日本呼吸器外科学会雑誌
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19 巻 , 7 号
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巻頭言
原著
  • 徳島 武, 福田 幹久, 前田 啓之, 目次 裕之, 荒木 邦夫, 藤岡 真治, 中井 勲
    2005 年 19 巻 7 号 p. 798-804
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    目的 : 吸収性ポリグリコール酸 (PGA) フェルトとフィブリン糊の擦り込みスプレー法を併用した新しい肺瘻閉鎖法の有効性を検討した. 方法 : 術中の水封試験で空気漏れを認めた肺切除症例266例を対象に, フィブリン接着剤を用いた3種類の肺瘻閉鎖法 (PGAフェルトと擦り込みスプレー併用法65例, 擦り込みスプレー法174例, タココンブ®法27例) を比較検討した. 結果 : PGAフェルトと擦り込みスプレー併用法は, 他の2法に比較して, 術後の空気漏れの消失期間は有意に短く, 評価判定スコアーの平均値も有意に高値であった. また術後肺瘻閉鎖率は全ての時間帯において高値を維持した. 結論 : PGAフェルトと擦り込みスプレー併用法は良く肺組織に浸透し, 強い接着力を有し, 使用法も簡便で, 胸腔鏡下手術でも容易に利用でき, 最も有用な肺瘻閉鎖法であると思われる.
  • 別所 俊哉, 有本 潤司, 岩橋 正壽, 西村 治
    2005 年 19 巻 7 号 p. 805-809
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    1996年4月から2004年5月までに, 原発性肺癌に対して当科で手術が行われた138例中75歳以上の高齢者32例 (23.2%) を対象とした. 男性22例, 女性10例で, 80歳以上が8例 (5.8%) であった. 発見動機は自覚症状が11例 (34.4%), 検診が7例 (21.9%), 他疾患観察中が14例 (43.8%) であった. 組織型は腺癌が14例, 扁平上皮癌が12例, その他が6例であった. 術前合併疾患を26例 (81.2%) に認めた. 手術術式は肺葉切除が22例 (68.8%), 区域切除が2例 (6.3%), 部分切除が8例 (25%) で, 胸腔鏡補助下切除 (VATS) が8例 (25%) に行われた. 術後合併症を12例 (37.5%) に, 17合併症を認めた. 合併症の内訳は呼吸器系が4例, 心房細動が4例, 精神障害が4例, 脳梗塞が3例, その他が2例であった. 術死は認めなかったが, 脳梗塞を合併した1例 (3.1%) が在院死した. 予後は肺癌死が4例, 他病死が4例で, 32例の5年生存率は61.6%であった. 高齢者肺癌症例は術前術後合併症率が高く, 手術適応には十分な検討を要するが, 切除例の予後に関しては満足すべきものであった.
  • 尹 亨彦, 坂巻 靖
    2005 年 19 巻 7 号 p. 810-813
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    肺切除における, 肺瘻の制御方法を検討した. 肺縫縮が困難な肺瘻部に対して, フィブリン糊のみを使用した群 (G群18例), 合成繊維布 (absorbable polyglycolic acid felt, sheet type) とフィブリン糊を併用した群 (G+S群24例), 合成繊維布のみを使用した群 (S群, 20例) の3群について, レトロスペクティブに比較検討した. 術後空気漏れ期間の平均はG群が1.6日, S+G群が2.1日, S群が1.8日で差は認めず, 術後7日間以上の長期肺瘻の頻度もG群が5.6%, S+G群が4.2%, S群が5.0%で差は認めなかった. 費用と材料が非血液製剤である点を考慮すると, 合成繊維布の単独使用が最も合理的な可能性がある. 被覆材非使用群を含めたプロスペクティブな研究が望まれる.
症例
  • 前田 啓之, 徳島 武, 福田 幹久, 中井 勲
    2005 年 19 巻 7 号 p. 814-818
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    28才, 男性. 患者はポリエチレンテレフタレート樹脂を鋳造加工する作業員であった. 2003年7月, 融解した樹脂を鋳型に高圧噴射する作業中に誤って胸部に噴射され受傷した. 緊急開胸手術にて胸腔内および肺内の異物除去と肺部分切除を施行し良好な結果を得た. 受傷機転が極めてまれな胸部鋭的外傷であった. 術前に画像診断にて外傷の経路と範囲を明らかにすることと, 合併症を考慮した術式を選択することが重要と考えられた.
  • 安彦 智博, 佐藤 征二郎, 二俣 健, 加藤 良一
    2005 年 19 巻 7 号 p. 819-822
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    患者は70歳の男性. 健診で胸部CT上異常陰影を指摘され紹介入院となった. 胸部CTで後縦隔に気管分岐部を上縁とする長径6.5cm大の境界明瞭, 内部やや不均一な腫瘤性病変を認め, 胸椎, 食道, および下行大動脈と接していた. 後縦隔原発の腫瘍を疑い腫瘍摘出術を施行した. 胸腔鏡下に手術を開始した. 腫瘤は表面平滑, 弾性硬で, 下行大動脈および食道への浸潤はなく容易に剥離できたが, 胸椎前面に強く固定していた. 胸腔鏡下の剥離は困難と考え開胸下に摘出した. 病理標本では紡錘形細胞, 胞体の広い多角形細胞, および多形細胞など多彩な細胞が混在する所見が得られ, 免疫組織化学ではsmooth muscle actin (-), Desmin (focally +), α1-antitripsin (+) な多形細胞も認められたが, 紡錘形細胞や多角形細胞など大多数はα-smooth muscle actin (+), desmin (+), myoglobin (-), S-100 (-) であることから低分化な多形性平滑筋肉腫と診断した. 縦隔原発の平滑筋肉腫は検索しえた限り, 本邦で15例目であり稀な疾患であると考えられた.
  • 中西 喜嗣, 森川 利昭, 加地 苗人, 大竹 節之, 長 靖, 行部 洋, 川田 将也, 佐藤 正文, 近藤 哲
    2005 年 19 巻 7 号 p. 823-827
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は45歳, 男性. 左肩部および背部痛を自覚し, 前医受診. 胸部レントゲン上異常影を指摘され, 当院内科紹介となった. 胸部CTで左上葉S1+2に径35×25mm大の腫瘤を認め, 同部位よりの気管支鏡下擦過細胞診にて腺癌と診断された. CT上, 左鎖骨下動静脈, 左鎖骨, 左第一肋骨に浸潤が疑われた. cisplatin, vindesineによる化学療法2クール, 原発巣・縦隔リンパ節に放射線を40Gy/20Fr照射を施行し, 62%の縮小を認めた. その後, 当科にて左肺上葉切除, 左椎骨動脈切断, 左鎖骨・第1肋骨部分切除, 人工血管による左鎖骨下動静脈再建, 自家腱移植による鎖骨の固定, コンポジックスメッシュ®による胸壁再建を施行した. 病理組織所見では腫瘍は広範囲に壊死を来し, 合併切除された動静脈, 骨にもviableな細胞は認められなかった. 術後2年2ヵ月を経過した現在まで再発を認めていない.
  • 竹井 清純, 中村 憲二, 高橋 修
    2005 年 19 巻 7 号 p. 828-832
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は53歳女性. 1993年に健康診断で胸部異常陰影を指摘されたが放置していた. 2003年6月より咳嗽と胸痛が出現し近医を受診した. 縦隔腫瘍を疑い精査目的にて当院に紹介された. 胸部CTでは気管分岐部および左上前縦隔に嚢胞性病変を認めた. 自覚症状の増悪を認めたために, 気管分岐部の嚢胞に対し気管支性嚢胞もしくは心膜嚢胞を疑い, 摘出術を施行した. 分岐部腫瘤は最終的に気管支性嚢胞の診断を得た. 術後の胸部CTでは左上前縦隔腫瘍の変化は認められなかったが, 胸腺嚢腫を疑い胸腔鏡補助下胸腺左葉切除術 (チェンバレン手技) を施行した. その結果, 左上前縦隔腫瘍についても気管支性嚢胞の診断を得た. 気管分岐部と左上前縦隔に重複発生した気管支性嚢胞の一例につき報告する.
  • 藤原 謙次, 加藤 雅人, 中垣 充
    2005 年 19 巻 7 号 p. 833-836
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    脂肪肉腫は胸部に発生することが少なく, 発生した場合も縦隔由来が大部分を占めるが, 今回われわれは, 胸腔内に存在し下肺靭帯周囲の脂肪織由来の脂肪肉腫と診断された一例を経験したので報告する.
    症例は48歳, 男性. 2年前胸部X線写真にて左下肺野の異常陰影を指摘されるも, 自覚症状がない為放置されていた. 前医を再受診時に増大傾向を認めた為, 精査目的に当院紹介入院となった. CT, MRIにて左横隔膜上に最大径10cmの腫瘍を認め, 内部は均一な脂肪組織のintensityであり, 脂肪腫と診断された. 腫瘍が大きく, 増大傾向を認めたことより手術適応と判断し, 胸腔鏡下に手術を施行. 横隔膜直上に被包化された腫瘍を認め, 下肺靭帯と連続していたため同部より発生したと考えられた. 病理検査では分化型脂肪肉腫 (脂肪腫類似型) と診断された.
    本症例のように術前の画像で脂肪腫が疑われても, 大きさが5cmを超える場合, 稀ではあるが脂肪肉腫の可能性もあり積極的切除が望まれる.
  • 酒井 光昭, 加藤 秀之, 伊藤 博道, 小澤 雄一郎, 山本 達生, 石川 成美, 鬼塚 正孝, 榊原 謙
    2005 年 19 巻 7 号 p. 837-842
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    FDG-PETはCTよりも肺結節性病変の良悪性診断能に優れるとされるが, 偽陽性と偽陰性病変の存在が問題となっている. 今回, CTによる良悪性鑑別が難しい末梢肺の結節性病変に対して, FDG集積を診断の一助に手術を施行した2例を経験したので報告する. 症例1は58歳男性. 左S9ブラ周囲の長径20mmの不整形索状影および結節性病変で, CTでは炎症性病変が疑われた. FDG-PETで同部にSUV2.6の集積を認め肺癌が疑われた. 肺部分切除を行い, 術中迅速病理診断で扁平上皮癌と診断され, 左下葉切除術 (ND2a) を施行した. 症例2は31歳男性. 左S1+2の直径15mmの不整形結節で, CTから腺癌が疑われた. FDG-PETで同部にSUV2.3の集積を認めた. 肺癌を否定できず肺部分切除を行ったが結核腫であった. 症例1では非典型的な画像所見を呈する肺癌の診断にFDG-PETが有用であった. 症例2ではCTから肺癌が最も疑われたが, FDG-PETから肺癌を否定し結核腫と診断することが難しい症例であった.
  • 森川 洋匡, 平井 隆, 山中 晃
    2005 年 19 巻 7 号 p. 843-848
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    膿胸などの良性疾患, 肺癌・胸壁腫瘍などの悪性疾患に対する手術を行う際, 時として骨性胸壁の再建を要することがある. 当科では2001年12月より2003年6月まで6症例に対して自家肋骨を用いた胸壁再建を行った. 原疾患は有瘻性膿胸3例, 肺癌胸壁浸潤1例, 肺癌胸壁転移1例, 原発巣不明胸骨腫瘍1例であった. 肋骨を遊離性に用いた症例が3例, 有茎性に用いた症例が3例であった. 術後肺炎のために死亡した症例を除いた5症例では退院時移植骨の固定は良好で胸壁の安定性は保たれていた. 自家肋骨による再建はおおむね固定良好であり, 異物反応や局所感染は生じなかった.
  • 渡辺 健一, 野守 裕明, 大塚 崇, 成毛 韶夫, 末舛 恵一
    2005 年 19 巻 7 号 p. 849-853
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 2002年10月の検診胸部単純X線写真にて左中肺野に異常陰影を認め, 胸部CTにて薄壁空洞性病変を認めた. 気管支鏡下生検を施行したが確定診断にいたらず経過観察となった. Follow-up CTにて腫瘍径は4ヵ月後から7ヵ月後にかけて一度増大し, 9ヵ月後に縮小した. 空洞壁は4ヵ月後3mmが7ヵ月後2.7mm, 9ヵ月後2mmと徐々に薄壁化した. FDG-PETにて陽性所見を得たため胸腔鏡下肺生検を施行し, 術中迅速組織検査にて扁平上皮癌の診断を得て左肺下葉切除術を施行した. 薄壁空洞を呈し空洞径および空洞壁共に縮小傾向を示す病変でもCTやFDG-PETにて悪性腫瘍の可能性がある場合には, 積極的な確定診断のための検査を要すると思われる.
  • 内山 美佳, 長坂 徹郎, 福井 高幸, 伊藤 志門, 宇佐美 範恭, 佐藤 尚他, 谷口 哲郎, 吉岡 洋, 横井 香平
    2005 年 19 巻 7 号 p. 854-858
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性. 2000年より後縦隔に7×5cmの嚢胞性病変の存在が指摘されていた. 2003年6月より発熱, 咳嗽を繰り返し, 同年10月31日に胸部CT上腫瘤内に鏡面形成が認められたため, 嚢胞内感染を伴う縦隔嚢胞の肺穿破を疑い手術を行った. 腫瘤は壁肥厚を認める単房性の嚢胞で, 炎症のため周囲との癒着が強固であった. 食道, 大動脈に接している壁の一部を残して嚢胞を右肺下葉の一部とともに摘出した. 嚢胞壁は炎症細胞の浸潤が著明で, 上皮の確認はできなかった. 病理学的には確定診断には至らないものの, 摘出組織に食物残渣様異物を認めたことと傍食道に存在していたことから, 食道嚢胞に炎症が発生し, それにより嚢胞の肺穿破が引き起こされたと考える.
  • 張 性洙, 奥村 典仁, 三好 健太郎, 松岡 智章, 亀山 耕太郎, 中川 達雄
    2005 年 19 巻 7 号 p. 859-864
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    初回手術後7年という遠隔期に再発を認めたsolitary fibrous tumor (SFT) の1切除例を経験したので報告する. 症例は84歳, 女性. 主訴は右前胸部痛. 1995年9月に縦隔腫瘍に対し腫瘍摘出術を施行した. 当時は胸腺腫・正岡II期と診断され, 外来で経過観察されていた. 術後7年目の2002年8月に右胸腔内に腫瘤影を認め, 切除術を施行したところ悪性のSFTと診断された. また, 前回手術時の腫瘍を組織学的に再検討した結果, 今回のものと非常に類似しており, 当時の腫瘍もSFTであったと再診断した. 今回の腫瘍は腫瘍遺残からの再発例であると考えられた. 術後30ヵ月の現在, 再発を認めず経過良好である.
  • 鳥羽 博明, 福本 泰三
    2005 年 19 巻 7 号 p. 865-868
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    胸部鈍的外傷による右主気管支の不全断裂を生じた9歳の男児に対して, 受傷48時間後に全身麻酔下に気管支鏡を施行し診断をつけた後, 気管支形成術を施行した. 小児の気管・気管支損傷は, 解剖学的な特徴や局所麻酔下での処置が困難なことがあり診断に難渋することがあるが, 本症を疑った場合にはできる限り迅速に気管支鏡を施行し, 早期に手術をすることで良好な結果が得られると思われた.
  • 水野 幸太郎, 深井 一郎, 矢野 智紀, 小林 昌玄, 藤井 義敬
    2005 年 19 巻 7 号 p. 869-873
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    閉塞性肺炎を呈した2例の気管支内過誤腫を経験した. いずれも開胸手術を行った. 症例1は38歳男性の右B4根部に発生したchondromatous hamartomaで, 中葉切除を行った. 症例2は41歳女性の左上葉気管支根部に発生したlipomatous hamartomaで, 気管支切開術でポリープだけを切除した. 気管支内過誤腫は繰り返す肺炎などのため直達的治療の適応となることが多いが, 治療法の選択では非腫瘍性疾患であるため, 気管支鏡下の切除など侵襲の少ない方法から考慮していくべきであると考える. レトロスペクティブに見て症例1は広基性かつ組織が硬かったため気管支内治療は困難であったが, 症例2ではスネアによる切除を試みてもよかったと反省させられた.
  • 中西 喜嗣, 森川 利昭, 加地 苗人, 大竹 節之, 長 靖, 川田 将也, 近藤 哲
    2005 年 19 巻 7 号 p. 874-880
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は20歳, 女性. 喀血を主訴に前医受診. CT検査で左下葉肺底区の静脈の拡張とうっ血像, 気管支鏡検査で左下葉B8, B9の血餅を認め, 肺血管異常症の診断にて当科紹介となった. MRA, 血管造影では左肺動脈の下葉肺底区への分枝が欠損し, 下行大動脈より分岐した異常血管が左肺底区を灌流していた. しかし, 左下葉の肺静脈, 気管支の分枝・走行は正常であったため, 左肺底動脈大動脈起始症の診断となった. 胸腔鏡補助下左下葉切除を施行した. 手術所見は, 左肺底区の著明なうっ血を認め, 下肺靭帯内に下行大動脈より直接分枝した径13mm大の異常血管が左下葉へ流入していた. 葉間肺動脈はA6を分岐した後, 下葉の肺動脈が欠損していた. 術後経過は良好で術後8日目に退院となった.
  • 南 寛行, 佐野 功, 原 信介, 近藤 正道
    2005 年 19 巻 7 号 p. 881-884
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は反復する血痰を主訴とした19歳, 男性. 胸部X線写真で左下肺野に異常影を認め, 同部位に血管駆出性の雑音を聴取した. 胸部CTにおいて肺血管奇形が疑われたため血管造影を行ったところ, 左肺底区動脈が下行大動脈より起始しており, 同部では肺動脈が欠損していた. 胸部3D-CTと気管支鏡検査では気管支の分岐異常は認められなかった. Pryce I型の肺葉内肺分画症と診断し手術を施行した. 手術では直径13mmの異常動脈が第8胸椎レベルの胸部下行大動脈より下肺静脈近傍へ流入しており, この異常動脈を切離するとともに左肺下葉切除を行った. 術後経過は良好であった. Pryce I型の肺葉内肺分画症は喀血や感染の原因となるため手術適応と考える.
  • 森川 洋匡, 長谷川 誠紀, 和田 洋巳
    2005 年 19 巻 7 号 p. 885-888
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    65歳, 男性. 主訴は喀痰増加および胸痛. 既往歴として3ヵ月前に膜性腎症と診断されステロイド内服開始. 胸部X線では左中肺野浸潤影あり. 胸部CT上左S6に径2cmの内部に空洞を伴った結節影あり. 1ヵ月後の胸部CTでは径4.2cmに増大していた. 喀痰検査, 気管支鏡下検査では確定診断は得られず開胸肺生検を施行. 術中病理診断で悪性疾患を否定できず, 左下葉切除を施行した. 手術標本の病理検査では炎症所見のみで, 悪性細胞は認められなかった. 肺組織培養の結果ノカルジアが検出された.
  • 奥村 明之進, 吉川 智, 後藤 正志, 田村 光信, 佐々木 秀文, 田中 寿一, 松村 晃秀, 井内 敬二
    2005 年 19 巻 7 号 p. 889-893
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    肺結核治療の人工気胸術や結核性胸膜炎後の慢性膿胸に合併する悪性リンパ腫, いわゆる膿胸関連悪性リンパ腫pyothorax-associated lymphomaに対する外科治療を経験したので報告する. 症例は71歳, 女性. 既往歴として19歳時, 肺結核に対し人工気胸術を施行されている. 慢性膿胸として他院にて経過観察中, 血痰, 喀血が出現し, 有瘻性膿胸と診断され当院へ紹介された. 開窓術後, 胸壁胸膜に悪性リンパ腫の小病巣が発見され, 放射線治療にて画像上の寛解が得られ, 胸膜肺全摘術を施行した. 切除肺および胸膜に悪性リンパ腫は認められなかった. 術後1年8ヵ月現在, 再発無く健在である.
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