日本呼吸器外科学会雑誌
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14 巻, 6 号
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  • 上田 和弘, 松岡 隆久, 田中 俊樹, 佐伯 浩一, 坂野 尚, 藤田 信弘, 金田 好和, 林 雅太郎, 江里 健輔
    2000 年 14 巻 6 号 p. 685-689
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌手術症例を80歳以上の21症例と79歳以下の807症例に群分けし, 背景因子, 術式, 予後を比較検討した.組織型, 術後病理病期は両群間に差を認めなかった.手術術式は80歳以上で有意に部分・区域切除が多く, R0, R1が多かった (p<0.001).
    累積5年生存率は79歳以下の51.8%と80歳以上の47.4%との間に有意差を認めなかった.80歳以上のI期症例10症例のうち5例 (50%) に部分・区域切除が行われた.しかし, 病理病期I期症例の累積5年生存率は79歳以下の72.4%と80歳以上の75.0%との間に有意差を認めなかった.以上より, 80歳以上肺癌症例の手術成績は79歳以下のそれと差を認めなかった.今後, 超高齢者I期肺癌に対して縮小手術の適応が拡大されると思われる.
  • 高木 正道, 秋葉 直志, 増渕 正隆, 吉田 和彦, 山崎 洋次
    2000 年 14 巻 6 号 p. 690-693
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    新しく開発された光重合性合成吸収性ハイドロゲル (AdvasealTM) を肺切除術の中でstaple lineおよび胸膜欠損部に用いて肺断端処理法としての同製剤の被覆, 補強効果についての有用性を検討した.
    肺切除術を施行した10例を対象とした.この10例中7例の肺葉には気腫性変化が認められていた.術中のsealing testでは同製剤の被覆後のstaple lineでは15か所中14か所 (93%) に, 胸膜欠損部では9か所中6か所 (67%) に気漏の完全停止が認められた.術後は10例のうち5例 (50%) は術直後より胸腔ドレーンからの気漏は認められなかった.さらに術後, 胸腔ドレーンからの気漏は平均1.5日で停止した.同製剤による感染やアレルギーの問題はなかった.
    肺切除後の肺瘻対策として同製剤による肺断端処理法は有効な手段である.
  • 沖田 将人, 坂本 和裕, 熊切 寛
    2000 年 14 巻 6 号 p. 694-697
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の女性.他院での胸部X線写真上異常陰影を指摘され来院した.胸部CT上, 前縦隔に内部不均一で低吸収域を伴う腫瘍を認めた.胸腺原発の奇形腫を疑い, 胸骨縦切開による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は12.0×7.5×2.5cmで被膜に覆われており, 割面は充実性で黄色部分と白色部分が混在していた.病理組織学的に胸腺脂肪腫と診断した.術後経過は良好で退院し, 4年経過した現在, 再発を認めない.胸腺脂肪腫は, 胸腺に原発する比較的まれな良性腫瘍であり, 本邦では59例の報告がある.自験例はCT画像上, 過去の報告例に比してCT値が高く, 術前診断に難渋したので, 文献的考察を加えて報告する.
  • 牧内 明子, 矢満田 健, 蔵井 誠, 沼波 宏樹, 近藤 竜一, 高砂 敬一郎, 町田 恵美, 花岡 孝臣, 羽生田 正行, 天野 純
    2000 年 14 巻 6 号 p. 698-702
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    両側後縦隔髄外造血巣の1例を経験したので報告する.症例は58歳, 女性.1983年から黄疸を指摘されていた.1998年の検診胸部X線で異常を指摘され, CT・MRIで両側後縦隔傍椎体部に3個, 境界明瞭・充実性の腫瘤を認めた.また, 術前の血液検査で溶血性貧血の存在が示唆された.多発性神経原性腫瘍と診断し, 手術を施行した.腫瘤はすべて, 暗赤色でやわらかく易出血性で, 病理組織学的に髄外造血巣と診断された.術後の精査で遺伝性鉄芽球性貧血と診断された.溶血性貧血の患者に発見された後縦隔腫瘤の場合, 髄外造血巣の可能性を念頭におく必要があると思われた.
  • 佐藤 雅昭, 池 修, 今西 直子, 庄司 剛, 中山 英, 磯和 理貴, 李 美於, 板東 徹, 田中 文啓, 平田 敏樹, 福瀬 達郎, ...
    2000 年 14 巻 6 号 p. 703-707
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium xenopi (M. xenopi) による呼吸器感染は本邦では極めて稀な非定型抗酸菌症である.肺癌を疑う結節状陰影を呈し手術によりM.xenopi感染症と診断された一症例を報告する.患者は51歳, 男性.重喫煙者で気腫肺であった.自覚症状はなく胸部X線とCTで右肺尖部に複数の空洞を伴う結節を認めた.喀疾検査, 気管支鏡下諸検査からも確定診断が得られなかった.Fluorodeoxyglucosepositron emission tomography (FDG-PET) で集積を認めたため肺癌が否定できず右肺上葉部分切除術を施行した.術中迅速診断で悪性所見を認めず, 肺結核腫を疑う乾酪壊死を伴った肉芽腫であった.術後, DNA-DNA hybridization法を用いてM.xenopi感染症と診断され, 約3ヵ月間の化学療法を行った.術後6ヵ月の現在も再発を認めず, 経過良好である.
  • 先山 正二, 監崎 孝一郎, 武久 政嗣, 高橋 裕児, 石倉 久嗣, 武久 良史, 谷田 信行, 近藤 和也, 高橋 敬治, 門田 康正
    2000 年 14 巻 6 号 p. 708-714
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    血液中CA19-9およびCA125の上昇を伴った肺葉内肺分画症の一手術症例を経験し, 文献的考察を加えて報告した.症例は60歳の女性.腰痛を伴う腰椎圧迫骨折を契機に精査がなされ, その過程で今回の異常が発見された.胸部CTにて左後肺底区に異常陰影を認め, 気管支鏡所見では可視範囲内に気管支分岐異常はなく, 経気管支的に異常肺への到達は不可能であった.手術所見では, 胸部下行大動脈から異常肺に流入する2本の弾性動脈を認め, 正常肺との気管支レベルでの交通は認められなかった.この異常肺部分を, 区域切除に準ずる方法により切除した.切除標本による検索では, いわゆる「末梢向き」の肺葉内肺分画肺であり, 免疫組織染色において, 分画肺内の気管支上皮はCA19-9およびCA125陽性であった.切除後に血液中CA19-9およびCA125は早期に正常に復し, これらの腫瘍マーカーの上昇は肺葉内肺分画肺に由来するものと考えられた.
  • 池田 康紀, 関 哲男, 小林 哲, 田村 元彦, 杉田 和彦, 田村 光信, 長井 千輔, 嶋田 晃一郎
    2000 年 14 巻 6 号 p. 715-719
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性, 腰痛にて入院中胸部X線, CT上異常陰影を指摘されたが経過観察とされた.しかし半年後, 胸部異常陰影の増大を認めたため精査目的で入院となった.入院後CT, MRI, 血管造影にて内容が大網と思われるMorgagni孔ヘルニアと診断された.手術は胸腔鏡下で行ったが, ヘルニア門が狭く内容の大網を胸腔鏡のみで還納することが困難であったため, 皮切7.5cmのミニ開胸を加え還納, 自動縫合器でヘルニア嚢を切除した後, 直視下に欠損孔を閉鎖補強した.胸腔鏡下手術は横隔膜ヘルニアに対しても低侵襲という点で有用と思われるが, Morgagni孔ヘルニアの場合, ヘルニア内容の還納とヘルニア門の修復に問題がありミニ開胸が必要であった.
  • 花岡 孝臣, 関 龍幸
    2000 年 14 巻 6 号 p. 720-725
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    患者は, 76歳, 女性.9年前に胃癌の手術歴があった.今回, S状結腸ポリープの精査加療中, 咳嗽を認め, 胸部X線写真で左肺野の淡い浸潤影を指摘された.肺炎を疑われ, 抗生剤投与による内科治療の後, 3ヵ月後の再検査で浸潤影の増大と腫瘍マーカーの高値を認めたことから, 気管支鏡下の擦過細胞診を施行したところ肺腺癌と診断された.手術は, 左肺上葉切除術, 縦隔郭清を施行した.病理診断は, 粘液産生型の細気管支肺胞上皮癌 (杯細胞型) (BAC) であった.胃粘膜上皮様の組織形態を呈したことから, さらに粘液組織化学的検討を加えたところ, 癌細胞内粘液は, 正常胃の粘液細胞が分泌する粘液と粘液組織化学的に同質のものであることが示され, BACが胃の被覆上皮へ機能分化していることが示唆された.自験例は, 粘液産生型BACの癌形成や治療方針を考える上で, 大変興味深い症例と思われたので報告した.
  • 尾崎 良智, 井上 修平, 藤野 昇三, 紺谷 桂一, 澤井 聡, 鈴村 雄治, 花岡 淳, 藤田 美奈子, 鹿島 祥隆, 古川 幸穂
    2000 年 14 巻 6 号 p. 726-730
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    入院中に喀毛症 (trichoptysis) を認め, 左上葉気管支と交通のあった縦隔奇形腫の1手術例を経験した.症例は36歳, 女性.1995年6月の検診で左上肺野に異常陰影を指摘され, 血疾が出現したため当科に入院した.入院中に喀毛をきたし, 縦隔成熟型奇形腫の気道内穿破と診断された.同年7月に縦隔腫瘍摘出および左上区切除術を行った.切除標本で腫瘍は左B3気管支に穿破していた.縦隔成熟型奇形腫は比較的高頻度に隣接臓器, 特に肺・気管支への穿孔をきたすが, 画像診断が進歩した現在では, 喀毛症により診断される例は極めてまれである.穿孔する原因としては腫瘍内の膵, 腸管組織による自家消化作用が注目されているが, 本症例では, 膵, 腸管組織は認められず, 腫瘍内容物の増大に伴う嚢胞内圧の上昇と周囲組織との炎症性癒着が穿孔の主たる原因と考えられた.
  • 長井 信二郎, 今西 直子, 大角 明宏, 富山 憲一, 岡田 圭司, 宮本 好博
    2000 年 14 巻 6 号 p. 731-736
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は82歳女性で, 右胸壁に孤立性の腫瘤を指摘され, 経皮生検にて悪性リンパ腫と診断された.化学療法への反応が悪く, 疼痛軽減を目的に右胸壁切除, 再建を行った.腫瘍はB細胞性非ポジキンリンパ腫, びまん性大細胞型であった.局所再発し放射線治療を追加したが, 初回治療より1年3ヵ月経過し, 寛解状態で経過観察中である.胸壁原発悪性リンパ腫 (Non-Hodgkin's lymphoma, NHL) は, 慢性膿胸に合併するB細胞性リンパ腫として知られているが, 本症例は結核や膿胸の既往がなく, 基礎疾患を伴わないものとしては本邦報告4例目にあたる.膿胸合併悪性リンパ腫ではEBウイルスの関与が示唆されているが, 本症例の腫瘍組織中のEBウイルスDNA (W fragment, PCR法) およびEBERs (EBV-encoded small RNAs, in situ hybridization法) は陰性であり, EBウイルスの関与は否定的であった.
  • 倉島 庸, 成田 吉明, 宮崎 恭介, 中村 文隆, 道家 充, 樫村 暢一, 松波 己, 加藤 紘之
    2000 年 14 巻 6 号 p. 737-742
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    乳児期に呼吸器感染にて発症し, 待機的に根治手術を施行した, 先天性嚢胞性腺腫様奇形の1例を報告する.症例は1歳女児, 生後6ヵ月時に発熱にて近医受診.胸部X線写真にて右下肺野に異常陰影を指摘され, 精査目的に当院小児科受診となった.胸部CT, MRIにて右下葉に嚢胞を有する腫瘤を認めた.大動脈造影では, 病変部への異常動脈の流入は認めなかった.以上より本症例を嚢胞性肺疾患と診断し, 1歳時に右下葉切除を施行した.切除標本では病変部に多発する小嚢胞を認めた.病理組織学的所見では軟骨組織が欠如し, 多列線毛上皮で覆われた嚢胞壁を認め, 先天性嚢胞性腺腫様奇形と診断された.本疾患の治療は, 残存病変からの再発の危険性があることから, 病変部を含む区域切除または葉切除が適切であると考えられた.
  • 坂本 美喜, 内 昌之, 毛利 奈美, 遠藤 剛, 原田 孝, 加藤 信秀, 高木 啓吾, 山崎 史朗
    2000 年 14 巻 6 号 p. 743-749
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    肺リンパ脈管筋腫症により重度呼吸不全を呈した肺移植適応例に対し, 9週間にわたり運動療法を施行した.運動内容は, 呼吸練習, 日常生活動作, 自転車エルゴメーターおよび歩行練習, 四肢筋力回復練習である.運動負荷の設定には通常の運動負荷プロトコールを用いることが困難だったため, 心拍数, 酸素飽和度をモニタリングしながら低負荷で徐々に負荷量を増加して決定した.運動療法前には数メートルの歩行しか出来ない状態であったが, 9週間後の運動内容は, 自転車エルゴメーターは, 5Wの負荷で10分, 歩行は18m/分の速度で10~15分に達した.これらの結果, 日常生活動作能力の改善, 運動耐用能の改善が得られ, 6分間歩行距離は27mから141mに変化し, 運動療法の有効性が示唆された.しかし, これらのプログラムは, 患者の病状変化にあわせて, 再評価と修正が適宜必要であると思われた.
  • 花岡 淳, 藤野 昇三, 井上 修平, 澤井 聡, 紺谷 桂一
    2000 年 14 巻 6 号 p. 750-754
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性.脳出血で入院した際の胸部X線で左上肺野の腫瘤影を指摘され本院紹介入院となった.気管支鏡検査で肺扁平上皮癌の診断が得られ手術を施行した.開胸後, 胸腔内を観察したところ, 左側心膜および縦隔胸膜が完全に欠損しており, 右室・左心耳・肺動静脈根部が直視下に認められた.左上葉切除後, 心膜欠損部の補填を考慮したが, 残存肺に癒着もなく再膨張も良好であることから心臓の支持は十分と判断し, 逆に人工材料による心臓の圧迫が危惧されたため修復は行わず手術を終了した.術後, 特に合併症なく良好に経過した.術後の胸部X線では, 術前と比べ心陰影の左方偏位が増強していたが, 術後7年を経過した現在も著変なく生存している.
  • 中野 昇, 前田 純, 中元 賢武
    2000 年 14 巻 6 号 p. 755-758
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病 (以下ITP) を合併した肺癌の手術を経験した.症例は59歳, 男性.ITPにて他院で経過観察中, 肺野結節影を認め, 手術目的で当院へ入院した.血小板数は6.7×104/mm3と減少していた.術前に免疫グロブリン大量療法を行い, 血小板数が12×104/mm3に増加した後, 右上葉切除術を行った.術後に血小板数が9.5×104/mm3と減少し, 胸腔ドレーン排液が血性であったたため, 血小板輸血60単位/3日間を行った.病理結果は, 腺癌, IA期であった.
    ITPを合併した肺癌の手術の周術期管理では, 免疫グロブリン大量療法と, 必要であれば血小板輸血の併用が現在のところ第一選択ではないかと考えられた.
  • 青木 正, 広野 達彦
    2000 年 14 巻 6 号 p. 759-765
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Hugh-JonesV度の呼吸困難を自覚する巨大気腫性肺嚢胞患者に対して, 嚢胞内吸引療法後に嚢胞切除を安全に施行し得た2症例を経験した.症例1は左中下肺野のブラに対して, 症例2は右上肺野のブラに対して吸引療法を行った.嚢胞内吸引療法により呼吸状態の改善が得られたが, 症例1では再膨張性肺水腫, 症例2では肺炎を併発した.これらの合併症が軽快した後に胸腔鏡併用小開胸による嚢胞切除を施行した.開胸術後の合併症はなく, 2症例ともに必要酸素量の減少と自覚症状の改善を認めた.本邦の嚢胞内吸引療法に併用する治療は, 嚢胞内癒着療法が多く報告されている.しかし胸腔鏡手術の普及, 開胸方法の工夫などにより低侵襲手術が可能となり, 併用治療として開胸手術も選択肢として考えられた.嚢胞内吸引療法後に開胸手術を施行した本邦例と共に報告する.
  • 浜口 伸正, 藤島 則明, 環 正文, 鳥羽 博明
    2000 年 14 巻 6 号 p. 766-771
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性.嗄声にて当院受診, 胸部単純X線写真にて上縦隔に異常陰影を認めCT, MRI検査を施行, 縦隔腫瘍特に神経原性腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は反回神経分岐部より中枢側の左迷走神経から発生し, 術中迅速病理検査にて良性神経鞘腫と診断, 被膜下核出術を施行した.反回神経機能温存に対する被膜下核出術の効果について評価は定まっておらず, 本邦での胸腔内迷走神経由来の神経鞘腫のうち反回神経の中枢側発生例における被膜下核出術症例を検討した.
  • 伊藤 和弘, 河内 秀幸, 西山 勝彦
    2000 年 14 巻 6 号 p. 772-775
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性.検診の胸部単純X線で右心横隔膜角の異常陰影を指摘された.CT, MRIで5×5×6cmの縦隔脂肪腫と診断した.手術は, 左側臥位で, 胸腔鏡補助下に小開胸で行った.腫瘍は黄色, だ円形で, 横隔膜上で心膜と前胸壁に接して存在し, 胸膜に覆われていた.腫瘍はやわらかく, 被膜を有しており周囲の臓器への浸潤は認めなかった.病理組織学的診断では悪性所見を認めず, 成熟脂肪細胞からなる脂肪腫であった.縦隔脂肪腫の鑑別診断にはCTおよびMRIが有用であるが, 肉腫との鑑別は画像上困難であるため, 外科的切除, 病理組織学的診断が必須である.胸腔鏡補助下小開胸の術式は, 視野に優れ, 腫瘍を触知でき, 患者への浸襲が少ない点で有用である.
  • 木村 秀樹, 岩井 直路, 横井 左奈
    2000 年 14 巻 6 号 p. 776-780
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺部分切除を安全に過不足なく行なえる2種類の鉗子を考案した.腫瘍把持鉗子は大, 中, 小の3種類で大は直径10-15mm, 中は5-10mm, 小は5mm以下の球形の腫瘍を把持できるように攣曲した爪状構造を持っている.部切鉗子は2本の彎曲した鉗子からなり互いに先端で接合できるように凹と凸の接合ピンがつけてある.また.把持した肺が逸脱しないようにDeBakey Typeの溝をつけた.攣曲は直径1cmから4cmまでの3種類で攣曲と接合部分の角度をかえることにより種々の大きさ, 深さの腫瘍を切除できるように工夫した.これらの鉗子を用いることで正常肺の切除を最小限にし, しかもマージンを十分取ることで腫瘍の遺残もなくなった.また, 深部の腫瘍を切除する場合によくおこった肺動脈からの出血もなくなり短時間で確実な切除が可能になった.
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