コミュニティ政策
Online ISSN : 2186-1692
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2 巻
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巻頭言
鼎談
寄稿論文
  • 白石 克孝
    2004 年 2 巻 p. 36-57
    発行日: 2004年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    コミュニテイの機能と位置づけが、地域政策との関わりにおいて、歴史的にどのように変遷してきたかを政治学・行政学の視点から追う。政治支持調達と深く結びついてきた日本の地縁社会が、住民自治をめざすコミュニティ構築に迫られている現状を政治学的に分析し、日本における課題を導出する。NPOなどのアソシエーション(自発的に作られた組織)とコミュニティの関連を年頭におきつつ、日本におけるコミュニティが参照すべき経験として、アメリカのコミュニティ開発、イギリスの評価指標、EUの持続可能な発展にむけた政策を紹介しながら論じる。
  • ―地域福祉計画策定の視点と方法―
    井岡 勉
    2004 年 2 巻 p. 58-76
    発行日: 2004年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    本稿はコミュニティ政策学への一つのアプローチとして、地域福祉計画策定の視点と方法を提起しようとする。まず地域福祉研究の視点として地域福祉の対象課題の構造的把握と住民主体・公民パートナーシップによる福祉のまちづくりの展開視点を指摘する。ついで今日、政策的に重視され、法制的位置づけをもつ地域福祉推進のポイントと文脈を検討する。そして地域福祉計画をめぐって、その特質とタイプ、公民協働志向の計画策定の意義と枠組みを確認する。本稿の力点は計画策定体制と手法であり、プロセス・ゴールを基軸として、福祉のまちづくりに向けて(1) 住民・職員のまきこみ、(2) 地域福祉課題の明確化・共有、(3) 課題取り組みへの公民協働・役割分担の論議・合意形成、(4) 主体形成と活動おこし、以上4つのプロセスを統合的に追求すべきことを強調する。そのなかで地域の特性と住民の生活実態をリアルに捉える地域福祉調査の重要性を論じた上で、計画化の段階について阪南市の公民協働計画モデルを例に、その計画構成、策定過程、成果と課題を検証する。最後に計画策定にみられる問題傾向に言及する。
研究レポート
事例報告
自由投稿論文
  • 小谷 良子, 中道 賞
    2004 年 2 巻 p. 149-172
    発行日: 2004年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    自治体が把握している諸地域集団・社会活動団体の中枢的活動者を調査対象とする大量観察法データに基づき、彼らの地域感情、地域参画への主体要件の発達の様態と地域活動との関連性を追求した。
    本調査対象地では、町内会などの旧来からの地縁組織も存続している一方で、伝統的な地縁、血縁とは異質な、コミュニティをアソシエーションの原理で再構成する「コミュニティ・アソシエーション」活動や自己充足的なサークル活動も多くみられる。地域集団・社会活動団体中枢活動層の地域感情は、一般住民に比して相対的に高いが、性別、年齢、世帯年間収入、住居形態など個々人の属性や所属する地域集団・社会活動団体によって差がみられた。また地域集団・社会活動団体中枢活動層の地域参画への主体要件は十分に発達しているとはいえず、特に「共同的問題提起性」「犠牲許容性」「公共性」が未発達であり、共同行為による自利を超克した共同利益の実現への志向も弱い。反面、自治体との協働性度が高い活動であっても低い活動であっても、その活動を通して、地域参画への主体要件と相互規定関係にある地域感情が発達することが示唆された。
    地域参画の主体形成の課題として本研究の結果が指摘するのは、地域参画への属性に関わる阻害要因を解消する施策と共に、地域集団・社会団体活動への場や機会を豊富化し、そこでの役割付与やその活動経験を通して、問題の共有・共感と地域感情を高め、地域参画への主体要件を発達させていくことである。
  • 谷口 功
    2004 年 2 巻 p. 173-189
    発行日: 2004年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    NPOは、地域社会が直面する高齢者・障害者介護、リサイクル、防災・防犯対策、環境保全、外国人の雇用定住対策など地域生活の様々な領域において、専門性を活かした実践を展開している。そして、こうしたNPOと町内会や自治会に代表される地域住民組織が連携し、コミュニティ形成を目指す様子が各地で見られるようになってきた。事実、コミュニティ政策学会・研究フォーラムの設立以来、主体間の連携の問題は、コミュニティ政策をめぐるテーマの一つとして取り上げられている。
    コミュニティの形成あるいは再生過程において、NPOが主体としてどのような役割を担いうるのかを継続的に捉える必要がある。本稿では、その前提として、NPOが主体的力量を形成していく社会的背景を問うていく。コミュニティの担い手として制度的狽J面からと、担い手自身の内的動機によって、主体的力量を高められようとしており、そこでは、複数の主体間の連携も課題となる。さらに、NPOや地域住民組織といった集団を構成する個人の主体性の獲得についての議論を深化させることは、各種団体が抱える担い手育成の問題を政策として論じていく手がかりにもなる。
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