日本呼吸器外科学会雑誌
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17 巻, 7 号
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  • 谷村 信宏, 神田 裕史, 川平 敏博, 上谷 幸代
    2003 年 17 巻 7 号 p. 710-714
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺動静脈瘻 (以下PAVF) を伴ったRendu-Osler-Weber症候群の1家系, 5症例を経験した.症例1の多発性PAVFに対して瘻核出術及びコイル塞栓術の併用, 症例2は単発性の小動静脈瘻で部位的にコイル塞栓術困難であるため経過観察, 症例3はコイル塞栓術, 症例4は肺部分切除とコイル塞栓術の併用, 症例5は右S6区域切除術を行った.PAVFに対しては瘻が小さくても積極的に治療を考慮すべきであるが, 良性疾患であること及び再発を考慮し, 経カテーテル的塞栓療法を第一選択とし, 手術が必要な場合も瘻核出術などの肺機能を温存する縮小手術を行うべきである.
  • 坂尾 幸則, 桜木 徹, 武田 雄二, 冨満 信二, 夏秋 正文, 伊藤 翼
    2003 年 17 巻 7 号 p. 715-720
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1995年12月より2002年11月までに, 非小細胞性原発性肺癌にて標準的手術 (肺葉切除+ND2a) が施行された症例128例を術前に自己血貯血 (400m1) を行った77例 (A群) と貯血のない51例 (B群) に分類し, 術後合併症や予後との関係を比較検討した.同種血輸血回避率はA群: 93.5%, B群: 80.4%でA群が有意に (P=0.03) 同種血輸血を回避できた・また・術後の最低ヘモグロビン値でもA群の10.89/dlに対しB群は10.29/dlと有意差 (P=0.03) を認めた.一方, 術後の合併症, 手術関連死亡率では両群間に差を認めなかった.術後の5年生存率では, 全体でA群が70.0%, B群が72.2%と差を認めなかった.術後病期1期に限ってみてもA群で78.6%, B群で78.9%と差を認めなかった.本法は肺癌手術患者において同種血輸血回避に有用かつ安全な方法と考えられる.
  • 竹内 幸康, 明石 章則, 小田 知文
    2003 年 17 巻 7 号 p. 721-724
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の男性, 主訴は反復する喀血.胸部CTで左肺底区の肺動脈欠損, 左肺下葉の血管陰影の増強, 下行大動脈から起始する異常動脈の存在より肺底動脈体動脈起始症と診断し手術を施行した.異常動脈の切離と左肺下葉切除術を完全鏡視下に行った.肺底動脈体動脈起始症に対する胸腔鏡下手術は低侵襲で有用と考えられた.
  • 高橋 修, 中村 憲二
    2003 年 17 巻 7 号 p. 725-728
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は29歳女性.咳噺, 発熱を主訴に近医受診し, 気管痩による頸部膿瘍と診断された.抗生剤の投与とドレナージで経過観察されていたが, 治癒しないため当院に紹介入院した.精査の結果, 気管瘻を伴った気管支嚢胞と診断, 嚢胞切除及び気管瘻閉鎖術を施行した.術後経過良好にて退院し, 現在気管支嚢胞, 気管瘻の再発無く経過している.術前に, 気管瘻を伴うことを診断した気管支嚢胞の症例は稀であるので報告する.
  • 成田 久仁夫, 今泉 宗久, 上田 裕一, 岩波 洋
    2003 年 17 巻 7 号 p. 729-734
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.突然の喀血を主訴に来院.緊急内視鏡検査により右B1からの持続性出血を確認し, 経内視鏡的止血操作及び気管支動脈塞栓術を行ったが止血出来ず, 右上葉切除術を施行した.術後第2病日に気管支断端瘻の合併を確認したが, 全身状態も不良であったことから再手術は施行せず, 左片側肺のIPPVを開始した.しかし, 広範な吸引性肺炎と右中下葉無気肺の発生により, 呼吸状態は急速に悪化した.右無気肺の再膨張を図るために, 10Frシリコン管の先端を右中間幹に誘導留置して, 右中下葉肺にHFJVを開始, 左肺にはIPPVを継続しつつ左右肺独立換気を施行した.同換気法開始直後より右中下葉肺は再膨張して呼吸状態は著しく改善し, 2日目に左肺を, 翌日には右肺もHFJVから完全に離脱し得た.急性呼吸不全を呈した術後気管支瘻合併症例の呼吸管理には, HFJV併用による左右肺独立換気法が有用であった.
  • 四方 裕夫, 上田 善道, 野口 康久, 松原 純一
    2003 年 17 巻 7 号 p. 735-739
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術後1年6ヵ月の64歳, 男性.退院後の通院中に胸部異常陰影を指摘され, 経過観察中に陰影の増大を認めた.症状はなく, 血液検査に異常なく, 胸部CTで縦隔に7cmの腫瘤と67Gaシンチで同部に強い集積を認めた.抗凝固剤をワーファリンよりヘパリンに代えてVATSを行った.術中病理で悪性腫瘍を疑い, 胸骨正中切開に変更した.左無名静脈を一時的に切離, 腫瘤を完全切除した後再建した.組織病理・組織免疫学的検討で転移腫瘍は否定され, 原発性胚細胞腫 (精上皮腫) と判明し, 浸潤・転移はなかった.術後経過は順調で退院し, 約1ヵ月後にBEP療法 (Cisplatinum, Etoposide, Bleomycin) を施行した.白血球数400/μl (好中球20%) の骨髄抑制が生じたが, G-CSF投与により正常化して退院した.現在元気に通院中である.
  • 真栄城 兼誉, 高森 信三, 寺崎 泰宏, 三輪 啓介, 福永 真理, 中村 寿, 林 明宏, 坂本 照夫, 白水 和雄
    2003 年 17 巻 7 号 p. 740-746
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    横隔膜破裂は従来左側に多く, 右側例は稀であるとされている.しかし近年では右側受傷の報告が増加している.今回我々は2000年9月から2001年11月にかけ右側横隔膜破裂の4手術例を経験した.全例交通外傷にて久留米大学高度救命救急センターに搬入され, 肝臓の胸腔内への陥入を伴っていた.アプローチは開胸法が2例, 開腹法が1例, 開胸+開腹法が1例であった.受傷早期では腹腔内の臓器損傷を確認するため開腹法を選択し, 待機手術例では肺との癒着を想定し開胸術を選択した.受傷早期に手術を行ったのは2例で, 他の2例は循環動態の安定を待って手術を行った.いずれの症例も術後経過良好にて退院した.横隔膜損傷はそれ自体が予後に影響する可能性は少なく, 呼吸状態が保てれば循環動態が安定した慢性期に手術を行うことが安全であると思われた.
  • 前田 亮, 長谷川 誠紀, 吉村 誉史, 中川 正嗣, 和田 洋巳
    2003 年 17 巻 7 号 p. 747-750
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は21歳男性.1999年の検診時に右下肺野の異常陰影を指摘された.その後, 腫瘤影が増大傾向を示したため, 2002年10月7日精査加療目的で当科へ紹介受診となった.胸部CT上右下葉に3.5×7cmの境界明瞭な腫瘤影を認めた.全身検索にて, 転移を示唆する所見は認められなかった.10月29日右下葉切除術, ND2a郭清術を施行した.腫瘍は7×3.5×3.5cmで黄白色, 充実性, 弾性硬で被膜を有していた.病理組織診断にて肺原発平滑筋肉腫と診断された.胸部画像診断で, 辺縁が明瞭な腫瘤影が増大する場合, 肺原発平滑筋肉腫の可能性も考慮し, 切除術を含めた確定診断を急がねばならない.
  • 永島 明, 田嶋 裕子, 吉松 隆, 大崎 敏弘
    2003 年 17 巻 7 号 p. 751-755
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    多形性腺腫は唾液腺においては頻度の高い腫瘍であるが, 気管原発の多形性腺腫は非常に稀である.我々は気管原発の多形性腺腫症例を経験したので報告する.患者は45才, 女性.前医で気管腫瘍の診断にて気管支鏡下に生検が行われ, その翌日高度の呼吸困難のため当院緊急入院となった.局所麻酔下にNd-YAGレーザー焼灼後, 腫瘍を越え気管内挿管を行い, 気管の管状切除を行った.病理診断は一部に異型性を示す多形性腺腫であった.術後経過は良好で, 術後6年経過した現在も無再発生存中である.
  • 村岡 昌司, 赤嶺 晋治, 高橋 孝郎, 田川 努, 生田 安司, 井上 征雄, 矢野 洋, 橋爪 聡, 田川 泰, 岡 忠之, 永安 武
    2003 年 17 巻 7 号 p. 756-761
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    69歳, 女性.慢性肺気腫による低酸素血症のため在宅酸素療法導入後に, 1期肺癌を疑う径1.2cmの腫瘤が発見された.肺機能的には一秒率26.6%, 一秒量410mlと高度閉塞性肺障害を有し, 肺切除術の危険性は極めて大きかったが, 肺気腫として臨床的に肺容量減少手術の適応を有し, 腫瘤がそのtarget areaに存在していたため肺切除可能と判断した.胸腔鏡補助下に小開胸併用で左下葉の約30%を切除した.病理学的には肺腺癌で, 肉眼的にリンパ節転移や切除断端の遺残を認めず, IA期と考えられた.術後肺機能の低下はほとんどなく, 日常生活では在宅酸素療法を離脱して良好なQOLが得られている.高度閉塞性肺障害を有する肺癌患者でも, 慎重に手術適応を検討することにより, 安全に外科切除が可能であると考えられた.
  • 川上 万平, 時津 浩輔, 森田 琢也, 橋本 隆彦, 林 哲也, 佐々木 進次郎
    2003 年 17 巻 7 号 p. 762-765
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腺腫が心・大血管系に直接浸潤することは少なくないが, 大量の心嚢液貯留による心タンポナーデを初発症状として発見されることはまれである.今回, 心タンポナーデを初発症状として発見された浸潤型胸腺腫の2例を経験した.症例1は63歳男性, 主訴は咳噺, 動悸, 症例2は59歳女性, 息切れ, 動悸を主訴に来院.胸部X線写真で両者とも心陰影の拡大を認めたが, 腫瘤影は確認されなかった.胸部CTでは大量心嚢液と前縦隔に腫瘤影を認めた.症例1は手術により可及的な腫瘍の摘出を行なった.リンパ球優位の胸腺腫であった.症例2は経皮生検にて胸腺腫と診断された.遠隔転移を認めたため化学・放射線治療を施行した.心タンポナーデに対する迅速な対応と集学的治療により予後の改善が期待しうるものと考えられる.
  • 森 毅, 吉岡 正一, 小林 広典, 渡邉 健司, 岩谷 和法, 川筋 道雄
    2003 年 17 巻 7 号 p. 766-770
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は14歳, 男性.8歳時に左S6の肺動静脈瘻を指摘され, 経カテーテルコイル塞栓術を受けた.経過良好であったが, 6年後CT上, 再発が疑われた.精査にて, 左S6に大きさ4cmおよび右S2に大きさ5mmの肺動静脈瘻が発見された.CT, DSAでは, 左S6に, 3本の流入血管と2本の流出血管を有する瘻を認めた.その内の1本は肺底区静脈に還流していた.頭部MRIでは脳梗塞等を思わせる所見は認めなかった.手術はまず胸腔鏡下に右S2の病変を部分切除した.体位変換後, 左側方開胸をし, 下葉S6および葉間面に血管怒張が著明で, 左肺葉切除が必要と判断した.切除に際し, 血管処理および葉間形成に残存コイルの悪影響はなかった.なお, 周術期合併症は認めなかった.手術によりPaO2は, 術前73.7mmHgから術後94.2mmHgに上昇し, 肺内シャントの改善が認められた.塞栓療法後の再発性肺動静脈瘻は, 一般的な再手術と同様, 肺実質温存が難しい場合があり, 手術選択には注意が必要である.
  • 妻鹿 成治, 糸井 和美
    2003 年 17 巻 7 号 p. 771-776
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    びまん性悪性胸膜中皮腫にて胸膜肺全摘術を施行した最近の3例に対し, 術後局所再発予防に重点を置いた治療を行い, 良好な結果を得ているので報告する.3例はいずれも上皮型のびまん性悪性胸膜中皮腫 (Stage Ib~III) で, 胸膜肺全摘術を施行した.術後約1ヵ月目と6ヵ月目に胸腔鏡下で胸腔内のフィブリン塊を郭清すると共に, 低浸透圧性シスプラチン灌流温熱化学療法: hypotonic cisplatin treatmentを施行した.退院後は, テガフール, ウラシル配合薬 (UFT) の内服に加え, 定期的にアドリアマイシン (ADM) +シスプラチン (CDDP) の胸腔内注入を行っている.3例はそれぞれ術後約4年7ヵ月, 4年2ヵ月, 2年6ヵ月が経過したが, 再発を認めず経過良好である.
    びまん性悪性胸膜中皮腫は予後不良の疾患であり, 手術成績も良好とは言い難い.胸膜肺全摘術後, 胸腔内郭清を行い, フィブリン塊等を取り除く事は, 以降の抗癌剤胸腔内注入をより効果的にし, 術後の局所コントロールに有効で, 予後の向上につながると考えられる.
  • 森田 琢也, 立花 秀一, 川上 万平, 時津 浩輔, 橋本 隆彦, 林 哲也, 茨木 利彦, 佐々木 進次郎
    2003 年 17 巻 7 号 p. 777-781
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の男性・胸部打撲の既往はない.中間気管支幹を閉塞する扁平上皮癌症例で, CT上N2のリンパ節腫大や胸水貯留を認めた.骨シンチグラムにて右第4肋骨にのみ帯状集積を認め, MRIでも転移を示唆する所見であったため骨転移陽性と診断したが, 手術により肋骨の転移は否定された.骨シンチ, MRI, 血中ICTPなどいずれも骨転移の確定診断を得る十分な検査法ではなく, 臨床的M1: 骨とされるもののなかに手術の適応となるfalse positive例が含まれていることに留意すべきと考えられた.
  • 松本 勲, 小田 誠, 吉田 政之, 澤 重治, 藤井 奨, 斉藤 健一郎
    2003 年 17 巻 7 号 p. 782-786
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    腫瘍のほとんどがグリコーゲンの豊富な淡明胞体を有する原発性肺癌を経験したので報告する.症例は73歳, 男性.von Recklinghausen病.肺癌検診で胸部X線写真上, 右下肺野に異常陰影を指摘された.胸部CT検査では右肺S9を中心に径約5cmの胸壁に接する不整形腫瘤が存在した.超音波ガイド下肺針生検で多量のグリコーゲンを有する淡明な細胞質を有する癌細胞が検出された.腎癌の転移を疑い精査するも肺以外に病変がなく, 原発性肺癌の診断で手術を施行した.手術は右肺下葉切除およびND2aリンパ節郭清を行った.組織学的には細胞質と核は大型で多核細胞も認めた.ほとんどは淡明な胞体を有する細胞が占めていた.細胞間橋や角化あるいは管腔形成はなく, 一応淡明細胞癌像を示す肺原発大細胞癌であると診断した.肺の淡明細胞癌は独立した組織型とする意義を疑わしいとされており, 幾種類かの組織型が混在している可能性がある.
  • 高周波スネアによる周辺組織への熱変性を中心に
    三好 立, 奥村 栄, 佐藤 之俊, 中川 健
    2003 年 17 巻 7 号 p. 787-793
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 高周波スネアによる腫瘍切除を行った後に根治術を施行したため, スネアの生じた熱の腫瘍切除部周辺組織への影響を術中に確認し得た気管原発腺様嚢胞癌の1例を経験した.症例は62歳, 女性.主訴は労作時の呼吸困難気管腫瘍の診断で当院紹介受診となる.気管支鏡検査で声帯より5.5cm尾側の気管右側前方から内腔に突出する直径10mmの広基性隆起性病変を認めた.気道確保と確定診断を目的として, 高周波スネアによる腫瘍切除を施行した.病理組織学的に腺様嚢胞癌と診断され, 切除断端癌陽性であったため, 二期的に根治を目的に気管切除術を施行した.内視鏡的腫瘍切除部は気管外膜側より変性した気管軟骨とその周辺の小指頭大の瘢痕として確認された.さらに, 右反回神経がその瘢痕に巻き込まれていたため, 同神経の剥離温存操作にやや苦慮したものの温存できた.本例では, 高周波スネアの発する熱は周辺組織へ少なからず影響を与えることが確認され, 高周波スネアによる腫瘍切除を行う際は, スネアの出力, 通電時間, 目的病巣へのスネアの掛け方等を考慮し, 切除部周辺組織への熱変性を最小限におさえる工夫が必要である.
  • 田中 壽一, 井内 敬二, 松村 晃秀, 奥村 明之進, 田村 光信, 後藤 正志, 出口 寛
    2003 年 17 巻 7 号 p. 794-797
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    患者は50歳の女性.1996年7月に肺癌の診断で左肺上大区域切除および縦隔リンパ節郭清術を施行, 病理診断は高分化型腺癌, stage IAであった.外来通院中の2001年8月の胸部CTスキャンにて左舌区断端の縫合線上に腫瘤陰影を認めたため, 肺癌局所再発を疑い気管支鏡検査を行ったが診断が付かなかった.2001年10月に開胸術を施行した.腫瘤は, 前回手術の舌区断端のステイプル上にあり, S6と癒着していた.直視下の針生検で膿をみとめ結核菌陽性であったため, S4, S6部分切除を行った.術後, 抗結核療法を行っている.肺癌手術時のCTスキャンや切除標本を再検しても陳旧性も含め結核を疑わせる病巣は認めなかった.画像上, 明らかな病巣を認めない微小な初感染病巣が切除断端の創傷治癒遅延やステイプルの異物反応により増悪したと推測された.
  • 菊池 慎二, 岡崎 洋雄
    2003 年 17 巻 7 号 p. 798-802
    発行日: 2003/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性.5歳時, 結節性硬化症 (TS) と診断された.1999年8月, 両側気胸を発症し, 胸部CTで両側肺野に多発する小粒状影と隔壁の薄い小嚢胞状陰影を認めた.胸腔鏡下両側肺部分切除術を施行し, 病理学的にPulmonary lymphangioleiomyomatosis (LAM), Multifocal micronodular pneumocyte hyperplasia (MMPH) と診断した.術後ホルモン療法を施行したが, 左右合わせて7回の気胸を再発し, 胸腔鏡下に両側の再手術を施行した.その際嚢胞の新生が予想される部位に吸収性メッシュを被覆, フィブリン糊を散布し積極的に再発防止を図った.現在まで気胸の再発は認めていない.
    本症例はTSに伴う肺病変としてLAMとMMPHを併発した稀有な症例である.LAMは反復する気胸をしばしば合併するが, その治療法の検討を含めて報告する.
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