日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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35 巻 , 1-2 号
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総説
  • 関野 愉
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 13-19
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    インプラント治療後,初期に骨吸収が起こることが知られている.これはインプラントの成功の基準にも組み込まれており,負荷後最初の1 年間は1.0 ~1.5mm の骨吸収が許容されている.これに影響を与える要因として,負荷,アバットメント連結部からの微少漏洩,アバットメントの着脱,アバットメントの性状,プラットフォームスイッチング,粘膜の厚さなどが考えられた.負荷および微少漏洩は,負荷がかからなくとも骨吸収が起こるという事実や,アバットメントとインプラント体との連結部のない1 ピースのインプラントでも初期の骨吸収が起こることから,明らかな影響は証明されていない.プラットフォームスイッングにより初期の骨吸収はやや少なくなる傾向がみられた.また,オッセオインテグレーションしない材料,アバットメントの繰り返しの着脱,粘膜の厚さが骨吸収に影響を与えるという所見から,初期の骨吸収は,粘膜貫通後の上皮の埋入に伴う軟組織の厚さの維持,いわゆる「生物学的幅径」の確立に伴う生物学的現象が影響を与えると考えられる.
原著
  • 安東 史子, 中村 典正, 新村 弘子, 永澤 栄, 川原 一郎, 岡藤 範正, 安東 信行, 土屋 総一郎, 松山 雄喜, 岡﨑 耕典, ...
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 20-30
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    チタン合金製アバットメントスクリュー破折の原因および物理的因子や環境因子について検討した.破折したアバットメントスクリュー破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の観察,三次元有限要素法による応力解析,および口腔内類似環境下において腐食反応実験を行った.アバットメントスクリューの破断面には,腐食孔と疲労破壊の様相が認められ,表面にS などの付着物が検出された.三次元有限要素法では,インプラントの上部構造物辺縁隆線部に垂直方向へ応力を負荷させた場合に,破折部位と同一部位に応力集中が認められた.また,腐食試験では,チタン合金板(Ti-6Al-4V)に応力を負荷し,37℃の硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液,生理食塩水,無負荷板を Na2SO4 水溶液に浸漬した.浸漬期間は1 週間,2 週間,3 週間,4 週間とした.その後,SEM 観察とエネルギー分 散型エックス線分析(EDS)による元素分析を行ったが,すべての試験片で孔食などの腐食所見は見られなかった.破折の原因は,腐食環境下にて,腐食孔を起点とした疲労破壊と考えられるが,孔食の原因は特定できなかった.
  • 坂本 智史 , 南 慎太郎, 菊池 雅彦
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 31-37
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    第一大臼歯は食物粉砕の際,中心的な役割を担っているが,う蝕罹患率が高いなどの理由から喪失頻度が高く,しばしば下顎第一大臼歯中間欠損症例に遭遇する.そこで,本研究では,下顎第一大臼歯中間欠損歯列における咀嚼筋活動への影響を検討するために,完全歯列,片側および両側第一大臼歯欠損を模したスプリントを用いて,咀嚼開始から嚥下終了までの筋活動量の評価を行った.その結果,欠損歯数が増えるにつれて総筋活動量および咀嚼回数が増加する傾向を示した.しかし,1回の咀嚼ストロークに要する平均筋活動量は,スプリントのタイプによらずほぼ一定であった.結論として,第一大臼歯中間欠損は咀嚼回数の増加をもたらし,とりわけ両側第一大臼歯欠損歯列で総筋活動量に有意な影響を及ぼすことが示唆された.
  • ライフステージにおける咬合力と口腔機能障害の関わり
    橘 直哉
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 38-48
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    口腔機能障害に関わる因子はライフステージ,不正咬合,早期接触・咬頭干渉,機能的下顎偏位,咬耗・欠損などによる過蓋咬合,生活習慣・食習慣に睡眠時ブラキシズムなどの強い咬合力・覚醒時ブラキシズム(TCH 含む)の複合によるものと考えられる.そこで2006 年から2013 年の7 年間において歯痛・知覚過敏・顎関節症など咬合力による口腔機能障害の疑いがある458 人に対し,特殊塗料を塗布した睡眠時ブラキシズム解析装置用シートを用い検査し,咬合採得後,継続使用を前提としたスプリント療法を行った.このスプリント療法は口腔機能障害の改善・予防を目的に,特に強い咬合力がかかるとされる睡眠時に良好な機能的咬合系に近い状態でスプリントを継続使用するものである.継続的なスプリントの利用が確認できたのは339 人(74%)で,歯痛・知覚過敏・顎関節症などの主訴の改善が得られた人が83%,主訴だけでなく,その他症状の改善を認めた人が47%と,良好な結果を得たことが確認できた.
症例報告
  • 山岸 敏男
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 49-56
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    成長期の不正咬合を扱う場合,再発や治療期間の延長を避けるためにも,成長を予測したうえで矯正治療を開始する必要がある.成長発育に関しては,頭部エックス線規格写真(以下セファログラム)を使った研究が数多く紹介されているが,実際の臨床で応用する場合,治療難易度をスクリーニングできる精度と簡便性が求められる.そこで今回,当院に来院した成長期反対咬合患者6 名の側面セファログラムを坂本のプロフィログラムと重ね合わせて下顎頭の位置と上顎の前後的位置について観察し,成長予測と治療の難易度の検討を行った.その結果,成長期反対咬合症例では,平均的なものに近似している症例は治療後の安定が良く,平均的なものと比べて下顎頭が前方に,上顎が後方に位置している症例は治療後の安定性が悪い傾向にあった.成長予測に際しては,平均的なものと比較して,個々の症例の形態的な特徴と将来像を関連づけて予測する手法が有用であると考えられる.
  • 小野寺 夏美
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 57-62
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    良好なチーム医療は医院の質を向上させるのみならず,医療安全管理面でも重要な位置を占めている.その中でも円滑かつ正確なコミュニケーションは重要であり,これは言語による伝達のみであると情報は正確さを失い,時間とともに忘れ去られてしまう.目に見える形に文章化し,会議での報告にて情報の共有化を図り,ブラッシュアップした後にマニュアル化することは非常に適切な方法で,これによってミスの減少,入局時期の差や世代間の価値観の違いが改善され,しいてはチーム医療の質が向上すると考える.この報告では職場の連携を改善すべく多様な会議の方法(報告・ブレインストーミング・オープンディスカッション)やPDCA cycle の導入によって業務を有機的かつ継続的に改善,あるいはIT 機器を用いての院内コミュニケーションの改善を行っている.その結果,情報や体験を共有するにはシステムや時間を確保すことが重要であり,院内をまとめるには適切な目的を共有することが必要であると考えられた.
  • 吉田 拓志
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 63-72
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    臼歯部咬合崩壊が予測された慢性歯周炎患者に対し,咬合性外傷が起因であると診断し,炎症性因子の除去および病変部の改善と咬合の安定(適切なアンテリアガイダンスと臼歯部咬合支持の確保)を目的とし,歯周基本治療,歯周組織再生療法,矯正治療およびインプラント治療を含む包括的治療を行った.咬合の安定のため,ファイナルレストレーションへ移行する前には精度の高いプロビジョナルレストレーションを使用した.現在,病状安定となった歯周組織を長期間維持するためのサポーティブペリオドンタルセラピーに入り6 年経過し,良好な予後を得ている症例を報告する.
  • 谷口 昭博
    2015 年 35 巻 1-2 号 p. 73-81
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2016/06/17
    ジャーナル フリー
    「咀嚼機能の回復」を主訴とする重症高血圧患者について,患者の要望を尊重しインプラント補綴にて咬合を再構築した.患者は,天然歯の保存,短期間での治療の希望をもち,循環器疾患を改善するため心臓ペースメーカーの植込み手術も検討していたので,口腔の外科手術に対するリスクを考慮し治療方針を立案した.上顎にはコーヌス義歯を下顎には歯科麻酔医による全身管理の下,臼歯部へのインプラント治療を行った.治療終了後, 5 年6 カ月経過し,天然歯,インプラント周囲骨および骨造成部位に問題がないことを確 認した.この症例によって咬合の再構成におけるインプラントの有用性を再確認し,重篤な疾患を有する患者でも適切なコントロールによって埋入施術が可能であることが確認できた.
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