目的:本研究の目的は,終末期を得意としている訪問看護事業所と,訪問看護事業所の経営管理状況,医療機関との連携,利用者の特性との関連を明らかにすることである.方法:全国の訪問看護事業所から2,750か所を無作為抽出し,管理者を対象に質問紙調査を実施した,訪問看護事業所として,得意とする利用者の特性と訪問看護事業所の施設背景との関連について,ロジスティック回帰分析を行った.結果:得意としている利用者の特性として終末期を挙げた事業所は90か所であった.終末期を得意としている事業所はそうでない事業所に比べて,24時間対応体制加算の届出をしている(OR=3.89;95%,CI:1.71-8.83),日常生活自立度ランクC(健康保険)の利用者が多い(OR=2.0;95%,CI:1.16-3.43),指示書の交付を受けた医療機関(在宅療養支援診療所)が多い(OR=2.11;95%,CI:1.33-3.35),退院・退所元への報告件数が多い(OR=1.65;95%,CI:1.04-2.62),入院・入所時のサマリー作成件数が多い(OR=1.1;95%,CI:1.Ol-1.21)状況が示された.結論:24時間対応の体制を整えて,在宅療養支援診療所や病院と積極的に退院支援・入院時支援の双方向の連携を図っている訪問看護事業所が,終末期を得意としている事業所であることが明らかになった.本研究で明らかにされた要因を強化し,終末期在宅療養を支える訪問看護事業所を支援することが必要である.
抄録全体を表示