目的:過疎地域に暮らす高齢者世帯への別居の子どもの通いによる支援の現状を明らかにし,別居の子どもと高齢者という家族を支える援助を検討する.方法:別居の子どもが通って支援している過疎地域に住む高齢者世帯6世帯(単独2,夫婦4)への家庭訪問による聞き取り調査と,通って支援している子どもへの聞き取り調査により,生活と介護の実態を把握し,援助ニーズと援助方法を検討した.結果:子どもが通う頻度はさまざまであった.子どもによる支援内容は,買い物,経済的支援,家事,農作業,サービス利用の方針決定や手続き等であった.必要な援助は,相談体制整備,通って支援している子どもへの支援,納得できる選択と介護への支援,近隣者による支援,サービスによる支援,経済面の支援などであった.考察:高齢者と子どもの関わりの現状は,「通い介護」・「通い家族」という表現が適切と考えられた.「通い介護」・「通い家族」への支援としては,まず,ケアマネジャー,保健師,看護師による,相談窓口につなげる支援,通って支援している子どもの健康管理への支援と別居の子どもを含む高齢者世帯への支援が考えられる.介護サービス等による,基本的生活の維持,健康管理などの支援や交通費の補助等の経済的支援も必要である.さらに,地域住民ネットワークによる,見守り,声かけ,助け合い等の支援が考えられる.
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