日本呼吸器外科学会雑誌
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19 巻, 5 号
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巻頭言
原著
  • 紺谷 桂一, 森 奈都実, 中野 淳, 垂水 晋太郎, 井貝 仁, 三崎 伯幸, 後藤 正司, 中嶋 尊, 桝屋 大輝, 劉 大革, 石川 ...
    2005 年 19 巻 5 号 p. 634-640
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    活性化自己リンパ球移入療法は自己のリンパ球をex vivoで増殖活性化し再びこれを癌患者の体内に戻すことによって癌の消退をはかる免疫治療である. 我々は再発転移肺癌患者に対して, 癌抗原MUC1を標的とした活性化自己リンパ球移入療法を施行した. 3例の治療患者のうち1例は治療後に抗原特異的細胞性免疫を獲得していた. 同患者は治療後, 全身倦怠感と食欲不振の症状軽減が認められた. いずれの患者においても, 腫瘍縮小や腫瘍マーカー値低下などの治療効果は認められなかった. 副作用として, 治療患者2例に発熱が, 1例に呼吸苦が出現したがいずれも軽度でかつ一過性であった.本治療は低侵襲であること, 癌患者に抗腫瘍免疫誘導が可能であることなどを考慮すると, 治療適応の見直しや培養技術のさらなる改良は必要と思われるが, 新しい分子標的治療として将来広く臨床応用されるものと期待できる.
  • 住友 伸一, 松岡 勝成, 林 栄一, 毛受 暁史, 前田 亮, 中島 成泰
    2005 年 19 巻 5 号 p. 641-644
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    1999年4月から2004年12月までに当科で肺癌以外に施行した縦隔鏡54例の成績について検討した. 51例は診断目的で, 縦隔リンパ節腫大の30例はサルコイドーシス15例, 非特異的腫大8例, 悪性リンパ腫6例, 塵肺1例であった. 縦隔腫瘍の11例は胸腺腫・胸腺癌5例, リンパ嚢腫2例, Castleman病, 食道癌, 卵巣癌の縦隔転移, 白血病の再発各1例と判明した. 転移性肺腫瘍6例と肺腫瘤4例は縦隔鏡検査で縦隔リンパ節に著変を認めず, 引き続き手術を施行し切除した. 3例は治療目的で, 縦隔鏡下の胸腺嚢腫および気管支原性嚢腫の摘出と降下性壊死性縦隔炎のドレナージであり, いずれも治癒した. 縦隔鏡の所要時間は29±9.4分で, 合併症は50mlまでの出血を2例に認めたいがいずれも圧迫止血した. 縦隔鏡は肺癌のN因子診断のみならず, 縦隔病変の診断や治療に有用である.
症例
  • 多久和 輝尚, 福瀬 達郎, 足立 匡司, 片倉 浩理, 川島 正裕, 阪井 宏彰, 花岡 伸治, 田中 文啓, 長谷川 誠紀, 和田 洋巳
    2005 年 19 巻 5 号 p. 645-650
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は13歳男性. 小児科で急性骨髄性白血病 (AML) の診断の際, 前縦隔から右胸腔全体を占拠する巨大な縦隔腫瘍を指摘されていた. AMLに対し化学療法, 骨髄移植を行った後, 縦隔腫瘍の摘出術を施行した. 右肺は腫瘍に強く圧迫されており, 含気がなく完全に虚脱していた. 腫瘍摘出後の膨張も不十分なままであり, 術直後より再膨張に伴う右肺水腫を考慮し, 早期からステロイド, 利尿剤を投与した. PEEP補助などの処置を行なったが, 術後2日目には対側肺水腫の併発が疑われ, 呼吸不全のため一時的に人工呼吸管理を必要とした. 再膨張性肺水腫は一般的に予後良好であるが, 本例のような対側肺水腫を併発する重症例も稀であるが報告されている. 長期にわたり肺虚脱があった場合, および化学療法後など, その発症が懸念される時は早期から人工呼吸管理を躊躇しない積極的な治療を行なう必要がある.
  • 渡辺 健寛, 小池 輝元, 今給黎 尚幸, 広野 達彦
    2005 年 19 巻 5 号 p. 651-655
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 男性. 30歳時に筋強直性ジストロフィーと診断された. 経過観察中の胸部X線写真で右縦隔異常影を指摘され, また軽度の呼吸困難と顔面浮腫も同時期に出現し, 当科紹介となった. 胸部CT, MRI検査で右上縦隔に嚢胞性の腫瘤を認め, 画像上, 良性腫瘍の可能性が高いと考えられた. 悪性所見の有無の確認と治療を兼ね, CTガイド下に穿刺・排液を行ったところ, 症状・所見ともに一時的に改善し, 細胞診では悪性所見を認めなかった. しかし, 症状・所見ともに数日で再燃した. 良性疾患の可能性が高いことと患者の希望を考慮し, 外科治療を行わない方針とし, CTガイド下に嚢胞内エタノール注入療法を行った. 治療後約4週間で腫瘤は縮小し, 画像上も確認できなくなり, 再燃を認めなかった. 良性の可能性が高い縦隔嚢胞の治療法として, 嚢胞内エタノール注入療法は有用であると考えられた.
  • 小林 成行, 木下 茂喜, 土肥 俊之
    2005 年 19 巻 5 号 p. 656-660
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は80歳, 男性. 胸部異常陰影を主訴に当科紹介となった. 胸部CTにて, 右S5bに径4cmの充実性腫瘤が認められた. 縦隔リンパ節の有意な腫大は認められなかった. 気管支内視鏡検査では確定診断が得られず, 胸腔鏡下中葉部分切除術を施行. 病理診断は, large cell neuroendocrine carcinoma (LCNEC) と腺癌が混在したcombined-LCNECであった. その後, 中葉切除・ND2aを追加したが, 癌の遺残, リンパ節転移は認められず, 術後病期はpT2N0M0, stage IBであった. 術後経過は良好で, 化学療法を施行せず退院し, 現在無再発生存中である. Combined-LCNECは検索し得た限りで世界で10例が報告されているに過ぎず, 文献的考察を加えて報告する.
  • 荒井 宏雅, 中山 治彦, 伊藤 宏之, 藤田 敦, 正津 晶子
    2005 年 19 巻 5 号 p. 661-664
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性. 胸部異常陰影を指摘される4ヵ月前より乾性咳嗽と両側の下腿浮腫, 関節痛が出現, また指趾のバチ状指を自覚するも放置していた. 健康診断で胸部異常陰影を指摘され当科を受診, 左下葉肺腺癌と診断した. 骨シンチグラムでは両大腿骨, 頸骨の骨皮質に沿った線路状の病的集積像を認め, 肺癌に伴ったMarie-Bamberger症候群と診断した. 左下葉切除後より膝関節痛は消失, 下腿浮腫も軽減した. 指趾のバチ状指や関節炎症状等を認めた際には, 常に本症を鑑別疾患の1つにおいて精査を進めていくことが重要である.
  • 能勢 直弘, 井上 政昭, 鬼塚 貴光, 小舘 満太郎, 安元 公正
    2005 年 19 巻 5 号 p. 665-669
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は57歳女性. 左胸部不快感を主訴に当院を受診. 胸部CTにて左下葉に腫瘤を認め, 気管支鏡下擦過細胞診にてadenocarcinomaの結果を得た. また腹部CTにて30mm大の左副腎腫瘍を認めた. 良性腫瘍が疑われたが血液検査でCEAが110ng/mlと高値であり, 肺癌の副腎転移が否定できないため, 一期的に左下葉切除 (ND2a) と経横隔膜的副腎摘出術を施行した. 副腎腫瘍は横隔膜直下に存在し良好な視野のもと容易に摘出することができた. 病理診断では無機能性副腎腺腫であった. 肺癌症例において術前に副腎腫瘤が認められた場合肺癌の副腎転移との鑑別が重要であるが, 困難なことが多い. また孤立性副腎転移の場合, 症例によっては両病変を切除することで根治性が得られることがある. 以上の理由から肺, 副腎の両病変を同側性に認めた場合, 肺手術と同一創から一期的に行える経横隔膜的副腎切除も考慮すべきであると考えられた.
  • 泉 陽太郎, 江口 圭介, 菊池 功次, 向井 万起男, 小林 紘一
    2005 年 19 巻 5 号 p. 670-673
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は16歳男性. 遷延する発熱と胸部単純レントゲン写真上右S10に無気肺が認められ入院となった. 気管支鏡検査で右B10を閉塞する腫瘍が見られ, 生検により顆粒細胞腫と診断された. 気管支鏡下レーザー焼灼を試みたが, 一部腫瘍の境界が不明瞭であったため右下葉切除を施行した. 切除した右下葉には閉塞性肺炎が見られ, また顕微鏡的に腫瘍は気管支壁を越えて進展していた. 以上の所見から葉切除は適切であったと考えられた. 現在術後9年を経過し再発の所見はない.
  • 喜夛村 次郎, 大久保 憲一, 五十部 潤, 上野 陽一郎
    2005 年 19 巻 5 号 p. 674-678
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性. 胃潰瘍にて近医通院中, 胸部写真にて右上縦隔の腫瘤影を指摘された. 胸部CT, MRI上, 右上縦隔に腕頭動静脈に接する辺縁整な腫瘤影が認められた. 上縦隔に発生した良性腫瘍の診断で摘出術が施行された. 頚部襟状切開および胸骨正中切開にて, 右鎖骨下動脈前面の反回神経分枝前の迷走神経の走行上に5×3×3.5cmの卵形の腫瘍が認められ, 迷走神経を切断して摘出した. 腫瘤は繊維性の被膜に包まれた, 弾性軟の充実性腫瘍で, 病理組織学的に, 神経鞘腫であった. 第4病日より嗄声が認められたが, その他の経過は良好であった.
  • 竹内 恵理保, 深見 武史, 佐野 厚, 中島 淳, 高本 眞一
    2005 年 19 巻 5 号 p. 679-682
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    62歳, 男性. 3年前に胸部CT健診にて15mm大の前縦隔腫瘍を指摘されたが, 腫瘍径が小さいため, 精査を行わずに経過観察された. しかし3年後CT上腫瘍径が20mmと若干増大したため手術を行った. まず左胸腔鏡下に腫瘍を切除し迅速診断を行った. 術前診断は被包型胸腺腫であったが, 病理診断は胸腺癌 (扁平上皮癌) であった. そこで胸骨正中切開下に拡大胸腺全摘+縦隔リンパ節郭清を追加した. 術後化学療法CDDP+ADM+CPA+VCRを4クールを施行し, 2年後の現在再発を認めない. CT健診の発達により, 微小縦隔腫瘍が指摘される症例が増えてきている. しかし本例のような場合もあり, 安易に経過観察に回すことなく, 積極的に確定診断をつけることを検討すべきである. これにより胸腺癌の早期発見・治療が可能となり, 予後が改善することが期待される.
  • 浦本 秀隆, 杉尾 賢二, 小野 憲司, 菅谷 将一, 吉松 隆, 花桐 武志, 安元 公正
    2005 年 19 巻 5 号 p. 683-688
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    FDG-PETは胸部腫瘤性疾患の良悪の鑑別に有用である. しかし, 偽陽性を時に経験するため, その臨床病理学的特徴を明らかにすることは重要である. 症例1は57歳女性, 血痰にて発症. FDG-PETにて左下葉の腫瘤に一致してSUV 2.5の集積を認めた. 左肺腫瘤影の増大を認めたため, 悪性疾患を否定できず, 手術を施行した. 病理組織は硬化性血管腫と診断された. 症例2は56歳男性, 検診にてFDG-PETを施行し, 左肺門部に集積を認めた. CTにて左肺S8に腫瘤影及び, 肺門リンパ節腫大を認めた. FDG-PETにて原発巣と思われる箇所には集積は認めなかったが, 左肺門部にSUV 4.3の集積を認め, 原発性肺癌を疑い, 手術を施行した. 病理組織は, 肺内病変はFibrous plaqueであり, リンパ節はmacrophageの集簇を伴う肉芽腫であり, sarcoid reactionと診断された. 症例3は71歳男性, 喀痰の増加を主訴とし, 左肺腫瘤影を認めた. 縦隔及び, 肺門リンパ節腫大は認めなかった. FDG-PETにて原発巣と思われる箇所には集積は認めなかったが, 葉間リンパ節, 大動脈下リンパ節腫大に集積を認めた. 原発性肺癌を疑い, 手術を施行した. 病理組織は異形の乏しい肺胞上皮の過形成であり, リンパ節では, 炭粉沈着を貪食したmacrophageの増生を認めた. 本邦においては肺癌の病期診断のおけるFDG-PET検査の臨床的な有用性は現在, 確立しておらず, 今後症例の蓄積が必要と思われる.
  • 桝屋 大輝, 後藤 正司, 中島 尊, 岡本 卓, 劉 大革, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2005 年 19 巻 5 号 p. 689-692
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は54歳, 男性. 左上葉原発c-T2N2M0 stage IIIAの扁平上皮癌に対し同時化学・放射線療法後に左上葉切除術 (ND2a) を施行した. 照射範囲であった残存左下葉S6を中心に放射線肺炎が出現し, ステロイドパルス療法を行った. その後病巣は空洞化し, 感染を伴い肺化膿症となった. 感染コントロールのため, 低圧持続胸腔ドレナージを行ったが肺瘻が続くため, 手術を行った. 開胸所見では膿気胸の状態であり, 肺剥皮術と術後胸膜癒着術も施行した. しかし肺瘻及び感染巣の沈静化には至らず, 全膿胸として胸郭形成術, 大網及び腹直筋遊離筋弁充填術を行った. 本症例は, 同時化学・放射線療法に手術を行い, そこに放射線肺炎から肺化膿症を合併し膿胸にまで進展した. ステロイド療法も加わり, 患者本来の治癒力が低下している状態であり, 治療することに難渋した症例であった.
  • 大杉 純, 管野 隆三, 藤生 浩一, 鈴木 弘行, 塩 豊, 樋口 光徳, 後藤 満一
    2005 年 19 巻 5 号 p. 693-696
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    術後16年で再発した乳癌胸膜転移の1例を経験した. 症例は71歳, 女性. 主訴は咳嗽. 16年前に定型的乳房切断術の既往がある. 胸部X写真にて右胸水の貯留を認め, 胸水細胞診を行うも陰性であった. 胸腔鏡補助下開胸胸膜生検で確定診断を得ることが出来た. 胸腔内化学療法とホルモン療法を施行, 術後4年7ヵ月現在胸水の再貯留及び他臓器転移を認めていない.
  • 森 奈都美, 笠井 由隆, 井貝 仁, 垂水 晋太郎, 中野 淳, 三崎 伯幸, 後藤 正司, 桝屋 大輝, 中島 尊, 劉 大革, 石川 ...
    2005 年 19 巻 5 号 p. 697-700
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性. 右背部腫瘤に気付き, 他院にて生検後, 平滑筋肉腫と診断され, 精査加療目的に当科紹介入院となった. 胸部CT, MRIにて腫瘍の大きさは20×15mmで, 右広背筋に局在すると判明した. 手術は, 頭側に5cm, 尾側に10cmの距離を取り, 広範筋筋膜と前鋸筋を含めて切除した. 術後, 50Gyの放射線療法を追加した.
    平滑筋肉腫は, 主に後腹膜や腸間膜に発生し, 皮膚や皮下組織に発生するものはまれである. 今回我々は, 広背筋に発生したまれな平滑筋肉腫の1例を経験した.
  • 森川 洋匡, 大久保 憲一, 早津 栄一, 小林 正嗣, 五十部 潤, 上野 陽一郎
    2005 年 19 巻 5 号 p. 701-704
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    21歳男. 主訴は胸痛. 胸部X線上左気胸を指摘され当院紹介となった. 入院後胸腔ドレナージを施行したが気瘻は改善せず, 胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した. 手術時間26分. 術中輸液バランスは+687ml. 術後第1病日体動時呼吸困難あり. 動脈血ガス分析でPaO2の低下がみられた. 胸部造影CTで右肺動脈内に一部欠損あり, 肺血流シンチで右下肺野に欠損像を認め肺塞栓症と診断した. ヘパリンとワーファリンによる治療で低酸素血症は改善し, 第6病日には酸素投与不要となった. 退院前の肺血流シンチで右下肺野の欠損像は消失していた. 肺塞栓症発症後の精査で抗カルジオピリン抗体陽性を示したが, 抗リン脂質抗体症候群の診断基準は満たさなかった. 低リスク若年者気胸症例においても術後肺血栓塞栓症に注意を要する.
  • 井貝 仁, 笠井 由隆, 森 奈都美, 垂水 晋太郎, 中野 淳, 三崎 伯幸, 後藤 正司, 枡屋 大輝, 中島 尊, 岡本 卓, 劉 大 ...
    2005 年 19 巻 5 号 p. 705-708
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性. 他科入院中の胸部HRCTにて, 左肺S4に径10mm大のground-glass opacity (GGO) を指摘された. 胸部HRCTにて経過観察されていたが, 徐々に内部濃度の上昇を認めた. 肺腺癌が強く疑われたため, 2004年6月22日, 診断・治療目的にて, 左肺舌区域切除術を施行し, 肺クリプトコッカス症と診断された.
    胸部HRCT上, 肺腺癌との鑑別が困難であった肺クリプトコッカス症の1例を経験した. 急速な変化を示すGGOは, 肺腺癌とともに肺クリプトコッカス症にも注意する必要がある.
  • 前田 亮, 住友 伸一, 松岡 勝成, 林 栄一, 毛受 暁史, 中島 成泰
    2005 年 19 巻 5 号 p. 709-712
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性. 2000年に他院で肝細胞癌のために拡大右葉切除を受け経過観察されていたが, 2002年7月より血痰を自覚した. 気管支鏡検査で右上葉支入口部に腫瘤が認められ, 生検により右上葉原発の肺癌 (大細胞癌) cT2N1M0 (stage IIB) と診断され, 手術目的で当科に紹介された. 2003年2月, 右上葉切除・リンパ節郭清術を施行し, 肝細胞癌の肺転移と診断した. 切除標本では, 転移巣が気管支腔内に進展しており, 肝細胞癌の肺転移でこのような発育形式を示したのは稀であると考えられた.
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