日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
22 巻 , 5 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
原著
  • 西 英行, 鷲尾 一浩, 間野 正之
    2008 年 22 巻 5 号 p. 730-735
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    目的:胸膜中皮腫の臨床像について検討した.対象:当院で診断・治療した胸膜中皮腫79例を対象とした.結果:男性70例,女性9例,平均年齢65.5歳.アスベストばく露歴を83.5%に認めた.発見動機に胸部痛を49.4%に認めた.確定診断は,64.6%が胸腔鏡下胸膜生検で得られた.初診から診断が得られるまでに,4.6ヵ月(平均)を要した.治療は22例が手術,46例に化学療法もしくは放射線療法が,11例には支持療法が行われた.全例の生存率は1年,2年,3年がそれぞれ50.7%,26.9%,18.6%で,生存期間中央値は12.0ヵ月であった.予後因子の分析では,単変量解析では,IMIG臨床病期,手術の有無が有意な因子であったが,多変量解析では,IMIG臨床病期のみが有意な因子であった.結論:確定診断には,胸腔鏡下胸膜生検が有用であると考えられた.適正な手術適応の設定,補助療法の開発等が今後の課題であると考えられた.
  • 奥田 昌也, 張 性洙, 中野 淳, 三崎 伯幸, 石川 真也, 山本 恭通, 黄 政龍, 横見瀬 裕保
    2008 年 22 巻 5 号 p. 736-740
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    肺原発の多形癌は比較的まれな疾患であり,予後は不良であると言われている.今回我々の施設における多形癌6切除例からその治療戦略について検討した.基本的には早期発見の完全切除が有効な治療法であるが,完全切除が得られた症例であっても,早期の再発がみられることがあり,予後不良である傾向が見られた.不完全切除例および再発例に対し,同時併用による化学放射線療法を行ったところ効果があると思われる症例がみられ,今後の治療戦略の参考となると考えられた.
  • 冨田 栄美子, 明石 章則, 福原 謙二郎, 中根 茂
    2008 年 22 巻 5 号 p. 741-745
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    1997年1月より2001年3月までに,2cm以下のブラを持った自然気胸81例に対して,針状胸腔鏡(径2mm)下レーザー焼灼術(needle VATS)を施行した.同時期に径2cm以上のブラを持った自然気胸78例には通常の胸腔鏡を用いて自動縫合器による肺部分切除を行い,その周辺組織をレーザー焼灼した(VATS).6年以上が経過した術後再発数は,needle VATS施行群81例中8例(9.8%),VATS施行群78例中10例(12.8%)であった.当院での再発率と文献報告例の再発率を比較検討したところ,今後より再発率を改善するために胸膜補強材の使用やその適応を検討する必要性があると思われる.
  • 徳永 俊照, 武田 伸一, 小間 勝, 澤端 章好, 前田 元
    2008 年 22 巻 5 号 p. 746-752
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    外科的切除にて診断された肺過誤腫23例の臨床像を検討した.性別は男性12例,女性11例で,年齢は28~71歳,平均53.5歳であった.20例は無症状であったが,3例は症状を有し,そのうち2例は胸痛,1例は咳嗽であった.病変は,22例が単発性で,1例のみ多発性であった.腫瘍径は0.5~3.0cmで,平均1.5cmであった.画像上,石灰化を6例に認めたが,明らかなポップコーン様ではなかった.石灰化を有する症例は,腫瘍径が有意に大きかった.17例に気管支鏡が施行されたが,確定診断できず,全例が悪性疾患を否定できないため手術に至った.術式は,6例に核出術,16例に部分切除術,1例に葉切除術が施行され,そのうち17例に胸腔鏡下手術が施行された.肺過誤腫の術前診断は困難であるが,悪性疾患との鑑別が問題となる場合,外科的切除にて診断することを考慮すべきである.
  • 藤原 俊哉, 片岡 和彦, 松浦 求樹, 妹尾 紀具
    2008 年 22 巻 5 号 p. 753-759
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    肺癌診療においてFDG-PET検査の有用性は知られているが,偽陽性,偽陰性症例も少なからず認められる.我々は,2005年7月~2007年6月までの2年間で良悪性診断または病期診断の目的でPET検査を行い,最終的に当施設で手術を施行した283症例を対象として,その有用性と問題点について検討した.内訳は男:女=156:127,平均年齢は66.3歳であった.良悪性診断の感度72.7%,特異度60.5%で,腫瘍径20mm以下のものでは偽陰性が多かった.組織型では肺胞上皮癌の成分を多く含む高分化腺癌や粘液の多い病変は多くの場合PET陰性であった.その一方で細胞密度の高い扁平上皮癌などは高感度に検出された.リンパ節転移診断は感度68.0%,特異度93.2%で特異度は高いものの偽陰性が多く,過小評価をする可能性があった.PET検査の有する長所,短所を十分理解し,臨床的に活用していく必要がある.特に腺癌では原発病巣が偽陰性を呈することが多く,CT診断と併せて手術適応を決定すべきである.
症例
  • 坪島 顕司, 西尾 渉, 織田 禎二
    2008 年 22 巻 5 号 p. 760-764
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    肺腫瘍に対するラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation: RFA)後の気胸発症は最も頻度の高い合併症であるが,対処として手術が必要となることは稀である.RFA後気胸に対する胸腔ドレナージ術のみでは治癒せず手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は38歳の女性.2004年2月にS状結腸癌にてS状結腸切除術,2005年7月には右転移性肺腫瘍にて肺部分切除術を施行.2006年5月に再び転移と思われる右肺腫瘤を認め,肺機能温存に配慮しRFAを施行したところ,直後より気胸を発症した.胸腔ドレナージ術を行ったが,気漏の遷延を認めたため,RFA後37日目に手術を行った.RFA肺焼灼部位からの気漏が確認され,同部を切除し肺縫縮した.切除組織の腫瘍部分は大部分が核構造を保っておりviable cellと考えられた.術後経過は良好で,退院後11ヵ月気胸再発は認めていない.
  • 成田 久仁夫, 大畑 賀央, 北山 康彦
    2008 年 22 巻 5 号 p. 765-769
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,女性.乾性咳嗽と全身倦怠感を主訴に近医を受診し,胸部単純X線写真で左肺門部から左下肺野にかかる大きな異常陰影を指摘された.胸部CTおよびMRI検査では,前縦隔から左胸腔側へ進展する,多房性の嚢胞陰影を確認し,胸腔鏡下に胸腺左葉と嚢腫を摘出した.嚢腫は隔壁により境界された最大径10cmの多房性で,漿液性のものから混濁した膿汁様のやや粘稠な液体を蓄え,内面は比較的平滑であった.病理学的には,周囲に既存の胸腺構造を有し,嚢胞壁には軽度の炎症性変化を認め,重層扁平上皮や円柱上皮に裏打ちされており,Susterらが提唱した多房性胸腺嚢腫と診断した.胸腺腫や悪性腫瘍の合併はなかった.多房性胸腺嚢胞は稀な疾患であり,胸腺癌やセミノーマ,ホジキン病といった悪性腫瘍や,重症筋無力症をはじめ再生不良性貧血,Sjögren症候群等の自己免疫疾患の合併例も報告されており,再発も含めた慎重な経過観察を要する.
  • 倉橋 康典, 中島 成泰, 中島 大輔, 三崎 伯幸, 松本 和也, 住友 伸一
    2008 年 22 巻 5 号 p. 770-774
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.胸壁浸潤肺癌に対する右肺上葉切除後に,右肺尖の胸壁浸潤部に放射線照射(60Gy)を行った.照射終了6ヵ月後の胸部X線で放射線肺臓炎を認め,プレドニゾロンの内服を開始した.陰影は一時改善したが,約2ヵ月後に右肺尖部に空洞形成を認め,喀痰よりアスペルギルスを検出し入院となった.入院後,抗真菌薬の投与にても空洞外への浸潤が急速に拡大したため右残存肺全摘術を施行した.術後病理では,菌糸は空洞内のみにとどまり,肺組織への侵襲は認めず,非侵襲性肺アスペルギルス症と診断した.現在術後10ヵ月で,肺癌・アスペルギルス症ともに無再発で外来通院中である.肺アスペルギルス症の分類と抗真菌薬についての文献的考察を加えて報告する.
  • 川久保 茉莉, 加藤 雅人, 栗原 啓
    2008 年 22 巻 5 号 p. 775-778
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    今回,胸壁に発生した筋肉内血管腫の一例を経験した.血管腫は頻度の高い良性軟部組織腫瘍であるが,多くは体表(皮膚)に発生し,深部に発生することは稀である.深部では筋肉内が最も多く,大腿など四肢に好発する.画像診断が難しいとされていたが,最近ではMRIが診断に有用である.筋肉内血管腫が胸壁に発生することは稀であるが,胸壁腫瘍の鑑別診断として挙げられる.
  • 大畑 惠資, 大政 貢, 志熊 啓, 豊 洋次郎, 三宅 正幸, 瀧 俊彦
    2008 年 22 巻 5 号 p. 779-783
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性.右肺上葉扁平上皮癌c-T3N2M0に対し,術前化学療法後,右肺上葉切除,胸壁合併切除術を施行した.術後2ヵ月,全身倦怠感,腎機能障害の出現により,高Ca血症が判明した.精査の結果,胸椎再発の診断を得,また,血清副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)の上昇を認めた. 血清のintact PTH値と活性化Vit.D値は低値であり,PTHrP産生肺癌と診断した.ビスホスホネートを含めた高Ca血症の治療と放射線併用化学療法により,血清Ca値と腎機能の改善,腫瘍の縮小,および血清PTHrP値の改善をみた.
  • 宮澤 正久, 吾妻 寛之
    2008 年 22 巻 5 号 p. 784-787
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性.胸部X線検診で左上肺野異常影を指摘され受診,2年前の検診X線では同部に明らかな異常所見はなかった.胸部CTおよびMRI上,左胸壁に接し胸腔内に突出する40×21mmの腫瘤を認め胸壁発生の脂肪腫が疑われた.経過より脂肪肉腫を完全に否定できないため胸腔鏡下手術を施行した.術中所見にて腫瘍は壁側胸膜側から狭基性に発生し胸壁と1ヵ所および左肺上葉と1ヵ所の疎な索状癒着を認めるのみで大部分は胸腔内に遊離する形で存在しており,壁側胸膜をわずかに合併切除するかたちで胸腔鏡下の摘出は容易であった.術後病理診断では悪性所見はみられず脂肪腫の診断となった.胸腔内脂肪腫は比較的まれであり,なかでも本例は比較的速い増大傾向を示したことおよびその形態が特徴的であった.
  • 中根 茂, 太田 三徳, 岩崎 輝夫, 池田 直樹, 狩野 孝
    2008 年 22 巻 5 号 p. 788-798
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    末梢気道から発生し気管支内に限局した腺様嚢胞癌の1切除例を報告する.患者は57歳女性で,検診時に右肺門近くに長円形の腫瘤を指摘された.胸部CT検査にて肺癌を疑われた.気管支鏡検査ではB6c内腔に腫瘍を認め,腫瘍からの生検にて肺癌と診断された.右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清ND2aを施行した.腫瘍の大きさは3.6×2.6cmあり,亜区域気管支より末梢の細気管支より発生し管内性に発育しており気管支内に限局していた.病理組織診断は腺様嚢胞癌でpT2N0M0,IB期であった.術後唾液腺や乳腺,子宮を検索したが腫瘍性病変は認めなかった.
  • 曽和 晃正, 山田 徹, 西川 滋人, 千葉 渉, 人見 滋樹
    2008 年 22 巻 5 号 p. 793-798
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は13歳女性.胸部打撲後に撮影した胸部レントゲンで心臓に接し左胸腔内に突出する異常陰影を認めた.左開胸,胸腔鏡補助下に胸腺を温存し腫瘍の切除を行った.腫瘍は前縦隔に,胸腺より発生した成熟奇形腫だった.開胸術後5日目に虫垂炎を発症し,その際に左卵巣嚢腫もみとめた.開胸術後7日目に開腹術を行い左卵巣嚢腫摘出術および虫垂切除術を行った.左卵巣嚢腫もまた成熟奇形腫だった.前縦隔,卵巣に成熟奇形腫が同時併発した稀な症例であった.
  • 妻鹿 成治, 小栗 満, 大久保 哲之, 蒲池 敦子, 富居 一範, 浅野 賢道
    2008 年 22 巻 5 号 p. 799-804
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    エキノコックス症は原因寄生虫種により単包性と多包性に分類され,共に肝病巣が主体である.本邦(北海道)で認めるものは多包虫症であり,肺単包虫症の報告は極めて稀である.症例は生来健康な25歳女性(中国人留学生),左肺S5a中枢側に径40mmの増大傾向を有する腫瘤病変を認め,診断治療目的で胸腔鏡下舌区区域切除術を施行した.術後経過は良好で第7病日に退院,病理結果の判明した第6病日より薬物補助療法を3コース施行,再発を認めず経過良好である.単包性エキノコックス症は,世界中の牧羊地帯を中心に多くの発生報告を認める.年間500万人以上の外国人が入国する現在,本疾患に遭遇する可能性は以前より増すと考えられる.本症の治療は外科的完全切除が唯一の根治療法であり,低侵襲の鏡視下手術は有効と考える.
  • 八板 英道, 大場 太郎, 小副川 敦
    2008 年 22 巻 5 号 p. 805-809
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は87才男性,2006年3月頃から体動時の呼吸困難を訴えていた.同年5月20日意識を消失しているところを発見された.高CO2血症による意識障害の診断で気管内挿管の上,人工呼吸器管理となった.意識は回復したが重症の閉塞性肺疾患のため,気管切開術を受けた.状態が安定したため2006年6月30日人工呼吸器装着のまま当院に紹介転院となった.同年8月1日頃より38℃台の高熱が出現し,胸部X線像にて右胸水貯留を認めた.胸腔穿刺にて膿性胸水を認め,膿胸の診断となり右胸腔ドレナージを行った.高齢でしかも高度の低肺機能のため,高リスクであったが,胸腔鏡下肺剥皮術を安全に行うことができた.術後4日目にドレーンを抜去,術後10ヵ月経過したが膿胸再発の所見を認めていない.
  • 有倉 潤, 本望 聡, 青木 裕之, 永瀬 厚
    2008 年 22 巻 5 号 p. 810-813
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    気管支原性嚢胞は一般に中縦隔に発生することが多い.われわれは,極めて稀な胸腺内に発生した気管支原性嚢胞の1切除例を経験したので報告する.症例は65歳,女性で,検診の胸部CT検査にて前縦隔腫瘍を指摘され,当院を受診した.胸部MRIで胸腺嚢腫または胸腺腫と術前診断され,胸骨正中切開にて胸腺摘出術を施行された.腫瘍は嚢胞性で,乳白色で混濁した内容液を含んでいた.病理組織検査では多列繊毛上皮で裏打ちされた嚢胞で,前縦隔胸腺内発生の気管支原性嚢胞と診断した.前縦隔に発生した嚢胞の場合,MRIの所見も考慮し,胸腺嚢腫の他に,気管支原性嚢胞も念頭に置く必要があると思われる.
  • 桑原 元尚, 光武 孝倫, 宗像 光輝, 為廣 一仁, 岩崎 昭憲, 白日 高歩
    2008 年 22 巻 5 号 p. 814-817
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代男性で転落し左側胸部を打撲し搬送された.胸部CTで左気胸,左第5~12肋骨の多発骨折を認め肺への骨片の刺入が疑われ手術となった.手術時の所見から肋間ヘルニアが存在すると判断された.肺は還納されていたが第6肋骨直上の第5肋間で肋間筋が断裂しヘルニア門となっていた.S8先端に肺挫滅創を認めて肺部分切除を行った.胸郭欠損部をポリプロピレンメッシュで補強した.術後の胸郭動揺は無かった.肋間ヘルニアの報告例は比較的少ないため報告する.
  • 廣間 文彦, 安田 雄司
    2008 年 22 巻 5 号 p. 818-822
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    症例は26歳男性で右自然気胸にて入院となった.胸腔鏡下に手術を施行したところ,右第4肋骨より発生した骨軟骨腫を認め,これに対面する右中葉肺胸膜面に圧迫が原因と思われる瘢痕とブラを認めた.これが気胸の原因と判断し,骨軟骨腫と右中葉のブラを切除した.肋骨に発生する骨軟骨腫は稀で,これが原因で気胸が発症した症例は自験例を含めて本邦で4例と極めて稀な症例であった.
  • 西川 敏雄, 井上 文之, 石井 泰則, 高橋 正彦
    2008 年 22 巻 5 号 p. 823-828
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    魚骨と考えられる気管支異物に合併した肺癌の1例を経験したので報告する.症例は60才,男性.2006年11月胸部異常影および咳嗽にて初診となった.CT上,右下葉支根部に接する腫瘤影と右S9に浸潤影を認め,気管支鏡検査にて右気管支底幹入口部に黄白色の病変と周囲の肉芽形成を認めた.炎症性病変と考え保存的加療を施行し,症状および画像所見は軽快したため経過観察となった.2007年3月発熱,咳嗽が再度出現し,右下葉支周囲の腫瘤影の増大と閉塞性肺炎を認めた.気管支鏡検査では前回同様の黄白色の病変と肉芽の増大を認め,気管支異物に肺癌が合併したものと考え手術を施行した.摘出標本では気管支異物と周囲の腫瘤を認めた.病理結果では異物は魚骨と考えられ,腫瘤部には高分化腺癌を認めた.気管支内病変を認めた場合には異物の可能性もあること,また気管支異物に悪性疾患が合併する可能性もあることを念頭におくことが重要と考えられた.
  • 長谷川 祥子, 須田 隆, 北村 由香, 根木 浩路, 服部 良信
    2008 年 22 巻 5 号 p. 829-832
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    比較的稀だが重大な合併症である術後肺軸捻転の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性.経気管支肺生検にて腺癌と診断し,T2N1M0 c-Stage II Bのため左上葉切除術と縦隔リンパ節郭清術を施行した.術後1日目より胸部X線上左肺野の透過性低下を認め,術後3日目には発熱と炎症反応の異常高値を示した.気管支内視鏡検査にて左下幹の狭窄を認め,残存下葉の肺軸捻転を疑い再開胸術を施行した.肺は暗赤色で緊満し,気管支を軸に約180度捻転を起こしていた.残存肺の温存はできないと判断し,残存肺全摘を施行した.肺軸捻転を起こした要因として,肺靭帯の切離,縫合方向を考慮しない自動縫合器による気管支切離,および閉胸時に残存肺の位置確認を十分留意しなかったことが考えられた.
  • 安孫子 正美, 正岡 俊明, 山川 光徳
    2008 年 22 巻 5 号 p. 833-838
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    非セミノーマ性胚細胞性腫瘍の摘出手術4ヵ月後に,急性巨核芽球性白血病を発症した症例を経験したので報告する.症例は17歳男性で,発熱と胸部痛を主訴とし,CTで右前縦隔に長径15cmの腫瘤影を認め,AFP上昇と経皮針生検から非セミノーマ性胚細胞性腫瘍と診断した.直ちに化学療法を2クール施行してAFPは低下したが,腫瘍はさらに増大したため,摘出手術を行った.腫瘍長径19cm,浸潤所見を認めず大半は成熟奇形腫部分と壊死組織だったが,一部胎児性癌成分を認めた.術後4ヵ月目に関節痛と微熱を認め,再入院した.AFPは正常値でCT上も再発所見を認めなかったが,血小板数低下とLDH著高を認めた.骨髄穿刺で急性巨核芽球性白血病と診断し,治療を行ったが術後11ヵ月で死亡した.免疫組織学的に白血病細胞は,縦隔腫瘍内の一部の細胞と類似しており,腫瘍細胞の骨髄転移による白血化の可能性が示唆された.
  • 内田 尚孝, 吹野 俊介, 児玉 渉
    2008 年 22 巻 5 号 p. 839-843
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    73歳男性.検診の際,左上肺野に異常陰影を指摘された.CTにてS1+2に直径35mm大で辺縁不整の腫瘤性病変を認め,擦過細胞診で肺腺癌疑いとの診断が得られた.術前ProGRPは,80.4pg/mlと高値を示していた.手術は,胸腔鏡下左肺上葉切除術を施行した.病理組織所見では,小さな円形の細胞が,柵状配列,ロゼット形成を示していた.また,組織のChromogranin染色は陽性を示した.上記所見より,定型的肺カルチノイド,p-T2N0M0,p1d0e0pm0,p-Stage IBとの診断となった.術後経過は良好で,ProGRP値も正常化した.定型的肺カルチノイドでは術前の血中ProGRP値が高値を示すことは少ないため,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 保田 紘一郎, 中田 昌男, 葉山 牧夫, 清水 克彦, 種本 和雄
    2008 年 22 巻 5 号 p. 844-849
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    Pleomorphic carcinomaは肺原発悪性腫瘍の中でも稀な組織型である.当科で経験した3例を報告する.症例1は72歳男性,右下葉の32mm大の腫瘍に対しcT2N2M0と診断し切除術を施行したが,術後5ヵ月で骨,肝転移をきたし原病死した.症例2は48歳の女性で左上葉の35mm大の腫瘍とともに孤立性脳転移を認めた.cT2N0M1の診断で肺切除後のγナイフを予定したが術中に多発縦隔リンパ節転移を認め試験開胸に終わり,化学放射線療法を行ったが術後5ヵ月で腹腔内臓器に多発転移をきたし術後9ヵ月で原病死した.症例3は86歳の男性で左上葉の33mm大の腫瘍に対し切除術を施行した.pT2N0M0であったが術後6ヵ月に骨転移をきたし,術後8ヵ月で原病死した.いずれの症例も術後の病理診断でpleomorphic carcinomaと診断され,術後早期に遠隔転移をきたして急速な経過をとった.
  • 藤生 浩一, 鈴木 弘行, 服部 尚士, 母里 正敏
    2008 年 22 巻 5 号 p. 850-853
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/02/02
    ジャーナル フリー
    完全内臓逆位に合併した肺癌の切除例を経験したので報告する.症例は72歳男性.検診で右上肺野に異常陰影を指摘された.胸腹部CTにて胸腹部内臓の完全逆位を認め,さらに右肺上葉に3.5×3cm大の結節陰影を認めた.気管支鏡検査で扁平上皮癌と診断した.左気管支用のダブルルーメン気管支内チューブを用いて,分離肺換気を行い,右肺上葉切除術を行った.右肺は上・下葉に分葉し,肺動静脈は正常の鏡像を呈していた.
Erratum
論評
feedback
Top