日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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36 巻 , 1-2 号
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総説
  • 中嶌 裕
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 11-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    21世紀の15年間に多くの歯科材料関連研究がなされてきている.接着,金属,ジルコニアセラミックス,コンポジッ ト系材料,義歯関連材料などの開発や評価が多くなされてきた.これらの材料は今後も使用されてゆくが,なかでも高齢社会に対応する歯科材料が重要となる.また歯科材料は従来の構造材料から機能材料としての役割を求められつつある.今後の歯科材料に求められることは,材料生産から患者の予後にいたるまでのトレーサビリティ,テクニカルセンシティブでない材料や技術,そしてフェイルセーフの考え方にもとづく材料の使用である.21 世紀におけるより安全でより良い歯科材料の開発には臨床からのデータのフィードバックが不可欠である.【顎咬合誌 36 (1・2):11-16,2016

原著
  • 河原 英雄, 成松 由香, 小松 亜希子
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 17-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    義歯をリマウントして,咬合調整によりフルバランスの咬合を与えると,「すっきりした」「かめるようになった」など患者の満足を得ることができる.筆者は,リマウント調整後のフードテストの様子を映像で記録することにより,個別的に咀嚼能力の回復を評価してきた.このリマウント調整による咀嚼能力の回復を客観的に確認するため,リマウント調整をした総義歯装着者の70 人(男性23 人,女性47 人,平均年齢75.8 歳)を被験者としてリマウント調整の前と後に咀嚼能力検査を行った.咀嚼能力測定には咀嚼試料中に溶出するグルコース濃度を測定する市販キットを用いた.その結果,92.8%の被検者でリマウント調整後に10%以上の溶出グルコース濃度の向上が得られ,平均41.8%の溶出グルコース濃度の改善をみた(調整前に咀嚼能力の低かった上下総義歯群では68.1%改善した).リマウント調整により高い確率で咀嚼能力が改善することが客観的に確認できた.この事実は,一般に使われている総義歯は,無歯顎者の咀嚼能力を十分に回復しておらず,改善の可能性があることを示している.【顎咬合誌 36 (1 ・2 ): 1 7 - 2 4 ,20 1 6

  • 山川 祐喜子, 中村 典正, 松山 雄喜
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 25-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    これまで我々は人工歯排列の違いが義歯の口蓋容積に及ぼす影響について検討し,排列によって口蓋の容積が容易に変化することを確認した.このように義歯により舌房が狭くなると,義歯装着が舌機能に変化を及ぼす可能性が考えられる.一方,舌機能の評価方法の一つとして舌圧の測定がある.バルーン式舌圧測定器は簡単で安定した計測値が得られるが,義歯装着との関連を検討した研究はない.本研究はこのような背景で,義歯装着により変化する口蓋容積と舌圧の関係を明らかにすることを目的に検討した.その結果,男性に比べ女性は有意に低い値を示した(この結果から以降の検討は男性のみとした).まず,口蓋の形態は舌圧の大きさに影響しない結果を得た.また,口蓋床装着時は,3 種類の口蓋床で異物感は有意に相違した.一方,口蓋床装着時の舌圧は厚さ1.5mm の場合,各口蓋床で有意な変化は認められず,厚さ3.0mm の場合,各口蓋床で舌圧が有意に相違した.一連の実験結果から,義歯装着による口蓋容積の変化が,最大舌圧に影響が現れることが明らかとなった.一時的であれ,口蓋容積の減少が舌圧を減少させることを考えると,口蓋容積の減少率をできるだけ低くする必要がある.【顎咬合誌 36 (1・2):25-32,2016

  • ―成人有歯顎者の3DCT セファロ分析から得られた統計的検討―
    髙久 勝太郎
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 33-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    咬合平面がカンペル平面と平行であるということは,これまで複数の文献により報告されているが,症例によっては平行性を有さないものも多く存在する.本研究は,軟組織と硬組織の計測点が2D エックス線画像に比べ正確に観察できる3DCT(三次元コンピュータ断層撮影)を用い,顔面頭蓋の側貌形態の違いによる咬合平面とカンペル平面の位置関係をセファロ分析の結果から統計的に検討することを目的とした.成人有歯顎者(N=50)の頭蓋の3DCT で得られた正中矢状面投影像に対し,SN 平面を基準(以後,対SN)としてセファロ分析を行った.側貌の前後的形態をN-Me の角度(対SN),上下的形態を下顎下縁平面の角度(対SN)で表し,咬合平面とカンペル平面のなす角度との関連を線形重回帰分析で調べた.その結果,N-Me の角度(対SN),下顎下縁平面の角度(対 SN)はともに,咬合平面とカンペル平面のなす角度に有意に関連することが示された(p <0.01).これにより顔 面頭蓋の側貌形態によって,咬合平面とカンペル平面の位置関係は影響を受けることが示唆された.また,カンペル平面を用いて咬合平面の再構築を行う場合,N-Me の角度(対SN),下顎下縁平面の角度(対SN)を考慮し,「平行」の他に,「前開き」,「後開き」の基準を追加することで,患者がもともと有していた咬合平面の角度をより正確に再現できると考えられた.【顎咬合誌 36(1・2):33-41,2016

症例報告
  • 石井 彰夫
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 42-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    解剖学的・形態学的に正常な咬合が機能的にも正常であるとは限らない.今回,咬合治療を行ううえで形態分析とともに咀嚼能力を定量的に計測し,評価基準とするシステムについて報告する.まず,咀嚼障害を自覚していない有歯顎者10 名の各種形態分析と機能分析を行い,咀嚼能力を評価した.続いて,咀嚼障害を主訴に来院した咬合再構成を必要と診断した患者に対し,同様の分析を治療前後で行い咀嚼能力を評価した.治療前後での分析値の比較により,咀嚼能力の高低および改善程度を数値化することができた.患者が求める“嚙み心地の良い咬合”は,主観的な感覚であるが,咀嚼能力を定量的に分析し,可視化する臨床的意義は大きいと考える.

  • —終末期に向けての快適な移行を目指して—
    森本 剛, 増田 裕次
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 51-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    コーヌステレスコープ冠(以下コーヌスと略)を用いた補綴治療の特性の一つとして,システマティックな包括一貫治療が可能であることが挙げられる.コーヌスを用いたシステマティックな治療は,補綴前処置,補綴後処置の両方において,幅広い有用性を持つ方法であり,対象にできる症例は非常に多様である.多数歯う蝕や多数歯欠損,重度歯周病,咬合崩壊などを伴った難症例では,生涯を見通すことのできる一貫性のあるシステマティックな治療法が強く求められる.また,そのようにして得られた安定的な咬合や咀嚼機能は,できるだけ簡単なメインテナンスのみで,終生にわたって維持されることが望ましい.本稿では,そのような包括一貫治療システムとしての特性の内,柔軟なメインテナンス性を活かして約22 年間,無理なく老化に対応している1症例を報告する.【顎咬 合誌 36(1・2):51-58,2016

  • —インピーダンス式体組成分器を用いて—
    呉 沢哲
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 59-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    口腔領域と心身の健康状態の関連性は以前から報告が多数あるが,具体的な数値を使って客観的な分析をしている文献は少ない.そこで,当院のリコール患者に体組成分析装置を用いて,健康指標であるBMI,体脂肪率,内臓脂肪指数,腹囲,そして脂肪、タンパク質などの体組成分を計測して,歯数の違いと,各々の数値に相関性があるかを調べた.また,60 歳以上の高齢者のデータだけを抽出し,同様の相関性が加齢によって,顕在化するかについて同時に調べた.その結果,男性で歯数20 歯以下の者は21 歯以上の者よりもBMI(肥満度)が有意に大きいなど,歯数と,脂肪を中心とした検査値には相関性が示された.

  • 島田 成章 , 松本 篤樹, 鈴木 玲爾, 荒木 久生
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 65-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    目的:多数歯欠損に対し顎機能,下顎位の診査を行い咬合高径の決定後,プロビジョナルレストレーション(以下PR)にて咬合再構成し,良好な結果が得られたので報告する.方法:患者は物がかみにくいことを主訴として来院された61 歳男性.多数の臼歯を喪失しておりバーティカルストップがなく,前歯部でのみ咬合しており,アンテリア・カップリングも不正となっている.予後不良歯を抜去および初期治療終了後,ゴシックアーチを用いて顎機能など下顎位の診査を行い,中心位を決定しPR を作製.経過観察し安定していることを確認後,最終補綴物へと移行した.結果:適正な中心位にて咬合再構成を行い,咀嚼機能の回復ができた.考察および結論:中心位を決定しPR で安定を図り最終補綴物へ移行したことにより良好な結果,咬合再構成を行えたと考える.

  • 三宅 正純 , 岩淵 良幸
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 71-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    矯正治療は硬組織評価で診断する.硬組織評価は重要であるが,顔の外面は軟組織であるため,その美的調和において軟組織評価が重要になる.症例は,顎の前突感を主訴とする顎偏位のある骨格的下顎前突症の女性で,診断,治療計画にSNV ラインを用いた.このSNV ラインによる評価においてオトガイを後退させることが必要であることが判り,矯正治療とオトガイの骨整形を行った.このラインは,審美的な評価,そして診断,治療方針を明確にする.

  • 尾崎 洋美
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 36 巻 1-2 号 p. 80-
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    New complete dentures were made for a patient who had spent a few decades without teeth or dentures. At first the patient showed averse to wearing dentures partly due to discomfort and appeared skeptical about improvement in chewing ability. An array of food tests along with chewing training, however, helped the patient regain confidence and in turn widened the variety of foods she enjoys. This case highlighted the importance of continuous use of dentures and effect of chewing training. 【顎咬合誌 36(1・2):80-81, 2016】

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