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阪口 全宏, 中村 憲二, 坪田 典之, 高橋 修, 須崎 剛行
2006 年 20 巻 7 号 p.
909-913
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
Mycobacterium gordonae(M. gordonae)による肺感染症に対し,手術を行った一例を報告する.症例は70歳,男性.原発性胆汁性肝硬変にてプレドニゾロン5mg/日の投与と糖尿病に対する内服治療を受けていた.2004年2月,右胸痛が出現したため近医を受診し,胸部X線写真で異常陰影を指摘されて当院へ紹介となった.胸部X線写真とCTで,右肺上葉に空洞性病変が認められた.気管支鏡下での気管支肺胞洗浄液から抗酸菌が検出され,DNA-DNA hybridizationによりM. gordonaeが証明された.外来で,投薬せずに経過観察されていたが,2005年3月から時々血痰が認められ,さらに空洞周囲に散布陰影が現れたためINH,RFP,EBによる化学療法を行い,同年10月,右肺上葉切除術を施行した.
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野口 卓郎, 鈴木 雅行, 朝田 政克, 伊藤 清高, 橋本 正人
2006 年 20 巻 7 号 p.
914-918
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
症例は38歳,男性.じん肺検診で,胸部CT上左肺S8に約1cm大の結節影を認めた.CTで腫瘤の辺縁は比較的明瞭で周囲に淡い浸潤影を伴っていた.喀痰細胞診,CTガイド下穿刺細胞診では悪性の所見は認めなかったが,画像所見上悪性の可能性が否定できないことから,胸腔鏡下肺部分切除を施行した.胸腔鏡下では腫瘍の位置が同定できず,小開胸を追加,用手的に同定し,肺部分切除を施行した.標本を術中迅速病理診に提出し,肺梗塞疑いの所見を得たため,それ以上の胸腔内操作を追加せず手術終了とした.本症例は多血症を合併しており,肺梗塞との因果関係が推測された.肺梗塞により腫瘤影を呈したまれな症例を経験したので報告する.
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前田 亮, 住友 伸一, 松岡 勝成, 三崎 伯幸, 中島 大輔, 中島 成泰
2006 年 20 巻 7 号 p.
919-922
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
症例は65歳男性.腹部膨満感を自覚し,当院消化器科を受診した.胸部CTで,縦隔から腹腔内に進展する10cm大の腫瘤を認め,当科に紹介受診となった.診断加療目的で,手術を施行したところ,腫瘤内より膿汁の流出を認め,抗酸菌塗沫2+,結核菌PCR陽性であり,結核性膿瘍と診断した.心膜の石灰化を認め,結核性心膜炎の遺残病巣が縦隔から腹腔内に進展し膿瘍を形成したものと考えられた.
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大和 靖, 小池 輝明, 吉谷 克雄, 宮内 善広
2006 年 20 巻 7 号 p.
923-927
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
症例は,53歳,女性.1998年から右横隔膜角に腫瘤を指摘され,経過観察していた.2004年8月呼吸困難と咳嗽が出現し,胸部CT等で右胸水の貯留を認め,胸腔ドレナージで乳び胸と診断された.乳び胸を併発した縦隔腫瘍の診断で手術を行った.手術は腫瘍の摘出と胸管の結紮切離を行い,病理検査では,リンパ管腫であった.術後も右乳び胸が持続し,ピシバニールによる癒着治療を2回行ったが無効であったため,第16病日再手術を行い,切除周囲組織の結紮縫合を行った.その後も,乳び胸は遷延し癒着療法をさらに2回行い軽快した.その間,左乳び胸も出現し,こちらにも2回癒着治療を行い,第96病日にドレーンが抜去できた.現在術後1年4ヵ月経過したが,乳び胸の再発はなく,社会生活に復帰している.
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村岡 勇貴, 大政 貢, 岡本 俊宏, 庄司 剛, 阪井 宏彰, 宮原 亮, 花岡 伸治, 板東 徹, 福瀬 達郎, 和田 洋巳
2006 年 20 巻 7 号 p.
928-932
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
suprahyoid release法を併用し気管管状切除術と同再建術を施行した気管腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は54歳男性.半年以上遷延する呼吸困難にて近医を受診.胸部X線写真, 胸部CT,呼吸機能検査にて中部気管腫瘍を指摘されたため,当院紹介受診.腫瘍針吸引生検にて気管腺様嚢胞癌の診断を得,suprahyoid release法を併用し,気管管状切除術(7ring 3.5cm)と同再建術を施行した.吻合部への張力を軽減するため,術後2週間前胸部と下顎を糸で固定し,術後4週間は調節式頸椎装具を着用した.術後気管支鏡検査では,気管吻合部に問題は認めなかった.suprahyoid release法は技術的に簡便で,気管切除術とその再建術に有用であった.
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松倉 規, 小阪 真二, 國澤 進, 澁谷 祐一, 岡林 孝弘
2006 年 20 巻 7 号 p.
933-937
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
著明な好中球減少を伴う急性骨髄性白血病の治療前精査で胸部異常影を認め,手術にて肺非定型抗酸菌症と診断された症例を報告する.症例は55歳,男性.急性骨髄性白血病で血液内科入院中に左上肺野の腫瘤影を指摘された.気管支鏡検査では確定診断は得られなかった.画像上は肺癌や肺結核,肺真菌症などの感染症が疑われた.術前血液検査で白血球数1460/μl,好中球数226/μlと好中球減少が著明であった.白血病治療を早期に開始する必要があり手術を行った.術中針吸引にて肺非定型抗酸菌症と診断され左上区切除術を行った.術後G-CSFは使用せず,抗生物質はパニペネムと硫酸アミカシンの2剤を投与した.術後肺炎や創部感染などの合併症なく良好に経過した.
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棚橋 雅幸, 山田 健, 中島 義明, 森山 悟, 彦坂 雄, 丹羽 宏
2006 年 20 巻 7 号 p.
938-944
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
症例は57歳男性.初診2ヵ月前から咳嗽,血痰が出現し,右原発性肺癌(腺癌),縦隔リンパ節転移,リンパ節の上大静脈・気管分岐部浸潤(cT4N2M0 stageIIIB)と診断された.術前化学療法後に右肺管状全摘,上大静脈合併切除術を施行したが,術後8日目に吻合部縫合不全を合併した.術後10日目に再吻合有茎大網被覆術を行ったものの,再度縫合不全をきたしたが自然治癒した.大網の抗炎症作用,血管新生作用によると思われた.化学療法後の他臓器合併切除を伴う管状全摘術は縫合不全のリスクが高く,一期的に大網被覆術を選択したほうがよいと思われた.
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松村 祥幸, 森川 利昭, 大竹 節之, 石川 慶大, 佐藤 暢人, 平野 聡, 近藤 哲
2006 年 20 巻 7 号 p.
945-950
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
横隔膜部胸膜原発solitary fibrous tumor(SFT)の1切除例を経験したので報告する.症例は76歳,女性.胸部異常影を主訴に当科紹介となった.胸部CTでは右胸腔に巨大な充実性腫瘍を認め,針生検でSFTの診断を得た.栄養血管である右下横隔動脈に対し塞栓術を施行した後,手術を施行した.腫瘍は21×17×10cm,2070gであった.病理組織学的には悪性所見はなくSFTと診断された.術後経過良好で術後11日目に退院となった.術後1年9ヵ月現在,無再発生存中である.横隔膜部胸膜原発SFTはまれであり,巨大腫瘍となってから発見される傾向にある.横隔膜付近の精査にはMRIが有用であった.
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倉橋 康典, 平井 隆, 岡本 卓, 山中 晃
2006 年 20 巻 7 号 p.
951-954
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
症例は56歳男性.1990年の検診でCEA(carcinoembryonic antigen)高値(7.3ng/ml,正常値<5)を指摘された.経時的に上昇するため繰り返し精査を行うも原発巣は同定できなかった.1997年にCEA 237.9ng/mlにて当院紹介となり,CTで右S3bに径1cmの結節と縦隔リンパ節腫脹を認めた.開胸術を行い,術中迅速で腺癌と診断し,右肺上葉切除術及び縦隔リンパ節郭清を施行した(pT1N2M0).術後6.5ng/mlまで低下したCEAが翌年から再上昇,経時的に上昇するため,FDG-PETを含めた精査を繰り返すも再発・転移は指摘できなかった.2004年にCEAは874ng/mlまで上昇した.FDG-PETにて右仙腸関節に淡い集積を認め,生検にて骨転移と診断した.高CEA血症を伴い精査を繰り返すも長期間にわたり原発巣・転移巣を同定できなかった肺癌症例を経験したので報告する.
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大瀬 尚子, 大野 喜代志, 中村 幸生, 宮田 俊男, 山本 俊介
2006 年 20 巻 7 号 p.
955-959
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
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症例は73歳女性.検診で,胸部X線写真上の異常陰影を指摘された.胸部CTでは左前縦隔に3×3cmの石灰化を伴った縦隔腫瘍を認めた.胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は4.0×2.7cm大で,石灰化を伴った硬い被膜に覆われ,褐色粥状の内容物を含んでいた.病理所見では石灰沈着を伴う結合織性の被膜に覆われ,内腔には析出した線維素が充満していた.被膜内面の上皮は脱落しており,発生母地不明の縦隔嚢腫であった.腫瘍の局在部位から慢性炎症によるdystrophic calcificationを伴った胸腺嚢腫が疑われた.
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植田 信策, 相川 広一, 大浦 裕之, 半田 政志
2006 年 20 巻 7 号 p.
960-964
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
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症例は16才男性.学校検診胸部X線写真で胸壁腫瘍を発見された.胸部CT,MRI所見より壁側胸膜下に血行に富む軟部腫瘍を認めた.胸腔鏡下に腫瘤摘出術を行い,肋間筋発生の筋肉内血管腫と診断した.骨格筋発生の血管腫の中でも肋間筋発生例は1.4%と稀であり,発生原因としては主に先天性と考えられている.遠隔転移や肋骨への浸潤例はないが,局所再発例が18%と報告され,術後の再発に注意が必要である.
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─本邦報告165例の臨床病理学的検討も含めて─
小林 哲, 荒木 修, 苅部 陽子, 吉井 直子, 関 哲男, 田村 元彦, 梅津 英央, 石濱 洋美, 長井 千輔, 萩澤 進, 三好 新 ...
2006 年 20 巻 7 号 p.
965-969
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
患者は5歳女児.発熱,咳嗽を主訴に受診し肺炎の診断で入院となった.精査にて縦隔嚢腫の圧排による右上葉気管支閉塞に起因した肺膿瘍と診断した.肺膿瘍が改善することを期待して,嚢腫摘出術を施行した.嚢腫は食道嚢腫であった.しかし,肺膿瘍が改善しないため,術後14病日に右上葉切除術を追加した.術後経過は良好であった.自験例も含めた食道嚢腫本邦報告165例を検討した.年齢,症状の有無ともに判明していた137例中,有症状者は80例(58.4%),101症状であった.小児例(15歳未満)での有症状者は24例(64.9%),32症状,成人(15歳以上)では56例(56%),69症状であった.小児例では大部分が呼吸器症状(87.5%)であったのに対し,成人例では消化器症状が73.2%と多く,症状に大きな違いがみられた.肺膿瘍を合併した症例は3例のみ(5,7,18歳)であり本症例は極めて稀な症例と思われた.
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武市 悠, 山田 俊介, 藤森 賢, 岩崎 正之, 井上 宏司
2006 年 20 巻 7 号 p.
970-973
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
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症例は59歳,男性.剣状突起部下端における3cm大の皮下腫瘤を主訴に来院.胸部CTで前胸壁と前縦隔に連続した腫瘍性病変(10cm大)を認めた.術前の経皮的切開生検で軟骨肉腫(grade2)と診断した.胸腔鏡を用いて胸腔内を観察し切除可能と判断,鏡視野で腫瘍の位置関係を確認しながら胸壁を切離し,腫瘍はen-blockに切除した.胸壁の再建はメッシュを用いて行った.切除標本の病理組織所見より胸骨原発軟骨肉腫と診断,切除断端は陰性であった.術後経過は良好で,術後1年の経過で再発兆候は認めていない.
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伊藤 博道, 山本 達生, 小貫 琢哉, 酒井 光昭, 石川 成美, 鬼塚 正孝, 榊原 謙
2006 年 20 巻 7 号 p.
974-979
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
フリー
急速増大後に自然縮小した胸腺腫の1例を報告する.症例は25歳男性.突然強い胸背部痛と発熱を認めたため入院した.胸部X線写真・CT・MRIにて前縦隔に9.0×5.5×10.0cm大の腫瘤を認めた.CTガイド下に施行した針生検所見から胸腺腫が考えられた.1週間後には痛みと発熱が消失し,腫瘍径は30%自然縮小した.確定診断と根治のため胸腺全摘術を施行した.病理所見ではほとんどが出血を伴った壊死巣であり,被膜下に僅かに残ったviableな細胞から胸腺腫WHO分類type B1と診断された.自然縮小を示す前縦隔腫瘍の鑑別診断として,胸腺腫を念頭におくべきである.
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中村 祐介, 奥村 栄, 稲垣 智也, 松井 啓夫, 稲垣 卓也, 佐藤 之俊, 中川 健, 文 敏景
2006 年 20 巻 7 号 p.
980-986
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
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症例は65歳男性.難治性肺炎の精査にて発見された左非小細胞肺癌cT2N2M0.肺癌診断時に左鎖骨下動脈が下行大動脈より起始する異常を伴った右側大動脈弓を指摘された.術前導入化学療法としてcisplatin/docetaxel療法を2コース実施後,左上葉切除+リンパ節郭清(ND2a)を施行した.なお郭清にあたり,左鎖骨下動脈起始部に大動脈憩室を認め,同部と左肺動脈の間に動脈管索を同定した.左反回神経が動脈管索を反回していることを確認し,これを温存した.また大動脈弓が気管の右側に存在するため郭清したリンパ節の領域番号同定に苦慮した.術後嗄声等の合併症は認めなかった.右側大動脈弓合併例における肺癌手術に際し,その発生解剖を術前によく把握することで,より安全に手術を行い得た.
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西井 鉄平, 山本 健嗣, 諸星 隆夫, 大森 隆広, 津浦 幸夫, 相田 真介, 角田 新平
2006 年 20 巻 7 号 p.
987-991
発行日: 2006/11/15
公開日: 2008/11/04
ジャーナル
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症例は,39歳,女性.検診発見の胸部異常影につき精査したところ,胸部CTで両肺野に多発する結節影を認めた.特に左肺S
6付近の径40mm大の腫瘤影は,胸壁腫瘍との鑑別が困難であった.診断を目的に胸腔鏡下生検を施行した.病理組織学的には,均一の紡錘形腫瘍細胞が錯走性の配列を示して増殖し,免疫染色,hormone receptor陽性所見,子宮筋腫の既往から,良性転移性平滑筋腫(benign metastasizing leiomyoma)と診断した.若干の文献的考察を交えて報告する.
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