日本呼吸器外科学会雑誌
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26 巻, 5 号
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原著
  • 大内 政嗣, 井上 修平, 尾崎 良智, 藤田 琢也, 手塚 則明, 花岡 淳, 寺本 晃治, 北村 将司, 橋本 雅之
    2012 年 26 巻 5 号 p. 490-497
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia:IIP)合併肺癌手術時に,術後急性増悪予防のためステロイドとシベレスタットナトリウムを使用した周術期管理を行い,その安全性と有用性を検討した.2005年1月から2010年12月までに手術を行ったIIP合併肺癌10例に対して麻酔導入直前と手術終了時にコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム250 mgを静脈内投与し,麻酔導入直前よりシベレスタットナトリウムを4.8 mg/kg/日で術後7日間持続点滴静脈内投与を行った.10例全例で縦隔リンパ節郭清を伴う胸腔鏡補助下肺葉切除術を施行した.1例で肝酵素上昇のためシベレスタットナトリウムの投与を術後3日目で中止した以外には有害事象は認めなかった.全例で術後のIIP急性増悪を含めた呼吸器合併症を認めず経過した.現時点で全症例において局所再発なく経過しており,この方法により十分に根治性のある手術が安全に施行可能であったと考えられた.
  • 伊藤 祥隆, 小林 弘明
    2012 年 26 巻 5 号 p. 498-502
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    超高齢者肺癌患者に対する外科的治療における予後因子に関し統計学的検討を行った.1992年1月から2011年3月までに原発性肺癌に対して当院にて手術を行った80歳以上の高齢者55例を対象とした.男性29例,女性26例,平均年齢は81.9歳.術式は肺葉切除46例,区域切除2例,部分切除7例,リンパ節郭清はND2a 41例,ND1 7例,ND0 7例であった.組織型は腺癌36例,扁平上皮癌14例,その他5例,術後病理病期はIA期30例,IB期12例,II期7例,III期6例であった.全症例の5年生存率は60.3%であった.予後因子の検討では男性,扁平上皮癌で有意に予後不良である一方,術式,術前合併症の有無では生存期間に有意差を認めなかった.適応や術式に関して十分な検討を行えば,80歳以上の超高齢者であっても比較的良好な予後が得られると考えた.
症例
  • 早川 正宣, 富田 栄美子, 福原 謙二郎
    2012 年 26 巻 5 号 p. 503-509
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    多発性転移性肺腫瘍の切除標本のうち1ヵ所に原発性肺癌が併存したまれな症例を2例経験したので報告する.症例1は68歳男性.咽頭癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断で,2ヵ所に咽頭癌の転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(腺扁平上皮癌)を認めた.症例2は,61歳女性.腎細胞癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断は,4ヵ所に腎細胞癌の肺転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(定型カルチノイド)を認めた.転移性肺腫瘍と原発性肺癌の同時切除例は,自験例を含めて17例と稀である.たとえ,多発して転移性肺腫瘍が臨床的に強く疑われる症例でも転移以外の腫瘍が併存する可能性を考慮する必要がある.ただし,術中,術後に原発性肺癌の併存が判明するような症例では,予後を規定するのは,転移巣のことが多いので,原発性肺癌に対する肺の追加切除やリンパ節郭清を追加する必要はないと考える.
  • 岡本 卓也, 船井 和仁, 関原 圭吾, 清水 恵, 椎谷 紀彦
    2012 年 26 巻 5 号 p. 510-514
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は77歳男性.咽頭痛,嚥下困難を自覚し,徐々に経口摂取不能となったため近医を受診した.抗生物質を投与されたが症状改善せず,当院耳鼻科を紹介受診し頚部膿瘍の診断で緊急入院となった.入院後の胸部CTで縦隔膿瘍を認めたため当科に紹介され,降下性壊死性縦隔炎と診断し,転科翌日に手術を行った.手術は胸腔鏡補助下右経胸腔縦隔ドレナージを施行した.第1病日から胸腔,縦隔の洗浄を行い,第7病日にドレーンを抜去した.第12病日CTで膿瘍腔は縮小し,縦隔炎の改善を確認した.第24病日に軽快退院となった.降下性壊死性縦隔炎は頚部の膿瘍が筋膜間隙に沿って縦隔へ至る重篤な感染症であり,本疾患を疑ったら早期のCT検査並びに,早期の壊死組織の除去,洗浄,ドレナージを行うことが肝要である.
  • 我部 敦, 川畑 勉, 照屋 孝夫, 河崎 英範, 国吉 真行, 石川 清司
    2012 年 26 巻 5 号 p. 515-519
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は,57歳,男性.原発性肺癌術後,carcinoembryonic antigen(CEA)値再上昇精査に対して行ったPositron Emission Tomography/Computed Tomography(PET/CT)検査で,上行結腸への18F-fluorodeoxyglucose(FDG)の集積を指摘された.手術を行ったところ,上行結腸に粘膜下腫瘍を認め,術後病理組織検査にて肺癌大腸転移と診断された.肺癌大腸転移症例は稀であり,またその予後は不良であると報告されている.本症例は術後5年6ヵ月生存中であり,本邦文献報告で5年を超える長期生存例はなく,非常に貴重な症例と考える.
  • 鈴木 仁之, 真栄城 亮, 井上 健太郎, 近藤 智昭
    2012 年 26 巻 5 号 p. 520-523
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性.嚥下障害で近医を受診した際に胸部異常陰影を指摘され,当院紹介受診となった.胸部CTおよびMRIにて上縦隔に径5 cmの嚢胞性腫瘍を認めた.CTガイド下生検を施行したところ白色の乳糜が採取された.縦隔リンパ管腫を強く疑い,リンパ管シンチを施行したところ,腫瘍は乳糜槽~上縦隔~頚部に至るネットワークを認めたため縦隔リンパ管腫と診断した.左襟状切開+胸骨L字切開にて手術を施行した.流入リンパ管は同定可能で3重結紮切離し,腫瘍を破ることなく摘出できた.腫瘍は単房性嚢胞であった.成人の縦隔リンパ管腫は稀で,術前に診断を確定させるのは極めて困難と言われている.本症例は術前に診断し得たことにより,術中胸管との交通管の処理が適切に行われ,術後乳糜胸が回避できたと考えられた.
  • 今村 史人, 稲垣 雅春
    2012 年 26 巻 5 号 p. 524-528
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    60歳女性.2001年の検診の胸部単純X線写真で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTにて,右肺中葉末梢に4×3 cmの腫瘤を認めた.気管支鏡下生検にて,未分化な原発性肺癌が疑われ,手術目的に当科入院となった.右肺中葉切除術,ND2aリンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では,腫瘍細胞は比較的大型で細胞境界は不鮮明であり,未分化で不規則な胞巣形成と周囲の間質に著明なリンパ球浸潤を認め,肺原発リンパ上皮腫様癌(Lymphoepithelioma-like carcinoma:LELC)と診断した.またEBV-encoded RNA in situ hybridization(EBER-ISH)は陽性であり,Epstein-Barr virus(EBV)感染の関与が示唆された.免疫染色では,EBNA2,LMP-1は陰性であった.術後2年目にCTで右主気管支周囲リンパ節の増大を認め,再発と診断した.放射線療法後,カルボプラチン・パクリタキセル併用化学療法を2クール施行し,CRを得た.その後リンパ節の増大は認めず,現在術後10年生存中である.
  • 今村 史人, 間瀬 憲多朗
    2012 年 26 巻 5 号 p. 529-532
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性.56歳時より慢性関節リウマチにて治療中であった.咳嗽,胸痛を主訴に近医を受診し,胸部単純X線にて左気胸の診断で当院に紹介となった.胸部CTで左肺S6に直径約3 cmの空洞病変を認めた.同部が気胸の責任病巣と診断し,胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した.同部は病理組織学的に,肺リウマチ結節と診断され,空洞病変を有した肺リウマチ結節が破綻し気胸を発症したと考えられた.
  • 三浦 奈央子, 伊藤 謙作, 濱田 千鶴, 梶原 浩太郎, 横山 秀樹, 大城 由美
    2012 年 26 巻 5 号 p. 533-535
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    Alveolar soft part sarcoma(ASPS)は若年者に好発する稀な腫瘍である.転移を伴わない症例は5年生存率88%と予後良好であるが,遠隔転移を伴う症例は5年生存率20%と予後不良である.今回,我々は,肺転移巣切除後に21年間無再発で経過している症例を経験したので,報告する.症例は30歳代女性.12歳時に左側腹部の手拳大の腫瘍に対して腫瘍摘出術を施行し,ASPSと診断された.術後2年目に両側転移性肺腫瘍を指摘され,当科紹介.各々に対して部分切除を施行.病理組織診断にて,metastatic ASPSと診断された.術後,CTで定期的に経過観察しているが,転移巣切除術後,21年間再発無く経過している.
  • 原田 亜矢, 中村 好宏, 永田 俊行, 大塚 綱志, 酒瀬川 浩一, 佐藤 雅美
    2012 年 26 巻 5 号 p. 536-541
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    低血糖発作を契機に孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)が発見され,手術で軽快した1例を経験したので報告する.症例は54歳の女性.朝起床時に意識消失発作と言語障害があり,精査で低血糖と左胸腔内に最大径23×14×9 cmの腫瘤を認め,CTガイド下針生検でSFTと診断された.血中インスリン,C-ペプチドは低下し,下垂体と副腎機能は基準値内であり,低血糖は腫瘍随伴症状と考えられ,腫瘍摘出術を行った.術後,血糖値は安定した.また術前の採血検体から高分子のインスリン様成長因子-II(insulin-like growth factor - II:IGF-II)が検出され,免疫染色でIGF-II陽性であったことから,低血糖はSFTが産生した高分子IGF-IIによるものと考えられた.術後1年経過時点で低血糖症状や再発徴候は認めていない.
  • 宮田 亮, 陳 豊史, 庄司 剛, 宮原 亮, 伊達 洋至
    2012 年 26 巻 5 号 p. 542-546
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍随伴網膜症(CAR)は,主に肺の小細胞癌に随伴し,網膜に異変を来たして視覚異常を来たす疾患である.6ヵ月以上にわたる視野異常,視力低下を主訴に当院を受診し,当科で縦隔の病変に対し超音波気管支鏡ガイド下経気管支針吸引(EBUS-TBNA)を行い,肺の小細胞癌と診断し得た2例を経験した.2例とも,EBUS-TBNAにて速やかに確定診断が得られた.EBUS-TBNAは,縦隔鏡検査などと比べ,低侵襲かつ,嗄声や乳び胸といった合併症の少ない検査である.縦隔鏡を用いることが困難な縦隔リンパ節腫大を認める症例や,腫瘍が気管壁に達しているような症例においては,EBUSを用いることで,より低侵襲に確定診断を得ることができるため,今後更に広まっていくものと考えられる.
  • 新居 和人, 岡本 卓, 中島 尊, 渋谷 祐一, 岡林 孝弘
    2012 年 26 巻 5 号 p. 547-552
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    肺原発リンパ上皮腫様癌(lymphoepithelioma-like carcinoma:LELC)は,大細胞癌の特殊型に分類される比較的稀な肺癌である.
    症例は73歳,男性.他疾患の検査中,胸部CTにて右上葉S1領域に10 mm大の結節影を認めた.数回の経気管支肺生検(TBLB)やCTガイド下生検では確定診断に至らず,胸腔鏡下右肺上葉部分切除術を施行した.術中迅速病理検査でも確定診断に至らず,術後の病理検査にて肺原発リンパ上皮腫様癌(T1N2M0, stage IIIA)と診断した.腫瘍組織のEBER in situ hybridizationは陰性であり,Epstein-Barr virus(EBV)との関連は認められなかった.化学療法を施行したが奏功なく,全身転移のため治療開始後1年で癌死した.術前・術中の病理検査で確定診断に至らず,肺部分切除で診断に至ったLELCを報告した.化学療法の効果は認めなかった.
  • 青木 耕平, 井上 慶明, 福田 祐樹, 儀賀 理暁, 江口 圭介, 中山 光男
    2012 年 26 巻 5 号 p. 553-558
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例1:42歳女性.呼吸困難,胸部圧迫感を主訴に前医を受診し,当院を紹介受診した.左鎖骨上窩に腫瘤を触知し,CTで甲状腺左葉下極付近から縦隔上部にかけて腫瘤を認めた.針生検の結果,胸腺腫と診断され,胸腺胸腺腫摘出術を施行した.腫瘍は胸腺の左上極に発生した非浸潤型胸腺腫であった.症例2:40歳女性.心窩部痛およびHBV陽性を主訴に当院を紹介受診した.心窩部正中から左肋骨弓下に腫瘤を触知し,CTで左腹直筋背側に右室と肝左葉外側区を圧排する腫瘤を認めた.胸壁腫瘍の診断で手術を施行し,腫瘍とともに肋骨と腹直筋を合併切除した.術中迅速病理で胸腺腫と診断され,前縦隔下部発生の異所性胸腺腫と考えられた.被膜外浸潤を認めたため,放射線治療を追加した.頸部や上腹部など非典型的な部位に腫瘤を触知する場合でも胸腺腫を念頭に置く必要がある.
  • 大宮 英泰, 高見 康二, 栗山 啓子, 真能 正幸
    2012 年 26 巻 5 号 p. 559-562
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は79歳・男性,2007年5月左自然気胸を発症し,胸腔ドレナージで改善が得られた.しかし同年6月左自然気胸再発を呈し,再度胸腔ドレナージが施行された.再発かつドレナージ後気瘻が遷延したことから手術を施行した.切除標本の病理組織学的検査でブラ基部に径7 mmの腺癌が認められ,原発性肺癌(pT1a)と診断した.追加切除は行わず経過観察中であるが,術後55ヵ月を経て無再発生存中である.高齢,重喫煙,気腫性肺嚢胞等の因子を有する自然気胸症例においては,肺癌の存在を念頭に周術期を通じた慎重な検索が肝要と考えられた.
  • 今井 一博, 高原 聡子, 南谷 佳弘, 齋藤 元, 三井 匡史, 小川 純一
    2012 年 26 巻 5 号 p. 563-567
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    リンパ管腫は通常頸部に生じ,腋窩などに進展する.リンパ組織が存在するあらゆる部位に存在するが胸部では縦隔に多く,肺内での発生は稀である.症例は15歳女性.学校検診で左下肺野17 mm大の銭型陰影を指摘された.胸腔鏡下肺部分切除術を行い,施行した病理学検査では,肺実質内に散在性に不規則なリンパ管の拡張,紡錘形細胞の増生,肺胞壁の線維化を伴う肥厚を認めた.免疫組織学検査ではCD34陽性,リンパ管内皮細胞に特異的なD2-40陽性,αSMA一部陽性,AE1/AE3, desmin, HMB45, ER, PgRはそれぞれ陰性であり,肺孤立性リンパ管腫と診断した.再発例はないものの,再増大を示す場合も報告されているため,今後は注意深い観察が必要である.
  • 藤野 孝介, 林 亨治
    2012 年 26 巻 5 号 p. 568-571
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    舌区のブラに対し補強材付き自動縫合器(Duet TRSTM, COVIDIEN)を使用して切離し,その補強材が原因と思われる胸壁損傷から術後出血を来たした症例を経験した.補強材の端が呼吸性移動により,ゆっくりと胸壁を損傷したことが原因と思われた.
    補強材付き自動縫合器を使用する際には,補強材の余剰部分は丸くトリミングし,中下葉,舌区等の呼吸性移動の大きい部位での使用を控えるなどの対策が必要と考えられた.
  • 生田 安司, 谷口 大輔, 土肥 良一郎, 近藤 能行, 卜部 省悟, 赤嶺 晋治
    2012 年 26 巻 5 号 p. 571-576
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.呼吸困難感のため施行された胸部CT検査にて前縦隔腫瘍を指摘され,当院紹介となった.胸部CT検査では,両側胸腔に進展し心臓を圧排する24×20×9 cm大の前縦隔腫瘍を認めた.Clamshell切開に下部胸骨正中切開を追加して腫瘍摘出術を施行した.摘出された腫瘍重量は3500 gで病理組織学的に粘液線維肉腫と診断された.呼吸困難感は消失し,術後24日目に退院した.術後6ヵ月目に胸膜播種再発したが,術後15ヵ月間呼吸器症状の訴えなく,生存中である.Clamshell切開に下部胸骨正中切開を加えたアプローチは,左右胸腔に広範に広がる巨大な縦隔腫瘍の術野展開,特に胸腔内背側・肋骨横隔膜角近傍まで,と腫瘍の一塊摘出に際し有用であり,麻酔導入時や術中の腫瘍の心圧迫による循環不全の回避の点で安全なアプローチ法と思われた.
  • 中村 玉美, 上田 和弘, 田中 俊樹, 林 雅太郎, 濱野 公一
    2012 年 26 巻 5 号 p. 577-583
    発行日: 2012/07/15
    公開日: 2012/09/03
    ジャーナル フリー
    稀な疾患であるcombined large cell neuroendocrine carcinoma(combined LCNEC)を2例経験したので報告する.
    症例1:60歳代の男性.右上葉S3の原発性肺癌に対し,胸腔鏡下右上葉切除術を施行した.病理検査で,腺癌を混在したcombined LCNEC(p-stage IIA)と診断した.術後化学療法(CBDCA+CPT-11)を3コース施行したが,直後に多臓器転移が出現した.
    症例2:80歳代の男性.左肺扁平上皮癌術後の検診で右下葉S7に増大する腫瘤影が出現し,胸腔鏡下右下葉切除術を施行した.病理検査で扁平上皮癌を混在したcombined LCNEC(p-stage IA)と診断した.術後補助療法は施行されなかったが術後30ヵ月の現在無再発生存中である.
    Combined LCNECの治療法や予後については不明な点が多く,今後の症例蓄積が望まれる.
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