目的:高齢者保健福祉活動のための地域看護アセスメントの基礎的研究の第1段階とし,地域の人々の社会的側面と行動的側面をアセスメントするために必要な視点としてのアセスメント項目を明らかにした.方法:看護実践国際分類(ICNP
®),NANDA看護診断等の文献を参考に,社会的側面は役割理論を,また行動的側面はクラークのディメンションモデルのうち"健康のディメンション"の行動的側面を活用し,アセスメント項目の第1次案を作成した.次に,行政機関に働く熟練保健師を対象に3回のデルファイ調査による評価を行った.アセスメント項目の理論的整合性と妥当性は,地域看護アセスメントや看護診断について研究業績がある研究者・教育者を対象に,エキスパート審査による評価を2回行った.デルファイ調査,エキスパート審査による評価に基づき,アセスメント項目の検討を行った.結果・考察:最終的なアセスメント項目は,社会的側面が,コミュニケーション,社会参加,家族内役割遂行,家族関係,家族介護,虐待,異性との交流,労働,経済的安定の9項目,行動的側面が,食行動,運動,飲酒,喫煙,睡眠-休息行動,気分転換,ストレス対処行動,日常生活行動,健康探求行動の9項目で構成された.社会的側面と行動的側面ともに,熟練保健師からの量的な評価,およびエキスパートからの質的な評価により,アセスメント項目の妥当性が保証された.
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