日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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36 巻 , 3 号
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総説
  • 宇田川 信之, 小出 雅則, 溝口 利英, 中村 美どり, 下平 滋隆, 田口 明
    原稿種別: 論説
    2016 年 36 巻 3 号 p. 161-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    骨組織は,骨吸収と骨形成のバランスにより巧妙にコントロールされている.それらのバランス調節は,互いにあたかも連絡を取り合っているかのようにみえるため,この現象は,骨代謝共役(カップリング)と呼ばれる.骨組織は,破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成が絶え間なくダイナミックに繰り返されている.近年,破骨細胞の分化において必須なサイトカインであるRANKL とM-CSF に対してクロストークを行う様々なサイトカインシグナルが破骨細胞の分化と骨吸収を制御していることが明らかとなってきた.さらに,骨吸収の制御機構は骨形成にも重要な役割を担っていることを示す実験結果も蓄積してきた.本稿では,骨のカップリングメカニズムについて,骨吸収能を担っている破骨細胞の分化と機能を中心に,骨芽細胞に発現するRANKL 分子およびOPG 分子に焦点をあて,実験結果を中心に概説したい.

原著
  • 安光 秀人, 神田 省吾, 江原 大輔, 大西 吉之, 咲間 義輝, 江原 雄二, 山上 哲贒
    原稿種別: 原著
    2016 年 36 巻 3 号 p. 171-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    ショートインプラントの臨床的検討を行った.【材料および方法】調整に使用したインプラントは骨内長8mm 以下のスクリュー型インプラントシステムで陽極酸化処理されたものとHA コーティングされたものを含む,1 回法と2 回法の術式を選択できるインプラントシステムである.調査対象は1992 年から2011 年までに京都インプラント研究所所属の4 施設にて施術され,現在経過観察中の75 人(男性22 名・女性53 名),40 歳から83 歳までの平均年齢62.45 歳(男性65.85 歳・女性61.04 歳),104 本とした.【結果】埋入された75 人(男性22 人・女性53 人), 104 本のうち8 本喪失し残存率は92.3%であった.上下顎ともほとんどが臼歯部に埋入され,上顎ではインプラン ト48 本中5 本喪失し残存率89.6%,下顎では56 本中2 本喪失し残存率96.4%となった.【考察】高齢者の増加に伴い,インプラント埋入において多大な外科的侵襲および身体的負担を考慮すると,ショートインプラントの果たす役割は大きいと考えられた.

  • 藤野 茂
    原稿種別: 原著
    2016 年 36 巻 3 号 p. 177-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー
  • 伊井 博樹
    原稿種別: 原著
    2016 年 36 巻 3 号 p. 184-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    無歯顎患者の下顎総義歯製作において,義歯床縁全周囲を口腔粘膜で封鎖することにより義歯内面に陰圧を得る下顎吸着義歯は,開口時に義歯が浮き上がることがなくなるため,臨床的に極めて良好な結果を得ている.しかし,すべての症例において吸着が達成できるわけではない.そこで,下顎総義歯の吸着を阻害する要因を評価,検討するため,また,吸着理論に基づき製作された義歯がどの程度の確率で吸着が達成できたかを調査するため,吸着理論を熟知した歯科医師,歯科技工士に対して質問用紙法による調査を行った.顎堤吸収量,舌下ヒダ部におけるスポンジ状組織量,後顎舌骨筋窩部に義歯床を延長できる空隙量,レトロモーラーパッドの形態,舌後退(舌後退量),そして咬合の安定は,それぞれの条件が不良になると明らかな有意差を持って吸着の確率が減少した.一方,下顎骨隆起の有無による吸着率の差に関しては有意差が認められなかった.今回の調査における下顎吸着の確率は 86.9%であった.結論:下顎総義歯の吸着を高い確率で得るためには,6 項目のリスクファクターに注意を払い診査 診断を行うことが重要であることが示された.

  • 吉野 晃, 横瀬 敏志
    原稿種別: 原著
    2016 年 36 巻 3 号 p. 192-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    緒言: 下顎隆起とは,外側性骨増生の一つで下顎臼歯部舌側に定所性に生ずるもので,咬耗など過度の咬合力を推察できる臨床所見と合併し発症していることから,古くから長期にわたる咬合力の産物であると認識されてきた.しかし,その発生機序に関する報告は少ない.今回,三次元有限要素解析および免疫組織学的検査により下顎隆起の発生機序について検討したので報告する.材料:上下の歯が比較的均衡に接触していると思われるアングル1 級を呈する患者のCT 画像データをMECHANICAL FINDER version 5.0(計算力学センター,東京)にてモデル化し,咀嚼筋を模倣した運動条件から,咬頭嵌合位による咬合を模した条件(Case 1),側方運動を模し偏心荷重が加わる条件(Case 2)の応力分布から下顎骨体の力学的挙動を評価した.また,採取した骨隆起を免疫組織学的に評価しメカニカルストレスと骨隆起との関係を調べた.結果:有限要素解析により応力集中部位と下顎隆起の発生部位が 一致した.また,免疫染色によりDMP-1 の顕著な発現を認め,下顎隆起がメカニカルストレスに関与することが示唆された.

症例報告
  • 高森 亜矢子
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 36 巻 3 号 p. 213-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    食事介助をしている夫人が,食事に長い時間がかかると訴えて夫を連れて来院した.夫は,長期間にわたって総義歯を装着し,装着義歯以外に4 組の義歯を持参していたが,本人に「嚙めない」という自覚はなかった.咀嚼能力を確かめるためフードテストを勧めたところ,咀嚼動作が完全に失われていた.ピーナッツをいつまでも舌の上で転がすだけで,嚙もうとしない.いわば「嚙むことを忘れた」状態であった.リマウント調整によってバランスドオクルージョンを与えて,再びフードテストをすると,嚙むことを促さないうちに,ピーナッツを嚙んで食べた.動画記録によりその違いは明瞭であった.嚙める感覚が,嚙むことに対する何等かの抑制を解消し,嚙むことを思い出させたようにみえた.リマウント調整によって変化した.

臨床報告
  • 坂元 麻衣子, 秋山 仁志
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 36 巻 3 号 p. 202-
    発行日: 2016/10/31
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    咀嚼と発音障害が認められる患者の発音明瞭度を調べるためにパラトグラム法を用いて上顎全部床義歯の口蓋研磨面形態を適切に形成し,咀嚼と発音機能の回復を試みた.患者は全部床義歯の適合不良による咀嚼と発音障害を主訴として来院した.義歯後縁部の修理とティッシュコンディショニング材による粘膜調整を行った後,上下顎無歯顎補綴治療を行った.ろう義歯試適時,舌と口蓋の接触を調べるためにパラトグラム法を行い,口蓋研磨面形態の確認とフィニッシュラインの位置決定を行った.パラトグラム法を用いて発音障害を生じない位置にフィニッシュラインを設定し,S 字状隆起を適切に付与することで,新義歯装着直後より明確な発音を行えることが可能となった.製作した上下顎金属床全部床義歯の維持,安定,支持は極めて良好であることが認められた.患者からの聴取により発語,咀嚼に際して上下顎全部床金属床義歯装着後,直ちに口腔環境に順応ができたことが判明した.摂取可能食品質問表により,初診時の咀嚼スコアは31.8 であったが,新義歯装着後の咀嚼スコアは89.3 となり,大幅に改善したことが認められた.また,舌と口蓋の接触域の記録によりパラトグラム法は上顎全部床義歯患者の音声評価と機能評価を行うのに簡便かつ有用な診断ツールであることが認められた.

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