学術情報処理研究
Online ISSN : 2433-7595
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13 巻 , 1 号
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原著論文
  • 土屋 雅稔
    2009 年 13 巻 1 号 p. 5-16
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    未熟な管理者によって管理されているメールサーバには,大きなセキュリティリスクが存在する.このセキュリティリスクを軽減するには,メールサーバのホスティングサービスを提供することが有効である.本論文では,2つの特長を持つメールホスティング環境について述べる.第1に,認証用LDAPデータベースのツリー構造とアクセス制御リストに基づいて,利用組織の管理者に対する権限委譲を実現する.利用組織を単位とするパスワードではなく,管理者個人のパスワードに基づいて認証を行い,さらに,利用組織毎に独立した管理者名簿に基づいて管理作業を認可する.これにより,本論文のメールホスティング環境では,利用組織の管理者の交替を円滑かつ安全に行うことが可能である.第2に,本論文のメールホスティング環境では,利用組織毎のメールボックスは存在せず,容量制限が設定された個人用メールボックスのみが存在する.これにより,利用組織の管理者に対して委譲する権限を少なくすることができ,メールホスティング環境の安全性が高まる.また,利用組織の管理者は,自分自身の組織が利用するメールボックス容量を予測・監視する作業を行わなくても良いという利点がある.

  • 浜元信州, 青山茂義, 三河賢治
    2009 年 13 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    本報告では,公開リスト,HELOコマンドの引数を利用して,選択的に到着メールへの応答遅延,または,拒否を行いスパムメールを拒否する方式を提案する.さらに,この方式の適用例として,新潟大学メールゲートウェイサーバでスパムメール対策を行なった結果について報告する.通常,スパムメール対策では,ホワイトリストなどのメンテナンスが欠かせないが,この方式では,公開リストを利用するため,リストのメンテナンスをサーバ管理者側では行わない.また,公開リスト,HELOコマンドの引数を組み合わせて,応答遅延する接続を選択することにより,応答遅延する接続数を抑えることが出来る.導入から現在まで,偽陽性判定の報告はなく,メンテナンスフリーでの運用が出来ている.ユーザに届くメール数は,対策前と比較して3割減となり,特定のメールアドレス宛てに対する調査では,本方式導入前に届いていたスパムメールの9割を削除することが出来ていることが分かった.

  • 久保田真一郎, 杉谷賢一, 武藏泰雄, 中野裕司, 永井孝幸, 入口紀男, 右田雅裕, 喜多敏博, 松葉龍一, 辻一隆, 島本勝, 木田健, ...
    2009 年 13 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    多人数講義の出欠管理に対して,多くの大学で様々な取り組みが行われている.われわれは近年増加傾向にあるLMSを用いた講義およびそのために利用されるパソコン実習室型の講義に着目し,その出欠管理を現在より容易かつ実質化するためにプレゼンスタイプ出席管理システムの開発を行った.このシステムにより講義時間中に学習のためにパソコンにログインしていた時間を判定基準に含めることが可能となり,出欠判定を行う上で受講者の実質的な出席評価を実施できるようになる.また,LMSとの連係による利用を想定しており,講義受講者のユーザIDリストが書かれたCSVファイルをこのシステムに入力し,出欠判定条件を設定するだけで,出欠判定結果のCSVファイルとしてダウンロードできるようになる.本研究では,利用履歴記録データベースをもとに講義の出欠判定を行うWebアプリケーションの開発およびその評価結果について報告する.

  • 遠藤教昭, 中西貴裕, 吉田等明, 北村一親
    2009 年 13 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    聴覚障害者が演習系授業や研究発表会において、代読者の力を借りずに、自分自身で発表が可能となるよう、ソフトウェアの整備や運用法の工夫を行った。汎用的なソフトウェア(音声合成やチャットサーバとクライアント)だけを用いて運用を行い、本人が達成感を感じほぼ満足する結果を得ることができた。最新のプレゼン支援においては、デスクトップPCと有線LANの使用を、ノートPCと無線LANの使用に置き換えて、発表を一般の教室で行えるようにした。また、音声合成エンジンを高性能なものに変更して、合成音声の明瞭度の向上を図ったり、発表時の音声合成操作の煩雑さをなくすためのプレゼンソフトの操作法を考案した。これらにより、聴覚障害者のためのプレゼンテーション支援がより円滑に可能となることが実証された。本研究のアイディアや手法は、大学において広く応用可能と思われる。

  • 萩原洋一, 櫻田武嗣, 川島幸之助
    2009 年 13 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    本論文では、多地点を高精細映像で結ぶ遠隔講義システムの設計と構築、問題点について述べます。近年大学間連携の流れが進み、複数の大学を結んだ遠隔講義が行われてきています。これまで、多くの大学を同時に結ぶ場合SCS(Space Collaboration System)を利用して遠隔講義が行われてきましたが、衛星通信を利用するため、天候に左右されたり、機器の老朽化による故障があったりと安定的に遠隔講義を行うことは難しくなっていました。一方でネットワークの広帯域化が進み、ネットワークを利用した遠隔講義を行うことも可能になってきましたが、これまでの多くの遠隔講義システムは画質がアナログテレビ以下で、詳細な資料等を提示しながら高度な教育を行うには不十分なものでした。そこで我々は、多地点を高精細映像で結ぶ遠隔講義システムを設計、構築することにしました。本構築では全国18国立大学法人をHD品質の高精細映像、高品質な音声で結び、実運用に向けてシステムの自動化など利用者の負担を減らす仕組みの設計・構築を行いました。全18大学を結んでシステム開設式と遠隔講義を行い、2009年2月から本格的な運用を開始しました。しかしながら、運用開始して間もないため、新製品に潜むバグの問題や、システムを利用する教職員の意識問題など課題が残っています。本システムは、利用者はWebから簡単な予約を行うだけで、後はシステム側が予約時間に自動的に機器の立ち上げ、設定、接続を行うもので、利用者の負担を減らすことが可能です。北海道から沖縄までの18国立大学法人をHD品質で結び、実運用を行うのは初めてであり、他のシステムと相互接続可能な本システムを核に、高精細映像、高品質音声を使った遠隔講義が広く行われることが期待されます。

  • 吉冨健一, 岩沢和男, 宮原俊行, 西村浩二
    2009 年 13 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,センターが提供しているサービスが,利用する上でわかりやすいものになっているかどうか,評価するための基準項目の一つとして,利用者からの問い合わせ(ヘルプデスクメール)に着目し,毎月の問い合わせ状況をサービスごとに自動で集計するシステムを作成した。これを元に,問い合わせ状況の変化や利用者数との割合から,問い合わせ率を算出し,サービスを評価する手法について検討する。問い合わせ内容をサービス別に区分するにあたっては,過去の問い合わせ内容から形態素解析システム「茶筌」および専門用語(キーワード)自動抽出用Perlモジュール「TermExtract」を用いて,サービスを象徴するキーワードの抽出・重要度を判定。得られたキーワードの内,重要度の高いキーワードをサービスごとに分類して,メール区分用のフィルタとして利用した。問い合わせ状況から,利用者のニーズや利用のトレンドを把握することは,サービスの改善につながるのみならず,組織自体の自己点検や評価の際にも有効な資料として活用できる。

  • 永井好和, 小柏香穂理, 久長穣, 松野浩嗣, 小河原加久冶
    2009 年 13 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    歴史的に各学部や部局の自治を基本とする運営がなされてきた国立大学においては,IT活用の面でも各部局が個別に情報システムを開発導入してきた.そのため,各情報システム間でデータコード体系の不統一が見られ,学内で稼働する複数の情報システムの全学的統合の障害となっている.同じデータ項目に対して情報システム毎に異なるデータコードが付番されている例も多く,複数の情報システム間でデータを交換する際にも大きな障害になっている.学内のデータコードを一覧できる資料がない事,全学的に統一的に管理する部署がないことが大きな要因と考えられる.そこで,全学に散らばるデータコードを1つのデータベース上に記録し,1つのデータ項目に対する複数のデータコードを一覧できる仕組みを開発した.この仕組みは,学内教職員の誰もが学内ネットワークを通じてWebブラウザを介して参照することを可能としており,データコードの全学的な標準化や統一の基礎となる.また,全学的にデータコードを統一的に管理する組織を設置することにより,前述のような,データコード体系の不統一が標準化に向かうことが期待できる.本稿では,全学から参照できるWebベースのデジタルデータコードブックを紹介し,その効果について述べる.さらにデータコードを一元的に管理する学内組織の設置を提案する.

  • 清水さや子, 横田賢史, 戸田勝善, 吉田次郎
    2009 年 13 巻 1 号 p. 64-73
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    東京海洋大学では学生証と一体化した端末認証用のICカードを2006年9月より導入した.本稿では,3年間のICカード学生証の運用状況を調査し,セキュリティと効率面から評価し,今後の展開について考察した.ICカードを学生証と一体化することで,学生への一括配布や再発行業務の一元化などカード関連業務の軽減につながったと考えられる.一方で,現行のICカード仕様,運用統計を詳しく分析した結果,カード再発行業務,費用,ICメモリ有効利用等に関わる問題点が明らかになった.これらの現状を踏まえ,次期更新に向けてより一層の安全性と効率化をめざしたICカードの運用方法について議論した.

  • 金西計英, 戸川聡, 松浦健二, 光原弘幸, 矢野米雄
    2009 年 13 巻 1 号 p. 74-83
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    Peer-to-Peer(P2P)型ファイル共有ソフトウェアの利用によってもたらされる問題は,座視できない状況となっている.ネットワークの帯域の圧迫という問題もさることながら,Winnyなどのファイル共有ソフトウェアに感染する暴露ウイルスによる情報漏洩のリスクが深刻な問題となっている.多くの大学や企業では,P2Pファイル共有ソフトウェアの利用を禁止している.現実には,P2Pファイル共有ソフトの利用を制限することは困難である.結果,管理者はトラフィックを常時監視し,P2Pファイル共有ネットワークの存在を認識しなければならない.本稿では,P2P通信の検出作業に対する,トラフィックのマイニングと可視化による支援を提案する.管理者への支援という観点に立ち,トラフィックの可視化をおこなうトラフィックマイニングツールを開発した.また,試作環境での実験を通し,提案手法の有効性を検証した.

  • 松平拓也, 笠原禎也, 高田良宏, 井町智彦
    2009 年 13 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    金沢大学では,平成20年度より実施された「UPKI認証連携基盤によるシングルサインオン実証実験」に積極的に参加してきた.これは国立情報学研究所及び全国共同利用情報基盤センターにより,大学が所有する教育研究用計算機,電子コンテンツなどのリソースを大学間において安全・安心に有効活用することを目的として3年計画で行われた全国大学共同電子認証基盤構築事業の一環を担うプロジェクトである.この取り組みにおいて,我々はUPKI認証連携基盤の性質を利用した「ファイル送信サービス」,「デジタルコンテンツ公開サービス」という,安全にデータ共有を行うことが可能なシステムの構築に成功し,またそれらのシステムの実運用において今後必要となりうる項目について,考察を行うとともに検証を行った.本稿では,本実証実験で構築したシステムについて説明し,技術的に考察する.

  • 長谷川孝博, 井上春樹, 八巻直一
    2009 年 13 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    WEBデータベースによる安否情報システムを開発した.本システムは,統合認証システムとの連携や名簿情報等の個人情報の大量初期投入を一切行わずにサービスを始動できる.これらの特徴は,サーバのクラウドコンピューティング化や遠隔地設置を容易なものとし,低リスクで可用性の高いサービスを実現する.管理者は,認証コード付きURLを利用者毎に送信し,これを受けた利用者は文字入力を一切行うことなく,簡易認証を完了できる.安否情報はパソコンや携帯端末からボタン選択のみで投稿することができる.これらの仕組によって,非常時における安否情報の回収率を向上できる.また,安否情報は常時登録可能であるが,最終の登録時刻から一定時間のみインターネット上で検索可能となる.オプトイン方式による利用者の登録確認,パスワードのハッシュ照合,WEBページのセッション管理,WEBデータベースのクラッキング対策においてセキュリティ面での充実を図りつつも,開発したCGIはコンパクトな分量に収めた.本論文では,開発した安否情報システムの仕様およびその背景,システム開発における要点,ならびに静岡大学における導入の報告を行う.

  • 市川哲彦, 永井好和, 小河原加久治
    2009 年 13 巻 1 号 p. 99-107
    発行日: 2009/09/18
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー

    近年情報セキュリティの重要性が認識され,情報セキュリティを組織的にかつ継続的に維持するための情報セキュリティマネジメントシステム(information security management system, ISMS)の構築・運用が重要視されるようなった.ISMSを構築する上で,リスクアセスメントと共に重要な役割を果たすのが事業継続計画(business continuity plan, BCP)の構築である.これまでは地震などの大規模災害対策に注目が集まりがちであったが,以前より懸念されていた新型インフルエンザによるパンデミックが2009年に実際に発生したことから,大学における健康危機対策のためのBCP作成が急務となっている.BCP中の手順には,Webページを用いた学生等への連絡や電子メイルを利用したスタッフ間の連絡・協議等が含まれるため,情報基盤の継続性が大前提となっている.このことは,大学全体の情報基盤を担っている情報系センターにおいてもBCPの策定が必要とされていることを意味している.そこで本論文では,BCPの構成要素や論点を整理した上で,山口大学メディア基盤センターにおける健康危機BCPを構築した事例を報告する.

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