日本呼吸器外科学会雑誌
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16 巻 , 5 号
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  • 福原 謙二郎, 中川 勝裕, 藤原 清宏, 塩野 裕之, 出口 寛, 安光 勉
    2002 年 16 巻 5 号 p. 609-614
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1977年1月から1998年12月までにND2以上の郭清又は縦隔鏡+ND1を施行してリンパ節転移状況が把握できた1521例中p-n2例は373例, n1 (-) n2 (+) 例は94例 (25.2%) であったが, 転移リンパ節遺残以外の理由で不完全切除となった14例を除く80例を対象として, リンパ節転移状況及び予後について検討した.縦隔リンパ節転移領域数別の5生率は1領域 (n=48), 2領域 (n=23), 3領域以上 (n=9) で各々38.0%, 26.2%, 11.1%で1領域と3領域との間に有意差を認め, n1 (-) n2 (+) 例においても縦隔リンパ節転移領域数は予後因子となりうると考えられた.中でも1領域症例はn1症例 (n=300, 5生率: 39.5%) と予後に差がなく, 一次リンパ節転移である可能性も示唆された.また (1) 群: 上, 中葉原発で上縦隔リンパ節のみ, 下葉原発で下縦隔リンパ節のみに転移する症例 (n=58, 全例完全切除),(2) 群: 上, 中葉原発で下縦隔のみ, 下葉原発で上縦隔のみへの転移例 (n=10, うち3例は不完全切除) の5生率は各々40.9%と15.0%で (1) 群の予後が有意に良好であった. (2) 群は近年提唱されている縮小郭清ではn0と診断される可能性があり, ND2bが必要な場合もあると考えられた.
  • 西尾 渉, 坪田 紀明, 松岡 英仁, 阪本 俊彦, 原田 洋明, 竹村 幸洋
    2002 年 16 巻 5 号 p. 615-620
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    びまん性胸膜中皮腫64例の外科治療成績を術式別に検討した.a) 胸膜肺摘除術 (n=19): III期 (n=17) のMediansurvival time (MST) は9ヶ月, 2年生存率25%で, 全19例のDisease free interval (DFI) 中央値は7ヶ月であった.術後合併症を4例 (肺梗塞2例, 気管支断端瘻1例, 横隔膜ヘルニア1例) に認め, 肺梗塞の1例が在院死した.b) 胸膜切除術 (n=32): 1期 (n=7) のMSTは33ヶ月, 2年生存率57%, II期 (n=8) は各々15ヶ月, 47%, III期 (n=15) は8ヶ月, 29%であった.手術合併症を1例 (肺炎) に認めたが, 直死, 在院死はなかった.残りの13例は試験開胸・胸膜生検に終わった.b) 群の予後はI, II期例において比較的良好であったが, III期例についてはa) 群と同等で不良であった.外科治療単独の効果には限界があり, 今後はmultimodality therapyの一環として各術式の価値を再検討する必要がある.
  • 上田 和弘, 藤田 信弘, 坂野 尚, 佐伯 浩一, 田中 俊樹, 松岡 隆久, 須藤 学拓, 林 雅太郎, 善甫 宣哉
    2002 年 16 巻 5 号 p. 621-625
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腔鏡下肺部分切除術が安全に行えるようになり, 国内でも短期滞在手術 (以後DS) が標準的に行われることが予想される.肺腫瘤病変に対して胸腔鏡下肺部分切除が行われた症例のうち, PSが0または1であった47症例を対象とし, その術後神過よりDSの可否を評価し, その可能性を規定する諸因子について解析した.男性29例, 女性18例, 平均年齢59歳.疾患は肺癌6例, 転移性腫瘤17例, 良性腫瘤24例であった.術翌日に医療行為が不要で日常生活可能と判断された21例をDS群, それ以外の26例を非DS群とした.両群間で術前諸因子を比較検討した結果, 有意差を認めた項目はBMI値, 肺基礎疾患の有無, %肺活量であった (全てp<0.05).肺腫瘤患者に対する胸腔鏡下肺部分切除症例のうち45%は術後24時間以内の退院が可能と思われた.呼吸機能低下, 肺基礎疾患の合併, BMIの逸脱症例は術後離床遅延をきたすことよりDSの適応外とすべきである.
  • 長束 美貴, 岩淵 裕, 加藤 治文
    2002 年 16 巻 5 号 p. 626-629
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の男性.伊豆諸島で道路工事作業中に約1.5トンの鉄板で前頚部を挟まれ受傷した.その直後より喀血, 皮下気腫および呼吸苦が出現し, 近医での緊急CTで気管損傷が疑われたためヘリコプターで当院へ搬送された.直後の気管支鏡検査で, 気管が第4軟骨輪部で完全に断裂しており, 肺側気管輪とは約4cm離開していることが判明し, 直ちに気管形成術を施行した.術後経過は良好で, 現在は元気に職場復帰している.鈍的外傷による頚部気管完全断裂の1例を経験したので報告する.
  • 沖津 宏, 山井 礼道, 武知 浩和, 先山 正二, 近藤 和也, 門田 康正
    2002 年 16 巻 5 号 p. 630-634
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腺内に発生した類表皮嚢胞壁内に微小なカルチノイドを認めた極めて稀な1例を神験したので報告する.
    症例は50歳, 女性で, 前胸部圧迫感を主訴とした.胸部X線上右第1弓に重なる縦隔腫瘤陰影を認め, 当科紹介となった.胸部CT及びMRIにて胸腺右上極に約2.5cm大の充実性腫瘤を認め, 胸腺腫の診断にて胸腺全摘術を行った.切除標本では胸腺右上極に2.5×2.3×2.0cm大, 境界明瞭, 表面平滑な球状腫瘤を認め, 割面では内腔に垢様角化物 (ケラチン) が充満する嚢胞であった.組織所見は類表皮嚢胞で, 嚢胞壁の被膜様結合組織内に微小な上皮性腫瘍細胞集団を認めた.これはHE染色で典型的なロゼット形成を認め, クロモグラニン及びNSE染色陽性で定型的カルチノイドと診断した.術後経過は良好で第12病日に退院, 外来経過観察中である.
  • 枝園 忠彦, 前田 宏也, 高尾 智也, 山本 寛斉, 宇高 徹総, 大屋 崇
    2002 年 16 巻 5 号 p. 635-639
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    悪性黒色腫は皮膚, リンパ節, 肺, 肝などに転移するため予後不良の疾患とされ, また遅発性の転移を認めることも報告されている.
    今回我々は, 眼球摘出後25年を経過して肺転移を来たした脈絡膜悪性黒色腫の症例を経験したので報告する.症例は65歳男性で, 1975年に脈絡膜悪性黒色腫にて右眼球摘出術をうけた.2000年9月, 検診にて左下肺野に異常陰影を指摘され当院受診となった.胸部CTにて左上葉舌区 (S5) に孤立性の腫瘍陰影を認め, CTガイド下に行った経皮的穿刺吸引細胞診の結果, 悪性黒色腫の診断に至った.これに対し左上葉切除術を施行した.病理組織検査にて葉気管支間リンパ節および葉気管支周囲リンパ節に転移を認めた.術後8ヶ月の現在再発を認めていない.悪性黒色腫の既往を持つ患者に対しては, 転移を念頭においた長期の経過観察が必要であり, 転移を早期に発見し積極的治療を行うことが有用であると感じた.
  • 吉増 達也, 尾浦 正二, 谷野 裕一, 粉川 庸三, 櫻井 照久, 松山 健次, 太田 文典, 岡村 吉隆
    2002 年 16 巻 5 号 p. 640-644
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は33歳の男性.1994年10月11日, 胸腺腫にて手術を施行された.術後follow-up中の1999年12月, 胸部CTにて, 多発性の胸膜播種巣を発見された.同時期に重症筋無力症を発症した.ステロイド治療にて症状を改善させた後, 2000年2月8日, induction therapyの目的で動注化学療法を施行, totalでCDDP 40mg/m2, ADM 16mg/m2を第1-9肋間動脈へ注入した.3週間後のCTにて, 播種巣の消失が確認されたため, 手術は施行されなかった.動注後1年9ヵ月の現在, 再発なく生存中である.胸腺腫の胸膜播種に対して, 肋間動脈からの動注化学療法は, 有用な治療法の一つであると考えられる.
  • 伊藤 博道, 遠藤 勝幸
    2002 年 16 巻 5 号 p. 645-649
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性.46年前に左結核性胸膜炎の既往がある.左側胸部痛・発熱・咳嗽を主訴に受診した.左側胸部に7×5cmの腫脹と圧痛を認め, 胸部CTにて左胸壁の陳旧性膿胸腔と, 第8肋骨を破壊し外側に突出する3×4cmの腫瘤が存在した.経皮生検にて悪性リンパ腫と診断された.胸壁腫瘍と膿胸嚢の完全摘除術を施行し, 肺は温存した.摘出標本は膿胸腔に接するB細胞型の悪性リンパ腫で, EBV-DNAサザンプロットでEBV感染細胞のoligoclonalな増殖を認めた.EBV-in situ hybridizationにてEBV-encoded small RNAs陽性であり, 膿胸関連リンパ腫 (pyothoraxassociatedlymphoma) と考えた.EBV-LMPとEBV-EBNA2は陰性であった.術後CHOP療法を追加し, 術後10ヶ月現在再発なく健在である.
  • 山井 礼道, 沖津 宏, 武知 浩和, 岡田 雅子, 佐尾山 信夫, 吉田 沖
    2002 年 16 巻 5 号 p. 650-654
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は43才女性, 2年前より前胸部の圧迫感を自覚, 徐々に症状が頻回となったため, 1998年12月, 精査目的で当院受診となった.頸部MRIにて左頸部から前縦隔にかけて, T1強調画像でlow, T2強調画像でhigh intensityの腫瘤陰影を認めた.echoではhypoechoicに描出され, 穿刺吸引細胞診で, 線毛円柱上皮を多数認めた.嚢胞性疾患を考え, 確定診断目的で手術施行.手術所見で嚢腫は胸腺左葉と連続しており, 胸腺左葉と共に嚢腫を切除した.病理所見で嚢腫周囲はハッサル小体を含む胸腺組織に覆われ, 又, 嚢腫内腔は一層の線毛円柱上皮で被われ, 胸腺嚢腫と診断した.加えて, 嚢腫壁に接して副甲状腺組織も認め, これは原基の移動途中に迷入したものと考えられた.今回, 胸腺嚢腫の嚢腫壁内に副甲状腺組織を認めた稀な頸部胸腺嚢腫の一切除例を経験した.
  • 中川 達雄, 磯和 理貴, 青木 稔, 乾 健二, 北市 正則, 和田 洋巳
    2002 年 16 巻 5 号 p. 655-660
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.気管支喘息, 肺気腫にて通院治療中, 呼吸困難を主訴として, 左頸部腫瘤と胸部レントゲン写真で左上縦隔の腫瘤陰影を指摘され当院紹介受診となる.CTおよびMRIで上縦隔から左頸部に広がる腫瘤影を認め, 手術にて摘出を行った.摘出標本は10x9x6cmで被膜を有し, 外観は黄色で弾性軟であった.腫瘍は成熟脂肪細胞からなり, 胸腺組織や骨格筋組織を認めず, 頸縦隔型脂肪腫と診断した.頸縦隔型脂肪腫は比較的稀な疾患であり文献的考察を加え報告する.
  • 川野 勧, 秋葉 直志, 佐藤 修二, 山下 誠, 河上 牧夫, 山崎 洋次
    2002 年 16 巻 5 号 p. 661-665
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    縦隔原発の滑膜肉腫の1例を経験したので報告する.症例は51歳の女性.咳嗽, 呼吸困難, 左上腕浮腫を認めたため当院を受診した.CT, MRI, 血管造影で前縦隔腫瘍を認め, CT下針生検では肉腫を疑った.術中所見で腫瘍は胸腺発生と考え拡大胸腺摘除術を施行した.切除標本の病理組織検査で滑膜肉腫と診断した.術後経過は良好で現在までに再発の徴候はない.
    滑膜肉腫は若年成人の四肢に好発する稀な悪性軟部腫瘍であり, 局所再発や遠隔転移を高率に認め予後不良な疾患である.縦隔原発のものは本邦では1例しか報告例はなく本症例が2例目である.
  • 荒木 邦夫, 中村 廣繁, 福井 甫
    2002 年 16 巻 5 号 p. 666-669
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.喀血および喘鳴を主訴に入院した.肺結核, 気管支喘息の既往があり, 胸部X線及びCTで右肺上葉に著明な胸膜肥厚と石灰化, 空洞を伴う陰影を認めた.右肺上葉切除を予定したが, 術中出血量軽減のため, 術前日に責任血管の同定並びに塞栓術を行う目的で, 気管支動脈造影を行った.その結果, 拡張した右気管支動脈から右肺動脈上幹への交通 (気管支動脈一肺動脈瘻) を認めたため, スポンゼルを用いた同部位の塞栓術を行った.手術は著明な胸膜肥厚と高度癒着のため難渋したが, 癒着剥離後に, 径3mmに拡張した気管支動脈を結紮切断するとともに右肺上葉切除を完了した.術中出血量は630mlで, 著明な循環動態の変動なく手術を施行し得た.陳旧性肺結核と気管支喘息を伴った気管支動脈一肺動脈瘻の手術に対し, 術前の血管造影及び塞栓術は出血コントロールの目的を達成でき有用であった.
  • 栃井 将人, 須田 隆, 服部 良信, 根木 浩路, 杉村 裕志, 金子 完, 近藤 ゆか, 渡邉 浩次, 入山 正, 安藤 太三
    2002 年 16 巻 5 号 p. 670-674
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    気管支鏡下擦過細胞診で肺腺癌と診断され手術を施行したが, 最終診断が肺膿瘍であった症例を経験した.症例は46歳, 男性.右前胸部痛を自覚し, 近医を受診した.胸部X線写真とCTで右S4 の異常陰影を指摘され, 精査のため当院紹介となった.CT上腫瘤はA4aの巻き込みと胸膜陥入像を認め, 原発性肺癌を最も疑った.喀痰細胞診と気管支鏡下肺生検では異型細胞を認めなかったが, 気管支鏡下擦過細胞診で肺腺癌と診断された.cT3 N0 M0 stage IIBで手術を施行した.右上中葉切除, 下葉部分切除, 胸壁・第4, 5肋骨合併切除を施行した.術後の病理検査では異型細胞は認めず, 膿瘍形成と炎症細胞浸潤を認め, 肺膿瘍と診断された.細胞診のみで異形細胞を認める場合には偽陽性を否定できないので, 繰り返し細胞診・組織診を行うか, 術中迅速組織診を行う必要がある
  • 浅野 賢道, 金子 敏文, 島田 俊史, 矢野 諭, 池田 浩之, 森川 利昭, 近藤 哲, 加藤 紘之
    2002 年 16 巻 5 号 p. 675-679
    発行日: 2002/07/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 女性.10年前, 検診にて胸部X線の異常陰影を指摘され, 近医を受診.精査の結果, 前縦隔腫瘍の診断を受けるが放置.今回, 再び, 胸部X線異常影を指摘されたため同医を受診.腫瘍の増大およびCA19-9の高値 (672IU/ml) を認めたため, 当科紹介となり, 嚢胞性前縦隔腫瘍の診断にて, 腫瘍切除および胸腺全摘術を施行した.腫瘍は嚢胞成分が主体であるが, 一部充実性部分も認めた.切除標本の病理学的診断は胸腺原発mucoepidermoidcarcinoma, low gradeであった.嚢胞内液を採取し, 各種腫瘍マーカーを測定したところ, CA19-9が260×105IU/mlと高値を示していた.術後経過は良好であり, 術後第22病日に退院した.高値を示していた血清CA19-9値は術後2ヶ月目に正常化した.
    胸腺原発のmucoepidermoid carcinomaはわれわれが調べた限りにおいて, 本邦では本症例が10例目となり, 極めてまれな疾患である.若干の文献的考察を加え報告する.
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