症例は14歳, 男性.8歳時に左S
6の肺動静脈瘻を指摘され, 経カテーテルコイル塞栓術を受けた.経過良好であったが, 6年後CT上, 再発が疑われた.精査にて, 左S
6に大きさ4cmおよび右S
2に大きさ5mmの肺動静脈瘻が発見された.CT, DSAでは, 左S
6に, 3本の流入血管と2本の流出血管を有する瘻を認めた.その内の1本は肺底区静脈に還流していた.頭部MRIでは脳梗塞等を思わせる所見は認めなかった.手術はまず胸腔鏡下に右S
2の病変を部分切除した.体位変換後, 左側方開胸をし, 下葉S
6および葉間面に血管怒張が著明で, 左肺葉切除が必要と判断した.切除に際し, 血管処理および葉間形成に残存コイルの悪影響はなかった.なお, 周術期合併症は認めなかった.手術によりPaO
2は, 術前73.7mmHgから術後94.2mmHgに上昇し, 肺内シャントの改善が認められた.塞栓療法後の再発性肺動静脈瘻は, 一般的な再手術と同様, 肺実質温存が難しい場合があり, 手術選択には注意が必要である.
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