日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
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最新号
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原著
  • 深田 悠花, 奈古 由美子, 山本 真理子, 中村 千賀, 矢野 朋子, 村上 尚子, 呉代 華容, 木戸 倫子, 松浦 正和, 廣瀬 智恵 ...
    2026 年29 巻2 号 p. 4-14
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:大学と自治体が共同開発した市民向け講座型ACP普及啓発プログラムの効果を検討し,3か月後にACPに関する話し合いを実施した人としていない人の特性の比較,話し合いを実施しなかった理由を明らかにする.

    方法:2021年にプログラムを用いて3か所の地域で講座を実施した.3か月後質問紙に回答した者を対象とし,基本属性,以前の話し合いの経験,プログラム直後の反応と,3か月後の話し合い実施有無との関連を検討した.また自由記述より話し合いを実施しなかった理由を分析した.

    結果:3か月後質問紙の回収率は48.5%であり,回収したうちの分析対象者(n=32)において,3か月後は21人(65.6%)が話し合いを実施していた.話し合い実施有無と基本属性との関連は認めず,受講後の話し合いへの意欲の高さと,以前の話し合い経験ありが有意に関連していた.話し合いを実施しなかった理由として,機会の少なさや必要性の認識不足,家族との認識の違い等が抽出された.

    考察:プログラム受講後,ACPに対する理解や話し合いの意欲の高さが認められた.その後話し合いを実施した人の多くはもともとACPに関する話し合いの経験を有していた.より多くの市民の行動変容を促すためには,これまでの経験の有無も考慮し,話し合いに結びつく工夫や多層的な介入が求められる.

  • 林 尚子, 田中 美加
    2026 年29 巻2 号 p. 15-25
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:地域在住のフレイルの高齢者における自己効力感と社会交流を伴う集団活動参加の程度との関連を明らかにする.

    方法:地域在住のフレイルの高齢者を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った.調査内容は一般性自己効力感と,地域における集団活動および集団で実施される通所型サービスへの参加の有無およびそれらにおける社会交流の程度とした.一般性セルフ・エフィカシー得点(GSES得点)を従属変数,上記の参加の有無とそれらの社会交流の程度を使用して合成した“社会交流を伴う集団活動参加”の程度を独立変数とし,調整要因を段階的に投入した4つのモデルを作成し重回帰分析を行った.また,同様のモデルを用いGSES得点における下位尺度についても分析を行った.

    結果:234人を解析対象とした.全対象者のGSES得点の平均は8.7で,一般の地域高齢者と比べGSES得点は低い傾向にあった.また,GSES得点と社会交流を伴う集団活動参加の程度の間に有意な関連が認められ,GSES得点の下位尺度得点ごとの分析では,行動の積極性得点,失敗に対する不安得点は,社会交流を伴う集団活動参加の程度と関連しなかったが,能力の社会的位置づけ得点においては社会交流を伴う集団活動参加の程度との関連が示された.

    考察:フレイルの高齢者のGSES得点と社会交流を伴う集団活動参加の程度との間には関連が認められた.このことは因果関係を直接示すものではないが,社会交流を伴う集団活動参加の程度とフレイルの高齢者の自己効力感の向上について検討する価値があることを示唆している.

  • 林 尚子
    2026 年29 巻2 号 p. 1-
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/16
    ジャーナル フリー
  • 相原 洋子, 竹村 和子
    2026 年29 巻2 号 p. 26-34
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師の異文化能力に関連する要因と異文化間ケアを実践するうえでの課題はなにかを探索的に把握する.

    方法:近畿3府県の訪問看護ステーション管理者を対象に質問紙調査を行った.異文化能力は日本語版Cross-Cultural Competence of Healthcare Professionalsを用い測定し,線形回帰分析を用い関連要因の検証を行った.異文化間ケアを実践するうえでの課題については,外国人への訪問看護を行ううえで困難となることを自由記述により回答を得た.記述は内容分析にてカテゴリ生成を行った.

    結果:142人の対象者のうち,外国人の利用者または家族介護者がいる家庭への訪問経験を有するステーションは,52か所であった.また34か所のステーションが,外国人の医療・介護スタッフと働いた経験を有していた.異文化能力の得点は,外国人利用者,家族介護者の訪問経験を有する,異文化間ケアに関する講義・研修受講がある管理者に高い傾向を示した.異文化間ケア実践の課題として,記録単位数の多い順に【コミュニケーションスキル】【異文化への態度・共感】【訪問看護管理】の3つのカテゴリが生成された.

    考察:地域において在留外国人への看護サービスを提供するうえで,看護師養成校のみならず実務者を対象とした異文化能力をあげるための教育・研修プログラムの構築の必要性が示唆された.

  • 谷川 愛優花, 有本 梓, 赤塚 永貴, 林田 悠花, 伊藤 絵梨子
    2026 年29 巻2 号 p. 35-44
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:精神疾患を有する母親への虐待予防に向け,保健師の多職種連携能力の実態と関連要因を明らかにし,現任教育や職場環境整備への示唆を得ることである.

    方法:A県内全自治体の母子保健または精神保健福祉分野に所属する保健師380人を対象に無記名自記式アンケート調査を実施した.調査項目は,妊娠期からの虐待予防のための多職種連携能力評価尺度(以下,多職種連携能力評価尺度),基本属性,個人要因(支援上のコミュニケーションスキルへの自信等),職場環境要因(個別ケースの検討への参加等)である.多職種連携能力評価尺度得点を従属変数とした重回帰分析を実施した.

    結果:110人を分析対象とした(有効回答率28.9%).保健師の多職種連携能力の高さには,支援上のコミュニケーションスキルへの自信(β=0.275,p=0.008)が有意に関連し,児童虐待に関する研修参加意欲(β=0.163,p=0.059),精神疾患を有する母親の育児に関わる近所づき合いや地域のつながりを把握できる自信(β=0.170,p=0.096),個別ケース検討への参加(β=0.172,p=0.093)に関連の傾向があった.

    考察:保健師の多職種連携能力の向上に向けて,保健師が母親とのコミュニケーションスキルへの自信がもてるような研修や事例検討会の開催,研修参加意欲が高まる研修企画や周知方法の工夫が重要と考える.

資料
  • 伊藤 佳美, 江角 伸吾, 坂東 志乃, 小野寺 悦子
    2026 年29 巻2 号 p. 45-53
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,わが国におけるダブルケアラーが求めている支援をマクロ・メゾ・ミクロのレベルごとに明らかにすることである.

    方法:医学中央雑誌web版,およびCiNiiを用いて,発行年を限定せず,キーワードを「ダブルケア」として文献検索を行った.日本国内でデータを収集し,ダブルケアラーが「求めている支援」「不足している支援」に関する記述があることを適格基準とし,11論文が分析対象となった.

    結果:115コードから19カテゴリーが生成された.マクロレベルでは【ダブルケアラーを包摂する社会の醸成】【アクセスしやすいワンストップの相談窓口の創設】など6カテゴリー,メゾレベルでは【支援者によるダブルケアラーの心情や状況の理解促進】【多様な働き方を可能とする職場の体制整備や支援】など10カテゴリー,ミクロレベルでは【ダブルケアラー自身をケアする時間の確保】など3カテゴリーが生成された.

    考察:マクロレベルからメゾレベルに該当する支援ニーズが高く,施策化に向けては,ダブルケアという概念の共通理解や,子どもの年齢,ダブルケアラーの就労の有無別など分野別の実態を明らかにすることの必要性が示唆された.

  • ─中核市における発生から2年後の調査─
    今井 みなみ, 尾﨑 伊都子, 樋口 倫代, 門間 晶子
    2026 年29 巻2 号 p. 54-61
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/27
    ジャーナル フリー

    目的:前期高齢者を対象に,COVID–19の流行から2年経過した時点(第6波)におけるフレイル様状態に対する主観的認識とフレイル予防行動の変化を明らかにすることとした.

    方法:A市住民基本台帳から無作為抽出した要介護認定のない前期高齢者1,400人を対象に,フレイルの知識,フレイル様状態に対する主観的認識,4つのフレイル予防行動(栄養バランス,社会活動,個人で行う運動,グループで行う運動)についての無記名自記式質問紙調査を行った.

    結果:分析対象者は657人とした.フレイルの認知度は26.6%,フレイル様状態に対する主観的認識をもっていた者は23.7%であった.4つのフレイル予防行動を中止または開始した者はそれぞれ10%未満であった.フレイル予防行動の継続者のうち,その頻度が減ったと回答した者は社会活動32.4%,次いでグループで行う運動25.8%の順で多かった.

    考察:フレイル予防行動は,COVID–19発生から2年後の流行下では中止や開始といった新たな行動変容があった者は少なかった.対人接触の機会を減らすよう求められていたため,社会活動のような他者との交流を伴う予防行動への影響が現れたと考えられる.また,客観的な機能低下が明確でない段階において自身の変化を自覚している高齢者が一定数いた可能性が示唆され,健康状態悪化の自覚をもつ前に予防的な取り組みを行える体制構築が必要である.

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