日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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38 巻 , 3 号
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総説
  • 村田 比呂司
    原稿種別: 総説
    2018 年 38 巻 3 号 p. 155-165
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    義歯安定剤は維持,安定の不良な義歯の機能改善を目的として患者自身によって用いられる市販材料である.本剤は義歯床を義歯床下粘膜に固定する方法により,義歯粘着剤[クリームタイプ,粉末タイプ,シート(テープ)タイプ]とホームリライナー(クッションタイプ)に分類される.従来より義歯安定剤に対する見解は否定的であったが,近年,その有用性が種々の研究より報告されている.義歯安定剤のうち,クリームタイプや粉末タイプの義歯粘着剤は,適切な症例に正しく使用すれば,義歯管理や補綴歯科治療に有用な補助的材料であると認識されるようになった.しかしながら,患者の誤使用による弊害も見受けられ,義歯安定剤(義歯粘着剤)の効果を十分に発揮させ,また誤使用を防ぐためには,歯科医師が正しい知識をもち,患者に正しい使用法を教育していくことが重要である.【顎咬合誌 38(3):155-165,2018

  • 眞坂 こづえ
    原稿種別: 総説
    2018 年 38 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    日本では1970 年代以降,メタルポストコアが使用されるようになり,それまで抜歯されてきた歯が保存可能となった.1985 年に保険導入されて以来メタルポストの使用は増加し,陳旧性歯根破折を増加させることは予測されていた.2005 年の8020 推進財団による調査では,永久歯の抜歯原因の11%が歯根破折であった.日本独自の接着材である4-META/MMA-TBB レジンは接着力と生体親和性に優れ,1982 年の発売直後より歯根破折接着治療に使用されてきた.本稿では歯根破折接着治療の理論的背景とその推移を報告する.【顎咬合誌 38(3):166-172, 2018

症例報告
  • 西川 洋二, 松岡 力
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 3 号 p. 173-181
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    顎機能障害は,全身的,精神的な面などを含めた多くの発症因子が働き,それらのいくつかが,生理的な適応範囲を超えたときに発症すると考えられている.多くの症例では,咬合的要因が疾患発症因子の一つといわれているが,顎機能障害と咬合との因果関係についての科学的根拠は乏しく,様々な論議がされている.そして,診断と治療についての明確なコンセンサスはなく,咬合との因果関係において,咬合に介入するべきか否か,また咬合に介入する場合,どのように行うべきかなどは,未だに術者を悩ませる問題である.しかし我々は,咬合的要因の関与がどの程度か,判断を行い,歯科的要因が大きく疑われる場合,もしくは歯科的要因が一部,関連する疑いがある場合,その関連因子となるものに対処する必要がある.筆者は顎機能障害の諸症状を有する症例に対して,歯科的要因についての鑑別診断と対処を,ソフトスプリントを用いて行っている.このスプリントに対して,顎機能障害や顎運動痛などの主症状に関連すると思われる随伴症状(筋触診での誘発痛部位),開口量および開閉口路など,客観的に評価できる所見から得られた情報をもとに調整を加えている.この方法によって,顎機能障害の患者に対して,良好な結果が得られていることを,臨床では数多く経験している.本説では,症例報告としてソフトスプリントを用 いた.顎機能障害の診断ならびに治療法をについて述べる.【顎咬合誌 38(3):173-181,2018

  • 飯塚 慎也
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 3 号 p. 182-188
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    昨今では顎関節症の原因として,解剖学的要因,外傷要因,咬合要因,行動要因,精神的要因が考えられており,正常機能に外傷,ストレスなどのイベントが起こり,それが患者の生理的耐性を超えたとき,顎関節症状が生じるといわれている.そして,治療としての第一選択は,機能訓練(リハビリテーション)とスプリント療法といった可逆的な保存療法が優先されている.しかし,この保存療法は対症療法である.そのため歯科で扱う顎関節症治療においては,咬合由来であるか否かの鑑別診断を最初に行い,咬合の関与が疑われた場合,咬合に対して原因除去療法を行う必要がある.今回,咬合因子により非復位性顎関節円板障害(顎関節症病態分類 顎関節円板障害(III 型)b:非復位性)を発症した疑いのある症例に対して,スプリント療法を用いて咀嚼関連筋群と顎関節部の安定を図り,顎運動機能の改善がみられたため,エックス線画像所見にて関節窩内における下顎頭の位置を確認しながら咬合再構成を行い,主訴であった顎関節部の症状と咀嚼障害を改善することができたので報告する.【顎咬合誌 38 (3):182-188,2018

  • 坂口 政磯
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 3 号 p. 189-197
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    居住環境,衛生環境,食環境,水,土壌,大気環境等,多くの環境要因の変化により,アレルギー疾患患者の増化が先進国での社会問題となっており,わが国でも重点課題の一つとして挙げられている.アレルギー反応とは,特定の抗原に対して過剰に起こる免疫反応であり,外来の異物(抗原)を排除するために働く生体にとって不可欠な生理機能である.アレルギー疾患には様々な原因と発生機序があるが,歯科領域に関連する金属アレルギー疾患も近年注目されるようになってきている.最近になって,歯科治療の補綴処置における材料は脱金属の流れになってきているが,長年金属修復が主流であったため,歯科的要因による金属アレルギー症状から日々の生活に支障をきたす人は少なくないと思われる.ここで示す症例は全身の皮膚炎を現病歴に持ち,大学病院皮膚科で行った皮膚アレルギー試験(パッチテスト)により金属アレルギーが皮膚炎の原因と診断された患者である.口腔内所見では多数歯にわたり金属による補綴修復物が見られた.そのため口腔内の金属の除去療法を行いながら患者の皮膚症状を皮膚科と連携し経過観察し,約一年後,皮膚症状の改善に至り,また再補綴によって咬合機能の回復も行い,口腔内および全身の健康回復を得られた.【顎咬合誌 38(3):189-197,2018

  • 藤野 茂
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 3 号 p. 198-206
    発行日: 2018/11/21
    公開日: 2020/06/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,改質チタン表面をもつインプラントを埋入した患者を歯周病既往患者群と非歯周病既往患者群に分け,各患者群のインプラント治療経過を調査することにより,歯周病の既往歴が,インプラントの経過に与える影響について調査する目的で行われた.1995 年から2006 年の間に124 名の患者にワイヤ放電加工による改質チタン表面をもつインプラント425 本を埋入した.上部構造物を装着した後8 ~20 年間が経過した患者をHardt らの記載の変法に従い,歯周病既往患者群と非歯周病既往患者群に分け,各患者群のインプラントの臨床経過を比較検討した.歯周病既往患者群での調査対象患者は41 名,調査対象インプラントは154 本,平均経過観察期間は13.8 年であった.経過観察期間中に,撤去したインプラントは歯周病既往患者群では15 本(9.7%)であった.また,13 本(8.4%)のインプラントにおいて,撤去はされていないがインプラント辺縁周囲骨の近遠心に3mm を超える骨吸収が認められた.一方,非歯周病既往患者群では調査対象患者は41 名,調査対象インプラントは129 本で,平均経過観察期間は14.1 年であった.経過観察期間中に,撤去したインプラントは4 本(3.1%)であった.また,3 本(2.3%)のインプラントにおいて,撤去はされていないがインプラント辺縁周囲骨の近遠心に3mm を超える骨吸収が認められた.歯周病既往患者群のインプラントの残存率は90.3%,成功率は81.8%,非歯周病既往患者群では残存率96.8%,成功率94.6%であり,両群の残存率と成功率に有意差が認められた.また,経過観察中にインプラント辺縁周囲の骨吸収が,歯周病既往患者群に有意に多く発生した.【顎 咬合誌 38(3):198-206,2018

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