日本呼吸器外科学会雑誌
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17 巻 , 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 川野 亮二, 横田 俊也, 池田 晋悟, 坂口 浩三, 羽田 圓城
    2003 年 17 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    標準 (ND2a) 以上のリンパ節郭清が施行された最大径2cm以下の末梢小型肺腺癌45例について, 免疫組織化学的方法による微小リンパ節転移を含めた肺門縦隔リンパ節転移の実態を調べ, こうした腫瘍をもつ患者の適切な治療方針についてリンパ節郭清を中心に考察を行った.リンパ節転移は45例中13例 (28.8%) に認め, この内, 微小リンパ節転移が4例を占めた.リンパ節転移の内訳は, N1が3例, N2が7例, N3が3例であり, これらの転移例の内, スキップ転移と見倣される症例が38.4%に認められ, また半数以上の症例は術前cNOと評価されていた.リンパ節転移をNoguchi分類別にみると, A, B型の腫瘍では転移を認めなかった.以上から, 2cm以下の末梢小型肺腺癌においては, Noguchi分類のA, B型を除いて, 標準的郭清 (ND2a) 以上のリンパ節郭清が必要と考えられ, cN診断や術中のリンパ節のsampling結果に基づく郭清範囲の縮小化あるいは省略はできないことが示唆された.
  • 村岡 昌司, 岡 忠之, 赤嶺 晋治, 田川 努, 永安 武, 生田 安司, 井上 征雄, 田川 泰, 綾部 公懿
    2003 年 17 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腔鏡下に手術を施行した縦隔腫瘍41例について, 臨床的に検討した.対象は男性16例, 女性25例, 平均年齢50.4歳, 疾患別には胸腺腫6例, 胸腺嚢腫6例, 神経原性腫瘍12例, 気管支嚢腫7例, 心膜嚢腫2例, 奇形腫2例, その他6例で, 腫瘍の部位は前縦隔17例, 中縦隔8例, 後縦隔13例, 上縦隔3例で腫瘍径は平均4.6cmであった.術式は胸腔鏡のみによる摘出が20例, 小開胸併用16例, 通常開胸への移行例3例, 生検2例であった.ポート数は平均3.1ヵ所, 手術時間は175±78分であった.出血量 (83±160g), 胸腔ドレーン留置期間 (1.1±0.7日), 術後入院期間 (7.7±4.3日) は同時期の胸骨正中切開症例と比較し有意に少なかった.術後合併症は3例 (7.3%) に認めたが, 術死や在院死はなかった.縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術は低侵襲で安全な手術であり, 小開胸の併用や適切なポートの追加によりどの部位の縦隔腫瘍に対してもアプローチ可能であると考えられた.
  • 上吉原 光宏, 坂田 一宏, 川島 修, 大谷 嘉己, 森下 靖雄
    2003 年 17 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    胸郭出口付近に発生した腫瘍に対して非開胸下に腫瘍摘出を行ったので報告する.症例は71歳, 女性.2000年5月頃から持続する咳嗽のため近医を受診し, 胸部異常陰影を指摘され当院紹介となった.本人の希望で3ヵ月毎に経過観察していたが, 増大傾向を認めたため2001年10月に手術目的で入院した.精査の結果, 上縦隔発生神経原性腫瘍と診断し手術を行った.左側半襟状切開でアプローチし, 胸鎖乳突筋を温存し胸膜外より腫瘍を摘出し得た.手術時間は1時間28分, 出血量は50gであった.病理診断はAntoniA型とB型の混在した神経鞘腫であった.術後軽度の眼瞼下垂を認めたが, その他経過良好で第5病日目に退院した.術後8ヵ月の現在外来通院中で, 眼瞼下垂はほぼ消失している.
  • 林 栄一, 中野 貴之, 中島 成泰, 桝屋 大輝, 中島 尊, 岡本 卓, 劉 大革, 亀山 耕太郎, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 ...
    2003 年 17 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年, CTの性能の向上により, 小さなスリガラス様陰影を見つける機会が増した.早期の同時性両側性多発肺癌の3症例を経験し, 各症例とも病巣の陰影は1cm以下で臨床病期はIA期であった.1cm以下の早期腺癌にリンパ節転移がみられないことや, 呼吸機能の温存を考慮し, 積極的縮小手術として3例全例に, 両側の拡大部分切除あるいは区域切除を施行した.病理組織診断は3例とも高分化型腺癌 (bronchiolo-alveolar carcinoma) で, 2例にはAAH (atypical adenomatous hyperplasia) も認められた.現在まで20~27ヵ月が経過したが, 3例とも再発を認めていない.同時性両側性多発肺癌に対する標準的治療は確立されていないが, 早期の同時性両側性多発肺癌に対して, 積極的縮小手術が適切と考えられた.
  • 宮原 栄治, 山下 芳典, 清水 克彦, 平井 敏弘, 峠 哲哉
    2003 年 17 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    感染を契機に発見され, 胸腔鏡補助下に切除した先天性気管支のう胞の症例を経験したので報告する.症例は, 24歳, 女性.2001年5月5日より咳嗽, 前胸部痛を自覚, 近医受診し, 胸写にて左下肺野に異常陰影を指摘され入院した.胸部CTにて左肺下葉に多房性空洞を認めた.気管支鏡, 食道透視にて著変を認めなかった.CTガイド下肺針生検にても悪性所見は認められず, 結核, アスペルギルス等の感染も認められなかった.抗生剤投与にて症状がいったん軽快したが, 再度出現したため, 6月13日精査加療目的に当科に転院し, 気管支のう胞を疑い, 6月25日, 胸腔鏡補助下肺部分切除を施行した.病変は左肺下葉に5cm大の腫瘤として認められ周囲に線維性に癒着していた.病変部を自動縫合器にて切離した.のう胞の表面は暗赤色調で厚い被膜に覆われ, 内部には大小の隔壁を認め, 血性膿が貯留していた.病理所見は気管支のう胞でみられる気管支軟骨が認められず, 肺分画症でみられる大循環との交通もないことから, 多房性のう胞と診断された.臨床所見からは先天性気管支のう胞と診断した.
  • 大浦 裕之, 広瀬 正秀, 石木 幹人
    2003 年 17 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性.2000年6月肺アスペルギルス症に対する左下葉切除の際に, 横隔膜との癒着剥離を施行した.2001年9月下旬より咳嗽, 上腹部痛および左背部痛が出現し同年10月5日当院を受診した.一般血液検査では特記所見はなかった.理学所見では臍上部に圧痛があったが, 腹膜刺激症状は認めなかった.胸部CT上, 左胸腔内背側に空洞様構造物を認め入院となった.第3病日になり麻痺性イレウスおよび電解質失調が出現し, CT再検にて左胸腔内の構造物が腸管と判明したため, 腹腔臓器の左胸腔内脱出及び嵌頓の診断にて経腹的アプローチによる緊急手術を施行したところ, 胃体上部及び大網が左横隔膜背側のヘルニア孔から胸腔内に脱出し, 嵌頓阻血により壊死に陥っていた.横隔膜裂孔閉鎖術及び近位側胃切除術を施行し手術を終了した.胸部手術時に横隔膜に対する侵襲手技があった場合, 本症発症の可能性を考慮し損傷部位の十分な補強が必要である.
  • 野田 雅史, 磯上 勝彦, 小林 俊介
    2003 年 17 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    嚢胞性変化を来したfunctional paragangliomaの一手術例を経験したので報告する.症例は70歳, 男性.他院にて高血圧及び胸部異常陰影を指摘され, 当院紹介.CT, MRIにて左肺尖椎体左側に嚢胞状の縦隔腫瘍を認め, 内分泌検査にて, 血中アドレナリン, ノルアドレナリンと尿中VMAの著明な上昇を認めた.開胸下に縦隔腫瘍摘出術を行い, 術後, 高血圧の改善とホルモン値の著明な改善を認めた.病理組織検査では, 腫瘍の出血に起因した著明な嚢状変性と退行性変化を認め, 海綿状血管腫を強く疑ったが, 免疫染色にて神経細胞及び神経内分泌細胞が同定され, functional paragangliomaの診断を得た.
  • 柳田 正志, 島田 順一, 加藤 大志朗, 井伊 庸弘, 西村 元宏, 伊藤 和弘, 寺内 邦彦, 戸田 省吾
    2003 年 17 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    異時性に発症した胃平滑筋肉腫と肺軟骨過誤腫の2病変合併の不完全型Carney's triadを経験したので報告する.症例は20歳, 女性.11歳時に胃平滑筋肉腫と診断し, 胃部分切除を施行した.その後, 補助療法として化学療法を施行し経過観察されていた.16歳時, 胸部X線写真にて左肺腫瘤を指摘されたが増大傾向を認めなかったため, 経過観察していた.20歳時に腫瘤陰影の増大を認めたため, 胃平滑筋肉腫の転移も考慮に入れ切除を行った.結果は肺軟骨過誤腫であり不完全型Carney's triadと診断した.
  • 岡本 卓, 横見瀬 裕保, 桝屋 大輝, 中島 尊, 劉 大革, 亀山 耕太郎, 林 栄一, 山本 恭通, 黄 政龍
    2003 年 17 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺リンパ脈管筋腫症 (Pulmonary lymphangioleiomyomatosis: LAM) は, 妊娠可能な女性の肺に平滑筋が異常に増殖する疾患であり, 診断は胸部CT, 胸腔鏡下肺生検, 剖検, 経気管支肺生検で行われてきた.症例は36歳, 女性.胸痛を自覚し, 近医を受診した.胸部X線写真で気胸と診断され当院紹介となった.胸腔ドレナージ後の胸部CTで肺野の多発性嚢胞陰影の散在, 血管気管支壁の不整は認めなかったが, リークは止まらず月経随伴性気胸も考慮し胸腔鏡を施行した.右上葉に微小嚢胞および細血管の増生を認め, 胸腔鏡下肺部分切除を施行した.病理学的には, 肺胞壁の破壊と平滑筋の異常な増生を認めた.SMAは陽性, HMB-45, エストロゲン・プロゲステロンレセプターは陰性であった.胸腔鏡所見と病理学的所見より, LAMの早期例として矛盾しないと考えられた.LAMの早期診断に胸腔鏡下肺生検は有用であった.
  • 武井 秀史, 坂本 和裕, 大森 隆広, 西井 鉄平, 前原 孝光, 河村 俊治
    2003 年 17 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸壁に発生したデスモイド腫瘍の3例を経験した.症例1は47歳男性.右側胸部のデスモイド腫瘍に対し胸壁切除術を施行した.術後12カ月目に局所再発を来たし, 再切除術を施行した.その後の経過は良好で初回治療から10年経過健在である.症例2は18歳女性.左肺尖部胸壁のデスモイド腫瘍に対し腫瘍切除術を施行した.腕神経叢浸潤を認め不完全切除となったため術後に60Gyの放射線治療を追加した.術後30カ月の現在無再発生存中である.症例3は49歳女性.右前胸部のデスモイド腫瘍に対し胸壁切除術を施行.術後12カ月の現在無再発生存中である.デスモイド腫瘍は局所再発を高率に認めることが治療上大きな問題になっている.十分な切除縁を持った広範囲切除が原則であるが, 不完全切除となった場合, 放射線治療の併用が有効と思われた.また, 局所再発例に対しても積極的な再切除が有効と考えられた.
  • 塩野 知志, 安孫子 正美, 内野 英明, 島貫 隆夫, 佐藤 徹
    2003 年 17 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性, 頚部腫瘤を主訴として受診した.精査にて甲状腺癌を疑われ, 胸部CTを行ったところ, 右S6に肺腫瘍を指摘された.CT下細胞診ではneuroendocrine cell tumorの診断であった.このため原発性肺癌と診断し肺葉切除を予定したが, 術直前の胸部CTにて肺腫瘍が縮小かつ板状に変形していた.このため術前日にCT下ポイントマーカー挿入を施行し, 甲状腺左葉切除及び胸腔鏡下肺部分切除を一期的に行った.迅速病理診断にて甲状腺腫瘍は高分化型乳頭状腺癌であり, 甲状腺左葉切除及び頚部リンパ節郭清が行われた.また肺腫瘍は迅速病理診断で悪性所見を認めなかったため, 胸腔鏡下肺部分切除を行った.術後病理組織診断では肺腫瘍は肺クリプトコッカス症であった.細胞診の結果が臨床所見との不一致をみる場合, 胸腔鏡下肺生検は積極的に行われるべきと考えられる.
  • 須藤 泰裕, 対馬 敬夫, 須藤 武道, 山田 芳嗣, 畑中 亮, 小柳 雅是, 福田 晃也, 高谷 俊一, 福田 幾夫
    2003 年 17 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    鈍的外傷による頸部気管不完全断裂の手術例を経験した.症例は55歳男性, 林道工事中ブルドーザーとともに崖下に転落し全身各所を強打した.当科搬送後ただちに気管支鏡誘導下に気管内挿管し, 翌日気管再建術を施行した.頸部気管は輪状軟骨と第1気管軟骨との間で前壁と後壁の一部を除き約2/3周にわたり断裂しており, 同部を吻合した.術後は喉頭浮腫が遷延したものの縫合不全や吻合部狭窄を認めず良好に経過した.鈍的外傷による頸部気管損傷は気管気管支外傷の中でもまれなものであるが, 迅速な気道確保が行われれば比較的救命率の高い外傷である.自験例を含めた本邦報告例に関し, 損傷部位や症状の特徴, 初期治療や再建術などにつき文献的検討を加え報告した.
  • 藤原 清宏, 安光 勉, 中川 勝裕, 門田 嘉久, 福原 謙二郎
    2003 年 17 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 女性.胸部X線像上, 左肺門部に腫瘤陰影を指摘され, 当院を紹介された.胸部CT像では左前縦隔と前胸壁に接する肺腫瘤影がみられた.経皮肺針生検で悪性所見はなかったが, 悪性腫瘍も否定できなかった.肺梗塞を疑い手術適応とした.深部静脈血栓症の加療歴があったので, 術前に肺梗塞の予防を目的にGreenfield下大静脈フィルターを留置した.左上葉切除術を施行し, 切除肺の病理組織検査で肺梗塞と診断された.術後合併症なく順調に経過している.肺梗塞の症例で, 下大静脈フィルタターを留置しなかった場合, 術後再発が報告されている.術前のフィルター留置は, 肺梗塞の再発予防のため有用と思われた.
  • 伊藤 重彦, 中村 昭博, 田村 和貴
    2003 年 17 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    厚いpeelを有する非結核性急性膿胸に対して, 胸腔鏡下に膿胸壁と臓側胸膜間の剥離を優先した後に肥厚したpeelを安全に切除するアプローチ法 (膿胸腔外側アプローチ法) を行ったので手技と有用性について報告する.症例は59歳と52歳の男性で, それぞれ膿胸発症から38日, 17日目に胸腔鏡手術を施行した.術前から2例とも膿胸壁肥厚が疑われ, 直接膿胸腔に到達するアプローチでは肥厚したpeelのために十分な肺剥皮が困難と考えられた.膿胸壁と臓側胸膜の間を剥離し, 膿胸腔の外側から膿胸壁全体を確認したのち安全に切除した.厚いpeelを有する急性膿胸であっても, 膿胸壁と接する臓側胸膜剥離が可能であれば胸腔鏡手術は十分成功する.
  • 瀬川 正孝, 草島 義徳
    2003 年 17 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は75才男性.検診で右下肺野の嚢胞性病変を指摘され当院を受診した.右肺S10に主座をおき, 超鶏卵大で, ニボーを伴う単房性の嚢胞性陰影を認めた.嚢胞壁は厚く不整であり, 所々で乳頭状かつ腫瘤状に嚢胞内腔へ突出していた.B10からのTBLBにて腺癌が得られたため, cT2 N0 M0の腺癌の診断で右肺下葉切除とND2a郭清を施行した.病理組織学的には, 嚢胞は内腔が多列線毛上皮に被覆された気管支嚢胞で, 嚢胞壁には乳頭状腺癌と気管支肺胞上皮癌, 上皮内腺癌, 種々の程度の異型上皮が認められた.これより癌の中心性壊死によって嚢胞性変化が起こったのではなく, 既存の肺内気管支嚢胞を背景に発生したpT2 N0 M0 stage IBの乳頭状腺癌であると診断した.肺内気管支嚢胞における不整な壁肥厚や腫瘤の存在などの異常所見は, 癌の合併の可能性を示唆しており, それが証明された場合には根治的切除が必要である.
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