日本呼吸器外科学会雑誌
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14 巻 , 7 号
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  • 門倉 光隆, 野中 誠, 山本 滋, 片岡 大輔, 伊谷野 克佳, 柴田 雅彦, 谷尾 昇, 川田 忠典, 高場 利博
    2000 年 14 巻 7 号 p. 785-790
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    術後呼吸困難感の表現や程度は患者によって様々であり, 痺痛の有無など不確定要素が含まれるため定量的評価は困難とされている・そこで「度合いスケール」のうちvisual analog scale (VAS) を用いて開胸術前後における呼吸困難感の評価を行った.胸腔鏡下手術を除く肺部分切除23例, 肺葉切除27例の計50例を対象とし, 術前および術後120病日の間で定期的にVAS測定とHugh-Jones呼吸困難度分類 (H-J) 評価, 呼吸機能検査, 血液ガス分析を施行した.VASとH-J分類は良好な相関関係を示したが, VASと呼吸機能検査結果との間では, 術前FEV1.0%, PFとの間, 術後は最大吸気量との間以外に相関関係は得られなかった.なお, 術後H-Jは速やかに術前の分布状態まで回復したのに対してVASでの回復は遅延し, さらにH-JI度に属する患者の中に僅かながらも呼吸努力感や不快感の存在が確認された.VAS測定は僅かな呼吸困難感の変化を連続的数値で定量評価する方法として妥当と考えられた.
  • 佐藤 修二, 松平 秀樹, 朝倉 潤, 平野 純, 鈴木 英之, 尾高 真, 三好 勲, 増渕 正隆, 秋葉 直志, 山崎 洋次
    2000 年 14 巻 7 号 p. 791-796
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    非小細胞肺癌切除例において, 微小リンパ節転移の有無を免疫組織化学染色で検出し, その臨床的意義について検討した.対象は絶対治癒切除が行われた術後病理病期I期の非小細胞肺癌56例である.摘出したすべてのリンパ節について上皮細胞のマーカーであるサイトケラチン19のモノクローナル抗体で免疫染色を行った.その結果, 1, 024個のリンパ節のうち22個 (2.1%) にサイトケラチン陽性細胞を認め, 56例中15例 (27%) を微小リンパ節転移陽性と診断した.組織型別では扁平上皮癌に比べ腺癌に有意に陽性率が高かった (p=0.041).陽性例に再発が多い傾向がみられ, 縦隔リンパ節陽性例は微小転移陰性例に比べ有意に予後不良であった (p=0.037).微小リンパ節転移の検索に免疫組織化学染色は有用であり, 予後の推定や術後化学療法を検討する上で有用であると考える.
  • 倉橋 康典, 大久保 憲一, 里田 直樹, 宮本 信宏, 岡本 俊宏, 五十部 潤, 上野 陽一郎, 伊東 政敏
    2000 年 14 巻 7 号 p. 797-802
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    数回の開胸術にても治癒しない難治性肺瘻に対し, 大網被覆にて閉鎖し得た2例を経験した.症例1は49歳男性, 基礎疾患に慢性関節リウマチ及びリウマチ肺を有する気胸で, 5回の開胸術にても肺瘻は持続した.症例2は61歳男性, 肺炎に続発する膿胸治療中に生じた肺瘻で, 開窓術・剥皮術後の肺瘻に対し3回の開胸術を行ったが閉鎖しなかった.両例とも, 直接縫合, フィブリングルー塗布, 人工物被覆にても持続する肺瘻が, 最終的に有茎大網による被覆にて閉鎖した.感染のない難治性肺瘻に対しても大網被覆の適応が存在すると考えられた.
  • 鉢呂 芳一, 田中 明彦, 小林 武志, 佐藤 諦
    2000 年 14 巻 7 号 p. 803-807
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    多発外傷を有する患者に対する心肺補助を目的とした体外循環装置の使用は, 今までその出血助長作用のためほとんど適応外とされてきており, 近年ヘパリンコーテング回路が臨床に導入され始めているが, その使用報告例は未だ少ない.症例は14歳の男性で, 両側肺挫傷および血気胸, 脾臓破裂, 骨盤骨折等の多発外傷を罹患していた.まず脾臓破裂, 骨盤内出血に対し, 経カテーテル的に塞栓術を施行し同部位の止血に成功したが, 数時間後CT撮影時に急激な血圧低下に続いて心停止に陥った.直ちに心肺蘇生を行い心拍は再開したが, その直後から左胸腔ドレーンチューブより大量の出血を認め, 胸部CT所見等により肺破裂と診断した.重度の換気不全および血圧低下のため, 直ちにヘパリンコーティング回路を用いた経皮的心肺補助装置を装着後左下葉切除を施行し, 術後出血に難渋することもなく救命することに成功した.
  • 平岡 圭, 大淵 俊朗, 森川 利昭, 加地 苗人, 加藤 紘之
    2000 年 14 巻 7 号 p. 808-811
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腔鏡下手術にて切除し得た長期介在気管支異物の一例を経験した.症例は54歳男性で, 咳嗽を主訴に来院した.胸部X線写真, 胸部CT検査にて, 右B10末梢の金属製と思われる異物影と右下葉の浸潤影を伴う気管支拡張像を認めた.問診により14歳頃, 鉛製の空気銃の弾を誤嚥した既往が判明したため, 右肺野末梢に存在する40年来の長期介在気管支異物と診断した.気管支鏡による異物への到達が困難であること, 周囲に二次性変化を認めることから胸腔鏡下肺部分切除術を施行し, 異物と二次性変化部位を切除した.気管支鏡による到達が困難な気管支異物に対し, 胸腔鏡手術は有用であると考えられた.
  • 河井 秀仁, 高尾 仁二, 山本 希誉仁, 片山 芳彦, 木村 誠, 小野田 幸治, 下野 高嗣, 田中 國義, 新保 秀人, 矢田 公
    2000 年 14 巻 7 号 p. 812-817
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性で, 右下肢の腫張疼痛を主訴に近医を受診し, 深部静脈血栓症と診断された.血液検査の結果, 真性多血症と診断され, 肺換気血流シンチでは右下葉に換気欠損を伴わない血流欠損を認め, 肺塞栓症を合併していた.胸部CT検査では, 左S6に3.5×2.5cmの腫瘤を認め, 気管支鏡検査にて非小細胞癌と診断された.術前潟血1, 200ml, およびGreenfield下大静脈フィルター留置と抗凝固療法を行った後, 左下葉切除+R2bを施行し, 術後合併症なく経過した.
    肺塞栓症は, 術後の重篤な合併症の一つであり, 広範囲の塞栓では突然死もみられる.本症例のように, 術前肺塞栓症を合併した患者においては, 周術期の肺塞栓症の再発予防が特に重要であり, 予防的に下大静脈フィルターを挿入することを含め, 厳重な周術期管理が必要と思われた.
  • 佐藤 修二, 土屋 昌史, 斎藤 祐二, 塩谷 尚志, 秋葉 直志, 山崎 洋次
    2000 年 14 巻 7 号 p. 818-822
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性である.主訴は唆声で, 胸部CTにおいて大動脈弓下に腫瘤を指摘され, 精査加療目的で入院した.血清CEAは37.5ng/mlと高値を呈した.悪性腫瘍の縦隔リンパ節転移を疑ったが, 全身を検索しても原発巣は発見できなかった.確定診断を得るために手術を行った.左開胸を行うと, 大動脈弓下に腫瘤を認め, 左反回神経, 大動脈, 左主肺動脈, 左主気管支への浸潤を認めた.切除困難と判断し, 腫瘍の生検を行った.病理組織学的に低分化型腺癌と診断した.術後放射線照射を66Gy施行し, 血清CEAは4.6ng/mlまで低下した.本症例は比較的まれな原発不明の縦隔リンパ節癌と考えられた.
  • 田中 俊樹, 金田 好和, 藤田 信弘, 上田 和弘, 坂野 尚, 佐伯 浩一, 松岡 隆久, 須藤 学拓, 林 雅太郎, 善甫 宣哉, 江 ...
    2000 年 14 巻 7 号 p. 823-826
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 男性.既往に1996年3月に胃癌に対し胃全摘術 (D2郭清) が施行されている.この時の病理診断は中~低分化型腺癌, ss, n2 (+), stage IIIaであった.1999年9月に経過観察のため撮影された胸部CTにて右S8に直径15mmと6mmの結節影を指摘された.15mmの結節には小棘形成と胸膜陥入を, 6mmの結節には胸膜嵌入を認めた.B8bの気管支擦過細胞診でclassVの診断を得た.以上よりT4N0M0の原発性肺癌と診断され右下葉切除術と縦隔リンパ節郭清が施行された.術後病理では, 15mmの結節が胃癌原発巣に酷似した低分化型腺癌であるため胃癌の肺転移, 6mmの結節は原発性肺癌 (気管支肺胞上皮癌) と診断された.また肺門部リンパ節に胃癌からの転移を認めた.胃癌術後患者に多発肺腫瘤を認めた場合, 原発性と転移性の両者を念頭におき手術術式を選択すべきである.
  • 木村 充志, 浅野 昌彦, 小野 靖之
    2000 年 14 巻 7 号 p. 827-830
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性.1997年検診で胸部異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部X-P, CTではS6に腫瘤影が認められた.肺癌を疑いTBLB, CTガイド下針生検を行ったが, 陰性であった.またCTで大動脈弓は気管, 食道の右側背側に位置しており, 下行大動脈は食道の右側を走行していた.以上より右大動脈弓を伴う左肺腫瘍と臨床診断下に, 確定診断のため手術を施行した.術中迅速標本で異型細胞を認めたため, 縦隔の郭清を伴う下葉切除を行った.肺動静脈は通常の位置にあったが, 動脈管索は拡張した左鎖骨下動脈起始部と左肺動脈に付着しており, 迷走神経はこの左側を通り, 反回神経は動脈管索を背側から回って上行していた.
  • 安藤 幸二, 坪田 紀明, 吉村 雅裕, 宮本 良文, 松岡 英仁, 中井 玲子
    2000 年 14 巻 7 号 p. 831-835
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は, 54歳女性で主訴は, 喀血である.胸部単純X線写真で左下肺野に異常陰影を認めた.胸部CT検査では胸部大動脈から肺内へ流入する異常血管と左肺底動脈の途絶を, また大動脈造影で左底区に流入する異常動脈を確認した.気管支の分岐異常は認めなかった.以上より左肺底動脈大動脈起始症と診断し, 手術を施行した.術中所見でS6区域と異常動脈流入区域との境界は明確だったので, S6区域を温存した左肺底区切除術を施行した.切除標本にて異常血管は, 左肺底区に流入し胸膜近傍にいたるまで拡張, 蛇行しているのが確認された.異常動脈の支配領域を術前検査と術中所見で確認しS6を温存することができたので報告する.
  • 梅森 君樹, 小谷 一敏, 牧原 重喜
    2000 年 14 巻 7 号 p. 836-840
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 予定手術の8日前に喀血を来した縦隔成熟型奇形腫の1例を経験したので報告する.症例は19歳の女性で, 1999年11月学校の検診で異常を指摘され当院を受診した.胸部X線写真, CTにて前縦隔から右肺門にかけて鶏卵大の腫瘤陰影を認め, 縦隔腫瘍と診断した.予定手術の8日前の12月6日に突然コップ1杯の喀血をきたし, 緊急入院となった.気管支鏡検査で右B5気管支からの出血を認めた.12月9日に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は前縦隔右側にあって右中葉と強固に癒着し, 中葉内に血腫も認め, 中葉の一部を合併切除した.術後24時間後に突然激しいエアーリークが出現したため再開胸を行った.中葉部分切除部からの瘻孔を確認し, 中葉切除を行った.瘻孔はB5気管支と連続していた成熟型奇形腫が肺へ穿孔し, 喀血をきたした場合出血気管支の確実な処理が必要と思われた.
  • 清水 克彦, 山下 芳典, 宮原 栄治, 峠哲 哉
    2000 年 14 巻 7 号 p. 841-845
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ACTH産生胸腺カルチノイドの1例を経験した.本症例は切除術後大陰唇に転移を来すという特異な経過をたどった.症例は26歳, 女性.Cushing症候群を疑われ精査したところ前縦隔に腫瘤を指摘された.異所性ACTH産生腫瘍として手術を施行し, 病理組織所見にてatypical carcinoidと診断された.切除により症状は軽快したが1年3ヵ月後に再増悪を来し, 外陰部 (右大陰唇) の硬結の生検より, 胸腺カルチノイドの外陰部転移と診断した.現在, 臨床症状は外来にてmitotaneの投与によりコントロールでき, 良好なQOLを維持している.ACTH産生胸腺カルチノイドの文献での本邦報告例15例について, 主に本疾患の転移・再発形式およびその治療について検討を加え報告する.
  • 大政 貢, 小林 孝暢, 高橋 豊, 玉田 二郎
    2000 年 14 巻 7 号 p. 846-849
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1982年から1999年まで当科にて手術施行した女性気胸患者43人のうち月経随伴性気胸と診断した5例について検討した.横隔膜に痩孔を認めたのが4例, 残り1例は肺・横隔膜共に有意な所見は認めず, 臨床診断により両側月経随伴性気胸と判断した.横隔膜に痩孔のあった4例中3例は可及的に横隔膜の瘻孔を閉鎖した.4例に術後胸膜癒着術を施行し, 4例にGnRH analogue (以下GnRH-a) 療法を施行した.30歳前後~閉経前女性右気胸患者12例中, 月経随伴性気胸は41%と高かった.本症疑いがある場合には, 再発率が高い為, 診断, 治療の為の胸腔鏡下手術と胸膜癒着術, GnRH-a療法が望まれる.
  • 藤田 敦, 伊藤 宏之, 中山 治彦
    2000 年 14 巻 7 号 p. 850-853
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の女性.11年前より難治性の特発性血小板減少性紫斑病で治療を受けていた.1998年, 検診の胸部CTで異常影を指摘され, 手術目的で当院へ入院した.入院時の血小板数は0.9×104/mm3と著しく減少していた.術前の免疫グロブリン大量療法により血小板数は8.8×104/mm3まで増加した.手術は右上葉切除とリンパ節郭清 (ND1) を施行した.出血量は10cc程度であった.血小板数は術当日から退院まで7.0×104/mm3以上を維持でき, 術後出血などの合併症はなく, 周術期を安全に経過することができた.難治性の特発性血小板減少性紫斑病を合併した肺癌例に対し, 術前の免疫グロブリン大量療法は安全に手術を行うために有用であった.
  • 四方 裕夫, 橋本 泰司, 石井 修, 渡 正伸, 渡橋 和政, 渡邊 洋宇, 松原 純一, 末田 泰二郎, 松浦 雄一郎
    2000 年 14 巻 7 号 p. 854-859
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性.63歳時と64歳時の度重なる脳梗塞の進行により, 歩行が困難となっていた.次第に仰臥位困難となり, 近医にて縦隔・両側胸腔に広がる巨大腫瘤を指摘された.心肺圧迫症状を来たし, 緊急手術を行った.仰臥位での気管内挿管が不能で, 右側半坐位での挿管, 直ちに仰臥位, 胸骨正中切開を行った.血圧は一時的に低下したが, 圧迫が解除となり血圧は回復した.腫瘤は32×27×6cm大で, 縦隔・左右胸腔に連続的に広がり, 充実性腫瘍と結合組織・脂肪組織から成り, 一部出血壊死を伴っていた.腫瘤内には最大径10×8×6cm大の比較的軟らかな球状結節を十数個認めた.CD34, Desmin, Vimentin, NSE, S-100, AE1/AE3, α-smooth muscle actinなどの免疫組織化学的染色でSolitary Fibrous Tumorと診断された.皮膚のcafe-au-lait spot部と皮下結節の病理組織的検索を行い術前に疑われたvon Recklinghausen病と合致した.術後経過は良好で術後24病日に転院となった.転院後1ヵ月で退院したが, 1年後脳梗塞発生時にSFTの胸腔内再発が指摘され術後1年4ヵ月で死亡した.
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