日本呼吸器外科学会雑誌
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21 巻 , 5 号
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原著
  • 中島 尊, 中野 淳, 張 性洙, 後藤 正司, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2007 年 21 巻 5 号 p. 634-638
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    当科において非小細胞肺癌に対し施行した肺全摘術について検討した.1993年3月から2003年7月までに肺全摘術を施行した45例を対象とした.患者背景は男性36例,女性9例で,病期はIII期以上が33例であった.また組織型では扁平上皮癌が28例と最も多かった.手術時間は平均281.6分で,術後平均在院期間は46.8日であった.一方術後合併症は12例に認めたが気管支断端瘻はなく,術関連死は1例であった.5年生存率は全体で32.1%で,I期とII期をあわせると22.2%,IIIA期は30.4%であった.肺全摘術において合併症の頻度は許容範囲であり,予後も肺葉切除に対し遜色はなかった.
  • 中島 尊, 中野 淳, 張 性洙, 後藤 正司, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2007 年 21 巻 5 号 p. 639-644
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    当科において呼吸リハビリ後に肺切除を施行した低肺機能症例について検討した.2000年11月から2003年8月までに肺切除を施行した術前FEV1.0≦1.0lの症例12例を対象とした.患者背景は男性9例,女性3例で,年齢は65歳以上が11例であった.術前呼吸リハビリは平均14.8±8.7回施行されており,VC,FEV1.0いずれも有意に改善していた(p=0.0145,p=0.0112).術後合併症,術関連死は認められず,在宅酸素療法を必要とした症例もなかった.低肺機能症例において,術前呼吸リハビリは有用である可能性が示唆された.
  • 石田 博徳, 二反田 博之, 坂口 浩三, 中村 聡美, 金子 公一
    2007 年 21 巻 5 号 p. 645-649
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    現在普及している自然気胸に対する胸腔鏡下手術は,従来の開胸術と比較して術後再発率がやや高い.その理由の一つとして,自動縫合器使用後の縫合線近傍のブラ新生がある.我々は臓側胸膜を強化しブラ新生の抑制と破裂防止のため,ポリグリコール酸(PGA)シートと自己血による縫合線を含めた臓側胸膜被覆法を行った.2004年1月から2006年12月までに胸腔鏡下手術を行った,術後再発が集中した40歳未満の自然気胸初回手術症例100例を,被覆法有無による術後再発の比較検討の対象とした.被覆無い症例58例,PGAシートと自己血を用いた症例33例,PGAシートとフィブリン糊を用いた症例4例,PGAシートのみの症例5例中,術後再発例はすべて被覆無い症例58例中11例(18.9%)であった.自己血の使用はフィブリン糊よりも生物学的に安全で,低コストであり,またこの被覆法は気胸再発防止に有用な方法と思われる.
  • 志熊 啓, 大政 貢, 豊 洋次郎, 三宅 正幸, 瀧 俊彦
    2007 年 21 巻 5 号 p. 650-654
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    外傷や明らかな基礎疾患なしに自然気胸発生時に血胸を合併する自然血気胸は比較的稀な疾患であるが,若年者に多く,しばしば多量の胸腔内出血を伴い,緊急手術の適応となる.我々は10年間に8例の自然血気胸を経験しその内6例に対し胸腔鏡下の手術を行った.いずれの症例もドレナージ後排液が1000ml以上排出されるか,胸腔内に多量の血腫が予想される症例であった.胸腔鏡下に観察し得た自験例6例すべてにおいて肺尖部にブラが観察され,4例においてはこのブラ付近に交通する索状物破綻による出血を認めた.自然血気胸の診断をした場合には,しばしば多量の出血を来たすことからすみやかな手術を考慮すべきであり,胸腔鏡下での止血,血腫除去,ブラ切除術が可能である.
症例
  • 江口 隆, 久米田 茂喜
    2007 年 21 巻 5 号 p. 655-658
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    胸膜肺全摘術後7年目に局所皮下転移をきたした悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.症例は52歳,女性.アスベスト曝露歴はない.1998年(45歳時)に検診にて胸水貯留を指摘された.胸水細胞診にて悪性胸膜中皮腫と診断し,右胸膜肺全摘術を施行した.病理診断はmalignant mesothelioma,epithelial typeで,IMIGのTNM分類ではT1bN0M0:stage Ibであった.術後は外来にて定期的に経過観察を行い,再発徴候を認めていなかった.2005年7月ごろより右前胸部に皮下腫瘤を自覚し,8月局所麻酔下に皮下腫瘤切除術を施行した.組織学的に上皮様の異型細胞が充実性に増殖しており,免疫染色ではHBME-1陽性,カルレチニン陽性,EMA弱陽性,CEA陰性,サイトケラチン陽性で前回手術標本と同様の所見であり,悪性中皮腫の皮下転移再発と診断した.術後にFDG-PETを行ったが,再発を疑う異常集積は認めなかった.術後7ヵ月経過したが,再発なく外来にて経過観察中である.
  • 桑原 元尚, 光武 孝倫, 吉永 康照, 岩崎 昭憲, 白日 高歩
    2007 年 21 巻 5 号 p. 659-662
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は9歳の女児で,胸痛の為に撮影した胸部X線写真で右上肺野の透過性亢進を指摘された.胸部CTで右上葉を中心に巨大肺嚢胞を認め,3D-CTの血管構築で上幹,上行肺動脈の先細り像が認められた.5歳時の胸部X線写真でも同部に肺嚢胞を認めていた.右S3から発生した大きな気腫性肺嚢胞で右胸腔を占められており,胸腔鏡下肺部分切除を施行したが,残存肺の拡張は良好だった.稀な小児の巨大肺嚢胞に対する胸腔鏡下切除を経験したので報告する.
  • 鈴木 仁之, 伊藤 英樹, 田中 啓三, 金光 真治, 田中 仁, 徳井 俊也, 金田 正徳
    2007 年 21 巻 5 号 p. 663-667
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.腎細胞癌に対して左腎摘出術が施行された.フォローアップCTにて両側肺に多発性の結節影を認めたために,胸骨正中切開にて両側肺から計18個の結節を摘出した.病理組織所見にて腎細胞癌肺転移の診断を得た.半年後に施行したCTにて再び両側肺に多発性の結節影を認めたため,CT透視を誘導画像として計9回,19ヵ所の結節に対してRFAを施行した.合併症として気胸と肺化膿症を認めた.RFAは肺悪性腫瘍に対して低侵襲で局所制御に有用な治療となりうるが,合併症に対する注意が必要である.
  • 坂巻 靖, 城戸 哲夫, 安川 元章
    2007 年 21 巻 5 号 p. 668-672
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    肺硬化性血管腫は稀な良性腫瘍で,多発例の存在が知られる.患者は52歳女性.頚髄良性腫瘍の摘出術の際,甲状腺腫瘍と両側多発性肺腫瘤の併存が判明した.甲状腺腫瘍の細胞診は陰性であったが,多発肺転移を伴う甲状腺癌の可能性を否定しきれず胸腔鏡下手術を行った.両側一期的に楔状切除により全病変の摘出を予定したが,先に切除した右肺病変3個の術中迅速診断で肺原発腺癌(多発またはIV期)が疑われ,左肺病変2個は放置した.術後の病理診断は硬化性血管腫であった.多発性肺腫瘍は良性を示唆する画像所見であっても転移性腫瘍との鑑別は一般に困難で,とくに肺外の癌好発臓器に未診断の腫瘤性病変が併存している場合は一層困難となる.また一部の硬化性血管腫は腺癌との鑑別が困難な場合のあることが知られ,術中迅速診断によって手術の方針に影響する場合がある.
  • 森 奈都美, 桝屋 大輝, 後藤 正司, 中島 尊, 劉 大革, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2007 年 21 巻 5 号 p. 673-676
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性.他院にてCEA上昇と大動脈傍リンパ節腫大とを指摘され,当科へ紹介となった.全身精査にて大動脈傍リンパ節の腫大以外に異常所見なく,開胸リンパ節生検を施行した.大動脈傍リンパ節1個のみが1×2cm大に腫大し,周囲への浸潤は全くなく,容易に摘出可能だった.その他のリンパ節には腫大を認めず,明らかな肺内・肺門部病変も認めなかった.病理組織学的検査にて未分化癌との診断だった.術後,化学療法2クールと縦隔への同時放射線療法60Gyを追加した.臨床経過や手術所見から,リンパ節が原発の癌である可能性が示唆された.原発不明縦隔リンパ節癌に対しては,診断と治療を兼ねて積極的に手術での完全切除を行い,必要に応じて化学療法・放射線療法を追加することで予後の改善が得られると考えられる.
  • 大内 政嗣, 井上 修平, 花岡 淳, 五十嵐 知之, 藤野 昇三, 澤井 聡, 手塚 則明, 尾崎 良智
    2007 年 21 巻 5 号 p. 677-684
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.健診で右肺野の異常陰影を指摘され入院した.胸部CTおよびMRIでは,上縦隔に嚢胞性腫瘤影と右肺下葉に左胃動脈から分岐する異常血管が流入する腫瘤影が認められた.動脈造影検査でも左胃動脈から分岐する異常動脈を確認した.以上よりPryce III型肺葉内肺分画症および上縦隔嚢胞と診断し,手術を施行した.胸腔鏡補助下に異常動脈の切離,分画肺の切除と上縦隔の嚢胞摘出を行った.本症例は異常動脈が左胃動脈から起始し,さらに縦隔気管支原性嚢胞を合併した極めて稀な症例と考えられた.両疾患が合併している点から考察すると,肺葉内肺分画症は胎生前期に前腸から異常発芽した副肺芽に起因し,二次的に体循環からの動脈血流を受けた先天性疾患である可能性もあると考えられた.
  • 佐藤 史朋, 秦 美暢, 長谷川 千花子, 笹本 修一, 加藤 信秀, 磯部 和順, 渋谷 和俊, 高木 啓吾
    2007 年 21 巻 5 号 p. 685-690
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    78歳非喫煙男性.発熱・喀痰のため近医受診し,胸部X線写真で右下肺野に10cm大の空洞を有する15cm大の腫瘤影を指摘された.肺化膿症として2ヵ月間の抗生剤投与を受けたが軽快せず,喀痰細胞診で腺癌を認め,当院紹介となった.壊死・感染を伴った肺癌の診断で右下葉切除術を施行したところ,空洞内容は白色粘液で充満しており,粘液産生性の細気管支肺胞上皮癌であった(pt2n0m0).術後経過は良好であったが,術後3ヵ月で両肺に多発する小空洞陰影として再発し,術後11ヵ月で多発転移巣の薄壁嚢胞化を認めた.気管支肺胞上皮癌としては大空洞を伴い特異な経過を呈したため考察を加え報告する.
  • 日野 直樹, 露口 勝, 中川 靖士
    2007 年 21 巻 5 号 p. 691-695
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    巨大な胸腔内低悪性限局性線維性腫瘍(Solitary fibrous tumor(Low-grade malignancy):SFT)の経過観察中に低血糖発作を発症し手術で改善した一例を経験したので報告する.症例は82才の女性.2003年2月に右胸腔内に10cm大の充実性腫瘤を認め,針生検にてSFTと診断した.患者の希望にて経過を診ていたが,同年6月に低血糖発作が出現した.血中と尿中のC-peptide(CPR),血中インスリン(IRI)の低下を認めた.副腎皮質機能検査と下垂体機能検査は正常であった.以上より腫瘍による低血糖と考え摘出術を行った.術後第2病日に一度低血糖発作を起こしたが,以後は発生せず内因性インスリンも正常化した.術前血中に高分子insulin-like growth factor(IGF)-IIを認めたが,術後は消失しており,胸腔内SFTが産生した高分子IGF-IIによる低血糖発作と考えられた.術後3年目の現在再発や低血糖発作を認めていない.
  • 清水 公裕, 大谷 嘉己, 中野 哲宏, 懸川 誠一, 森下 靖雄
    2007 年 21 巻 5 号 p. 696-700
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.肺癌の診断で左肺上葉切除術とリンパ節郭清を行った.術後第4病日に突然呼吸困難を訴え,高度の低酸素血症をきたしたため,術後肺炎を疑い酸素と抗生剤を投与した.低酸素血症は急速に進行し,同日集中治療室で人工呼吸管理を開始した.ICU入室直後の尿中レジオネラ抗原検査でレジオネラ抗原が陽性であったことよりレジオネラ肺炎と診断し,CPFXを投与した.その後は順調に回復し,術後第11病日に人工呼吸器を離脱,第44病日に退院した.病棟の水周りや加湿器等の検査を行ったが,レジオネラ菌は検出されず,同時期に院内でのレジオネラ感染の発生もなかった.レジオネラ肺炎の潜伏期間は通常1~2週間であり,入院9日後(術後4日後)に発症したことから,入院前に潜伏し肺癌術後に発症したレジオネラ肺炎と考えた.
  • 櫻井 裕幸, 羽田 真朗
    2007 年 21 巻 5 号 p. 701-706
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    画像所見上,骨転移巣が肺原発巣に先行して出現したと考えられたまれな臨床経過を呈した1症例を経験したので報告する.症例は46歳,男性.2002年6月,早期食道腺癌にて胃全摘術が施行された.その術後経過中に徐々に,血中腫瘍マーカーCEA値の上昇を認めた.精査施行されるも明らかな異常は指摘されず,2006年1月PET検査を行った.その結果,骨および肺病変が指摘され,同年3月,確定診断目的に手術を施行した.病理組織学的に骨および肺病変はともに同様の腺癌所見を呈しており,臨床経過も踏まえ,骨転移を伴う原発性肺癌と診断された.CT等過去の検査所見を見直すと,骨病変が肺病変に2年ほど先行して認められていた.
  • 池田 康紀, 小森 俊明, 本間 浩一, 三好 新一郎
    2007 年 21 巻 5 号 p. 707-712
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性,検診にて胸部X線上右心横隔膜角に異常陰影を指摘され入院となった.胸部造影CTでは心膜,横隔膜に接して約2.5×3.0cmの腫瘍影を認めた.手術は開胸,鏡視下併用で行った.腫瘍は横隔膜・心膜移行部に位置し,横隔膜より胸腔側へ突出するような形で存在した.横隔神経が腫瘍に向かい腫瘍近傍で太く巻き込まれているのが確認できた.腫瘍は横隔膜への進展がみられ横隔膜を含めた合併切除が必要であった.病理診断は神経鞘腫であった.以上の所見より横隔神経の横隔膜付着部より発生した神経原性腫瘍と考えられた.横隔神経原発の神経鞘腫は稀な疾患であり,本邦における報告例は自験例を含めて21例にすぎない.一方,本症例のような横隔膜への進展を認め合併切除が必要であった例は報告なく極めて稀な形態と思われた.
  • 後藤 正司, 井貝 仁, 張 性洙, 山本 恭通, 横見瀬 裕保
    2007 年 21 巻 5 号 p. 713-717
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    インドシアニングリーン(ICG)静注を併用した赤外光胸腔鏡(IRT)を用い胸腔鏡下ブラ切除術を施行した初めての症例を報告する.IRTでは正常肺は青く,ブラとその周辺の気腫肺は白く描出され,その境界が鮮明に観察された.ICGを併用したIRTは簡便で,可視光では同定困難な気腫肺を同定でき,ブラの見落としを防止し,胸腔鏡によるブラ切除後の気胸再発率を改善する可能性がある.
  • 文 敏景, 河野 匡, 濱本 篤, 吉屋 智晴, 梅村 理恵
    2007 年 21 巻 5 号 p. 718-723
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    若年成人の高悪性度粘表皮癌はまれであり,2切除例を経験したので報告する.症例1:31歳男性.胸部異常影を指摘され入院し,入院時に嗄声を認めた.左上葉S3に腫瘍を認め,CTガイド下生検にて腺癌(c-T1N2M0)の診断のもと,左上葉切除術(ND2a)を施行した.術後病理組織診断は高悪性度の粘表皮癌であった.pT1N2M0(IIIA)であったが,術後3.8ヵ月目に縦隔リンパ節再発,副腎,骨転移にて死亡した.症例2:37歳男性.発熱にて受診し,左上葉に無気肺を認めた.気管支鏡にて左上葉入口部の腫瘍による閉塞を認め,生検の結果は腺癌(c-T2N2M0)であった.sleeve左上葉切除術(ND2b)を施行し,病理組織診断は高悪性度の粘表皮癌であった.pT2N2M0(IIIA)であり,術後放射線療法を施行したが,術後14.5ヵ月目に縦隔リンパ節再発,副腎,脳転移にて死亡した.予後不良であった若年成人の高悪性度粘表皮癌の2例を経験した.
  • 秋葉 直志, 安江 英晴, 稲垣 卓也, 森川 利昭
    2007 年 21 巻 5 号 p. 724-728
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    大血管手術および右自然気胸に対する開胸手術の既往のあるMarfan症候群合併の症例に対し,胸腔鏡下に自然気胸再手術を行った.症例は37歳の女性で,左自然気胸,右自然気胸に対する開胸手術,および急性大動脈解離に対する胸骨正中切開下での手術の既往がある.2005年12月に右自然気胸に対し胸腔ドレナージを受けた.気漏が持続するために胸腔鏡下手術を行った.上葉と胸壁および縦隔との広範な癒着を丹念に剥離すると肺尖部にブラが存在した.同部をstaplerで切除し,臓側胸膜補強術を行った.術後経過は良好で第6病日に軽快退院した.本例は手術の既往があり,強固な癒着が存在したが,胸腔鏡下に良好な視野で手術を行うことができたのでここに報告する.
  • 吉川 拓磨, 前 昌宏, 神崎 正人, 井坂 珠子, 村杉 雅秀, 大貫 恭正
    2007 年 21 巻 5 号 p. 729-734
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性.16歳時人工気胸の既往がある.左胸水貯留を経過観察されていたが,発熱,咳嗽,血痰出現.有瘻性慢性膿胸の診断で当院入院.胸腔ドレナージ施行.治療に伴い炎症症状の改善を認めたが,胸部CTにて左上葉に7×5cm大の腫瘤を認めた.CT下生検を行い,悪性腫瘍と診断し,左胸膜肺全摘術を施行した.病理診断は悪性リンパ腫.さらに血中抗EBV抗体価高値で,腫瘍内にもEBVの存在を確認した.術後経過は良好で,術後化学療法は行わず,経過観察中である.
  • 三好 健太郎, 奥村 典仁, 古角 祐司郎, 松岡 智章, 亀山 耕太郎, 中川 達雄
    2007 年 21 巻 5 号 p. 735-739
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    肺犬糸状虫症は犬糸状虫の虫体が肺梗塞病変を形成する疾患であるが,合併症の報告例はほとんどない.我々は肺化膿症を併発した肺犬糸状虫症の1例を経験したので報告する.症例は57歳男性.胸部異常影を指摘され来院.胸部CTにて右下葉S8胸膜直下に20mm大の結節影を認めた.肺癌の可能性が否定できない画像所見であり気管支鏡下生検を行ったが確定診断にいたらず,診断治療を兼ねた手術を行う方針とした.しかし気管支鏡検査後4日目38度台の発熱,炎症反応の上昇,画像上肺病巣の急激な増大を認め,既存の病巣に肺化膿症が併発した.抗生剤治療を行い解熱傾向となった後,手術を施行した.術中迅速組織診で悪性所見を認めず下葉楔状切除を行った.病理組織学的に,周囲に化膿巣を伴う肺梗塞巣を認めた.近傍の肺動脈内に犬糸状虫の虫体を確認し,肺化膿症を併発した肺犬糸状虫と診断した.肺化膿症の再燃なく術後10日目に退院した.
報告
  • 蘇原 泰則, 下方 薫
    2007 年 21 巻 5 号 p. 740-752
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2008/11/18
    ジャーナル フリー
    日本肺癌学会および日本呼吸器外科学会では,肺癌登録合同委員会を共同で運営し,2002年に報告された1994年の肺癌切除症例の全国集計に引き続き,1999年に切除された肺癌症例についての全国集計を2006年に行なった.症例数は13,344,全体の5年生存率は60.6%であった.男性(8878例)の5年生存率は55.4%,女性(4344例)では74.2%であった.c-STAGE別の5年生存率はIA(n=5939):77.0%,IB(n=3242):60.1%,IIA(n=226):53.8%,IIB(n=1304):43.6%,IIIA(n=1723):38.0%,IIIB(n=567):33.6%,IV(n=221):27.0%であった.p-STAGE別の5年生存率はIA(n=5007):83.3%,IB(n=2803):66.4%,IIA(n=400):60.1%,IIB(n=1388):47.2%,IIIA(n=1944):32.8%,IIIB(n=1179):30.4%,IV(n=397):23.2%であった.組織型別5年生存率は腺癌67.3%,扁平上皮癌52.5%,大細胞癌45.5%,小細胞癌48.1%,腺扁平上皮癌42.1%であった.術死は123例(0.9%),在院死は146例(1.1%)に認められた.本登録は個人を特定できる情報を除いて行なわれており,集計成果は世界に類を見ない大規模かつ詳細なものと考える.今後予定されている2004年切除例の登録への参加有資格施設の積極的取り組みを期待したい.
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