日本呼吸器外科学会雑誌
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19 巻 , 6 号
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巻頭言
原著
  • 福原 謙二郎, 尹 亨彦
    2005 年 19 巻 6 号 p. 718-722
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    当科で導入している短期入院を目指した原発性肺癌手術クリニカルパス (CP) にそぐわない症例を選別すべく, 適用した103例を検討した. 退院可とする基準は, 室内空気下でSpO2が93%以上で感染徴候なしの場合, ドレーン抜去 (基準 : 空気漏なく, 排液量250ml/日以下) 翌日とした. 術後10日以内での退院を目標とし, 術後在院日数11日以上をバリアンスと定義した. バリアンス発生要因の詳細について検討した. さらに, 年齢, 性別, 術前PS, 臨床病期, 術前併存疾患の有無 (呼吸器系その他), 術前肺機能, 術前血液ガスデータ, 導入療法の有無, 肺切除量, 拡大手術 (胸壁, 鎖骨下動静脈, 横隔膜合併切除や胸膜肺全摘術) の有無, 気道形成の有無の各因子について, バリアンス例と非バリアンス例で比較検討した. バリアンス例を27例 (26.2%) 認めた. バリアンス発生の主な原因としては, 肺炎が7例, ドレーン排液過多が5例, 肺瘻遷延が4例, 労作時低酸素血症, 難治性不整脈, 心不全, 白血球高値遷延が各2例であった. バリアンス発生の有無を目的変数とした単変量解析では, 性, 術前VC, FEV1.0%, %FEV1.0, 臨床病期, 拡大手術の有無, 気道形成の有無につき有意差を認めた. さらにこれら7因子を説明変数としたロジスティック重回帰分析では気道形成の有無のみがバリアンス発生との関連が有意であった. 術後10日以内の退院を目標としたCPは, 病期の進行度を問わず, 高齢者や低肺機能患者にも適用できるが, 気道形成例では適用は困難で, 別のCP作成が必要であると考えられた.
  • 柴田 和男, 塩崎 みどり
    2005 年 19 巻 6 号 p. 723-727
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    非結核性抗酸菌症の手術症例9例について手術適応や成績などを検討した. 性別は男性8名, 女性1名で, 年齢は44歳から74歳, 平均57.1歳であった. 菌種は, Mycobacterium avium comlex (以下MAC) 8例, M. scrofulaceum1例であった. 術式は, 肺葉切除術7例 (completion pneumonectomy1例を含む), 胸腔鏡下肺部分切除術2例であった. 術後合併症や手術死亡はなかったが, 遠隔期 (術後4年と6年) に呼吸不全による死亡が2例あった. 術前排菌を認めた7例中6例で肺切除術により菌陰性化が得られ, うち5例は再排菌なく生存中である. 2例の肺野の孤立性結節例は胸腔鏡下に完全切除され胸部X線で新たな陰影の出現はない. 化学療法の効果が不確実であるMAC症では, 適応を選んで行えば肺切除が有効である症例が存在すると思われた. 2例の遠隔期死亡はともに肺に基礎疾患を持っていた症例であり, 両側の瀰漫性肺病変を持つ症例に対する手術, 特に肺全摘術の適応については術後肺機能や菌陰性化の可能性を考慮して慎重に決定する必要がある.
症例
  • 上林 孝豊, 寺田 泰二
    2005 年 19 巻 6 号 p. 728-731
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性. 1995年に鼻咽頭癌にて腫瘍摘出術および放射線治療を施行後, 1997年より2004年までに左第7肋骨, 左壁側胸膜の転移に対して手術療法, 胸椎 (Th7, 8), 左大腿骨骨幹部, 腹部傍大動脈部の転移に対して放射線療法を行い, 間歇的に化学療法を施行されてきた. 2004年7月ごろより左胸側背部痛の出現を認めたため胸部CTを施行したところ, 左第7肋骨の前側方の切除断端部位と左第8肋骨背側部から第7肋間の傍脊柱領域にかけての壁側胸膜に不整な肥厚像を認めた. MRIとthin slice CTで傍脊柱領域の胸膜肥厚は左第7,8胸椎椎間孔に伸展し脊柱管内で腫瘤を形成していた. 後方からの左片側椎弓切除と側方開胸下に各腫瘍を切除し, いずれも鼻咽頭癌の転移の診断を得た. 傍脊柱領域の胸壁腫瘍は, 神経原性腫瘍以外でも, MRIやthin slice CTにより椎間孔や脊柱管内の検索を行う必要があると考えられた.
  • 川邉 正和, 佐々木 正人, 平井 誠也, 井隼 彰夫, 田中 國義
    2005 年 19 巻 6 号 p. 732-735
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は71才, 女性. 主訴は咳嗽, 喀痰. 入院時, 貧血なく, 皮下出血斑を認めず. 胸部X線写真及びCTにて左S9に径20×20mmの結節影を認めた. CTガイド下肺生検にて腺癌と診断された. 入院時の血小板数が1.3×104/mm3と著しく減少しており, PAIgGが107.4ng/107cellsと上昇, 骨髄像から特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断した. 手術を予定し, 術前に大量免疫グロブリン療法を施行した. 血小板の増加は良好であったが, 手術に際しては不十分であると判断し, 血小板輸血を併用した. 手術は左下葉切除を行い, 術後出血などの合併症はなく, 術後8日目に血小板数は1.2×104/mm3となったため, プレドニゾロン45mg内服を開始した. 出血凝固系に異常がなくても, 手術侵襲を契機にITPが増悪する可能性もあり, 術前に血小板数を安全域まで増加させておくことが必要であると考えられた.
  • 神保 充孝, 縄田 純彦, 倉田 悟, 善甫 宣哉, 江里 健輔, 濱野 公一
    2005 年 19 巻 6 号 p. 736-739
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は50歳, 女性. 7年前に胸部X線写真および胸部CTで左肺門の3.5×3.5cm大の辺縁平滑な腫瘤を認めた. CTガイド下生検で過誤腫か軟骨腫と診断され経過観察となった. 今回, 腫瘤は7×6cm大と増大し, CTガイド下生検で軟骨性の過誤腫と診断した. 腫瘤が増大しているため手術を施行した. 手術は胸腔鏡補助下に腫瘤核出術を施行した. 本症は肺癌発生の可能性もあり, 厳重な経過観察が必要である.
  • 木村 通孝, 櫛部 圭司, 川口 剛史, 廣瀬 友亮
    2005 年 19 巻 6 号 p. 740-743
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    右主肺動脈閉塞を来した気管支原性嚢腫の1例を経験した. 症例は33歳女性. 2003年3月より咳嗽を認め, 他院で内服加療を受けていた. 5月初めより胸痛, 発熱を伴う様になった. 胸部X線写真で縦隔異常陰影を指摘され, 当科に紹介された. 胸部CTでは, 気管分岐部下に径10×7cmの内部均一な嚢胞性病変が認められた. 嚢胞による圧排のため, 右主肺動脈の閉塞, 右主気管支の狭窄を認めた. 血流シンチでは, 右全肺野の血流欠損が認められた. 手術は後側方切開, 第5肋間開胸にて施行した. 嚢腫の完全摘出を行い, 右主肺動脈への圧迫を解除した. 術中, 右主肺動脈の虚脱は改善されず, 肺血流の再開は確認できなかった. 術後6時間頃より再灌流障害によるものと考えられる心室性期外収縮, 心室粗動が出現した. また翌朝の胸部X線写真で右肺野の肺水腫像が認められ, 血流再開によるものと考えられた. 術後3ヵ月目の血流シンチで, 右肺野の血流は左肺野と比較して軽度の低下を認めるものの均一な分布が確認された.
  • 山井 礼道, 浜口 伸正, 谷田 信行, 藤島 則明
    2005 年 19 巻 6 号 p. 744-748
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    難治性有瘻性膿胸に対して血管吻合を用いた遊離大網充填術を施行した1例を経験したので報告する. 症例は63歳男性. 検診で胸部異常陰影を指摘し, 近医にて右上葉アスペルギルス症の診断で右上葉部分切除術を施行された. 術後に有瘻性膿胸を合併し広背筋弁充填術が施行されたが改善は認められず, 当院紹介, 入院となった. 胸腔鏡検査で壊死した広背筋を認め, 肺尖部では3ヵ所に5~10mm大の気管支瘻が確認できた. 壊死広背筋からは多数のアスペルギルス菌塊, 胸水からはMRSAが検出された. 開窓術を施行, 2ヵ月後に根治手術を施行した. 有茎大網弁では肺尖部の瘻孔を覆うために必要な十分量が得られず, 遊離大網充填術を施行した. 遊離大網充填術は目的の部位に十分量の大網を充填することができ, 有用な術式であると考えられた. 胸腔内に遊離大網充填術を行った報告は自験例が本邦1例目であり, 文献的考察を加え報告する.
  • 桝屋 大輝, 後藤 正司, 中島 尊, 岡本 卓, 劉 大革, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2005 年 19 巻 6 号 p. 749-753
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性. 胸部CTで, 左肺S6に空洞を伴う腫瘤陰影と左肺S10に腫瘤陰影を認め, 肺門リンパ節の腫大も指摘された. PET検査で左下葉及び肺門と縦隔にFDG (fluorodeoxyglucose) の集積を認めた. CEAも高値で, 左下葉の原発性肺癌を疑いTBLBを施行するも悪性所見は認められなかった. 左肺S10の腫瘤陰影に対しCT下肺生検を施行したが確定診断には至らなかった. 消化管内視鏡検査を含む全身精査では他臓器に異常は認めなかった. 診断確定のために開胸肺生検を行い, 左肺S10の腫瘤は術中迅速病理で梗塞巣と診断された. 大動脈下リンパ節と気管分岐部リンパ節をサンプリングしたが, それぞれ低分化癌, 及び中分化腺癌と診断された. 肺門・縦隔リンパ節癌と考え, 術後同時放射線化学療法を施行した. 本症例は肺化膿症と肺梗塞のため画像所見からは左下葉原発の肺癌との鑑別が困難であり, 開胸生検で肺門・縦隔リンパ節癌と診断された.
  • 上林 孝豊, 寺田 泰二
    2005 年 19 巻 6 号 p. 754-757
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 女性. 左上肢腫脹と発熱を主訴に近医を受診したところ, 胸部CTにて上縦隔の異常陰影を指摘され当科を受診. 胸部CT, MRIにおいて上縦隔に瀰漫性に広がる境界不明瞭な病変と左腕頭静脈, 左鎖骨下静脈と左内頚静脈の閉塞所見を認めた. 発熱および炎症反応の上昇を認めたことと, 画像上, 病変は血管周囲組織の瀰漫性の肥厚像として指摘できる程度で, 極めて腫瘤形成に乏しかったことより腫瘍よりは炎症性病変を疑った. 確定診断目的に手術を施行し, 病理組織学的に硬化性縦隔炎の診断を得た. 縦隔重要臓器の圧迫・閉塞所見を伴う縦隔内病変をみた際には硬化性縦隔炎も考慮すべきである.
  • 中島 大輔, 河野 朋哉, 山科 明彦, 千原 幸司
    2005 年 19 巻 6 号 p. 758-761
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    異なる病態のため, 異なる手術手技を施行した縦隔嚢状リンパ管腫の2例を報告する. 症例1は, 嚢腫壁が境界不明瞭で周囲の組織と連続していて, 完全切除は不可能とみこまれたので, 嚥下障害改善を期して部分切除を行い, 術後乳び胸防止のため, 胸管を結紮切断した. 症状は緩和し, 胸管結紮の障害も認めなかった. 症例2は, 嚢腫壁が境界明瞭であったので, 比較的容易に完全摘出できた.
  • 合川 公康, 中西 浩三
    2005 年 19 巻 6 号 p. 762-765
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性. 左肺の異常陰影を指摘され来院し, CTで左上区に1cm大の辺縁整の腫瘤影を認めた. 気管支鏡検査で診断がつかず, 半年間経過観察したが, 腫瘤影に変化なく, 悪性腫瘍を念頭に入れ, 左上区域切除を行った. 腫瘤は大きさ8×8×5mm弾性硬, 白色で周囲への浸潤はなく, 術中病理診断で乳頭腫と診断された. 永久標本では, 拡張した細気管支に, 線維性の基質を覆う異型のない扁平上皮が認められ, squamous papillomaと診断した. 手術後2年現在, 再発の兆候はない. 気管・気管支原発の孤立性乳頭腫はまれな疾患であり, 約50数例の報告をみるにすぎない. 術前に良悪性の判断が難しい病変であるため, その治療方針は十分な検討を要する. 病変の一部が癌である場合があり, 切除標本は詳細な病理学的検討を加える必要がある. 喫煙者は本疾患に肺悪性腫瘍を合併しやすく, 厳重な経過観察を行うべきである.
  • 田村 元彦, 荒木 修, 青木 秀和, 苅部 陽子, 吉井 直子, 関 哲男, 梅津 英央, 小林 哲, 石濱 洋美, 池田 康紀, 長井 ...
    2005 年 19 巻 6 号 p. 766-769
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性. 視力の低下を自覚し眼科受診, ぶどう膜炎を指摘された. サルコイドーシス精査の胸部レントゲンにて胸部異常陰影を指摘され当科に紹介となった. 胸部CTにてA-P windowに針状の金属片と思われる異物を認めた. 透視を併用した胸腔鏡下摘出術を試みたが異物の占拠部位の同定に難渋したため, 腋窩開胸へ術式を変更して摘出した. 異物は形状より縫い針と思われた. 本症例は外傷, 手術の既往, 及び, 精神疾患の既往はなく, 侵入経路が不明な縦隔内伏針と診断した. 文献上, 胸腔内伏針の経路は不明なものが半数以上を占めており, 臓器外 (心臓, 大動静脈, 肺動静脈, 気管, 食道以外) の縦隔内伏針は本症例を含めて2例のみであった.
  • 奥田 勝裕, 佐野 正明
    2005 年 19 巻 6 号 p. 770-773
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性. 検診胸部レントゲン上異常影を指摘され, 当院紹介受診となった. 胸部レントゲンで気管を左側に圧迫する腫瘤影を縦隔に認め, 胸部CT, MRI上, 甲状腺右葉下極に接する上縦隔腫瘍を認めた. 頚部襟状切開にて腫瘍摘出術を施行したが, 術中迅速診断にて胸腺種との診断を得たため, 胸骨正中切開, 拡大胸腺摘出術を追加した. 胸腺は第3鰓弓腹側に両側性に発生し, 下降して前縦隔部で合体して正常部位の胸腺となるが, この段階の異常により頚部・胸部に異所性胸腺がしばしば発生する. しかし, 異所性胸腺から胸腺種が発生することは稀である. 今回われわれは, 術前診断が困難であった頚部異所性胸腺腫の1例を経験した. 頚部異所性胸腺腫の術前診断には, flow cytometryを用いた穿刺吸引細胞診と, MRIが有用である.
  • 阪口 全宏, 城戸 哲夫, 田村 光信, 平岡 和也, 友國 晃, 中村 幸生, 末吉 孝一郎, 平 将生
    2005 年 19 巻 6 号 p. 774-777
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    肋骨に発生した黄色腫の一切除例を経験したので報告する. 症例は59歳男性. 検診時に胸部X線写真で腫瘤影を指摘されて入院. 胸部CT検査で右第4肋骨上に中心部低吸収域を伴う境界明瞭な高濃度の腫瘤を認めた. 悪性腫瘍の骨転移をはじめとする腫瘍病変の可能性が否定出来ないため外科的切除を行った. 胸腔鏡下に腫瘍の位置と切除範囲を決定し, 皮膚小切開を加え腫瘍を切除した. 組織学的に腫瘍は変性した骨組織に異型性の乏しい泡沫状の組織球が多数見られ肋骨原発の黄色腫と診断された. 良性疾患の黄色腫が肋骨に生じることは比較的まれであるが, 悪性腫瘍の肋骨転移をはじめとする骨腫瘍など種々の疾患との鑑別が重要である.
  • 四方 裕夫, 上田 善道, 神野 正明, 松原 純一
    2005 年 19 巻 6 号 p. 778-781
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    約10ヵ月前に当科で冠動脈バイパスと腹部大動脈瘤同時手術を施行した81歳, 男性. 術後の外来加療・経過観察中に左上肺野末梢に径0.5cm弱の腫瘤陰影を胸部CT上に認め, 約半年の経過観察で径1.0cm弱と増大傾向を示した. 画像上adenocarcinomaを疑ったが炎症性変化も否定できず, このため同日CTガイド下マーキングでのvideo assisted thoracic surgery (VATS) を施行して細気管支のsmooth muscle hyperplasiaの集簇と判明した. 末梢肺野の小結節陰影を呈したsmooth muscle hyperplasiaを文献的考察を加え報告する.
  • 松谷 哲行, 尾関 雄一, 佐藤 光春, 橋本 博史, 小原 聖勇, 中岸 義典, 津福 達二, 相田 真介, 前原 正明
    2005 年 19 巻 6 号 p. 782-787
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は15歳, 男性. 2000年5月学校検診で胸部異常影を指摘された. 胸部X線写真で心陰影に重なり下行大動脈左側縁から左肺野へ突出する半円状の腫瘤影を認めた. CT, MRIでは左後縦隔に胸椎左縁に接する瓢箪形の充実性腫瘤影を認め, 左後腹膜腔の副腎部にも孤立性腫瘤影を認めた. 縦隔内神経原性腫瘍を考え胸腔鏡補助下小開胸開腹により腫瘍摘出術を施行した. 後縦隔の交感神経幹に沿って連続する3個の腫瘍と後腹膜腔左腎上部に1個の計4個の腫瘤を認め, これを一期的に摘出した. いずれの腫瘍も病理学的に神経節細胞腫であった. 後縦隔及び後腹膜腔に多発した神経節細胞腫は稀であるため文献的考察を加えて報告した.
  • 山仲 一輝, 前原 孝光, 武井 秀史, 西井 鉄平
    2005 年 19 巻 6 号 p. 788-791
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    我々は比較的まれな肺内気管支性嚢胞の1切除例を経験したので報告する. 症例は66歳, 男性. 検診の胸部X線写真で異常陰影を指摘され, 当院を受診. CTで右肺上葉に辺縁整・境界明瞭・内部均一でhigh densityを呈する類円形の腫瘤影を呈し, また約1年で著明に増大していることより腫瘍性病変を疑い, 診断および治療目的で胸腔鏡下手術を行った. 病変は上葉深部にあり部分ないし区域切除は困難と判断し左肺上葉切除術を施行した. 病変は黄色膿汁様の内容液で充満した嚢胞で, 病理組織学的にBronchogenic cystと診断した. 肺内気管支性嚢胞は, 感染を繰り返すこと, および腺癌発生という可能性を考慮し, 手術的切除が望ましいと思われる.
  • 宮脇 美千代, 河野 洋三, 三浦 隆, 川原 克信
    2005 年 19 巻 6 号 p. 792-795
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性. 8年前に脳出血の既往がある. 2年前から肺炎で近医に入退院を繰り返していた. 今回喀血が出現したため紹介された. 胸部X線写真, CTスキャンで気管支壁に石灰化を認め, 気管支結石症による閉塞性肺炎と診断され気管支鏡を施行したが, 右B9+10内腔は浮腫と肉芽で閉塞し結石は確認できなかった. 胸腔鏡補助下に右下葉切除術を行った. 切除標本で拡張した気管支内に歯牙を認めた. また組織学的に気管支内に菌塊を認め放線菌症と診断された. 誤嚥の時期は明らかでないが脳出血後に総義歯にしていることより少なくとも8年が経過していると思われた.
    誤嚥歴は明らかでないが反復する限局性肺炎と気管支の肉芽性閉塞の場合, 気管支異物を念頭におく必要があり, 更に放線菌等の感染の合併を疑い生検を行う必要があると思われた.
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