日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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39 巻 , 1-2 号
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症例報告
  • 神田 省吾, 江原 雄二, 大西 吉之, 咲間 義輝, 荒井 昌海, 桑原 明彦, 山上 哲贒
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 15-20
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    わが国の骨粗鬆症患者は,約1,200 万人と試算されている.しかし,骨粗鬆症の検診率は5%と低く,多くは潜在患者である.そこで歯科受診患者に対する歯科パノラマエックス線写真(以下DPR)を利用して,骨粗鬆症のスクリーニングをすることが提案されている.私たちは,画像解析ソフトウェアを応用した診断支援システムを用いてDPR により,下顎骨皮質骨指数(mandibular cortical index)と下顎骨下縁の皮質骨の厚み(mandibular cortical width)を調べ,骨粗鬆症のリスクを3 段階に分けて判定した.本研究に同意を得た45 歳以上の歯科受診 患者176 人(平均年齢62.18 歳)について,高いリスクをもつ者18 人,やや高いリスク68 人,低いリスク90 人で,50 歳以上の患者で年齢が高くなるにつれてリスクの高い患者の比率が高いことが明らかになった.リスクの高い患者には,骨粗鬆症専門医の受診を勧奨し,3 カ月後に2 人の受診が確認できた.【顎咬合誌 39(1・2):15-20, 2019

  • 石田 智毅 , 関口 孝浩
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 21-27
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    目的:上顎無歯顎で下顎両側性遊離端欠損の患者では,上顎骨前歯部の骨吸収,上顎結節の肥大,挺出,硬口蓋粘膜における乳頭状過形成,下顎前歯の挺出,下顎義歯床下の骨・顎堤の吸収を主症状とする症候群は,義歯の難症例であり,コンビネーションシンドロームと呼ばれている.この患者に対し,有床義歯補綴による咬合再建治療を行い,良好な結果が得られたので報告する.患者:82 歳,女性.主訴:上下の義歯がともに外れやすいことによる咀嚼障害.上顎総義歯,下顎両側性遊離端欠損部に部分床義歯を装着し,コンビネーションシンドロームを呈していた.義歯を修理してリップサポートの改善,咬合高径の回復,下顎補綴物の一体化を行ったところ,上下義歯が安定し主訴の改善傾向を認めた.力学的に上顎義歯が安定するよう咬合再構成治療を行った.考察:咬合力の入力方向を安定させるために下顎両側遊離端欠損部にリジッドサポートの概念に基づく義歯を用いたこと,上顎義歯の推進現象を極力抑えるような咬合平面を設定したこと,上顎義歯の転覆を防ぐために咬合様式としてバイラテラルオクルージョンを付与したことによって義歯の安定が図れ,咀嚼障害を改善することができたと考える.【顎咬合誌 39(1・2):21-27,2019

  • 山岸 敏男
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 28-34
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    埋伏した永久歯によって,その隣在歯に歯根吸収が起こることがある.このような異常吸収は上顎犬歯による中切歯,側切歯に対するものが圧倒的に多く,関連した報告も多数ある.一方,下顎第二大臼歯は埋伏の発症率自体が低いため,その隣在歯である第一大臼歯が歯根吸収を受ける例は稀である.今回,埋伏した下顎両側第二大臼歯により第一大臼歯が高度な歯根吸収を受けた叢生症例に対して,下顎両側第一大臼歯と上顎両側第一小臼歯を抜去し,全顎矯正治療にて咬合の改善を行う機会を得た.全顎矯正治療を選択できたことで,天然歯のみによる前歯のガイドと臼歯の咬頭嵌合が確立でき,咬合の安定につながっていると考えられる.今回の症例のように著明な歯根吸収があるにもかかわらず,痛みや不快感などの自覚症状がなく,歯の動揺もない場合,エックス線診査以外での発見は困難である.【顎咬合誌 39(1・2):28-34,2019

  • 坂元 麻衣子 , 秋山 仁志
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 35-44
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    患者は15 年ほど,歯科医院を受診しておらず,奥歯のかみ合わせがないことを主訴に,全顎的な歯科治療を希望して来院した.口腔内所見では,臼歯部は残根状態で咬合支持が喪失しており,閉口時に反対咬合所見を呈していた.医療面接,口腔内診察・検査,エックス線検査,摂取可能食品質問表から,仮性反対咬合と咬合支持の喪失による咀嚼および審美障害と診断した.治療方針として,診察・検査,診断後,不良な口腔状態を改善し,治療用義歯を装着して下顎位の安定化を図ってから,最終補綴装置の製作に移行する治療計画を立案した.患者の了承を得た後,歯冠修復処置,磁性アタッチメントと歯冠外アタッチメントを用いてフルマウスリハビリテーションを行った.咬合支持を喪失した患者にフルマウスリハビリテーションを行った結果,仮性反対咬合の改善が認められ,審美的回復が得られた.初診時の咀嚼スコアは48.2 であったが,最終補綴装置装着後の咀嚼スコアは94.6 となり,咀嚼機能および発音機能の回復が確認でき,患者のクオリティ・オブ・ライフの向上に寄与できた.【顎咬合誌 39 (1・2):35-44,2019

  • 船木 弘 , 白土 勇貴, 吉野 晃
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 45-52
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    本症例(患者;60 歳,女性)は下顎残存歯の保存が不可能なため上下全部床義歯となる症例であったが,患者の食品嗜好性や強い希望により,より高い咀嚼能率を発揮できる治療方法を望んだ.そのため,今回は患者と相談した結果,下顎に4本のインプラントを埋入し磁性アタッチメント用いたオーバーデンチャーを装着することにした.その後,今回の治療の評価を行うために,術前全部床義歯とアタッチメント未装着の最終義歯,アタッチメント装着後の最終義歯のそれぞれの咀嚼機能の回復程度を比較した.アタッチメント装着後のオーバーデンチャーが最も良好な咀嚼能力の回復が得られた.【顎咬合誌 39(1・2):45-52,2019

  • 和田 義行 , 吉谷 正純, 板橋 基雅, 吉村 治範, 三上 格
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1-2 号 p. 53-61
    発行日: 2019/06/18
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    Enamel matrix derivative (EMD)は元来,歯周組織発生の原理に基づき,歯周病で失われた歯周組織を再生す るために開発された生物製剤である.しかし最近の研究において,EMD は成長因子様の活性を持ち骨再生に応用できることが報告されている.そこで筆者らは一連の症例を通して,EMD をインプラント治療の骨誘導再生(guided bone regeneration: GBR 法)に用いる方法を検討した.まずインプラント治療において創傷治癒経過を観察し,EMD が問題なく使用できることを確認し,次にEMD と骨補塡材を歯槽堤保存術(ソケットプリザベーション)に用い良好な結果を得た.さらに,EMD をGBR 法に用い,満足のいく臨床結果を得た.そこでEMD を用いたGBR 法をインプラントに適用する際に,基礎研究に基づいた正しい使い方を検討し,提案する.しかしながら, EMD のインプラント治療における効果の評価には慎重な長期経過の観察が必要であると考えられた.【顎咬合誌 39(1・2):53-61,2019

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