時事英語学研究
Online ISSN : 2187-0039
Print ISSN : 2186-1420
ISSN-L : 2187-0039
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 中西 満貴典
    2008 年 2008 巻 47 号 p. 1-15
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、批判的ディスコース分析 (CDA) における「言説」 (ディスコース) 概念の把握を、テクストのなかで表象される主体概念や、テクストを生産・消費する行為者の位相を考察することによって深めようとするものである。言説概念そのものは広大な射程を有し、また社会学系と言語学系では言説についてそれぞれ異なる概念を用いているだけでなくCDAにおいても必ずしも同一の定義を共有しているわけではない。それゆえ、言説概念を記述すること自体が拡散する議論になりかねない。しかし、CDAは観察の対象物が言説そのものであるゆえ、分析対象の言説概念にっいて、ある程度明示的にとらえようとする試みが必要であると考える。CDAは、権力作用やイデオロギーの問題を内包した社会的事象の考察を、言語分析の方法によって行うものであるが、言語に対する関心ほどにはテクストを生み出したり読解したりする主体である「人間」に関する議論が行われていない。本研究では、マテリアルな存在としてのテクストの書き手・読み手の言説空間における位置づけや、テクスト中で「主体」の概念がどのように形成されるのかにっいて、N・フェアクラフの言説概念図等を参照して議論していく。
  • 谷川 幹
    2008 年 2008 巻 47 号 p. 17-34
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    英文ジャーナリズムでは記事のリードにおいて事実を誇張したり単純化したりするなどして字句通りのことを意味しないことがある。このような文の書き方はリードに特有な文章技法として英文ジャーナリズム (特にアメリカンジャーナリズム) では確立しているように思われる。本稿は米紙の最新の事例や編集者へのインタビュー、定量的な手法による分析を通じて、この文章技法の規則性と特徴を明らかにすることを目的とする。
  • Kazuko UNOSAWA
    2008 年 2008 巻 47 号 p. 35-54
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    2001年にイギリスのBBCで放映されたテレビコメディー “The Office” は、本国で大ヒット後にアメリカ (NBC) でリメイクされた。本稿はその英米作品の比較・対照を通して、ユーモアの違いを明らかにする試みである。アメリカ版の第一作目 (pilot) は概ねイギリスの原作に忠実であるが、改訂・削除された箇所を分析すると、性表現、人種差別的表現の扱いに差異がみられた。第二作目以降は米視聴者向けの書き下ろしであった。イギリス人は皮肉が利いた「攻撃的」なハードユーモアを好むのに対し、アメリカ人は軽い冗談が飛び交う「友好的」なソフトユーモアを好む。また、イギリス版は日常における「絶望」を描く「現実に即した」笑いであるが、アメリカ版は「夢」を織り交ぜ、「現実離れ」した笑いである。台詞・筋・性格描写の分析によって、視聴者がテレビコメディーに求めるユーモアの差異、性表現・人種差別表現をめぐる社会通念が明らかになった。1
  • 語彙習得の場合
    幸重 美津子, 仲川 浩世
    2008 年 2008 巻 47 号 p. 55-69
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    近年、日本人英語学習者を対象とした語彙の習得・語彙指導の提案に関する研究が増えっっあるが、母語とはその特徴が大きく異なる英語の語彙習得は、日本人学習者にとって定着度が低く、大きな課題だと考えられる。一方、現場の教員のための具体的な語彙教材の開発研究に関する報告は、まだ多くはなされていないのが現状である。本稿では、実社会で有効に機能する社会人として、メディアが伝える英語情報を適切に理解し世界情勢を的確に把握する能力を育成するために、経済・社会諸問題の主な情報源であるメディア英語を題材とした語彙習得指導案を提案する。Wolter (1999) は、第2言語学習者は熟練者であっても「統語的関連」に頼った体系を持っことを明らかにしているが、方法論としては尾崎 (2004) が提唱しているように、mind mapとしてライティングやオーラル・コミュニケーションの指導でも取り入れられている方法を語彙習得へ応用するものである。メディア英語を理解するのに不可欠とされる語彙を、ジャンル別のtopic-baseに配置し、idea-bubblesによるmind map形式のタスクを用いることで学習者の語彙のイメージを活性化させ、その認知構造を刺激し、難易度の高い語彙であっても連想 (word-association) を通してそれぞれの語彙を互いに関連づけることにより、無理なく定着を図ろうとするものである。
feedback
Top