日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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37 巻, 3 号
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特別寄稿
  • 福島 俊士
    原稿種別: 特別寄稿
    2017 年 37 巻 3 号 p. 169-177
    発行日: 2017/11/21
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    一般臨床で使用される厚さ約30 μm の咬合紙は,①咬合紙の色素を歯や補綴装置の咬合接触部に付着させる(印記法),②一度だけ咬合させて咬合紙にできる抜けを観察する(透かし見法),③咬合紙を咬ませた状態で引き抜けるかどうか試す(引き抜き法)などの使い方で,クラウン装着時の咬合の高さを10 μm 以下の精度で調整することができる.しかし,患者の咬合接触の記録法としては,②の可能性が追究されているが,①は術式的に不確かとの理由で十分に利用されるに至っていない.本稿では①の記録を長期的に採得することによって,その有用性を検討 した.【顎咬合誌 37(3):169-177,2017

総説
原著
  • 細川 隆司
    原稿種別: 原著
    2017 年 37 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2017/11/21
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    本前向き臨床介入研究は,様々な歯科治療介入における口腔関連QOL の変化を127 症例について多施設で臨床疫学的に検討したものである.口腔関連QOL の評価指標として,日本顎咬合学会が開発した咬合スコア[英語による国際表記:Hobo occlusion score (HOS;保母の咬合スコア)]とすでに世界で広く活用されているOHIP(Oral Health Impact Profile)の日本語短縮版であるOHIP-J14 を用い,Wilcoxon signed-rank test を用いて統計処理を行っ た.その結果,咬合スコア(HOS)もOHIP-J14 においても,歯科治療介入の前後で統計学的有意差があり,歯科治療介入によって口腔関連QOL が有意に向上していることが明らかになった.本研究において,すでに口腔関連 QOL の評価指標として有効性が明らかになっているOHIP-J14 を基準として検討した結果,咬合スコア(HOS)は, 妥当性,信頼性ともに優れ,わずか6項目で歯科治療介入の必要性と有効性が検証できるすぐれた口腔関連QOL 評価指標であることが確認できた.【顎咬合誌 37(3):200-205,2017

症例報告
  • 神田 省吾, 江原 雄二, 安光 秀人, 咲間 義輝, 大西 吉之, 桑原 明彦, 山上 哲贒
    2017 年 37 巻 3 号 p. 206-209
    発行日: 2017/11/21
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    インプラント単独植立症例の長期経過(20 年以上)症例を対象に調査を行ったので報告する.埋入されたインプラントは,シリンダー型インプラント(POI インプラント:京セラ社)で, 3 施設(京都インプラント研究所所属)での2015 年5 月時点で上部構造物装着後20 年以上良好に経過した男性19 人,女性11 人(計30 人)の32 本を対象に調査した.調査項目は,インプラント埋入時の年齢,埋入部位,サイズ,上部構造物の固定様式である.平均埋入年齢は47.31 歳(男性47.95 歳,女性46.25 歳)で,1 回法29 本,2 回法3 本が対象となった.幅径は3.2mm が17 本,3.7mm が11 本,4.2mm が4 本であり,2 回法インプラントは全て3.7mm であった.骨内長は8mm が4 本, 10mm が15 本,12mm が8 本,14mm が5 本であり,2 回法インプラントは全て10mm が使用されていた.部位は, 上下顎とも,大半が臼歯部に埋入され,2 回法インプラントは全て小臼部に埋入されていた.固定様式については,セメント固定が22 本,スクリュー固定が10 本で,2 回法インプラントは全てスクリュー固定,1 回法インプラントはセメント固定22 本,スクリュー固定が7 本であった.【顎咬合誌 37(3):206-209,2017

  • 安光 秀人, 江原 大輔, 神田 省吾, 大西 吉之, 江原 雄二, 咲間 義輝, 桑原 明彦, 山上 哲贒
    原稿種別: 症例報告
    2017 年 37 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2017/11/21
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    上顎臼歯部では骨質が劣るなだけでなく,抜歯後の骨吸収や上顎洞の含気化により骨量が不足している場合が多い.そのため,インプラントの十分な骨内長を上顎の臼歯部に確保できることは少ない.術前の骨の高さが10mm 未満のとき,既存骨に裏打ちされたインプラントの安定は得にくいが,外科的に上顎洞底を挙上することにより,補綴学的に理想的な位置にインプラントを埋入することが可能となる.上顎洞底挙上術でもっとも一般的な方法はラテラルウィンドウテクニックとソケットリフトであり,最近は手術侵襲が小さいソケットリフトが見直されてきている.今回京都インプラント研究所所属の4 施設において1992 年から2011 年までに来院した患者でソケットリフトを施術した150人,181本を調査対象とし,臨床的評価を行った.ソケットリフトは多くの補綴様式にも応用され,同時に今回の研究では10 年以上経過した症例で96.7%と良好な残存率を示したため,臨床的に有効と考えられた. 【顎咬合誌 37(3):210-214,2017

  • 野田 和秀
    2017 年 37 巻 3 号 p. 215-222
    発行日: 2017/11/21
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    本症例(患者;58 歳,女性)は少数歯欠損とアンテリアガイダンスの喪失を伴うAngle II 級症例だが,患者ははじめ部分的な治療のみの希望だった.しかし歯周基本治療を行いながら向き合っていくうちに次第に信頼関係を築き,あらためて全顎的な診査診断を行い,全顎治療に移行することができた.臼歯部をテンポラリークラウンに置き換え咬合高径と咬合平面の修正を行い,安定する下顎位を模索した.また欠損部へのインプラント治療により第二大臼歯までの咬合支持が得られ,前歯部は下顎位を整えることと上顎前歯の補綴,下顎前歯の部分矯正によりアンテリアガイダンスが獲得できた.下顎位が安定したところで診断用ワックスアップよりプロビジョナルレストレーション(以下プロビジョナル)を経て最終補綴に移行できたことで,結果的に安定する咬合を得ることができた.【顎 咬合誌 37(3):215-222,2017

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