日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
17 巻, 1 号
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  • 大園 康文, 福井 小紀子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 4-12
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,終末期を得意としている訪問看護事業所と,訪問看護事業所の経営管理状況,医療機関との連携,利用者の特性との関連を明らかにすることである.方法:全国の訪問看護事業所から2,750か所を無作為抽出し,管理者を対象に質問紙調査を実施した,訪問看護事業所として,得意とする利用者の特性と訪問看護事業所の施設背景との関連について,ロジスティック回帰分析を行った.結果:得意としている利用者の特性として終末期を挙げた事業所は90か所であった.終末期を得意としている事業所はそうでない事業所に比べて,24時間対応体制加算の届出をしている(OR=3.89;95%,CI:1.71-8.83),日常生活自立度ランクC(健康保険)の利用者が多い(OR=2.0;95%,CI:1.16-3.43),指示書の交付を受けた医療機関(在宅療養支援診療所)が多い(OR=2.11;95%,CI:1.33-3.35),退院・退所元への報告件数が多い(OR=1.65;95%,CI:1.04-2.62),入院・入所時のサマリー作成件数が多い(OR=1.1;95%,CI:1.Ol-1.21)状況が示された.結論:24時間対応の体制を整えて,在宅療養支援診療所や病院と積極的に退院支援・入院時支援の双方向の連携を図っている訪問看護事業所が,終末期を得意としている事業所であることが明らかになった.本研究で明らかにされた要因を強化し,終末期在宅療養を支える訪問看護事業所を支援することが必要である.
  • 岡久 ジュン, 錦戸 典子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:がんに罹患した労働者への支援において産業保健師が行うコーディネーションに関して,支援時期別の具体的内容とその特徴を明らかにする.方法:企業に所属する産業保健師10人を対象に半構造化面接を行い,逐語録から支援時期別に情報収集,アセスメント,働きかけに分類してコードを抽出した.内容分析の手法を用いて類似するコードからカテゴリーを生成した.結果・考察:すべての支援時期を通じて,産業保健師は「病状」「就業状況」「心理状態」「周囲からの支援状況」について情報収集を行っていた.それらを基に「がんと向き合うことと安全に就業することとの折り合いのつけどころ」と「がん治療と就業継続のための支援体制」をアセスメントしていた.それを踏まえて,「がんを持ちながら就業する労働者を後押しする支援」と「支援体制の構築・強化のための関係者への支援」を行っていた.支援時期別の特徴として,診断時から休業中は事例の全体像をとらえ,治療に専念することに向けて本人および上司・人事の不安が緩和されるよう支援していた.復職期は病状の変化や職場で必要な支援を予測し,本人の自主性と上司・人事の協力を引き出すような働きかけを行っていた.復職後は,就業や病状の変化から支援ニーズをきめ細かに分析し,本人および上司・人事の主体性を高めることに主眼をおいていた.本研究により,産業保健師のコーディネーション技術の向上に役立つ示唆が得られた.
  • 永田 千鶴, 北村 育子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:3つの地域密着型サービスで提供されているケアサービスの現状からその特性と共通するケアサービスを明らかにし,地域包括ケア体制下の地域密着型サービスの機能および今後の課題を明示する.方法:3つの地域密着型サービスにおけるエイジング・イン・プレイスを果たすケアサービスの比較検討により明らかにしたケアサービスの現状を,国が示す地域包括ケアシステムの構築に向けた5つの視点に基づき検討する.結果:3つの地域密着型サービスの共通するケアサービスの特徴としては,1.小規模・小人数・ユニット型による個別ケアが徹底できること,2.地域密着型サービスとして関係する専門機関および専門職,地域・住民,行政と連携してケアサービスが提供されていること,3.家族とのつながりを重視し家族とともにケアを提供していること,4.医療が提供しにくい環境下で何とか工夫や努力をして医療ニーズに対応し,終末期ケア・看取りに取り組んでいること,が挙げられた.結論:地域包括ケア体制下でのエイジング・イン・プレイスを果たす地域密着型サービスは,「介護サービスの充実強化」や「住まいの機能をもつこと」「ネットワークを生かしたケアニーズへのタイムリーな対応」などの重要な機能を担うことが明らかになった.課題としては,医療との連携強化において,地域密着型サービスにおける高齢者への医療提供のあり方を明確にすることが示唆された.
  • 御厩 美登里
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,訪問看護師の職務継続意向と同僚間コミュニケーション,および地域の関連職種とのコミュニケーションの関連を明らかにすることである.方法:北海道の訪問看護ステーションで訪問看護に従事する,管理者を除いた常勤・非常勤看護職を対象に自記式質問紙調査を行った.結果:同僚間コミュニケーションにおいて,職務継続意向と有意な関連があった項目は,「看護の提供に関する相談をする」「同僚看護師の得意な看護領域・分野を知っている」「仕事のことで困ったときそれを得意とする同僚看護師に相談している」「同僚看護師から得意な看護領域・分野に関する助言を求められる」であった.同僚とのフォーマルなコミュニケーション,関連職種とのコミュニケーションで有意な関連のみられた項目はなかった.考察:インフォーマルコミュニケーションが活発にできる機会と雰囲気,お互いの得意な看護を生かし・生かされる同僚間コミュニケーションの重要性が示唆された.
  • 吉原 和恵, 神尾 直佳, 秋山 明子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:乳児の事故発生におけるハイリスク群の把握および早期介入に資する基礎資料を得ることを目的として,母子管理票で把握できる事項と3か月児健診までに発生した乳児の事故との関連を検討した.方法:2007年12月〜2008年6月に大阪市A区の3か月児健診を受診した441人(転居等を除く)を調査対象とし,母子管理票の記載事項による調査を行った.3か月時健診までに発生した事故の有無により2群に分け,t検定,χ2検定,ロジスティック回帰分析により,母子管理票の記載事項との関連を分析した.結果:乳児の事故発生に有意に関連していた項目は,夜間の養育者が母親でないこと,夜間の養育者が祖父母であること,出産前後の協力者に母方の祖父母がいないこと,子どもとの生活に気が滅入ると感じていること,子どもとの生活はイメージとのギャップが大きいと感じていることであった.乳児の事故発生に有意に関連していた上記5項目を独立変数,乳児の事故の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った結果,乳児の事故発生が有意に低くなる要因は夜間の養育者が母親であることであった.結論:養育支援を必要とする家庭について,継続的に状況を把握・分析や支援を行っていくには,3か月児健診時に養育者の状況を把握するだけでなく,妊娠届出時面接や新生児訪問の際にも,24時間の児の養育体制を把握する必要性が示唆された.
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