日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
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24 巻 , 5 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
原著
  • 栁澤 純, 宮原 聡, 濱武 大輔, 今給黎 尚幸, 大渕 俊朗, 樋口 隆男, 吉永 康照, 白石 武史, 岩崎 昭憲
    2010 年 24 巻 5 号 p. 780-783
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    腎癌は血行性転移を来たしやすく,その転移先では肺が多いとされる.腎癌肺転移巣に対し外科的切除を行った症例の治療成績および予後予測因子を検討した.1995年3月~2008年12月までの間に外科的治療を行った転移性肺腫瘍のうち,腎癌からの肺転移症例は14例あった.術式は肺部分切除術が13例に,区域切除術が1例に行われた.肺転移巣切除後のmedian survival time(MST)は40.1ヵ月で5年生存率はそれぞれ35%であった.また,これらのうちdisease free interval(DFI)を2つの群に分け検討したところ,DFIが24ヵ月未満の症例ではMST 40ヵ月,5年生存率17%であった.一方DFIが24ヵ月以上の症例ではMST 69.9ヵ月,5年生存率67%と有意差は認めないが良好な成績であった.腎癌肺転移症例に対して,特にDFIが24ヵ月以上の症例では積極的な外科的治療により,長期予後が期待できると考えられた.
  • 鮫島 譲司, 田尻 道彦, 清家 彩子, 高橋 航, 大森 隆広, 矢澤 卓也, 益田 宗孝
    2010 年 24 巻 5 号 p. 784-788
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    外科的切除により診断した気管支原性嚢胞(Bronchogenic cyst)の臨床病理学的特徴を検討した.対象は1988~2009年の22年間に,当センター呼吸器外科で切除した気管支原性嚢胞19例である.性別は男性6例,女性13例,年齢は15~66歳(平均43.7歳)であった.発生部位は肺内気管支原性嚢胞5例(右下葉2例,左上葉1例,左下葉2例)に対し,縦隔気管支原性嚢胞14例(前縦隔2例,中縦隔10例,後縦隔2例),長径は12~96mm(平均46.4mm)であった.有症状は5例のみで,14例は無症状であった.術前診断可能であったのは10例(52.6%)であった.術式は,縦隔型はすべて嚢胞摘出術を施行し,肺内型は上葉切除術1例,肺部分切除術2例,嚢胞摘出術2例を施行した.病理組織学的に,線毛円柱上皮は18例(94.7%)に,軟骨は4例(21.1%)に,気管支腺は7例(36.8%)に,平滑筋は11例(57.9%)に認めた.
  • 田中 秀弥, 櫻木 徹, 大間 寛子, 迫田 京佳, 古館 晃, 光岡 正浩
    2010 年 24 巻 5 号 p. 789-793
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    当科では肺癌手術の術前検査に,冠動脈狭窄病変のスクリーニング検査として,運動負荷心電図検査,負荷タリウム心筋シンチ検査,冠動脈造影検査を施行してきた.1995年6月~2006年10月まで当科で施行した原発性肺癌初回手術症例は524例で,冠動脈狭窄が疑われ,術前に冠動脈造影検査を施行した症例は24例(4.8%)であった.そのうち1例にのみ,冠動脈バイパス術同時施行時のヘパリンの使用により癒着剥離面からの出血がコントロールできずに失ったが,それ以外では周術期に狭心症や心筋梗塞などの循環器合併症を起こした症例は皆無であった.冠動脈狭窄病変に対するスクリーニング検査を系統立てて行い,狭窄病変の程度や肺癌手術の侵襲を考慮して治療方針を決定することで,周術期の重篤な循環器合併症を回避することができると考えられた.
  • 河野 朋哉, 松井 千里, 寺田 泰二
    2010 年 24 巻 5 号 p. 794-797
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    横隔神経麻痺は横隔膜の運動低下による呼吸機能の低下をきたし,その低下は横隔膜縫縮術で改善することが知られている.当院で行った横隔膜縫縮術で術前,術後の呼吸機能検査が行われた5例について検討したところ,全例が呼吸困難感の改善を認め,その改善は長期間維持されていたのに対し,肺活量・一秒量が術後長期間改善を続けたのは1例のみであった.術後のフローボリューム曲線を検討したところ,ほぼ全例でフローの改善を認め,改善は長期間にわたって維持されていた.横隔膜縫縮術は呼吸機能を正常化し,呼吸筋の不要の運動を減少させ呼吸困難感の低減に寄与しているとともにフローの改善をもたらしていると思われた.
症例
  • 片岡 和彦, 西川 敏雄, 藤原 俊哉, 松浦 求樹
    2010 年 24 巻 5 号 p. 798-803
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性で,CT上2個の腫瘤影を指摘され,胸腔鏡補助下右下葉切除,右上葉部分切除とND2aを施行した.肺内転移を伴う肺腺癌と診断された.間欠的空気圧迫法を手術翌日まで施行したが,術後2日目に初めて起立した後,頻脈と低酸素症をきたした.Dダイマーが34.5μg/mlと上昇し,造影MDCTにより肺血栓塞栓症と診断した.肺血管造影で左肺動脈下幹に血栓を認め,second attackを予防するため一時的下大静脈フィルターを挿入し,すぐに未分画ヘパリンの静脈内投与を開始した.術後8日目に血管造影で血栓の遺残を認めず,下大静脈フィルターを抜去した.術後9日目に胸腔内出血を合併したため,抗凝固療法を中止し,ドレナージと輸血を施行したところ,出血はおさまった.ワルファリンによる抗凝固療法を3ヵ月継続し,肺血栓塞栓症も肺癌も再発していない.胸腔内出血を合併するも救命しえた,肺癌術後肺血栓塞栓症の1例を報告した.
  • 竹内 真吾, 平井 恭二, 川島 徹生, 小泉 潔, 別所 竜蔵, 清水 一雄
    2010 年 24 巻 5 号 p. 804-807
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は38歳女性.湿性咳嗽を主訴として近医受診.胸部CTにて前縦隔に多房性腫瘤を指摘され,当科紹介となった.胸腺嚢胞などを疑い,胸腔鏡下胸腺胸腺腫瘍摘出術を行った.最終病理診断は前縦隔発生のMALTリンパ腫であった.術後1年6ヵ月経過し,無再発生存中である.
  • 橋本 昌樹, 多久和 輝尚, 奥村 好邦, 近藤 展行, 田中 文啓, 長谷川 誠紀
    2010 年 24 巻 5 号 p. 808-812
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    Scimitar症候群は部分肺静脈還流異常症の一亜型であり肺分画症をはじめ種々の合併奇形を併存することが知られている.症例は30歳代女性.背部痛を主訴に近医で胸部CTを行い,右肺から下大静脈へ流入する異常血管と右肺分画症を認め,Scimitar症候群を疑い当科紹介となった.肺動脈造影,大動脈造影を行い右肺から下大静脈へ流入するScimitar veinと下行大動脈から右肺S7に流入する異常血管を認めた.肺体血流比(Qp/Qs)は1.648,シャント率は39%であった.低酸素血症は認めないものの有症状であり,手術適応と判断し右下葉切除,異常血管結紮切離術を行った.切除標本の病理所見では右下葉は全体的に低形成であり気管支の走行異常を認めた.またScimitar veinは通常の肺静脈と異なり壁内の弾性線維の割合が高く中膜のコラーゲン線維が増加していた.
  • 遠藤 誠, 大泉 弘幸, 金内 直樹, 鈴木 潤, 深谷 建, 貞弘 光章
    2010 年 24 巻 5 号 p. 813-817
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    腫瘍の位置同定とアプローチ法の検討にmultidetector-row CT(MDCT)によるシミュレーションが有用であったので報告する.症例は肺過誤腫で胸膜癒着のある68歳男性.腫瘍は横隔膜面の近傍にあり,横隔膜面のみのスペースで手術操作が可能と考えた.肺横隔膜面のみを剥離し胸壁の癒着を温存することで肺を拡張したまま術野を展開した.腫瘍直上の肺胸膜を切開し,腫瘍を核出した.MDCTシミュレーションは胸腔鏡手術のさらなる低侵襲化に寄与すると考えられた.
  • 水谷 尚雄, 河本 純一, 萱野 公一
    2010 年 24 巻 5 号 p. 818-822
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    肺癌の術前病期診断にFDG-PET/CT検査を施行し,リンパ節転移との鑑別を要した鎖骨上窩神経鞘腫の1例を経験した.症例は59歳の男性の左上区域に発生した2cm大の腺癌で術前にFDG-PET/CTを施行し原発巣および右鎖骨上窩の直径1cm大の円型腫瘤にFDGの高集積を認めた.転移性リンパ節の可能性も否定できないが,疫学的にスキップ転移の可能性は低いと判断し手術を施行した.リンパ節転移は認めなかった.術後に改めて造影MRI検査を施行し,鎖骨上窩の結節はT2WIで高信号,リング状の造影効果を認め神経鞘腫を疑った.生検を施行し免疫染色でS-100陽性の紡錘形腫瘍細胞を認め良性神経鞘腫と確定した.神経鞘腫は良性でもFDGの高集積を認め,大きさや発生部位によってはリンパ節との鑑別が困難なこともあり,肺癌に合併した場合は十分留意するべきである.
  • 渡邉 龍秋, 一ノ瀬 高志, 渋谷 丈太郎, 君塚 五郎, 岡田 克典, 近藤 丘
    2010 年 24 巻 5 号 p. 823-827
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.左肺野に結節影を認め増大傾向があるため当科に紹介となった.胸部CTで左肺舌区に境界明瞭な結節を認め,5ヵ月間に長径10~20mmに増大した.開胸肺生検を行い肺軟骨性過誤腫と診断された.1年後の胸部CTで左S1+2に小結節が再出現した.7ヵ月の経過観察後,結節は長径20mmに増大し近傍に小結節が新たに出現した.左肺部分切除術を施行,病理組織検査では多発性肺軟骨性過誤腫と診断された.6ヵ月後の胸部CTでは両肺に多発性の結節が出現,右副腎には巨大な腫瘍が出現した.針生検を行い右副腎腫瘍は骨肉腫と診断された.前回切除した肺腫瘍を再検討した結果,同様の組織像であった.術前の画像からは肺以外には病巣を認めないことより肺原発骨肉腫と診断が訂正された.肺原発の骨肉腫は極めて稀な疾患であり,最終診断に至るまで苦慮したので報告する.
  • 福田 高士, 樋口 隆男, 大渕 俊朗, 柳澤 純, 白石 武史, 岩崎 昭憲
    2010 年 24 巻 5 号 p. 828-831
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    嚢胞性縦隔腫瘍は症状を呈することは稀である.今回われわれは嚥下痛と発熱の症状により発見された気管支原性嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は23歳女性で,初発症状は嚥下痛であった.その後,38℃台の発熱が出現し原因精査のため施行されたCTにより発見された.血液生化学検査ではCRPの上昇を認めるのみであった.手術は胸腔鏡補助下縦隔腫瘍摘除術を施行した.手術翌日より解熱し,術後11日目には合併症なく退院した.嚢胞の内溶液に細菌感染は認められず,病理検査の結果,気管支原性嚢胞と診断された.一般に同疾患は無症状で,一部に発生部位に一致した圧迫症状を認めることがあると報告されているが,本症例のように無菌性炎症と発熱を伴う気管支原性嚢胞は比較的稀である.原因不明の炎症が胸部にある場合は気管支原性嚢胞も鑑別疾患の一つになり得ると考えられた.
  • 平井 慶充, 吉増 達也, 内藤 古真, 宮坂 美和子, 岡村 吉隆, 中村 靖司
    2010 年 24 巻 5 号 p. 832-835
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    52歳男性,2002年に検診で胸部異常陰影を指摘された.近医を受診し,CTで右S1に1cmのすりガラス状陰影を認めたが,気管支鏡で診断がつかず経過観察とされていた.その後増大傾向を認めなかったが,2008年の胸部CTで,胸膜陥入像を伴う1.5cmの結節へと増大傾向を認めたため当科紹介となった.CTでは一部に充実成分を伴うすりガラス状陰影であり,PET-CTで同部位にSUV max 1.06の弱い集積を認めた.高分化型腺癌の可能性が高いとし手術を施行した.胸腔鏡下部分切除術を施行し,術中迅速病理診断でadenocarcinomaの診断であった為,右上葉切除術+縦隔リンパ節郭清を施行した.術後病理診断で,Noguchi B typeの腺癌の内部に一部充実成分を含み,免疫組織化学染色では,EMA(+/-),vimentin(+),PgR(+),またNCAM(+),synaptophysin(+/-),chromogranin A(-),CD34(-),α-SMA(-),factor VIII(-)であった.以上より同部位はminute pulmonary meningothelial-like nodules(MPMNs)と診断された.術後経過は良好であり,術後1週間で退院となった.【考察】MPMNsは剖検例や切除肺に偶然見つかる微小病変であり,報告例も少なく不明な点が多い.しかし近年画像診断の進歩に伴いGGOを呈する腺癌や腺癌の肺内転移との鑑別が問題になることがある.また肺悪性腫瘍,特に肺腺癌との合併やMPMNsのLOHの報告もあり,背景肺の変異の蓄積によるgenomic instabilityが腺癌発生と共通した要因である可能性がある.
  • 吾妻 寛之, 宮澤 正久, 小林 宣隆
    2010 年 24 巻 5 号 p. 836-840
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    Primitive neuroectodermal tumor(PNET)は若年者の骨軟部に発生する小型球形悪性腫瘍でEwing's sarcomaと同じ悪性肉腫である.症例は53歳男性,胸部単純X線で異常を指摘され右肺腫瘍と診断.右中葉切除術を施行し,病理組織所見では小型球形細胞の増殖した悪性腫瘍であった.鑑別診断に難渋したが免疫染色,PCRによりPNETと診断された.肺原発PNETは珍しく,報告例は少ない.また中年発症であることも本症例で特徴的であった.
  • 葉山 牧夫, 前田 宏也
    2010 年 24 巻 5 号 p. 841-845
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    肺腺癌が嚢胞状に徐々に増大する経過を確認できた症例を経験したので報告する.症例は60歳代男性.既喫煙者(20本/日×43年間).胸部単純X線写真で徐々に増大する右下肺野の嚢胞性陰影を指摘され,紹介となった.4年前には約3cm程度であった嚢胞が,今回の単純X線写真では約3倍にまで増大していた.CTにて直径約80mmの嚢胞性病変が右S6からS9-10にかけて存在し,明らかな壁の肥厚は認めなかったが,葉間リンパ節の腫大を認めたため,肺癌が疑われた.術前診断に至らず,術中の迅速組織診断にて肺腺癌と診断され,右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清術を施行した.永久病理検査にて嚢胞壁にほぼ一致して腺癌細胞の拡がりを認め,明らかな腫瘤形成は認めなかった.pT2N2M0 stage III Aとの診断で,術後補助化学療法終了後,外来にて経過観察中である.臨床経過と病理結果から,嚢胞の増大にはチェックバルブ機構が関与していると推測された.
  • 尾高 真, 仲田 健男, 浅野 久敏, 矢部 三男, 平野 純, 森川 利昭
    2010 年 24 巻 5 号 p. 846-849
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    胸腔頂部に発生する神経原性腫瘍に対する外科的治療は手術アプローチの選択が難しい.手術操作が可能な術創と視野を確保するため大きな術創を必要とし侵襲が大きい.そこで近年,胸腔鏡手術が選択されるようになってきた.縦隔腫瘍に対し胸腔鏡手術が広く行われているとはいえ,胸腔頂部の腫瘍に対する胸腔鏡手術は技術的に容易ではなく適切な手術操作を要する.症例は25歳男性.健康診断で右肺尖部に異常影を指摘され当院を受診した.胸部CTで右胸腔頂部に腫瘍を認め,胸腔頂部に発生した神経原性腫瘍と診断し胸腔鏡手術を施行した.腫瘍は交感神経幹から発生し胸腔頂部から半球状に突出しており,周囲を剥離し腫瘍を切除した.経過は良好であり,術後4日目に退院した.胸腔頂部の神経原性腫瘍に対して胸腔鏡手術は良好な視野を得ることができ,安全な手術操作が可能であった.
  • 上原 忠大, 平安 恒男, 國吉 幸男
    2010 年 24 巻 5 号 p. 850-853
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    縦隔脂肪肉腫の1例を経験した.2001年くも膜下出血で入院の際,胸部X線写真で縦隔拡大を指摘された.胸部CTで縦隔脂肪腫が疑われたが,症状なく経過観察となった.2007年2月より喉の違和感が出現.胸部CTで腫瘍の著明な増大がみられた.腫瘍は縦隔全体を占め,頚部から横隔膜上にまでおよび,左右腕頭静脈,上大静脈は狭窄していた.上大静脈症候群は認めなかった.CT上,腫瘍は大部分が脂肪濃度であった.増殖は緩徐であるが,周囲への浸潤,圧排が強いことから脂肪肉腫を疑い手術を行った.しかし腫瘍の周囲臓器への癒着,浸潤が強く,心膜,左腕頭静脈も合併切除したが,すべての剥離はできず,不完全切除となった.病理は高分化型脂肪肉腫であった.現在,明らかな再増大は認めていない.
  • 植田 真三久, 岡村 雅雄, 富原 英生, 村田 晃一, 谷村 信宏, 岩永 幸一郎
    2010 年 24 巻 5 号 p. 854-858
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は37歳男性,泥酔状態で2週間前に自転車から転倒し右上腕挫創を受傷した.近医にて縫合処置を受けたが抜糸時に創出血を認めたため当院紹介となった.来院時の理学所見にて右呼吸音が消失しており,胸部CTにて右胸腔内全体に液体貯留を認めた.肋骨骨折と肺挫傷による血胸の診断で入院となり,胸腔ドレナージを行ったが,肺膨張が得られないため手術となった.麻酔導入時に右上腕創部より拍出性の出血を認め,圧迫止血の後に右開胸にて手術を開始した.胸腔内には感染性の血腫が充満しており,肺尖背側には上腕創部より貫通した木の枝を認めた.出血点は右腋窩動脈で異物の貫通刺創(杙創)による動脈損傷と膿胸と診断した.術式は血腫除去,胼胝切除,洗浄肺剥皮術,動脈損傷部縫合閉鎖となった.術後に有瘻性膿胸が遷延し,2度の手術と気管支鏡下肺瘻閉鎖術を必要としたが救命でき現在は社会復帰を果たしている.
  • 野津田 泰嗣, 星川 康, 桜田 晃, 野田 雅史, 岡田 克典, 近藤 丘
    2010 年 24 巻 5 号 p. 859-863
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.2ヵ月つづく38℃台の発熱を主訴に前医を受診した.白血球数2万台.胸部CTでは右上葉に縦隔胸膜に接する径6cmの腫瘤影を認めた.右肺膿瘍として1ヵ月間抗菌治療を受けたが軽快せず当科に紹介された.血中G-CSF,IL-6高値であり,G-CSF産生肺癌疑いとして右肺上葉切除術を施行した.迅速病理診断で低分化腺癌.ND2b追加.上縦隔胸膜浸潤を認め,pT3N0M0,stage IIBであった.術後すぐに解熱し,白血球数,G-CSF,IL-6も正常値に復した.免疫組織染色上,肺癌組織はG-CSF陽性であった.G-CSF産生肺癌は一般に予後不良とされる.今後慎重な経過観察を要する.
  • 新関 浩人, 北上 英彦, 山本 高正, 村上 慶洋
    2010 年 24 巻 5 号 p. 864-867
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.両側尿管結石の治療中に副甲状腺機能亢進症を指摘された.頚部には腫瘍性病変を認めなかったが,99mTc-MIBIシンチで縦隔に異常集積を指摘された.胸部CTとMRIで,同部に一致した前縦隔に3.0×2.2cmの嚢胞性腫瘍を認め,機能性の縦隔内副甲状腺嚢胞を疑った.胸腔鏡下に腫瘍切除を行い,病理組織像で副甲状腺腺腫による嚢胞形成と診断された.血清Ca値も速やかに正常化し,再発を認めない.縦隔内副甲状腺嚢胞は,まれな疾患であるが,副甲状腺機能亢進症の原因となり得るため,鑑別診断の一つとして念頭に置く必要がある.腫瘍の局在診断には,99mTc-MIBIシンチが有用であった.
  • 宮内 善広, 松原 寛知, 奥脇 英人, 國光 多望, 市原 智史, 松本 雅彦
    2010 年 24 巻 5 号 p. 868-872
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    4本の異常動脈を有し奇静脈に還流する肺葉内肺分画症に対して胸腔鏡下分画肺切除を施行した症例を報告する.【症例】17歳,男性.胸部異常陰影を契機に左肺下葉の肺葉内肺分画症と診断され,胸腔鏡下に分画肺切除術を施行した.術後3年現在,合併症なく経過している.【考察】肺分画症に対しては,MDCTで分画肺の局在とともに流入動脈と流出静脈を確認して,分画肺を含む肺葉切除や区域切除が施行されることが多い.本症例では術前に確認できなかった異常血管を含めて安全に血管処理を行え,さらに正常肺のほとんどが温存できた.肺分画症治療においては,MDCTで描出されない脈管の可能性を意識して治療に臨む必要がある.
  • 日野 春秋, 池田 晋悟, 川野 亮二, 星野 竜広, 横田 俊也, 羽田 圓城
    2010 年 24 巻 5 号 p. 873-878
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性.1995年から糖尿病性腎症,慢性腎不全のため維持透析導入,2002年深部静脈血栓症,肺梗塞にて下大静脈フィルター挿入,2008年完全房室ブロックからペースメーカー植え込み,および右冠動脈に90%狭窄あり経皮的冠動脈血行再建術を施行した.その際胸部X線で右上肺野に2.8×2.2cmの結節影を認め,CTガイド下肺生検にて腺癌の診断を得た.cT1N2M0-IIIAと判断し2008年11月前方腋窩切開第4肋間開胸右上葉切除ND2aと有茎肋間筋皮弁による気管支断端被覆を施行した.術後の病理診断はpT1N2M0-IIIAであった.慢性腎不全他,併存疾患を多く抱えていたが重篤な合併症なく術後17日目に独歩退院となった.術後は正常範囲内まで減少した腫瘍マーカーが再上昇を認めたためパクリタキセル®による全身化学療法を4コース施行し,腫瘍マーカーは再度正常範囲内まで減少した.経過中Grade 2の白血球減少以外は有害事象なく術後11ヵ月経過し現在外来にて経過観察中である.
  • 中西 崇雄, 青木 稔, 大竹 洋介, 辻 和雄, 橋本 公夫
    2010 年 24 巻 5 号 p. 879-883
    発行日: 2010/07/15
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は20歳男性,検診で胸部異常陰影を指摘され来院,後縦隔神経原性腫瘍の術前診断で手術を施行した.術中収縮期血圧が230mmHgまで上昇した.病理検査にて傍神経節腫と診断された.術後123I-metaiodobenzylguanidineシンチにて右副腎褐色細胞腫および左後腹膜傍神経節腫を認め切除を行った.さらに小脳血管芽腫も認めたため遺伝子検査を施行しvon Hippel-Lindau病と診断された.縦隔傍神経節腫は稀な疾患であるが,周術期のトラブルを回避し完全切除を達成するためには,術前に本疾患の可能性を念頭におき,術前検査や術式を十分に検討する必要がある.またvon Hippel-Lindau病をはじめ家族性疾患の1症状として発症する場合もあり,傍神経節腫の多発,他臓器腫瘍の有無や,家族歴に留意する必要がある.
正誤表
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