションを使用することによって多くの情報が得られ,欠かせない重要なチェックポイントとなる.全顎的に中等度から一部重度歯周炎に罹患した患者に対して,欠損部にインプラントを用いて包括的歯科治療を行った症例を報告する.【顎咬合誌33(3):231-241,2013】
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