FDG-PETは胸部腫瘤性疾患の良悪の鑑別に有用である. しかし, 偽陽性を時に経験するため, その臨床病理学的特徴を明らかにすることは重要である. 症例1は57歳女性, 血痰にて発症. FDG-PETにて左下葉の腫瘤に一致してSUV 2.5の集積を認めた. 左肺腫瘤影の増大を認めたため, 悪性疾患を否定できず, 手術を施行した. 病理組織は硬化性血管腫と診断された. 症例2は56歳男性, 検診にてFDG-PETを施行し, 左肺門部に集積を認めた. CTにて左肺S
8に腫瘤影及び, 肺門リンパ節腫大を認めた. FDG-PETにて原発巣と思われる箇所には集積は認めなかったが, 左肺門部にSUV 4.3の集積を認め, 原発性肺癌を疑い, 手術を施行した. 病理組織は, 肺内病変はFibrous plaqueであり, リンパ節はmacrophageの集簇を伴う肉芽腫であり, sarcoid reactionと診断された. 症例3は71歳男性, 喀痰の増加を主訴とし, 左肺腫瘤影を認めた. 縦隔及び, 肺門リンパ節腫大は認めなかった. FDG-PETにて原発巣と思われる箇所には集積は認めなかったが, 葉間リンパ節, 大動脈下リンパ節腫大に集積を認めた. 原発性肺癌を疑い, 手術を施行した. 病理組織は異形の乏しい肺胞上皮の過形成であり, リンパ節では, 炭粉沈着を貪食したmacrophageの増生を認めた. 本邦においては肺癌の病期診断のおけるFDG-PET検査の臨床的な有用性は現在, 確立しておらず, 今後症例の蓄積が必要と思われる.
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