日本呼吸器外科学会雑誌
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18 巻 , 2 号
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  • 福原 謙二郎, 中川 勝裕, 塩野 裕之, 門田 嘉久, 出口 寛, 安光 勉
    2004 年 18 巻 2 号 p. 88-92
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    同側肺内転移を伴った肺癌切除例 (以下pm (+) 例) の予後推定に役立てるべく, 当科での89例 (pm1: 65, pm2: 24) につき, 種々の臨床因子をretrospectiveに検討した.pm1, 2例の3, 5年生存率は各々28.9%, 14.2%と26.6%, 21.3%で両群間に有意差を認めなかった.pm (+) 例を生存期間3年以上群 (n露22) と未満群 (n=67) にわけ比較したところ, CEA値, p-n因子について両群間に有意差を認めた.多変量解析でもp-n因子 (p=0.020), CEA値 (p=0.049) が独立予後因子であった.pm (+) 例のうち, CEA値正常かつp-n 0例 (n=20) の5生率は50.7%で, IB期, II A期手術例 (同: 53.3%, 47.1%) と同程度で, III B期手術例 (同: 9.4%) より有意に予後良好であった.また, 89例中61例で術後再発し, うち53例は遠隔転移で, そのうち肺内転移が56.6% (同側: 対側=13.3: 86.7) と最多であった.以上より, pm (+) 肺癌においては, CEA値, p-n因子が有意な独立予後因子で, 肺内転移の存在のみでIII B期以上とするのには問題があると考えられた.
  • 北村 泰博, 清水 信義, 青江 基, 伊達 洋至, 永広 挌, 安藤 陽夫
    2004 年 18 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を用いた死体ドナーからの同種凍結保存気管移植実験を行い, 1年間以上の長期保存気管が生着するかどうか, 実験的に検討した.雑種成犬の胸部気管7軟骨輪を循環停止直後に摘出し, 保存液内において, -80℃ で保存した.凍結保存期間を2ヵ月以上6ヵ月未満の群 (n=13), 6ヵ月以上1年未満の群 (n=4), 保存期間が1年以上の群の3群 (n=5), にわけて, 同所性に移植し, その生着率を比較検討した.
    グラフトの評価は原則として移植2ヵ月後に摘出し評価した.凍結保存期間が2ヵ月以上6ヵ月未満の群は13例中12例が生着した.6ヵ月以上1年未満の群は, 4例中4例, 全例が生着した.凍結保存期間1年以上の群は5例中4例が生着した.以上結果より, 犬同種凍結気管移植において, 1年間以上凍結保存した気管でも生着可能であり, 将来は気管バンクで長期保存が可能であることが示された.
  • 福原 謙二郎, 中川 勝裕, 阪口 全宏, 岩崎 輝夫, 安光 勉
    2004 年 18 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺癌術後の予後因子としての喫煙の影響を明らかにするために, 病理病期I期肺癌切除例579例を対象として, 以下の検討を加えた.生存期間を目的因子とし, 年齢, 性, IA, B期の別, 術前と術後の循環器呼吸器系合併症の有無, 喫煙係数 (Brinkman Index: 以下B.I.), 組織型の7項目を共変量としてCoxの比例ハザードモデルによる単変量, 多変量解析を行った.単変量解析では, 7項目全てが有意な共変量であった.多変量解析 (ステップワイズ法) では, 年齢, A, B期の別, 術前合併症の有無, 喫煙係数の4項目が有意な独立予後因子で, 喫煙係数はHazard ratio 2.007で, 年齢に次いで予後への影響が大きかった.多喫煙群 (B.I.≧400) の予後は, 少喫煙群 (B.I.<400) に比し有意に不良であったが, 他病死を打ち切りとすると, 二群間に差は認めなくなった.他病死の内訳は肺炎, 呼吸不全等の呼吸器系疾患44例, 続発癌33例, 心筋梗塞, 脳卒中等の循環器系疾患24例, その他21例であった.
    以上より, I期肺癌切除例においては, 年齢, 病理病期, 術前循環器呼吸器系合併症の有無, 喫煙係数の4項目が有意な独立予後因子で, 喫煙係数は年齢に次いで影響が大きかった.この対象群では予後の差は他病死によるものと考えられた.
  • 最相 晋輔, 中田 昌男, 澤田 茂樹, 佐伯 英行, 栗田 啓
    2004 年 18 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1996年1月より2002年12月までに当施設にて切除した80歳以上の高齢者肺癌26例を対象に, 術後合併症・予後について検討した.26例中24例は術前に併存疾患を有し, 13例に呼吸機能障害を認めた.また10例に他悪性疾患の既往を認めた.手術術式は標準手術 (肺葉切除以上) が17例, 縮小手術が9例 (区域切除5例, 部分切除4例) であった.縮小手術群は全例臨床病期IA期であった.術後合併症を11例 (42.3%) に認め, 標準手術群で有意に多く (p=0.036), 1例 (3.8%) が呼吸不全で在院死した.全症例の3年生存率は74.0%であり, 両術式間で生存率に有意差はなかったが, 標準手術群で良い傾向が認められた.的確な術前評価による手術適応及び術式の選択と厳重な周術期管理により, 手術は安全に施行でき, 予後も期待できる.また標準手術が困難なhigh-risk症例であっても, IA期であれば縮小手術により比較的良好な予後が得られる可能性が示唆された.
  • 高野 真吾, 川村 健, 金古 裕之, 奥芝 知郎, 直江 和彦, 加藤 紘之
    2004 年 18 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性, 胸痛を自覚し受診.胸部X-pにて右血気胸と診断, 胸腔ドレーンを挿入したところ, 1200mlの暗血性胸水の流出を認めた.胸部X-p, 胸部CTにて右上葉に結節影を認めた.血気胸に対し胸腔鏡下手術を行った.壁側胸膜に古い出血点を確認.肺尖部のブラの直下に径1.5cmの結節性の腫瘍を認め, 腫瘍も含む右肺尖部分切除術を施行した.術後病理組織検査にて大細胞癌の診断となり, 初回手術2週後に開胸にて右上葉切除術を施行した.術後Vindesine (VDS), Cisplatin (CDDP) による化学療法を2クール施行.術後1年10ヵ月経過した現在再発徴候なく健在である.血気胸を契機に原発性肺癌が発見される例はまれである.肺癌に合併する気胸に関して若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 麻田 博輝, 武田 伸一, 澤端 章好, 井上 匡美, 奥村 好邦, 前田 元, 平野 博嗣
    2004 年 18 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    穿破を伴った縦隔奇形腫2例を経験し, その病因, 臨床像との関連に文献的考察を加えて報告した.
    症例1は35歳女性.発熱, 胸痛を主訴として, 胸部CT上径5cmの充実性前縦隔腫瘍を指摘された.CT上周囲への浸潤所見を認め, 悪性腫瘍との鑑別が困難であったため生検を行ったが, 確定診断にはいたらなかった.摘出術を施行し, 成熟奇形腫の肺穿破と診断した.症例2は49歳女性.軽度の血痰, 咳噺が続き胸部X線上肺炎を疑われ, 内科的治療を受けていた.胸部CTを行ったところ前縦隔に嚢胞状腫瘤陰影, その周囲にスリガラス状間質性陰影を認めた.奇形腫の肺穿破が疑われたが症状は血痰, 軽度の咳嗽のみであった.腫瘤摘出術, 病理組織学的検索により成熟奇形腫の肺穿破と判明した.縦隔奇形腫においては明らかな肺穿破にもかかわらず軽微な症状のみで経過する症例もあり, 本疾患では多彩な臨床症状を呈することを念頭において診断にあたることが必要である.
  • 加藤 智栄, 河野 和明, 久我 貴之, 平田 健, 林 雅太郎, 八木 隆治, 野村 敏
    2004 年 18 巻 2 号 p. 120-123
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 男性, 左小胸筋下から第一肋間を貫通し胸腔内に発育した腫瘤の切除目的で入院となった.左襟状切開に第3肋間までの胸骨正中部分切開を加え前胸壁側と胸腔内から剥離を進めて腫瘍を完全切除した.病理組織診断はInfiltrating typeのintramuscular lipomaであり, 砂時計型経胸壁型成人脂肪腫と診断した.砂時計型経胸壁型成人脂肪腫は本邦で3例の報告が認められるのみである.本腫瘍は再発の可能性があるため脂肪腫といえども完全切除が必要である.また, 今回用いたアプローチは前胸部上部の胸壁内外に存在する腫瘍切除に有用と考えられた.
  • 儀賀 理暁, 井上 芳正, 高浪 巌
    2004 年 18 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.1999年6月, 咽頭癌, 食道癌に対して放射線治療後, 右開胸食道全摘後縦隔胃管再建を施行.2001年11月, 閉塞性肺炎を発症.改善後に再検した胸部CTにて左肺門部に腫瘤を認め, 肺扁平上皮癌と診断.2002年4月, 左肺全摘+心膜合併切除術と肋間筋による気管支断端被覆を施行.7月に気管支断端瘻を発症したが, fibrin glueと抗生剤投与で保存的に治癒.10月, 口腔内と頚部リンパ節再発に対する化学療法施行中に気管支断端瘻が再発.気管支鏡下にfibrin glue-coated collagen fleeceを二重に貼付し瘻孔を閉鎖した.肺全摘術後気管支断端瘻は致死率の高い重篤な術後合併症の一つであるが, 本症例では再発性気管支断端瘻の内視鏡的な閉鎖に成功した.
  • 松原 寛知, 高橋 渉, 水谷 栄基, 長阪 智, 井上 秀範, 桜井 裕幸, 喜納 五月, 窪田 健司, 吉井 新平, 松本 雅彦
    2004 年 18 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.AFP産生胃癌と大腸癌の重複癌術後に, 肝転移と両側肺転移を来たした.肝部分切除後, 全身状態良好で肺以外に転移を認めなかったため, 2回にわたり, 肺部分切除術を施行した.切除肺の病理標本でAFP染色が陽性であり, 胃癌の肺転移が証明された.肺転移切除後, 高値であったAFP, CEAは低下した.胃癌の肺転移は一般に癌性リンパ管症の形が多く, 腫瘤影を認めるものは稀であり, また肺転移を病理学的に証明することは比較的困難であるが, 本症例においてはAFP産生胃癌であったためにそれを証明することができた.
  • 後藤 正司, 岡本 卓, 中野 淳, 中島 尊, 桝屋 大輝, 劉 大革, 亀山 耕太郎, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性.64歳時に右乳癌にて右胸筋温存乳房切除術を受けた.病理病期はstage IIで, 術後DMpC療法 (5'-DFUR: 800mg, MPA: 800mg, CPA: 100mg) を施行中であった.
    2003年1月16日, 胸部CTで左S8にspicula, notchを伴う小結節陰影の出現を認めた.結節陰影の増大を認め, またFDG-PETで, 左S8の結節陰影に一致して集積を認め, 精査目的で, 2003年3月24日当科へ入院した.
    CT下肺生検では確定診断に至らず, 2003年4月23日, 胸腔鏡補助下肺生検を施行し肺クリプトコッカス症と診断された.
    腫瘤陰影を呈する肺クリプトコッカス症のCT所見は肺癌と類似し, PETでも陽性を示すことがあるため画像上の鑑別は困難である.
  • 岩田 尚, 丸井 努, 白橋 幸洋, 福本 行臣, 梅田 幸生, 小久保 光治, 高木 寿人, 森 義雄
    2004 年 18 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺門リンパ節から発生した孤立性髄外性形質細胞腫の1例を経験した.症例は59歳, 男性.近医にて健康診断のために施行された胸部X線写真上, 左肺門部の孤立性結節陰影を指摘され入院した.胸部CT, MRI検査, T1シンチ検査にて肺癌, 肺門部悪性リンパ腫が疑われた.確定診断を目的として左開胸を施行したところ, 腫瘍は左主肺動脈にまたがっており, 肺動脈形成とともに左上葉切除術, リンパ節郭清を施行した.免疫組織学的検索も含めた病理組織から肺門リンパ節より発生した形質細胞腫 (IgG-κ型) と診断した.術後全身検索を行ったが, 特に異常所見を認めず, 肺門部リンパ節原発の形質細胞腫と診断した.術後化学・放射線補助療法を行わず, 術後4年経過したが再発を認めていない.
  • 渋谷 祐一, 岡林 孝弘
    2004 年 18 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腺癌と肺腺癌の同時性重複癌症例を経験したので報告する.症例は65歳女性.胸部違和感を訴え, 胸部X線写真にて右第1弓の突出を認めた.胸部CT検査で, 前縦隔腫瘍および右下葉S10の結節影を指摘された.左鎖骨上窩リンパ節腫大を認め, 生検にて未分化癌の転移と診断された.胸骨正中切開にて両側頸部および両側縦隔郭清を行い, 拡大胸腺摘出術, 右上葉肺の一部と心膜を合併切除した.肺病変は胸腔鏡補助下に右下葉S10区域切除を施行した.胸腺はlarge cell neuroendocrine carcinomaであり, 肺病変は径1.7cmの高分化腺癌であった.胸腺癌と肺癌の重複癌症例の報告は, 本邦では自験例を含め3例のみであり, きわめて稀と考えられた.
  • 上林 孝豊, 大野 暢宏, 寺田 泰二
    2004 年 18 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    背景: 副甲状腺嚢腫は通常, 前頸部腫瘤として見つかり, 縦隔内のものは稀である.
    症例: 症例は, 44歳男性.胸部X線写真上, 気管の左方への偏位が認められ, 胸部CTとMHを撮影したところ, 甲状腺右葉下極から気管右外側に沿って中縦隔に至る60×25×20mm大の難を認めた.胸骨上縁においた約5cmの皮膚切開と縦隔鏡にて摘出した.嚢腫内容液の副甲状腺ホルモンは2930pg/mlと高値を示し, 病理組織学的に副甲状腺嚢腫の診断を得た.結論.頸部切開のみでは摘出困難と思われる縦隔内副甲状腺嚢腫に対しては, 開胸や胸骨正中切開を選択する前に, 縦隔鏡も検討すべきと思われる.
  • 井上 匡美, 澤端 章好, 武田 伸一, 小間 勝, 徳永 俊照, 前田 元
    2004 年 18 巻 2 号 p. 149-153
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    術前導入治療 (IT) 後の複数レベルN2の遺残症例は切除後の予後が極めて悪い.我々はIT施行後の肺切除術適応症例を選別するために同時縦隔鏡+診査胸腔鏡 (MS+WS) を行い, 病理学的根拠に基づいた再病期診断を始めたのでそのpilot caseの4例を報告する.年齢は56-70歳, 男性3例, 女性1例.組織型は全例腺癌.c-N2の診断方法は診査胸腔鏡が1例, 経気管支針吸引細胞診が1例, CTが2例.ITは化学療法+放射線照射併用が3例.化学療法単独が1例.MS+VATSにより3例では縦隔リンパ節転移を認めず根治手術が行われたが, 多発縦隔リンパ節転移を認めた1例は肺切除術非適応となった. MS+VATSは的確なIT後病期診断に有用な可能性がある.
  • 梶本 政樹, 天白 宏典, 馬瀬 泰美, 佐藤 友昭
    2004 年 18 巻 2 号 p. 154-158
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は80歳, 男性.持続する高熱のため近医受診し, 腎盂腎炎を疑われ, 抗生剤による治療を施行されていた.改善傾向なく, 胸部CT検査にて左胸腔に肺を圧迫する6×10cmの低吸収域を認め, 膿胸の診断にて当科へ紹介された.直ちに胸腔ドレーンを挿入, 排液は膿状で, 培養検査では大腸菌が検出された.その後ドレーンより持続洗浄施行するも, 菌の減少をみず, 転院27日目開窓術 (左第7, 8肋骨切除) を施行した.開放創より洗浄を続け, 徐々に菌量の減少を得た.術後36日目には全身状態改善し, 根治目的に膿胸腔内大網充填, 有茎広背筋皮弁を施行した・その後膿胸の再燃なく, 呼吸機能も保持されている.開窓術後102日目, 既存の四肢外傷後後遺症のリハビリ目的に他院へ転院した.難治性膿胸に対し, 二期的手術を施行し, 良好な結果を得たので報告した.
  • 能勢 直弘, 小舘 満太郎
    2004 年 18 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.胸部CT異常を指摘され来院.CTで径3×2cmの前縦隔腫瘍を認めた.また血清腫瘍マーカーを測定したところCA19-9が116.7U/mlと高値を示していた.胸腺腫を疑い, 胸腺, 胸腺腫摘出術を施行した.病理組織学的にはnon-invasive thymoma, 正岡分類I期, WHO分類におけるType B2 thymomaと診断され, 悪性所見は認めなかった.免疫染色では腫瘍細胞にCA19-9の散在を認め, CA19-9産生胸腺腫と考えられた.術後肝, 胆, 膵, 消化管の精査を行ったが異常は認めなかった.術後, 血清CA19-9値は低下し, 術後15日目には14.3U/mlと正常化した.
    CA19-9は消化器系癌で高値を示すことが多いが, 胸腺腫でも上昇する症例がある.本症例においては血清CA19-9が術後再発のマーカーとなる可能性が示唆された.
  • 佐藤 純, 管野 隆三, 藤生 浩一, 鈴木 弘行, 塩 豊, 樋口 光徳, 大杉 純, 後藤 満一
    2004 年 18 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    顕在化した慢性結核性膿胸が横隔膜を越えて炎症が波及し肝膿瘍を併発したと推察された稀な症例を経験したので報告する.症例は76歳男性.30歳時に右肺結核に対し人工気胸術の既往がある.38度台の発熱が出現し近医を受診.胸部単純レントゲン検査で, 右肺野の透過性の低下を認めた.胸部CTにて右肺の萎縮と石灰化を伴う厚い被膜に覆われた嚢胞性病変を認めた.19日後, 腹部CTにて右胸腔から横隔膜窩, 肝右葉に連続した低濃度域が出現し, 肝膿瘍を合併した慢性結核性膿胸と診断した.経皮経肝膿瘍穿刺ドレナージを行ったが発熱が持続したため, 胸腔ドレナージを追加した.その後解熱したが, 気漏が持続した.肝膿瘍, 膿胸腔いずれからも起炎菌を検出できなかった.大網・広背筋弁充填術, 胸郭形成術を施行した.術後4年の現在, 膿胸, 肝膿瘍の再発を認めていない.
  • 椎名 隆之, 西村 秀紀, 濱中 一敏
    2004 年 18 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は16歳, 女性.左胸痛が出現し, 胸部異常陰影を指摘されて紹介された.胸部X線で左中下肺野に11.5×10cmの嚢胞性病変と縦隔の右方偏位を認め, 胸部CTでは左S8, 9, 10に肺内の嚢胞性病変とその周囲肺組織に一部無気肺を認めた.胸腔鏡補助下左肺底区域切除術を施行した.大きさ8cm, 正常肺との境界不明瞭な嚢胞性病変で中枢側が分離閉塞し末梢側に分岐した気管支を認めた.組織学的には嚢胞壁は細気管支腺上皮よりなる小嚢胞と嚢胞間に介在する肺胞組織で構成され, 小嚢胞は附属腺や軟骨組織がなくcongenital cystic adenomatoid malformation (type I) と診断した.本疾患は新生児期から始まる呼吸困難として発見されることが多く, 思春期以降の症例はまれであるが, 肺嚢胞性病変を認めた場合本疾患も念頭に置くべきであると思われた.
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