日本呼吸器外科学会雑誌
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16 巻, 1 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 福原 謙二郎, 安光 勉, 中川 勝裕, 藤原 清宏, 井上 匡美, 新谷 康, 重村 周文
    2002 年 16 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸壁浸潤肺癌におけるt因子の予後への影響を評価するため, n0症例に絞って術後成績を検討した.組織学的に胸壁浸潤を認めたn0非小細胞肺癌42例を, 浸潤が壁側胸膜に留まる12例 (A群), 胸膜下組織や肋間筋まで浸潤の見られる24例 (B群), 肋骨浸潤を認める6例 (C群) に分け検討した.5生率はA群41.7%, B群36.4%, C群33.3%であった.また, 術後補助療法の有無による予後の差は認めなかった.再発部位 (局所: 遠隔) はA群0: 9, B群3: 7, C群1: 3で, 完全切除例の術式別再発率は胸膜切除例50% (5/10, うち局所は1例), 胸壁切除例55.6% (15/27, うち局所は1例) であった.A群では切除術式別の予後に有意差を認めず, 局所制御の面からは術式は胸膜切除でよいと考えられた.しかし, A群でさえ再発全例が遠隔転移であったので局所のみならず全身に対する有効な補助療法の確立が望まれる.
  • 年令による比較
    野田 雅史, 磯上 勝彦, 小林 俊介
    2002 年 16 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院にて1999年~2001年の約3年間に自然気胸にて胸腔鏡下手術を施行した50例 (男性47例, 女性3例) を対象とし, 年令別に3群間にわけ各年齢群における病巣の数, 拡がり, 占拠部位を検討し, 更に再発率を検討した.術後の再発は50例中5例 (10.0%) で全例若年者であった.病巣の数は多発性に認められるもので再発を多く認め, 拡がりでは区域性に拡がるものに再発し, 単発例では再発しなかった.また占拠部位は連続性に病巣が認められるものでは再発を認めない一方で, skip状に病巣を認めるもので再発を認めた.若年者のskip状に多発する病巣を有する自然気胸は, 胸腔鏡下手術後の再発率が非常に高く, より慎重に再発防止に努めなければならない.
  • 田中 壽一, 井内 敬二, 松村 晃秀, 桂 浩, 大森 謙一, 大倉 英司, 白橋 幸洋, 後藤 正志, 森 隆
    2002 年 16 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院で切除した大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) について臨床病理組織学的に検討した.LCNECと診断された18例の核分裂像は平均77/HPFで, 全例に神経内分泌形態, 壊死像を認めた.免疫染色で神経内分泌マーカーは12例 (67%) で陽性であった.手術は葉切15例, 区切2例, 部切1例に行われ, 病理病期は1期10例, 2期1例, 3期6例, 4期1例であった.LCNECの術後5生率は, 小細胞癌と異型カルチノイドの中間に位置した.またI, II期症例ではLCNECの5生率60%は, 腺癌55%, 扁平上皮癌55%, 大細胞癌58%と差はなかった.LCNECの5生率は非小細胞肺癌の各組織型と差はなく, I, II期症例では外科治療が第一選択と考えられた
  • 春藤 恭昌, 太田 伸一郎, 稲葉 浩久, 広瀬 正秀
    2002 年 16 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺過誤腫は肺に発生する良性腫瘍の中では最も多く, 多くは無症状で検診や他疾患観察中に偶然発見される.今回, 我々は肺ドックCTで嚢胞性病変を発見され, 術前には診断できなかった肺軟骨性過誤腫を経験したので報告する.症例は59歳, 男性.当院肺ドックCTにて左肺下葉に小結節を含む嚢胞性病変を指摘され, 胸腔鏡補助下に切除した.病変は多房性で, 嚢胞壁及び隔壁に軟骨・骨組織, 平滑筋などを認め, 病理組織学的に軟骨性過誤腫と診断された.
  • 安川 元章, 根津 邦基, 川口 剛史, 木村 通孝, 高濱 誠, 櫛部 圭司, 谷口 繁樹
    2002 年 16 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の男性.換気血流シンチでは両側上肺野の血流低下を認め, 上葉優位型の肺気腫と診断した.術前の右心カテーテル検査の結果, 肺動脈圧53/26 (37) mmHgと肺高血圧症を合併していた.先ず, 胸腔鏡下に右側肺のLVRSを施行し, 5ヵ月後に左側肺の手術を施行した.初回手術後, 約一週間にわたり血疾が遷延したが, 止血剤投与のみで改善した.両側術後, 自覚症状はHugh-Jones分類では術前IV度よりIII度と改善し, 一秒量は術前640mlより840mlと増加した.術後肺動脈圧は55/24 (36) mmHgで術前と不変であった.肺高血圧症を合併した肺気腫症例であったが, 二期的にLVRSを施行することにより術後重篤な合併症は認めなかった.また遠隔期においても自覚症状と呼吸機能の改善が得られた.肺高血圧症を合併した肺気腫に対して両側二期的LVRSは効果的で安全に手術を行うために有用な術式であった.
  • 岡田 大輔, 笹井 巧, 田中 茂夫
    2002 年 16 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    自然気胸の発症を契機に発見される小型肺癌の報告は比較的少ない.症例1は74歳男性.左気胸3回目の発症.胸部X線写真で右上肺野に径20mm大の腫瘤影を認めた.最初に左気胸の手術を行い, 3週間後に右上葉部分切除術を施行した.切除標本は低分化扁平上皮癌であった.現在37ヵ月, 非担癌状態で気胸の再発も無く生存中である.症例2は67歳男性.胸痛と呼吸苦で来院.左気胸と診断され入院し, 胸部CTで左S6に径15mm大の腫瘤影を認めた.術中迅速診断にて肺癌と診断されブラを含む左下葉切除術とND2aを施行.病理病期はT1N1M0, 小細胞癌 (中間細胞型) で術後化学療法を行って退院したが, 36ヵ月後に癌死した.いずれも重喫煙者で気胸の発生に肺癌の関与はなく, 肺の気腫性変化に起因していた.高齢で喫煙指数の高い気胸患者では肺癌の存在を念頭に置く必要がある.
  • 下山 武彦, 石橋 洋則, 赤松 秀樹, 砂盛 誠
    2002 年 16 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 男性.2000年6月頃から労作時息切れ, さらに左胸部痛が出現したため精査を行った.胸部CTで左下葉気管支を取り囲む腫瘤陰影を認めた.気管支鏡では左下葉支が狭窄していたが生検で悪性所見は認められず, CTガイド下針生検でClass III bと判定され肺癌が疑われた.術中所見で左肺門部は硬化しており, その部位の術中迅速診では線維化のみであり癌は検出されなかったが, 左下葉は萎縮しており切除した.病理所見では気管支や肺に類上皮細胞が散在しており, 気管支狭窄を伴うサルコイドーシスと診断された.全身検索では病変は胸腔内に限局しており, 結核菌も検出されなかった.サルコイドーシスによる気管支狭窄は多発性のことが多いが, 本症例のように画像上限局した腫瘤陰影を呈することもあり悪性腫瘍との鑑別が必要と考えられた.
  • 四方 裕夫, 土島 秀次, 野中 利通, 渡邉 洋宇, 松原 純一
    2002 年 16 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腹部動脈瘤の加療目的に入院した74歳, 男性.右胸腔内の縦隔発生と思われる巨大な腫瘤を胸骨正中切開に肋間側方切開を追加して, 肺の切除を行うことなくen blocに摘出した.腫瘤は15×15×13cm, 嚢胞状で灰色泥状物で満たされ, 組織学的には海綿状血管腫で, 悪性所見は認めなかった.
  • 石川 真也, 福瀬 達郎, 高橋 鮎子, 李 美於, 磯和 理貴, 板東 徹, 田中 文啓, 長谷川 誠紀, 乾 健二, 和田 洋巳, 伊藤 ...
    2002 年 16 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は25歳男性.気胸にて近医で加療時に胸部異常陰影を指摘され当科紹介受診した.胸部レントゲン写真で左下肺野に腫瘤影及びそれに連続する塊状影を認めた.胸部CTでは左B9+10を閉塞する腫瘤影とmucoid impaction像を認めた.気管支鏡では左B9+10入口部に内腔をほぼ閉塞する腫瘤を認めた.術中迅速診断で粘表皮癌と診断され, 左下葉S9+10区域切除術+気管支形成術を施行した.切除標本では左B9+10を閉塞する35×35×40mm大の腫瘤を認め, 末梢気管支に著明なmucoid impactionを認めた.組織学的には, low-grade malignantな粘表皮癌で気管支壁内に限局し, リンパ節転移も認めなかった.術後2年, 再発を認めていない.本症例は, 同側の気胸を契機に発見されており, また, 著明なmucoid impactionも認め, 興味深い症例と考え報告した.
  • 浜口 伸正, 藤島 則明, 谷田 信行, 環 正文, 鳥羽 博明
    2002 年 16 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    23歳男性で左原発性自然気胸に併発した心嚢気腫により発見された先天性心膜部分欠損症の胸腔鏡下手術症例を経験した.心膜部分欠損孔は5×4.5cm大で肺門部前上方にあり胸腺および周囲脂肪組織が弁状に前方から覆っていた.胸腺および周囲脂肪組織を欠損孔周囲心膜縁に縫合固定した.胸腔鏡下手術で先天性心膜欠損孔に対し閉鎖・補填の処置を行った本邦報告例は本症例が2例目であり文献的考察を加え報告する.
  • 三浦 弘之, 平良 修, 平栗 俊介, 菅 泰博, 加藤 治文
    2002 年 16 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    骨膜外パラフィン充填術後, 皮下脱出塊が皮膚反応を伴い, 醜形を来たし, 術後38年を経て摘除術を必要とした1症例を報告した.症例は79歳, 女性で, 1961年に結核治療として骨膜外パラフィン充填術をうけた.術後20年目頃より充填したパラフィンが皮下に脱出し, 徐々に増大していたが放置していた.1999年に入り疼痛を自覚するようになり, 当センターを受診した.画像診断では側胸部の腫瘤は左上肺野の充填物に連続しており, 充填物の拡大は認められなかった.全身麻酔下に発赤を来した皮膚ごと切開・剥離を進め, パラフィンを胸腔内に約1cmの深さまで追跡し, 脱出塊を摘出した.死腔には前鋸筋の一部を遊離, 充填し, 周囲組織に縫合固定した.術後21カ月, 再発を認めていない.
    パラフィンの皮下脱出は術後20年以上経過しても発生しており, 長期の観察が必要である.充填腔の拡大が無ければ, 侵襲の大きな手術は行わず, 脱出物の摘出と脱出孔の補強のみで対処可能である.
  • 梅森 君樹, 小谷 一敏, 鷲尾 一浩, 牧原 重喜
    2002 年 16 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性.主訴は血痰.胸部X-pにて右下肺野に半円状陰影と網状陰影を認め, 胸部CTにてS8に4.0×3.4cm大の腫瘤影とS10に網状影を認めた.経気管支肺生検でB8から扁平上皮癌と診断し, 手術を施行した.横隔膜からS10に流入する太さ10mmの異常動脈を認め, 肺底動脈体動脈起始症と診断し, 異常動脈を根部で処理し右下葉切除術を施行した.病理組織学所見では, S10を中心とした異常動脈の灌流域は高度の肺高血圧症の所見を認めた.現在, 術後経過は順調である.
    肺底動脈体動脈起始症は稀な病態であり, また肺癌を合併した報告例はなく, 極めて稀な症例と思われたので報告した.
  • 本邦報告例の検討
    井上 修平, 藤野 昇三, 紺谷 桂一, 澤井 聡, 手塚 則明, 花岡 淳, 尾崎 良智, 鹿島 祥隆, 元石 充, 古川 幸穂
    2002 年 16 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    従来, 胸膜中皮由来とされ限局性胸膜中皮腫 (localized mesothelioma) と呼ばれた腫瘍は, 近年, 胸膜中皮下の間葉系細胞由来と考えられるようになり, solitary fibrous tumorまたはlocalized fibrous tumor of the pleuraという呼び名が一般化しつつある.胸腔鏡下に摘出し得た有茎性の3症例を報告する.
    3例中2例は臓側胸膜から発生し, 1例は壁側胸膜から発生していた.本症は肺腫瘍, 胸壁腫瘍, 縦隔腫瘍等との鑑別が困難であるが, 3例中2例は体位変換によって腫瘤陰影の移動が認められ, 術前に有茎性腫瘍の診断が可能であった.3例各々の最大径は6.3cm, 4.9cm, 3.5cmであったが, 全例胸腔鏡下摘出は容易であり, 再発等認めていない.
  • 朝井 克之, 閨谷 洋, 浅野 寿利, 鈴木 一也, 大井 諭, 伊藤 靖, 高橋 毅, 数井 暉久
    2002 年 16 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, アルコール性肝硬変のある男性.左肺腺癌に対し左肺下葉切除ND2a施行.pN2 (#7, #8) のため, 術後に両側肺門, 縦隔および鎖骨上部に放射線照射50Gyを追加した.照射終了1週間後より, 発熱を認め放射線肺臓炎と診断した.predllisolone (PSL) 内服により軽快したが, PSL減量中に再度高熱を認めた.CTで放射線非照射部位にもすりガラス様陰影を認め, 放射線肺臓炎の急性増悪の診断で, methylprednisolone (lnPSL) によるパルス療法を行ったが, PSLによる維持療法中に急性呼吸不全に陥った.CTでは両肺全体にすりガラス様陰影の拡大を認めた.ステロイドパルス療法の追加により症状は改善し, またCT上陰影も消失し, 入院後97日目に退院した.経過中に血中Cytomegalovirus antigenelniaおよびCandida抗原が陽転した.放射線肺臓炎はステロイド漸減中にも急性増悪を来すことがあり, ステロイド投与法および二次感染には十分な注意を要する.
  • 水渡 哲史, 吉津 晃, 後藤 太一郎
    2002 年 16 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 男性.既往歴で腎癌により右腎臓摘出術を受けている.血痰を主訴に来院.気管支鏡検査で右上葉気管支入口部と右B6入口部の2カ所に腫瘍を認め, 腎癌の気管支壁内転移と診断した.楔状右上葉切除, 楔状S6区域切除を行い, 経過良好に退院した.各々については気管支形成術の適応となる病巣が, 2カ所同時に発生することはまれである.症例によっては一期的に同側の2カ所で気管支形成術を行うことは可能であると考える.
  • 大野 喜代志
    2002 年 16 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    塵肺症に合併した, 肺原発非ホジキンリンパ腫の1手術例を経験した.症例は75歳, 男性.胸部レントゲン写真とCTでは, 石灰化陰影, 索状網状陰影と腫瘤様陰影が混在していた.その後増大した右肺S3部の腫瘤影に対して, CTガイド下針生検を施行し, 非ホジキンリンパ腫と診断した.タリウムシンチグラムの早期後期両像で, 右S3の腫瘍部位にのみ集積像を認めたため, 孤立性の非ホジキンリンパ腫と診断した.肺部分切除術後に放射線治療を追加し, 術後1年11カ月現在, 再発なく生存中である.塵肺症に伴う慢性炎症性陰影と混在する非ホジキンリンパ腫の局在診断に, タリウムシンチグラムは有用であった.
  • 山中 晃, 高橋 鮎子, 平井 隆
    2002 年 16 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    画像所見で肋骨腫瘍が疑われ, 胸腔鏡下に肋骨切除を行った1例を経験した.症例は50歳女性で, 自覚症状はなく, 検診の胸部X線で異常影を指摘された.胸部CTで右第3後肋骨発生の骨軟骨腫が疑われ, 確定診断目的に胸腔鏡下手術が行われた.第6肋間から挿入した胸腔鏡で1.0cm大の白色の球状腫瘤が後胸壁から胸腔側に突出しているのが確認され, 第3肋間のポートから挿入した電気ドリルで肋骨切断線上に穴をあけ, 腫瘤を含む肋骨切除を行った.病理組織学的所見として, 肋骨皮質には変性や破壊はみられなかったが, 肋骨骨膜外に石灰化を伴う線維性結節が認められ, 後肋間リンパ節の炎症性瘢痕像と診断された.術後特記すべき合併症はなく, 術後6カ月後異常はみられない.小切開による切除が困難な一部の領域の肋骨に対して胸腔鏡による胸腔内操作のみの切除術は可能であり, 侵襲も少なく有用な方法と考えられた.
  • 西海 昇, 藤森 賢, 濱本 篤, 米谷 文雄, 加賀 基知三, 岩崎 正之, 井上 宏司
    2002 年 16 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    気管・気管支断裂損傷は, 鈍的胸部外傷の中で頻度は少ないが, 致命率は高い.われわれは, 受傷初期の胸部単純X線写真が診断に有用であった, 18歳男性のバイク外傷による右主気管支断裂損傷 (日本外傷学会, 気管, 気管支損傷分類Ib) の1例を経験した.胸部単純X線写真上, tracheobronchial stripeの描出, 進行性の縦走する気管と右主気管支周囲の透亮像, continuous diaphragm sign, 右側のNaclerio's V-signを認め, これらは縦隔気腫を示唆する所見であった.さらに, 奇静脈近傍の右主気管支陰影は不鮮明化し, その外側に血腫像を認めた.以上の所見から右主気管支断裂損傷が示唆された.手術は損傷部位を直接縫合閉鎖し, 救命した.
  • 山中 澄隆, 遠藤 千顕, 羽隅 透, 須田 秀一
    2002 年 16 巻 1 号 p. 90-93
    発行日: 2002/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 女性.動悸の増悪を主訴に近医を受診し, 心エコーにて縦隔腫瘍を指摘された.精査, 加療目的に当科紹介となった.確定診断はつかず, 胸腔鏡補助下に小開胸を置き腫瘍を摘出した.病理組織学的所見ではN/C比大の中型でやや大小不同を示す紡錘形の腫瘍細胞が束をなして錯走増生する像が観察された.また標本の一部で食道筋層と腫瘍が連続している部位が存在した.更に免疫染色の結果と総合して食道筋層発生のgastrointestinal stromal tumor (GIST), uncommitted typeとの診断を得た.GISTは筋, 神経への分化度の相違から4つの範疇に分類されるが, その中でも筋, 神経どちらへも分化を示さないuncommittedtypeは狭義のGISTとされ, 悪性であることが多い.発生頻度は稀であるが縦隔腫瘍では鑑別診断の一つとして念頭に置く必要がある.
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