日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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37 巻 , 1-2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
総説
  • 佐野 哲也
    原稿種別: 総説
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 9-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    インプラント周囲疾患はプラークに起因し発症する.インプラント周囲疾患はインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎に分類される.インプラント周囲粘膜炎の治療において非外科治療は有効である一方,インプラント周囲炎において非外科治療は効果的ではない.それゆえ外科的な介入がしばしば必要となる.いまのところ,インプラント周囲炎に対する最も効果的な治療法は特定されておらず,また治療のプロトコールは存在していない.外科治療を行ったとしても,必ずしも改善するわけではないため,インプラント周囲炎の発症を予防することが最良の治療である.口腔清掃不良,喫煙,歯周疾患の既往はインプラント周囲炎のリスクとなるため,インプラント治療開始前にこれらの因子は改善しておく必要がある.またインプラントの良好な長期的成功を得るために定期的なメインテナンスは必須である.

  • 横田 誠
    原稿種別: 総説
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 17-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    歯への外傷力が歯周組織の破壊に関わっているのではないかという議論が当然のように行われている.しかし,歯周病の病因論における世界的な咬合性外傷の位置づけは,歯周病の主たる病因ではなく,修飾因子に過ぎないとされている.このコンセンサスは臨床実感とは程遠い.その理由は,歯周病と歯根膜の病態生理、それにセメント質の研究が不足していた40 年前の動物研究によって,現在のコンセンサスができ上がっていることにある.AAP 歯周病の分類においても現在の咬合性外傷の定義は十分に整理されていない領域であるとされている.本総説では, 1990 ~2011 年までに行われた九州歯科大学グループによる動揺と歯根膜とセメント質の研究を総括し,早期接触 の発生過程に5 系列があることを指摘した.さらに,基本治療によって歯根膜機能が改善することによって,咬合力が増大するとともに脳血流が増大する.この一連の研究は現在の咬合性外傷の概念を補完するものである.

症例報告
  • 越智 信行
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 27-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    目的:日々の臨床において,Lytle & Skurow の修復歯科学の分類を理解し,それぞれの患者がどの分類にあてはまるのかを判断することは重要である.今回歯科治療介入する際に治療咬合を付与する必要があると考えられた上記の分類Class III の1 症例を通し,留意する点を簡潔にまとめ,各ステップを再考したい.方法:患者の同意を得て,基礎資料収集を行い,問題点を抽出し診査・診断を行った後に立案した治療計画を患者に説明し,治療方針を決定した.全顎的な治療を開始し,最終補綴を行い,メインテナンスに移行するまでの流れを報告する.結果:現在臨床症状はなく,審美的・機能的にも患者の満足も得られた.術者側から診ても,生物学的にも,構造上も問題点は今のところ見られない.考察および結論:治療介入することによって改善できる問題点と,患者自身の抱える改善することのできない潜在的なリスク因子(悪習癖・過度な咬合力)もあることを術者,患者の双方が理解すべきである.各治療手順を一つひとつ丁寧に行うことで長期的に安定した治療咬合を付与することができると考えられる.

  • 中島 圭治
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 37-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    上顎の前突感を含めた審美性の改善と臼歯部の歯の動揺を主訴に来院した患者に対し,インプラント治療,矯正治療,補綴治療を行い咬合再構成を行った.患者は,全顎的に中等度から重度の歯周疾患に罹患しており,58 歳という患者の年齢を考慮しつつ,長期予後の見込めない歯を戦略的に抜歯し,審美性の改善と機能の回復を目指し全顎治療を行い,患者満足が得られ,現在4 年が経過したので,報告する.

  • 神山 大地, 清野 浩昭, 中澤 正絵
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 44-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    有床義歯において,義歯を安定させるために咬合力のコントロールをすることは重要な要素である.中でも,下顎前突のような症例は通常の人工歯排列をすると義歯の転覆が起き,床下粘膜の痛みや義歯床破折などの不調の原因になり得る.また,嚙み癖や残存歯の影響で下顎位の偏位が起きると長期的安定が望めないこともある.本症例では,下顎位の偏位を解消させ,なおかつ咬合時に義歯が安定するよう考慮した人工歯排列を行った.また,咀嚼能力検査キットを使用することにより,治療前と治療後の咀嚼能力の差が計測され,的確な評価に繋がることがわかったので報告する.

  • 東田 淳一郎
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 50-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    総義歯や遊離端義歯の維持安定を図るためインプラントオーバーデンチャーの臨床応用が国内外で多数報告されている.無歯顎患者のQOL 向上に寄与する治療方法であるが,長期経過症例の報告は少なく臨床成績はいまだ未知数である.今回,上顎に総義歯,下顎に3 のみ残存の下顎遊離端義歯の症例に対し,下顎義歯の維持安定を目的に4 本のインプラントを埋入し,支台装置として磁性アタッチメントを採用したインプラントオーバーデンチャー(以下IOD)を応用し咬合状態の安定を図った.対合の上顎総義歯の前歯部にはフラビーガムが存在している.IOD により下顎遊離端義歯の沈下を最小限にとどめ,下顎前歯の上顎前歯部へのかみ込みを是正することで5 年7 カ月の間フラビーガムを含むコンビネーションシンドロームを回避でき,良好な結果を得たので報告する.

  • 高木 小百合
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 57-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    薬物性歯肉増殖症は,抗痙攣剤や降圧剤,免疫抑制剤によって発症する副作用病変である.歯肉増殖は薬剤の副作用のみで起こるものでなく,不良な口腔衛生環境による歯肉炎が関与していることと,プラークコントロール不良により歯肉に炎症が存在する場合は,歯肉増殖の程度も重篤になりやすいため,歯科での適切な衛生指導と歯周治療を行うことによって,同症状は十分コントロールできるという臨床報告も多くみられる.症例は初診時53 歳男性,右上臼歯部および下顎前歯部の動揺と歯肉出血が主訴の症例.初診時所見において,同主訴部の下顎前歯部は歯肉増殖を認め,全顎的に中等度以上の慢性歯周炎の罹患を認めた.問診から,4 年前より脳出血,末梢神経障害,高血圧症などの全身疾患のため,多数の薬剤を常用薬として服用しており,歯肉増殖を副作用にもつカルシウム拮抗剤も処方されていた.患者の全身疾患の背景を考慮し,歯周治療での症状の改善を試みた.結果,口腔衛生指導と歯周基本治療で歯周環境の改善と良好な予後を維持できている現状を報告したい.

  • —咬合平面板の試作と応用—
    尾留川 泰志
    原稿種別: 技術報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 66-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    咬合の再構成において,咬合平面の決定は最も重要な作業の一つである.咬合平面の傾斜は顆路,アンテリアガイダンスと関連して下顎運動時の臼歯部に影響を及ぼす.また,咬合平面の傾斜は審美的にスマイルラインに影響を与える.咬合平面の決定法には,無歯顎では解剖学的特徴を基に蝋堤上に咬合平面を設定する方法が一般的である.有歯顎においてはBroadrick 咬合平面分析法を用いて決定する方法がある.今回紹介する方法は,試作の Occlusal Plane Analyzer(以下OPA)を用いて下顎の咬合平面を決定する方法である.この方法はフェイスボウトランスファー した咬合器上で,基準平面に対して正確にかつ簡便に咬合平面の設定が可能である.またその位置を記録することもできる.なおこのOPA は平面板が5 軸で可動するので,ほとんどの歯列模型において,基準平面に対する診査が可能である.

  • Yoshiyuki Wada, Harunori Yoshimura, Itaru Mikami
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 72-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    This case report describes the treatment of a woman who lost mandibular posterior teeth. The bilateral alveolar ridges showed severe tissue defects. She complained of the discomfort of a partial denture connected by a lingual bar and wished for fixed prostheses. However, the height of the alveolar bone was insufficient to place standard-length implants. In addition, she rejected bone augmentation and the usage of biomaterials. Therefore, short implants were placed in both sides of atrophic alveolar ridges without tissue augmentation. Conventional crowns were placed on the right side on three short implants, and a unilateral distal-extension partial implantretained partial denture (IRPD) using magnetic attachment was placed on the left side using the two available short implants. The patient was satisfied with the outcome of this treatment for 12 years even though a clasp was added to the removable partial denture at 11 years due to the wear of the magnet keepers. The combination of short implants and an IRPD using magnetic attachment is effective for patients with a severely atrophic posterior mandibular from the aspect of minimal intervention.

  • 下川 公一
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 1-2 号 p. 81-
    発行日: 2017/05/22
    公開日: 2019/07/31
    ジャーナル フリー

    下顎位とは,上下の歯の全体的な接触関係の中で語られるものであるが,本来,咀嚼や嚥下時以外では上下の歯は接触していないのが正常である.安静位では上下顎歯列には一定の空隙が存在するわけであるが,嵌合位と安静位での下顎位を考えながら矯正や補綴物の設計をしていなくてはならない.そのためには,舌と上下歯列の安定した関係を考えながら診断し治療を進めていくこととなる. 咬合器上では顆頭球を固定して上下顎の模型を左右および前方に接触滑走させるが,ヒトの咀嚼運動においては,わずかではあるが下顎は左右にシフトさせながら上下咬合面が接触する.咀嚼運動では,舌の運動とそのポジションが極めて重要であるが,咬合器にはその機能はない.このため有歯顎の咬合治療においては,患者の口腔内での咬合調整が極めて大切と思われた.

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