日本呼吸器外科学会雑誌
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18 巻, 4 号
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  • 福原 謙二郎, 中川 勝裕, 安光 勉
    2004 年 18 巻 4 号 p. 516-520
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1976年9月から1998年12月までに, 当院において術前胸部CTにてc-N2 (縦隔リンパ節の短径≧10mm) と診断され, 縦隔鏡検査を施行した原発性肺癌200例中, 陰性であった症例は67例であった.うち引き続き根治術を行った59例の既往歴および採取リンパ節の病理組織所見, ならびにc-N2症例の縦隔鏡検査成績をretrospectiveに検討した.縦隔鏡検査の陽, 陰性の別と, 術前CTでの腫大縦隔リンパ節station数との関連をみると, 縦隔鏡陽性例の方が, 腫大station数が有意に多かった.59例のp-n因子の内訳はn0: 31例, n1: 18例, n2: 10例で, CTにてc-N2と診断された症例の83.1% (49/59) において, 縦隔鏡検査を施行することによりN2の診断を否定できた.n0, n1例のうち, 9例で閉塞性肺炎, 4例でそれぞれ肺結核, 肺非定型抗酸菌症, 塵肺, 間質性肺炎を合併していた.また, 採取リンパ節の病理組織学的検索にて, 珪肺性変化を6例, サルコイド反応を3例, 結核性変化を1例認めた.その他の26例 (53.1%) では, 術前にリンパ節腫大を来しうる誘因を有していなかった.n2例のうち, 縦隔鏡到達可能域 (#1, 2, 3, 4, 7浅部) での偽陰性例は2例で, c-N2, 縦隔鏡施行例のsensitivityは97.7%, specificityは100%, accuracyは98.4%, negative predictive valueは94.9%, positive predictive valueは100%であった.以上より, c-N2でただちに手術非適応としたり, 導入治療を行うことは妥当ではない.非到達域の存在という弱点も有するが, 質的診断には縦隔鏡検査が有用である.
  • 山下 芳典, 向田 秀則, 宮原 栄治, 清水 克彦, 峠 哲哉
    2004 年 18 巻 4 号 p. 521-526
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    末梢型の原発性肺癌を想定し, ブタの肺の末梢に蛍光ビーズ (Fluorescent polystyrene latex microspheres, Polyscience Inc.) を注入して, リンパ管, リンパ節の描出を試みた.右上葉へ注入した際には右気管気管支リンパ節が, 右下葉へは2回のうち1回は右主気管支周囲リンパ節が, 左上葉へは大動脈下の主気管支周囲リンパ節が, 注入後30分以内に蛍光を発した.検討した7回のうち6回 (86%) において所属リンパ節の1個から数個が標識可能であった.その特長としては, 数分後にセンチネルリンパ節に向かう輸入リンパ管が描出された後に, 蛍光ビーズはリンパ節に集積した.anthracosisをきたしたリンパ節の割面においても明瞭に斑点状に認められたが, リンパ節の線維性被膜の表面からは集積しているかの判定に難渋することがあった.投与した蛍光ビーズのほとんどは摘出標本内に残存しているものと考えられた.
  • 不成功2例を含む25例の検討
    木下 貴裕, 鈴間 孝臣, 重里 政信, 前部屋 進自, 櫻井 照久, 平井 一成, 吉増 達也, 尾浦 正二, 岡村 吉隆
    2004 年 18 巻 4 号 p. 527-531
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸部手術後に肺表面から気漏が持続することがある.このような症例に対して, 造影剤添加希釈フィブリン糊の大量胸腔内注入療法を考案し, 良好な成績を得ているので報告する. 方法は, フィブリン糊15mlを造影剤と生理食塩水にて4倍希釈を行ない, レントゲン透視下に体位変換を行ないながら, 胸腔内に注入する. 現在まで25例の難治性肺瘻に対して, 本法を行なった. 結果は, 1回の注入で気漏が止まったのは20例. 2回の注入で止まったのは3例だった. 2回注入したが気漏が止まらず, 再手術をしたのが2例だった. 再手術をした2例は, 気漏の原因が切除面からではなく, 残存肺のブラが破裂したもので, 再手術前に十分に気漏部位を評価していれば, 成功したのではないかと考えられる症例であった. 以上より, 本法は, 簡便かつ有効な治療法であり, 再手術前に試みても良い方法と考える.
  • 有用性および失敗例の検討
    倉橋 康典, 大久保 憲一, 長 博之, 佐藤 寿彦, 五十部 潤, 上野 陽一郎
    2004 年 18 巻 4 号 p. 532-537
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸部手術における有茎性大網充填術の有用性を検討した. 対象は1998~2001年に胸腔内へ大網充填を施行した23例 (男19, 女4, 平均65.1才) で, 膿胸気管支瘻19例 (慢性10, 術後6, 術後遠隔期気管支瘻3), 非感染性胸腔瘻2例 (肺1, 食道1), 気管支断端予防的被覆2例であった. 膿胸19例中有瘻16例で, 大網充填の時期は開窓後11例, ドレナージ感染制御後5例, 活動感染下3例であった. 膿胸19例中15例 (78.9%) で腔感染を制御できた. 失敗の主原因は大網の血行障害と感染の残存であった. 非感染性肺瘻症例及び予防的使用の2例は奏功, 食道瘻症例は失敗した. 腹部合併症は2/23例 (8.7%) で, 小腸穿孔1例, 拘扼性イレウス1例で腸切除を要した. 大網充填術は膿胸や瘻孔性疾患において有用であるが, 失敗や合併症も見逃せない. 大網虚血に留意した操作が必要で, 膿胸に対しては感染制御後に行うことが望ましい.
  • 非圧挫把持型の有用性について
    澤端 章好, 奥村 好邦, 麻田 博輝, 井上 匡美, 武田 伸一, 前田 元
    2004 年 18 巻 4 号 p. 538-542
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺組織把持様式の異なる圧挫把持型 (圧) と非圧挫把持型 (非圧) 自動縫合器の肺癌部切における断端悪性陽性率を比較検討した.開胸下に肺部分切除で摘出した非小細胞肺癌37例の肺組織断端を細胞診 (run-across法) および組織診で判定し, 自動縫合器, 腫瘍最大径 (MTD), 断端からの距離 (MD), 腫瘍のリンパ管侵襲の有無, 腫瘍の場所を共変量とした.圧群19例, 非圧群18例で, MTD, MD, 腫瘍の場所では両群間で有意差はなかったが, 腫瘍のリンパ管侵襲の有無は圧群6/19 (31%), 非圧群3/18 (16%) (p=0.04), 断端悪性陽性は圧群9/19 (53%), 非圧群2/18 (11%) (p=0.013) であった.ロジスティック回帰による単変量解析では自動縫合器とリンパ管侵襲に統計学的に優位差があり, 多変量解析でも独立因子であった.非圧挫把持型自動縫合器の悪性断端頻度は低く, 断端再発を起こしにくい可能性がある.
  • 坂口 幸治, 西村 嘉裕, 堀尾 裕俊, 森山 裕一, 桑原 克之
    2004 年 18 巻 4 号 p. 543-546
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性, 前胸部痛を主訴として受診した.胸部CTでは胸骨と前縦隔に腫瘤を認め, 針生検にて未分化癌の診断であった.前縦隔腫瘍の胸骨転移と診断, 他に明らかな転移は認めず, 完全切除可能と判断した.手術は胸骨尾側1/2と心外膜部分切除, 左肺上葉部分切除, 左腕頭静脈切除を伴った腫瘍を含む胸腺全摘術を施行した.骨性胸郭欠損部再建には有茎腹直筋弁を用いた.病理診断は未分化型胸腺癌であった.術後補助療法として化学療法と放射線療法を施行した.術後2年目に右脛骨転移を認め, 放射線療法を施行, 完全寛解を得た.その後新たな再発はなく手術後6年健在である.
  • 阪本 仁, 小阪 真二, 高橋 剛士, 宮本 信宏
    2004 年 18 巻 4 号 p. 547-551
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例: 症例1は44歳女性. 白血病化学療法後の発熱を伴う胸部腫瘤に対し, 抗生剤による治療と, CT上の特徴から肺アスペルギルス症を疑い, 抗真菌剤の治療を継続するも腫瘤の縮小を認めず, 右下葉切除および胸壁合併切除を施行した. 症例2は73歳女性. 白血病化学療法後の肺炎・胸膜炎に対し, 抗生剤・抗真菌剤による治療を施行するも, 気胸を伴う胸腔内感染を生じた. 右S8部分切除膿胸剥皮術を施行した. 術後, 両症例とも肺アスペルギルス症と病理診断され, また, 重大な合併症無く感染を制御できた. 外科的切除は治療の選択肢となり得ることが示唆された.
  • 山本 英希, 松島 申治, 清水 一雄
    2004 年 18 巻 4 号 p. 552-556
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性, 右肺癌の診断で, 肺全摘除およびリンパ節郭清を行った.組織学的に低分化腺癌と診断されたが, 大細胞癌も混在していた.術後, 心窩部痛を訴え胃内視鏡検査を行い, 胃体下部大弩に頂部がやや陥凹した隆起性病変を認めた.内視鏡的粘膜切除で低分化な癌細胞が証明され, 肺癌術後2ヵ月目に胃転移の疑いで開腹した.術中, 空腸にも腫瘤を認め幽門側胃切除術と小腸部分切除術を行った.組織学的に, 主に粘膜下層以深に大細胞癌を認め, 肺癌の胃および小腸転移と診断された.胃切後2ヵ月で脳転移が明らかになり, その後, 骨および肝転移も出現, 肺癌術後8ヵ月で死亡した.
    消化管転移をともなう肺癌はまれであるが, 予後不良であり, 慎重に治療方針の決定を行うことが重要と思われた.
  • 工藤 明敏, 森田 克彦
    2004 年 18 巻 4 号 p. 557-562
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ゲフィチニブは進行NSCLCに対し, 唯一日本のみで承認市販されている分子標的薬剤である. 高い奏効率を有し当初は重篤な副作用が少ないといわれたが, ILD発生が市販後判明した.本症例はゲフィチニブ開始後51日目で咳, 労作時呼吸困難が生じ, 人工呼吸管理およびステロイドパルス療法を施行したが, 症状発現後50日目に死亡した.症状発現5日後の胸部エックス線所見では, 両側肺全体にびまん性濃度上昇が出現しスリガラス様であり, 間質性肺炎と診断した.手術時肺にはUIPが, 剖検時肺には器質化したDADが認められた. 2003年3月ゲフィチニブのILDに関する専門家会議最終報告が発表された. ゲフィチニブ開始後2ヵ月間は頻回の聴診と胸部エックス線, CTチェックが必要である. 今後致死率の高いILDの発現機序を明らかにするとともに, ゲフィチニブのresponder/non-responder選択法の検索を行い, 効率のよい個別化医療が望まれる.
  • 上林 孝豊, 大野 暢宏, 高橋 剛士, 乾 健二, 寺田 泰二
    2004 年 18 巻 4 号 p. 563-566
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は, 39才男性.検診にて胸部異常影を指摘され, 当科受診.以前よりvon Recklinghausen病の診断を受けていた.胸部レントゲン写真において大動脈弓に接する腫瘤影を認め, 胸部MRIでは, 大動脈弓付近に左迷走神経の走向に一致する8×4×3cm大の腫瘤影を認めた.以上より, 神経原性腫瘍 (特に迷走神経由来) を考え手術を施行した.腫瘍は迷走神経の反回神経分岐部付近から発生していた.腫瘍を完全切除するために, 迷走神経と反回神経を切断し腫瘍を摘出した.腫瘍は, 8×4.5×3cm, 充実性で, 割面は乳白色であった.病理組織学的検査にて, 神経線維腫と診断され, 悪性所見は認めなかった.以上よりvon Recklinghausen病に合併した胸腔内迷走神経発生の神経線維腫と診断した.
  • 高橋 剛士, 宮本 信宏, 小阪 真二
    2004 年 18 巻 4 号 p. 567-569
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 男性.脳梗塞の既往があり, 同後遺症にて寝たきりの状態であった.右気胸再発を認めたため他院より搬送され, 胸腔ドレナージ術を開始した.肺瘻による気漏が遷延するため2回の胸膜癒着術を行ったが十分な肺の再膨張を得られず, 持続性の気漏を認めた.第8病日目に局所麻酔下に人工気腹術を行った.術後直後より横隔膜は挙上し, 気腔及び気漏の縮小が得られた.術後4回の胸膜癒着術を行い, 術後14日目にドレーンを抜去することができた.特記すべき周術期合併症は認めなかった.十分な肺膨張が得られない難治性の肺瘻症例に対して人工気腹術が有効であったと考えられた.
  • 術前診断及び術式決定が困難であった一切除例
    尾本 健一郎, 平野 純, 佐藤 之俊, 奥村 栄, 中川 健, 石川 雄一, 松原 敏樹
    2004 年 18 巻 4 号 p. 570-577
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    後縦隔腫瘤として発見され, 原発部位の診断が困難であった食道原発gastrointestinal stromal tumor (GIST) に対し食道切除術を施行. 腫瘍細胞の染色体異常が証明された. 症例は58歳, 男性. 無症状. 検診の胸部X線写真で異常陰影を指摘されるも放置. 1年後, 検診で再度異常陰影を指摘され当科受診. 胸部CT上, 後縦隔右側に中~下部食道, 右肺, 気管, 左右主気管支に接し奇静脈を外側に圧排する最大径13cmの腫瘍を認めた. 平滑筋腫, 神経鞘腫, 平滑筋肉腫, 悪性神経鞘腫, 悪性線維性組織球腫等を考慮し, 後縦隔腫瘍と診断し手術を施行した. 術中所見から腫瘍は食道原発GISTを考え, 食道亜全摘, 右肺部分切除, 奇静脈, 迷走神経合併切除術にて完全切除し得た. 組織学的に腫瘍は不規則に配列した紡錘形細胞よりなり, 食道筋層内に連続していた. 免疫染色で筋原性及び神経原性マーカーが陰性, CD34とc-kitが陽性を示し, 食道原発のGISTと診断した. 核分裂像は2個/400倍50視野に認められたのみであったが, 染色体解析にて核型は47-48, XY, +mar1×2 [cp6] /47-48, idem, add (5) (p15) [cp4] であり, 悪性化に関与するとされる5pの増幅を認めた. 腫瘍径が10cm以上であることと合わせ, 本腫瘍はmalignant potentialを有する可能性が示唆された.
  • 井上 征雄, 母里 正敏
    2004 年 18 巻 4 号 p. 578-581
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    19歳の女性が交通事故による左肋骨骨折, 骨盤骨折, 左血胸, 肺挫傷, 左腎および脾臓損傷などの多発外傷で当院に入院した.血胸は胸腔ドレナージ持続吸引で軽快したが, 8日目に左乳糜胸となり, 低脂肪食で軽快した.28日目に胸腔チューブを抜去して, 43日目に軽快退院したが, 受傷2ヵ月後に心嚢内血液貯留を来たし, 心嚢ドレナージで軽快した.受傷4ヵ月後より心窩部痛, 嘔気が出現し, CT検査で横隔膜ヘルニアの診断が得られたため, 緊急開胸手術を行い, 胃および大網の一部を腹腔内へ還納した.鈍的胸部外傷による横隔膜破裂には, 稀ではあるが, 乳糜胸や心嚢破裂を伴う可能性があることを, 胸部外傷の診療にあたる者は認識しておかなければならない.
  • 野田 雅史, 三井 匡史, 箕輪 宗生, 保坂 智子, 高橋 里美, 半田 政志
    2004 年 18 巻 4 号 p. 582-586
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は17歳男性. 2003年7月中旬より, 湿性咳漱および発熱を認め近医受診し, 胸部X線, 胸部CT上前縦隔に巨大な異常陰影を認め, 当院紹介となった. 胸部CT, MRIにて前縦隔に巨大な腫瘍を認め, 経皮生検にても確定診断がつかず, 急速に呼吸状態の悪化を認め, 心タンポナーデをきたした. このため緊急回避的にvolume reductionを目的とした腫瘍摘除術を施行した. 腫瘍があまりにも巨大で正中切開では腫瘍の心臓圧迫による突然死の危険性も高かったため, Clamshellアプローチにより手術を施行した. 術後病理組織診断にて縦隔原発び漫性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫と診断された. 術後呼吸循環状態は安定し, 約2週間で化学療法目的にて血液内科転科となった. Clamshe11アプローチは, 巨大縦隔腫瘍に対して安全且つ, 良好な視野がえられ, くわえて術後疼痛も比較的少ないため有用な手術アプローチと思われる.
  • 松田 安史, 星川 康, 佐渡 哲, 千田 雅之, 山中 澄隆, 須田 秀一, 菅原 崇史, 宮本 彰, 相川 広一, 遠藤 千顕, 岡田 ...
    2004 年 18 巻 4 号 p. 587-592
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は29歳, 男性. トラック運転中に居眠りをして大型トラックに追突, ハンドルで前胸部を強打した. 近医に搬送され気管分岐部裂傷の診断を得て, 当科に紹介された.気管支鏡検査上, 気管分岐部竜骨の左右主気管支接合部が損傷し直径約8mmの裂孔が認められた.受傷約24時間後に手術を開始.竜骨の損傷が比較的広範なため, 明らかな損傷部のみのdebridementと単純縫合閉鎖では術後縫合不全や肉芽性狭窄の危険性が高いと考え, 気管分岐部を切除しMontage型再建術を行った.術後, 気管・気管支吻合部合併症をきたすことなく良好に経過し第29病日に退院した.気管分岐部損傷に対する分岐部切除再建術の報告はこれまでないが, 竜骨の広範な破壊を伴う症例に対しては, 積極的にこの術式を考慮してよいと考える.
  • 西田 宗弘, 平井 一成, 粉川 庸三, 吉増 達也, 尾浦 正二, 別所 俊哉, 西村 治, 岡村 吉隆
    2004 年 18 巻 4 号 p. 593-596
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 女性. 咳嗽を主訴に当院を受診した. 胸部レントゲン及び胸部CT上, 左S6の3.5cm大の腫瘤と肺門リンパ節 (#10) 腫大を認めた. 腫瘤の気管支鏡下生検にて腺癌と診断され, 2001年10月31日, 手術を施行した. 左下葉切除とリンパ節郭清をおこなったところ, 腫瘤は中分化型腺癌 (P-T2NOMO stage IB) #10~12肺門リンパ節は小細胞癌 (P-TONlMO stage IIA) であった. 術後化学療法をおこない, 22ヵ月後の現在, 再発や新たな病変の出現を認めていない.
  • 高橋 修, 中村 憲二, 竹井 清純
    2004 年 18 巻 4 号 p. 597-601
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性.以前に非定型抗酸菌 (nontuberculous mycobacterium: NTM) 症と診断され, 化学療法にて加療されていた.2003年1月の診察時に胸部レントゲン上, 右上肺野に異常陰影が認められ経過観察されていたが, 縮小, 拡大を繰り返したため加療目的で入院した.入院時の胸部CTにて気管支分岐異常が認められた.気管支分岐異常にみられたNTM症の症例は稀であるので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 高尾 仁二, 矢田 公
    2004 年 18 巻 4 号 p. a1-a2
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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