日本呼吸器外科学会雑誌
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19 巻 , 2 号
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巻頭言
原著
  • 吉増 達也, 尾浦 正二, 平井 一成, 粉川 庸三, 谷野 裕一, 岡村 吉隆
    2005 年 19 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    【目的】 我々は肺癌化学療法の奏効率向上を目的として組織培養法抗癌剤感受性試験 (HDRA) を行っている. HDRAの検体採取を目的とした内視鏡下手術の意義について検討した. 【対象および結果】 induction therapy 7例, 手術不能25例, 再発1例の計33例. 術式は胸腔鏡下生検6例, 縦隔鏡下生検27例. 生検組織は原発巣5例, リンパ節27例, 肺転移巣1例. 7例で生検組織に癌細胞が無く26例でHDRAが施行された. 検査薬剤はCDDP, FU, ADM, MMC, DOC, VP16, CPT-11, GEM, PACの9剤より選択し, 5±2 (2-9) 剤が検査された. 4例は陽性薬剤がなかった. 20例で陽性薬剤を用いた治療が施行された. 画像上, 17例で治療効果が評価可能で, 奏効率は88%であった. 【まとめ】 内視鏡手術検体を用いたHDRAは肺癌化学療法の奏効率向上に寄与すると考えられる.
  • 永島 明, 下川 秀彦, 竹之山 光広
    2005 年 19 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    我々は肺切除後の肺瘻に対し壁側胸膜を用いた新しい肺瘻閉鎖術を考案し, 良好な結果を得ているので報告する. 自家壁側胸膜を採取し, 肺瘻部にフィブリン接着剤にて貼付した後に, 肺に数カ所縫合固定した. 1998年から2003年までの肺癌切除手術において癒着剥離や分葉不全などのために広範な臓側胸膜の欠損を伴い, 気瘻の閉鎖が困難な症例35例に本法を行ったが, 全例術中のair leakageは完全にコントロールされ, 術後もすべて24時間以内にair leakageは消失していた.
  • 下村 雅律, 島田 順一, 加藤 大志朗, 西村 元宏, 伊藤 和弘, 柳田 正志, 寺内 邦彦, 西山 勝彦
    2005 年 19 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    心房細動は肺切除術後にしばしば見られる合併症である. 今回はその発症原因に血清カリウム値が関与するかを中心に検討した. 術前から心房細動を合併していた症例を除く肺切除術134例中, 術後に心房細動を発症したのは19例 (14.2%) であった. 発症例と非発症例で比較すると平均年齢は非発症例の62.4歳に対し発症例は71.3歳と有意に高く (p=0.02), 男女比は非発症例の1 : 1に対し発症例は3.8 : 1と男性が多かった (p=0.03). 術中の水分出納は発症例の平均は+1389ml であり, 非発症例の平均+960ml より有意に多かった (p=0.002). 術後の血清カリウム値には有意差は認めなかった. 区域切除・部分切除例 (63例中3例 : 4.8%) と比較すると肺全摘・肺葉切除例 (71例中16例 : 22.5%) では有意に発生率が高かった (p=0.005). 肺切除術後の心房細動発症には血清カリウム値の低下は関与しないと考えられた.
症例
  • 篠原 博彦, 建部 祥, 倉岡 節夫
    2005 年 19 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は32才初産婦. 妊娠34週時に右自然気胸を発症し, 胸腔ドレナージを施行されるも改善しないため妊娠36週の時点で当院に転院した. 2回自己血胸腔内投与を行うも気瘻が持続するため, 妊娠37週時に胎児心拍数監視下に胸腔鏡下ブラ切除術を施行した. 術中・術後に母体・胎児共に特に問題は認めなかった. 一旦退院し, 妊娠40週時で経膣分娩にて健児を出産した.
    妊娠中に自然気胸を合併した場合, 妊婦と共に胎児への影響も考慮する必要があるが, 術中の胎児心拍数の監視を行うなどの注意深い管理を行うことにより安全に周術期を経過することができた.
  • 矢島 澄鎮, 卜部 憲和, 朝井 克之
    2005 年 19 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    Solitary fibrous tumor of the pleura (SFTP) の2症例を経験した. 症例1は54歳男性. 右下肺野の30×15mmの腫瘤影で, 3年間増大を認めなかった. 胸腔鏡下手術により表面平滑な有茎性腫瘤を切除した. 症例2は56歳女性. 右中肺野に62×40mmの腫瘤影を認め, SFTPと診断されていたが手術は行わず, 4年後には腫瘤は95×70mmに増大していた. 胸腔鏡補助下小開胸手術により表面平滑な有茎性腫瘤を切除した. 病理組織所見では2例とも臓側胸膜由来の良性のSFTPと診断された.
    SFTPは病理組織所見から予後を予見できないため積極的に手術を行うべきと考えた. また, 有茎性のSFTPは腫瘍基部から十分なマージンをとれるため胸腔鏡下手術の良い適応であると考える.
  • 辻 和宏, 池田 宏国
    2005 年 19 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は48歳 (1996年当時), 女性. 11歳時に肺結核の罹患歴がある. 約15年前から検診時に右中肺野に異常陰影を指摘されていたが放置していた. 1996年初め頃から咳および黄色の喀痰を認めるようになり, 9月当院内科を受診し胸部CTにて肺アスペルギルス症を疑われた. 喀痰培養では一般細菌, 真菌, 抗酸菌はすべて陰性, また血清抗アスペルギルス抗体, β-Dグルカンは陰性であった. 気管支ファイバーおよびCTガイド下生検でも有意の所見は得られなかった. 術前に確定診断を得られなかったが, 肺真菌症を強く疑い右S6区域切除術を行った. 病理組織所見では壊死組織の周囲に菌糸を認め, その菌糸はGrocott染色陽性でアスペルギルスより太く, 隔壁を有さず直角に分枝する特徴から肺ムコール症と診断した. 現在, 術後約8年を経過しているが再発を認めず健在である.
  • 荻谷 朗子, 増田 亮, 高島 正樹, 古畑 善章, 田中 勲
    2005 年 19 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性. 2001年5月より歩行時の胸痛を自覚していた. 10月の胸部単純写真で左肺門部腫瘤影を指摘され, CTと併せ左肺門部癌が疑われた. またトレッドミル検査で心電図上ST低下を認め, 冠状動脈造影を施行したところ冠状動脈狭窄を認めた. PTCAを施行したが狭窄部を通過せず, 冠状動脈バイパス術の適応であった. 肺全摘術中・術後の循環動態の安定を考え, 一期的にCABGと肺全摘術を行う方針とした. 胸骨正中切開でアプローチし, 人工心肺下で3枝バイパス術を行い, その後左肺全摘術・縦隔リンパ節郭清を行った. 術後出血を認めたが, 輸血により術後2日目には止血した. 病理は低分化腺癌pT1N1M0病期IIaであった. 術後2年6ヵ月経過したが再発は認めていない. 肺癌に対する早期治療という点で, 今後も虚血性心疾患合併肺癌症例において一期的手術も考慮されるべきと思われた.
  • 西井 鉄平, 武井 秀史, 前原 孝光, 角田 幸雄, 高梨 吉則
    2005 年 19 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 女性. 2003年1月, 咽頭痛と頭痛を主訴に受診した前医で胸部異常影を指摘され, 当院を紹介受診した. 胸部CT上, 右肺中葉S4に2cmの範囲で小結節影の集簇を認めた. 気管支鏡検査にて硬化性血管腫の疑いを指摘されたが確定診断まで至らず, 診断及び治療を目的として, 手術の方針とした. 同年2月, 胸腔鏡下に右肺中葉切除術を施行. 病理学的に硬化性血管腫と確定診断されたが, 多発性である上にtumorletを合併していた. 術後経過は良好で, 術後第4病日に退院した. 硬化性血管腫が多発性かつtumorletを合併していることは稀であり, 文献的考察を交えて報告する.
  • 水口 真二郎, 井上 清俊, 岩田 隆, 河田 安浩, 泉 信博, 月岡 卓馬, 森田 隆平, 末廣 茂文
    2005 年 19 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性. 主訴は咳嗽および両手関節痛. 末梢血液検査上, 好中球優位の白血球増多を認めたため, 血清G-CSF値を測定したところ98pg/ml と上昇していた. また胸部X線像上, 右肺下葉に径5cmの腫瘤陰影を認め, 気管支鏡下細胞診にて腺癌と診断された. 諸検査にてc-T2N0M0 stage IBと診断し右肺下葉切除術および縦隔リンパ節郭清術を施行した. 病期はp-T2N1M0 stage IIBであった. 切除標本の抗rhG-CSF抗体を用いた免疫組織化学染色は陰性であったが, 術後白血球数, 血清G-CSF値は正常化し, 関節炎症状も消失したため, 臨床経過よりG-CSF産生肺癌と診断した. 術後経過は良好で術後9ヵ月経過も関節炎症状を含め再発を認めていない. G-CSF産生肺癌の報告は近年増加しており, 自験例を含め本邦報告例92例の考察を加え報告する.
  • 木場 崇之, 岡本 俊宏, 水野 浩
    2005 年 19 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性. 発熱, 喀痰, 上腹部痛を主訴に当院内科を受診, CTで肝臓および肺内に空洞を伴う腫瘤を認めた. 肝膿瘍を疑い経皮ドレナージを施行し, 同時に空洞内の造影を行ったところ横隔膜を越えて気管支まで造影され, 肝気管支瘻と診断された. メトロニダゾールとフロモキセフを使用し炎症所見は改善したため, 肺膿瘍加療目的により当科転科となる. 肺病変部切除と瘻孔閉鎖を目的に開胸術を施行した. 手術は前方腋窩切開で開胸し, 病変の存在する中葉の切除を行った. 横隔膜からの瘻孔は癒着により閉鎖されており, その部分を脂肪織で被覆した. 術後は順調に経過し退院, 現在再発を認めず経過観察中である. 肝膿瘍による肝気管支瘻は本邦では稀な疾患であり, 抗生物質使用により炎症を沈静化し肺切除術を行いえた一例を経験したので報告する.
  • 小田 知文, 明石 章則, 竹内 幸康, 大隈 和英
    2005 年 19 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性. 検診で胸部異常陰影を指摘され, 胸部CTにて右肺動静脈瘻と診断された. 自覚症状は認めなかったが, 外科的切除を希望され当科を紹介され, 胸腔鏡下に瘻部のみの核出を施行した. 血管性病変である本疾患に対して, 胸腔鏡下に瘻部のみを切除し, 正常肺組織の切除を行わなかった本術式はより低侵襲な術式と考えられる.
  • 桂 浩, 井上 善文, 井内 敬二
    2005 年 19 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性. 1999年6月に直腸癌の手術既往がある. 感冒様症状を契機に近医を受診し, 胸部X線写真上異常陰影を指摘された. 胸部CT検査で右S4aに約25mm大の不整な腫瘤影を認め, 気管支鏡検査で, 中葉支入口部に一部有茎性の表在性隆起を認めた. 生検で両者とも腺癌との結果を得, 気管支内転移を伴った転移性肺腫瘍と診断した. 2004年3月に開胸術を行い, 気管支壁外浸潤所見, リンパ節転移を認めなかったため楔状中葉切除を行った. 気管支内転移は, 定義はいまだ曖昧であるが, 孤立性気管支内転移を伴った肺転移例は稀で, 切除可能例は少ない. 転移性肺腫瘍の治療方針決定に際しては, 症状の有無にかかわらず, 気管支鏡検査を実施すべきであると考える.
  • 小林 利子, 横須賀 哲哉
    2005 年 19 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は22歳男性, 右自然気胸にて16歳, 21歳時に胸腔鏡下肺部分切除の既往があり, 3回目の再発にて2003年4月来院した. 来院時, 発熱と全身倦怠感を認め, 黄色ブドウ球菌による膿胸を合併していた. 2週間の胸腔洗浄と抗生剤投与で全身状態の改善を図った後, 肺剥皮術を施行した. 術後もエアーリークが止まらず, 長期間ドレナージを必要とし, 第47病日軽快退院した. 過去2回の手術の肺尖部のステープルは, 摘出せず, 肺尖部が拡張して死腔がなくなるまでに時間がかかった.
  • 喜夛村 次郎, 大久保 憲一, 五十部 潤, 上野 陽一郎
    2005 年 19 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性. 53年前, 左肺結核に対し人工気胸術をうけた. 3ヵ月前から左側胸壁が腫脹し, 皮膚瘻を生じた. 画像上, 病変は左下胸腔内に充満, 横隔膜を圧排し胸壁外に突出していた. 結核性膿胸, 悪性腫瘍が疑われたが, 菌培養, 経皮生検とも陰性であった. 慢性出血性膿胸の診断にて開胸術を行うと, 長径24cm, 3000gの繊維性被膜を伴う充実性腫瘤が横隔膜を越え後腹膜腔内に達していた. 横隔膜とともに被膜ごと血腫を摘出し, ポリプロピレンメッシュにて横隔膜を再建して閉胸した. 術後の再発は認められていない.
  • 小野田 雅彦, 竹中 博昭, 田中 俊樹, 林 雅規, 濱野 公一
    2005 年 19 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は70才, 女性. 胸部X線写真で左中肺野の異常陰影を指摘されたため当院入院となった. 術前CT検査で左肺S4に胸膜陥入をともなう腫瘤陰影が認められ原発性肺癌を強く疑った. 気管支鏡検査では病理組織学的診断が得られなかったため, 胸腔鏡下に病変部の部分切除を行った. 術中迅速病理検査でbronchus-associated lymphoid tissue (BALT) lymphomaとの診断を得たため, 肺葉切除やリンパ節郭清は施行せず手術を終了した. 術後経過は良好で, 術後9ヵ月現在再発なく外来で経過観察中である. 術前画像診断のみで原発性肺癌を疑う場合, BALT lymphomaを鑑別疾患として念頭におくべきである.
  • 山田 徹, 石川 浩之, 千葉 渉, 人見 滋樹
    2005 年 19 巻 2 号 p. 150-155
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    左主気管支内過誤腫に対して気管支形成術を施行後, 末梢側気管支に扁平上皮癌が確認され左肺全摘術を余儀なくされた症例を経験した. 左主気管支膜様部に発生した気管支内過誤腫に対して, 膜様部をくりぬき気管支走行方向に対して長軸方向, 筒状に気管支を縫縮し, 気管支形成術を行った. 術後経過は順調で, 気管支狭窄もきたさなかったが, 術後5ヵ月目に気管支鏡で気管支形成部の末梢側に扁平上皮癌が確認された. 気管支内過誤腫と肺癌の合併の報告は本例も含め4例と稀である.
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