日本呼吸器外科学会雑誌
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11 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • -免疫組織学的検討及びp53蛋白発現に関する検討を加えて-
    岩崎 昭憲, 吉永 康照, 桑原 元尚, 岡林 寛, 白石 武史, 米田 敏, 安藤 公英, 川原 克信, 白日 高歩
    1997 年 11 巻 6 号 p. 692-698
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    癌肉腫は上皮性, 非上皮性組織が混在した非常に稀な悪性腫瘍であり, その病理学的特異性が注目されている.我々が手術をおこなった6例ではpure carcinosarcoma が1例, so-called carcinosarcomaが5例存在した.気管支内腔発育形式をとるものは1例, 末梢発生局所進展は5例であった.なかでも巨大肺嚢胞壁に発生する稀な症例も1例含まれた.予後はpureの癌肉腫では5か月と不良であった.これらの症例に対し各種免疫組織染色に加え癌抑制遺伝子p53蛋白の発現を検討した.その結果socalled carcinosaocoma 症例ではp53蛋白は上皮性, 非上皮性の両組織成分に発現が認められたことより肺原発癌肉腫では両成分はmonoclonalな部分より発生している可能性が示唆された.しかしpuoecarcinosarcomaではいずれの組織にも発現は認められず異なった様相を呈していた.carcinosarcomaの組織学的特異性をp53蛋白発現の違いにて明らかにした.
  • 近藤 薫, 浦上 年彦, 春日井 敏夫, 加藤 譲司
    1997 年 11 巻 6 号 p. 699-703
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    自然気胸手術194症例231手術中両側気胸は51例 (26.3%) で, その内訳は両側同時気胸5例 (2.6%), 両側異時気胸46例 (23.7%) であった.低年齢層ほど両側気胸の可能性が高い傾向にあり10歳代症例は28例 (45.9%) と有意に高率であった.両側同時気胸は3例 (60%) に胸腔鏡下両側一期的手術を施行した.一方両側異時気胸において一側手術後に対側気胸が発症した症例は32例 (16.9%) であり10歳代症例は18例 (31.0%) であった5初回手術時に対側にも既往歴のある20症例のうち一側手術後に対側に気胸を再発した症例は6例 (30.0%) であり, その内10歳代症例は11例中4例 (36.4%) であった.対側手術が必要でなかった症例も多く両側異時気胸に対する対側の予防的手術は慎重に考える必要がある.術側術後再発は両側気胸症例が10側 (13.9%) で, 一側気胸症例が9側 (7.4%) であり両側気胸症例に多い傾向にあった.両側気胸や一側気胸でも10歳代症例の胸腔鏡下手術に際しては外科的胸膜癒着術を追加したほうがよい.
  • 胸腺腫内Tリンパ球分化の可能性
    井上 匡美, 藤井 義敬, 奥村 明之進, 竹内 幸康, 塩野 裕之, 福原 謙二郎, 門田 嘉久, 武田 伸一, 南 正人, 尹 亨彦, ...
    1997 年 11 巻 6 号 p. 704-709
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    胸腺腫は正常胸腺にみられる分化途中の未熟Tリンパ球を豊富に含んでいる.胸腺上皮細胞はTリンパ球の分化と選択に重要な役割を果たしていることから, 胸腺腫内の未熟Tリンパ球は腫瘍内で分化している可能性がある.この仮説の傍証を得るために, われわれは肺転移巣内のリンパ球を解析しその成熟度を調べた.CD4-CD8- (DN) cellは3.6%, CD4+CD8+ (DP) cellは 75.2%, CD4+CD8- (CD4SP) cellは9.7%, CD4-CD8+ (CD8SP) cell は11.5% であった.CD1+cell は85.9%であった.CD8SP cellはCD3, TcRαβ, CD69を発現していたが, CD4SP cellの大部分はこれらの表面抗原を発現していない DN cellからDPce11への移行過程のリソパ球であった.これらの結果から, 未熟なTリンパ球が転移巣内にも多数存在し, 胸腺腫の腫瘍細胞すなわち胸腺上皮細胞がTリンパ球の教育に関し不完全ではあるが機能を有している可能性があると考えられた.
  • 山岡 憲夫, 内山 貴堯, 中村 昭博, 森永 真史
    1997 年 11 巻 6 号 p. 710-716
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    II期非小細胞肺癌切除41例の予後因子や術後補助療法などを検討した.T1, 16例, T2, 25例で全例R2以上の治癒切除例であった.5年生存率, 10年生存率は各々47, 3%, 36.8%であった.単変量解析で有意差のある予後因子はなかったが, 扁平上皮癌が腺癌より予後良好の傾向があり, またリンパ節転移部位別で肺門リンパ節の転移例が肺葉リンパ節のみの転移例より予後不良の傾向があった.II期の術後に化学療法を14例, 放射線療法を12例に施行したが, 手術単独14例と予後に差はなく, 術後補助療法の効果はみられなかった.組織型別で扁平上皮癌のII期の予後は1期と差はなく良好であったが, 腺癌のII期の予後はIIIA期と同等に不良であり, II期の腺癌は進行癌とみなして治療にあたるべきと思われた.
  • 向田 尊洋, 市場 晋吾, 青江 基, 岡部 和倫, 山下 素弘, 伊達 洋至, 安藤 陽夫, 清水 信義
    1997 年 11 巻 6 号 p. 717-723
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1963年から1995年までに当科において経験した胸腺腫128例 (被包型67例, 浸潤型61例) のうち, 血管合併切除を施行したのは20例であった.浸潤型症例と被包型症例を比較すると, 平均年齢に有意差はなかったが, 男性, 上皮細胞優位型が浸潤型に有意に多かった.浸潤型症例のうち血管合併切除例と血管非浸潤例で比較したが, 年齢, 性差, 病理組織型に有意差はなかった.血管合併切除例は血管形成例6例, 左腕頭静脈人工血管置換例7例, 上大静脈・左腕頭静脈人工血管置換例7例であった.使用した人工血管はTeflon グラフト2本, ePTFE (expanded polytetrafluoroethylene) グラフト6本, リング付きePTFEグラフト13本で, その開存は良好であった.III型症例に限れば, 血管浸潤例でも血行再建を含めた完全切除により非血管浸潤例の完全切除例と差異のない予後が期待できる.しかし治療成績の向上のためには, より効果的な術前術後の補助療法が必要だと思われた.
  • 山中 晃, 藤本 利夫, 平井 隆, 武藤 真, 長谷 光雄
    1997 年 11 巻 6 号 p. 724-729
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    臨床病期III期の進行肺小細胞癌35例の治療成績を検討した.手術例は8例で, IIIA期6例, IIIB期2例であった.非手術例は27例で, IIIA期11例, IIIB期16例 であった.手術例の病理病期はI期1例, IIIA 期5例, IIIB期1例, IV期1例 であった.術前化学療法は6例に行なわれ, 画像上4例が1期となったが, 病理学的にdown stage が得られ, 1期になったのは1例のみであった.術後2年以内の早期死亡は2例で, 3年以上の健存例は4例, 最長生存94ヵ月, 5生率は72, 9%であった.非手術例は全例に化学療法が行なわれ, 4例には cyclophosphamide を主とした化学療法が, 19例は cisplatin/carbCplatin を主とし, 4例には両種の化学療法が行なわれた.放射線治療は13例に併用された.全例死亡し, 最長生存23ヵ月, 平均生存期間は9.9ヵ月, 1生率29, 6%であった.III期の進行肺小細胞癌においても長期生存が得られたのは外科的切除の行なわれた症例であった.
  • 松岡 勝成, 伊東 政敏, 上野 陽一郎, 五十部 潤, 小林 孝暢, 近藤 展行
    1997 年 11 巻 6 号 p. 730-735
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    近年, 胸腔鏡下手術が広く行われるようになり, 悪性腫瘍に対しても胸腔鏡下肺葉切除などが行われつつある.しかし, 胸腔鏡下手術では開胸手術に比べ, 縦隔リンパ節郭清は手技的に困難である.われわれは, 肺悪性腫瘍手術に際してのリンパ節転移に関して, 当院にて切除を行った末梢発生の臨床病期I期肺癌症例について検討を行った.1984年1月から1995年12月までに当院にて切除を行った末梢発生の臨床病期I期の肺癌症例は107例で, 全肺癌切除例の29%であった.腺癌症例では20mm以下の小型肺癌でもN2症例が認められたが, 扁平上皮癌症例では20mm以下のものにはN2症例は認められなかった.また, 下葉発生症例では上縦隔リンパ節転移は認めず, 20mln以下の扁平上皮癌症例, 下葉発生症例などが, 胸腔鏡下手術の良い適応となると思われた.
  • 櫛田 正男, 大石 明雄, 管野 隆三, 矢内 康一, 森山 厚, 藤生 浩一, 鈴木 弘行, 塩 豊, 井上 仁, 元木 良一
    1997 年 11 巻 6 号 p. 736-744
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺癌肺葉切除術群 (L群) 35例, 肺全摘除術群 (P群) 16例を対象とし, 術後の右心機能の変化を検討した.肺葉切後の右心後負荷の増加は軽度であった.一回拍出量は右室拡張末期容量の低下が原因となり低下したが, 心拍数の増加に伴い心係数は増加した.肺葉切後は右心機能は維持されていた.肺全摘後は右心後負荷の著しい増加があった.一回拍出量は右室駆出率の低下が原因となり低下した.心拍数は増加したが心係数は低下傾向にあり, 右室拡張末期容量は変化せず平均右房圧は上昇する傾向にあった.肺全摘後は代償能が限界にあり右心不全準備状態と考えられた.右室駆出率と右室拡張末期容量指数を含む循環動態を検討することにより, 右心後負荷の増加がもたらす右心負荷と代償についてより詳細に評価することができた.
  • 小阪 真二, 宮本 信昭
    1997 年 11 巻 6 号 p. 745-748
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    縦隔リンパ管腫は, 縦隔腫瘍の中でもまれな疾患である.左大動脈弓下に発生した縦隔リンパ管腫の1例を経験した.
    症例は57歳男姓, 咳嗽を主訴に当科受診, 胸部CT撮影にて, 左中縦隔に鉄アレイ状の腫瘤影を認め, 良性もしくは悪性縦隔腫瘍の疑いにて手術を施行した.腫瘍は, 前方に充実性の部分, 後方に嚢胞性の部分をもつ嚢状リンパ管腫であり, 容易に切除可能であった.
    縦隔リンパ管腫の報告例はほとんどが単房性もしくは多房性の嚢状リンパ管腫であり, 自験例のように海綿状リンパ管腫の成分を含むものは, 本邦において自験例を含め8例にすぎない.治療法は, 外科的切除が一般的である.部分切除例には再発の報告があり, 可能な限り全摘除を心がけるべきと考えられる.
  • 平松 義規, 佐々木 正人, 木村 哲也, 千葉 幸夫, 村岡 隆介
    1997 年 11 巻 6 号 p. 749-754
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺癌術後において血痰を主訴とした多発性の気管, 気管支転移に対し気管支鏡下KTP (Potasaium Titanyl Phosphate) レーザー照射により血痰が消失した良好なQOLを得た症例を経験した.
    術後の限られた肺機能の中で, 根治的方法の少ない予後不良な再発症例に対する治療は困難であることが多い.KTPレーザー光は, 止血的切開, 蒸散, 凝固が可能であり照射周囲の正常組織への熱変性, 煙の発生も比較的少なくNd-YAG (Neodymium Yttrium-Alminium-Garnet) レーザーに比べ安全性の高いことより, 外来での処置も可能であった.肺癌術後の再発症例は, 初回手術による肺機能の減少と再発部位に対する外科切除, 放射線治療により残存肺のさらなる機能低下が予想される.このため機能損失と治療の根治度のバランスを考慮しなければならない.最近KTPレーザー照射は, 耳鼻科, 産婦人科領域だけでなく呼吸器外科領域においても利用されはじめ, 今後本症例のような再発例に対する治療手段の一つに考慮すべきと思われた.
  • 中村 広繁, 伊藤 則正, 谷口 雄司, 田中 宜之, 石黒 清介, 森 透
    1997 年 11 巻 6 号 p. 755-759
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    小児急性膿胸に対して胸腔鏡下に掻爬ドレナージ術を施行した.症例は3歳女児で肺炎に併発したγ一溶連菌感染膿胸に対して約2週間の胸腔ドレナージ及び胸腔洗浄を施行したが, 肺膨張が不良のため全麻下に胸腔鏡下手術を行なった.胸腔内は背部から横隔膜上にかけて壁側及び臓側胸膜に白色膿性のフィブリン塊を認め, 隔壁を形成していた.洗浄しながら, 膿性塊を掻爬, 吸引して胸膜面を清浄化した後, 16Frドレーンを2本挿入して手術を終了した.術後も胸腔洗浄を続け膿胸腔は消失し肺炎像も軽快した.本例は, 小児ではあったが径5mmの器具を使用しながら, 胸腔鏡下に膿性塊を確実に取り除き, 適切な胸腔ドレナージが施行できた点で胸腔鏡下手術が有用であったと考える.
  • 松井 成生, 児玉 憲, 土井 修, 東山 聖彦, 横内 秀起, 龍田 真行, 岡村 純
    1997 年 11 巻 6 号 p. 760-764
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の男性.ばち状指, 体重減少を主訴に来院.胸部X線写真にて, 右肺野下半分を占める巨大な腫瘤陰影を認めた.MRIのT2強調像では, 胸壁あるいは腹腔内への浸潤は認めなかった.偶然4年8ヵ月前に撮影した胸部X線写真から, 上下葉間胸膜原発の限局性胸膜中皮腫が巨大化したものと診断し, 手術を行った.腫瘍は肺を縦隔側上方へ圧排し, 特に中下葉の虚脱が著明であったが, 肺実質への浸潤は認めなかった.切除後, 肺の虚脱は完全に消失し, 肉眼的に腫瘍の残存は認めなかった.切除標本は最大径18cm, 重量2000gであり, 病理組織学的には線維型で悪性であった.本疾患は放置すると巨大化し悪性化する可能性が考えられ, 早い段階での外科的切除が必要である.
  • 渡辺 俊一, 佐藤 日出夫
    1997 年 11 巻 6 号 p. 765-768
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    患者は57歳, 男性.7年前から胸部X線写真で右肺嚢胞を指摘されていた.血痰を認めるようになり当院内科受診.CT上嚢胞内に出血を認め, 血痰も改善しないため嚢胞切除術を行った.切除標本で, 約1mm嚢胞内腔側に隆起した直径2cmおよび1cmの2つの病変を認め, いずれも大細胞癌との診断を得た.一方の腫瘍には, 出血像が認められ, この部分が嚢胞内出血の原因になったと考えられた.またもう一方は前述の腫瘍が嚢胞対側壁に播種したものと推測された。気腫性肺嚢胞症に肺癌が合併しやすいことは以前から指摘されているが, 自験例のように嚢胞内腔に発生した肺癌が嚢胞内に出血した報告は他に1例のみで, 今回のよう微小な癌によるものは初めてである.さらにブラ合併肺癌が嚢胞内播種を引き起こした報告もこれまでなく, 自験例はきわめて珍しい症例と考えられた.また, 肺嚢胞を切除した際には, 癌の合併がないか標本を入念に病理検索することが重要である.
  • 半谷 七重, 金井 歳雄, 石川 廣記, 宮沢 直人
    1997 年 11 巻 6 号 p. 769-772
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    感染性外傷性肺嚢胞は比較的まれな疾患である.今回われわれはCTガイド下ドレナージにより良好な結果を得た症例を経験した.
    症例は68歳男性.胸部打撲後の湿性咳嗽と全身衰弱を主訴に入院した.入院時胸部X線写真およびCTでは左気胸と左下葉に液体貯留を伴う嚢胞を認めた.発熱とCRP上昇を認め, 感染性外傷性肺嚢胞と診断した.全身化学療法にて軽快しないため, 局所麻酔の下, CTガイド下ドレナージを行った.嚢胞内容の膿からは緑膿菌が検出された.ドレナージにより, 患者は速やかに回復した.ドレナージ37日目にドレーンを抜去した.受傷3ヵ月後のCTでは肺嚢胞は消失していた.
    CTガイド下ドレナージは侵襲が少なく, 有用な方法と思われた.
  • 則行 敏生, 吉岡 伸吉郎, 宮田 義浩, 柴田 諭, 西亀 正之, 土肥 雪彦
    1997 年 11 巻 6 号 p. 773-776
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    胸腺カルチノイドは縦隔腫瘍の中で緩慢に発育する比較的稀な悪性腫瘍であり, 術後遠隔期にも再発を起す事が多い.当科で経験した胸腺カルチノイド3例の初回手術術式と再発形式について検討した。初回手術時に腫瘍の周囲への癒着を認めた症例は, 腫瘍を剥離摘出しており, 再発時に局所再発を来した.病理組織学的検査では, 腫瘍は被膜を有するが, 被膜内への腫瘍細胞の高度浸潤を認めた.初回手術時, 周囲リンパ節に転移を認めた症例は3例中1例であったが, 再発時にはすべての症例で縦隔リンパ節転移を認めた.従って, 手術術式では, 周囲組織を含めた切除が必要であり, 系統的縦隔リンパ節の郭清を要すると考えられた.また, 再発時でも再手術により長期生存が得られる可能性があり, 積極的に再切除を行うべきであると考えられた.
  • 泉 浩, 見上 光平, 二川 俊郎, 山崎 明男, 細田 泰之, 岡 正彦, 檀原 高, 益田 貞彦, 植草 利公
    1997 年 11 巻 6 号 p. 777-781
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺生検と気胸の治療を行ったびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症 (HAM) の2症例を経験した.症例1は24歳女性.術前CTで多発性肺嚢胞を確認.HAMの診断で胸腔鏡下肺部分切除と胸膜切除を含めた胸膜癒着術を施行した.症例2は25歳女性.術前胸部X線やCTでbullaを認めなかったが, 自然気胸の診断で胸腔鏡を施行した.しかしbullaを確認できず開胸し, bullaの瘢痕と思えた部分を切除し, 胸膜切除を含めた胸膜癒着術を施行.切除標本よりHAMと診断した.HAMは稀な疾患ではあるが女性の気胸の原因として充分考慮すべき疾患であり, 単に気胸手術例といえども摘出標本の慎重な組織学的検索はやはり必要であると考える.
  • 田尻 道彦, 石井 治彦, 山形 達史, 石橋 信
    1997 年 11 巻 6 号 p. 782-787
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    直腸癌の両側肺転移 (右上葉1箇所, 左下葉1箇所) を発症し, 非末梢性病変であるために肺部分切除が困難であった症例に対し, 一期的に右S2区域切除術と胸腔鏡併用左下葉切除術を施行し, 良好な経過を得た症例を経験したので報告する.
    症例は67歳の男性で, 6年前, 直腸癌にて低位前方切除術を施行したが, 右S2及び左S8に腫瘤性病変が出現した.気管支鏡生検による診断は腺癌であり, 原発性か転移性かは鑑捌困難であった.他に転移所見は認められなかった.両病変とも中枢部に近く位置し部分切除は困難と思われ, 一方, 開胸による両側肺葉切除は呼吸機能の喪失が大きく過負荷であると思われた.結局, 右側は区域切除が可能なため, 開胸しS2を区域切除し, 左側は区域切除も位置的に困難なために胸腔鏡を併用し下葉切除した.摘出標本の病理組織学的検査の結果は, 両病変とも直腸癌の転移であった.術後呼吸不全も呼吸困難感もなく, 呼吸機能の温存を企図した本術式の選択が良好な結果をもたらしたと思われた.
  • 1997 年 11 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
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