時事英語学研究
Online ISSN : 2187-0039
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2006 巻, 45 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • Takeshi SUZUKI
    2006 年 2006 巻 45 号 p. 4-14
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    9/11直後のブッシュ大統領の「テロリズムとの戦争」のレトリックに対しては、米国内に反論を許さない雰囲気が蔓延した。しかし、ブッシュの愛国心に訴えたり、はっきりとした証拠無しに敵対心を煽ったりするやり方に、反対の声を上げたのが少数の知識人たちだった。本稿では、マサチューセッツ工科大学の言語学者チョムスキーのブッシュに対する批判の言説を分析した。具体的には、フィリップスが提唱する公共性の空間における「異議表示」の以下の3つの役割である (1) 障害物としての不同意、 (2) 発見的な不同意、 (3) 矯正的な不同意を分析の枠組みとした。結論として、公共性の空間における「道理にかなった意見の不一致」が民主主義が機能するために不可欠であると論じられる。
  • 日豪の新聞記事の比較を通して
    今西 恭子
    2006 年 2006 巻 45 号 p. 15-28
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    本研究は、M.A.K. Hallidayの機能文法を主な分析法とし、同一のトピックを扱った二つのスポーツ記事を分析し、書き手がテキストに織り込んだ対人的意味、人物・事象への評価を読み取り、その英文の行間に読み取れる書き手の意図や新聞社のスタンスの相違を把握するものである。
  • 2001年アメリカ同時多発テロ以降のアメリカ批判を通じて
    新妻 絢
    2006 年 2006 巻 45 号 p. 29-42
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    本稿では、サイードの二項対立的言説に対する批判を分析することにより、ヒューマニズムにもとづく批評の重要性について論じた。二項対立的な言説は (1) 歪んだ理解を促す、 (2) 「他者」の排除につながる、 (3) 無意味な対立関係を作り出すという点で問題がある。
    二項対立的言説にとらわれない思考を人びとに促すためには、二項対立的思考に代わる理解の枠組みが必要である。ヒューマニズムにもとづく批評は、権力の側の排他的で好戦的な集団的アイデンティティの強化を目指す二項対立的な思考から、あらゆるものとのつながりを強調する新たな理解の枠組みへと転換を図るための一つの効果的な批評モデルである。
  • 山本 淳子, 渡辺 弘之, 仲川 浩世
    2006 年 2006 巻 45 号 p. 43-62
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    パラグラフライティング (以下PW) 指導において、談話モードの理解は重要である。本研究では、映画のストーリー性を利用したPW指導の可能性を探るため、学生のライティング指導において各談話モード (Narrative, Descriptionなど計6種類) に適合する映画の場面を抽出、サンプルエッセイ・表現リストなどを提示した上で学生にエッセイを作成させた。
    その結果、パラグラフ構造・内容・論理の3項目において、PW指導後では84%の学生にライティング能力の向上が認められた (客観評価) 。また、PW指導後のエッセイを自己評価 (自己採点形式) させたところ、自己評価と客観評価との一致率は74%となっており、授業時に実施したアンケートにおいても、映画を用いることに対する肯定的な評価がみられる。
    映画の場面提示の方法や下位成績グループの出現といった点において問題がみられるが、実践を通して、映画を用いたPW指導は学習への動機付けとなるばかりでなく、PWにおける談話モード理解をより促進できるということが明らかになった。
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