日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
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27 巻 , 4 号
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原著
  • 宇佐美 範恭, 谷口 哲郎, 石川 義登, 川口 晃司, 福井 高幸, 水野 鉄也, 石黒 太志, 中村 彰太, 横井 香平
    2013 年 27 巻 4 号 p. 410-416
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器外科手術において心大血管の操作が必要な場合,当科では安全で確実な手術のために心臓血管外科と協同で手術を行うよう心がけている.2002年1月から2011年7月の手術症例1864例中,心臓血管外科と協同で手術を行った53例(2.8%)について検討した.男性40例,女性13例で,平均年齢57歳.術前から心大血管操作が必要と判断した症例が34例(肺癌16例,縦隔腫瘍8例,その他10例),部位は左心房8例,大動脈8例,上大静脈7例,肺動脈4例,その他7例であった.一方,術中所見により心臓血管外科の援助が必要と判断した症例は19例で,術前診断を越える心大血管への浸潤12例とコントロールし難い出血7例であった.手術死亡は認めなかった.呼吸器外科医にとって心臓血管外科との緊密な連携により,根治性と安全性のバランスのとれた質の高い手術を提供する体制を構築することは,医療安全上,また教育上も重要である.
  • 北原 美由紀, 朝戸 裕二, 鈴木 久史, 清嶋 護之, 雨宮 隆太
    2013 年 27 巻 4 号 p. 417-422
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    1993年2月より2011年12月までに経験した珪肺症合併気胸手術症例35例と,同期間におけるその他の続発性自然気胸手術症例62例を比較し,珪肺症合併気胸の外科治療上の問題点を検討した.患者背景では,年齢,性別,患側,Hugh-Jones classification,手術適応,手術手技に有意差はなかったが,喫煙指数が珪肺症合併気胸症例で有意に高かった.術後成績は,手術時間,出血量,ドレーン留置期間,追加療法,在院期間,合併症において有意差を認めなかった.しかし,珪肺症合併気胸症例では術後再発が7例(20%)あり,その他の続発性自然気胸症例の術後再発3例(4.8%)と比べ高く統計学的有意差を認めた.術後再発は多いが,術死・在院死に関して有意差をみとめず,手術はほぼ安全に施行可能である.珪肺症の持つ病理学特性から広範囲な臓側胸膜の被覆が再発率軽減に重要と考え,今後更なる術式の検討が必要である.
  • 森野 茂行, 赤嶺 晋治, 村岡 昌司, 近藤 正道, 持永 浩史
    2013 年 27 巻 4 号 p. 423-427
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    胸壁腫瘍,悪性腫瘍の胸壁浸潤に対し,胸壁合併切除再建術は広く用いられる.胸壁欠損が大きく,胸壁動揺の懸念が生じる場合は,人工材料による胸壁再建が必要である.2005年8月より2008年3月までに胸壁合併切除の6症例に対し,コンポジックスシートを用い胸壁再建を行った.原疾患は原発性肺癌の胸壁浸潤2例,胸腺腫の胸壁浸潤1例,乳癌の胸壁浸潤1例,線維性骨異形成症1例,胸壁脂肪腫1例であった.合併切除した肋骨は2本切除が2例,3本が2例,4本が2例で,胸壁欠損範囲は6×6 cm~20×6 cmの範囲を再建した.手術時間は245分から470分で出血量は100~1600 mLであった.術後在院日数は11日~21日(平均14.8日)で術後合併症が生じた症例はなかった.コンポジックスシートは胸壁再建素材としても適度な強度を有し,また欠損範囲にあわせて容易に加工することができ創感染の危険性も低いと考えられた.
  • 塚田 博, 齋藤 紀子, 手塚 康裕, 光田 清佳, 遠藤 俊輔
    2013 年 27 巻 4 号 p. 428-434
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    2009年1月から2011年4月までに,当科に入院した続発性自然気胸21例に対し,縦溝型シリコンドレーン(BLAKEドレーン)による胸腔ドレナージを行った.年齢は57~87歳(平均74.3歳),基礎疾患は,肺気腫17例,多発肺嚢胞4例,間質性肺炎2例などであり,癒着や限局性気胸症例にも有効であった.ドレナージ期間は2日~67日(平均14.2日,中央値8日)であった.ドレナージのみで治癒したものは15例で,6例に気管支充填術,胸膜癒着術,手術などの追加治療を行った.内套針のないシリコンドレーンの挿入には胸腔に達するまでの観血的手技が必要であり,これに伴い皮下気腫の合併が認められた.近年,術後ドレーンとして使用される縦溝型シリコンドレーンは,柔軟性に富み,長い吸引域を持つため,肺気腫等を基礎疾患とする続発性気胸の初期ドレーンとしても有効であったが,挿入方法については改良が望まれる.
  • 高橋 祐輔, 三島 修, 北野 司久, 三澤 賢治, 牛山 俊樹
    2013 年 27 巻 4 号 p. 435-439
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    胸腔ドレーン抜去時には,創部を結紮したりフィルム剤を貼付したりと施設により方法は様々である.当院では胸腔ドレーン抜去時に縫合はせず,ハイドロコロイドドレッシングであるカラヤヘッシブTM(以下:カラヤ)を貼付しており,簡便で低侵襲であり創傷治癒の面から有用であると思われるため報告する.2010年1月から2011年10月まで当院呼吸器外科で手術を行い胸腔ドレーンを挿入した181人を対象とした.ドレーン抜去後にカラヤの交換が必要だった症例は9例であった.ドレーン抜去後に浸出液が多く創部を縫合閉鎖した症例が1例あった.再挿入は2例であったが,抜去の手技に問題はなく時期に問題があると思われた.以上の結果から,ほとんどの症例で,抜去に伴う問題はなく,当院におけるドレーン抜去の工夫は有用であると思われた.
症例
  • 石田 順造, 保坂 誠, 松島 康
    2013 年 27 巻 4 号 p. 440-444
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,男性.尿管結石にて当院救急外来受診.その際撮影したX線写真で右下肺野に異常陰影を認め,当科を紹介された.胸部CTにて右肺下葉に腫瘤様の陰影と液体の貯留を伴う嚢胞性変化がみられ,また喀痰抗酸菌培養陽性であった.以上より非結核性抗酸菌感染を伴った肺分画症と診断した.治療は12週間の化学療法後,分画肺+右肺下葉切除術を行った.肺分画症に非結核性抗酸菌を合併した報告は比較的稀であるが,本症例では術前に化学療法を行うことによって,分画肺ならびにその周囲肺の感染をコントロールし,手術リスクを軽減することが出来たと考えられる.安全性を高める治療戦略として有効性が示唆される.
  • 生田 安司, 田村 和貴, 木下 義晃, 坂本 篤彦, 日高 孝子, 古賀 孝臣
    2013 年 27 巻 4 号 p. 445-450
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    稀な進展形式を示した過誤腫による後天性気管支閉鎖症の1手術例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.血痰,咳嗽の精査目的で当院紹介受診した.胸部CTで左下葉の区域気管支閉塞と左下葉の容量減少,左気管支動脈の著明な拡張を認めた.気管支鏡検査では左区域気管支B8, B9, B10の閉塞を認めた.後天性気管支閉鎖症と診断し無治療で経過観察したが,呼吸器感染症状が出現してきたため胸腔鏡下左下葉切除術を施行した.病理組織検査にて稀な進展形式を示した過誤腫による気管支閉鎖と診断された.気管支閉鎖症は良性疾患であることを認識し,手術適応や手術術式の選択等に十分配慮すべきと思われた.
  • 市橋 良夫, 東 薫, 佐藤 澄, 森田 琢也, 岡田 仁克, 花岡 伸治
    2013 年 27 巻 4 号 p. 451-455
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍の遠隔転移はさまざまな部位に発生するが,骨格筋への転移は非常に稀である.今回,術前FDG-PETで異常集積を認めていた小胸筋病変を摘出したところ,肺癌の転移であった1手術症例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.2010年6月,肺癌検診の胸部単純写真で右下肺野に異常影を指摘された.FDG-PETで右下葉,左小胸筋に異常集積を認めた.小胸筋の病変は炎症性病変との診断であったので,cT2aN0M0 IB期で胸腔鏡下右下葉切除術,リンパ節郭清術,左小胸筋病変摘出術を施行した.右下葉の腫瘍は扁平上皮癌で,小胸筋病変は肺癌の転移と診断され,pT2aN0M1b IV期であった.
  • 日野 佑美, 梶 政洋, 堀内 翔, 宮原 尚文, 小林 零, 末舛 恵一
    2013 年 27 巻 4 号 p. 456-459
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.呼吸困難感を自覚し胸部CTを施行したところ,両肺に多発する結節影及び嚢胞性病変を認め,精査目的に胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理検査で結節はCongo red染色に陽性であり,肺アミロイドーシスによる結節と,その二次性変化としての嚢胞と診断した.特徴的な画像所見であり,また多発する肺結節・嚢胞性病変の鑑別診断として認知しておくべき疾患であると考えられた.
  • 前川 信一, 樋口 隆男, 濱田 利徳, 岩﨑 昭憲, 岡林 寛
    2013 年 27 巻 4 号 p. 460-464
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    肺底動脈大動脈起始症に対し,胸腔鏡下に異常動脈の遮断のみ施行した症例を報告する.症例は54歳女性で検診の胸写異常を指摘され当院受診.胸部CT検査において下行大動脈より左肺底区へ流入する異常血管を認めた.肺実質の血管の拡張所見は軽微であり,3D-CTでは肺底区へ肺動脈,気管支いずれも正常に分枝していた.以上より左肺底動脈大動脈起始症と診断した.術前の画像所見で肺実質の異常なく温存可能と判断し,胸腔鏡下に異常動脈のカッター機能のないステープラーによる遮断のみを行った.肺切除を伴わない肺底動脈大動脈起始症手術症例の報告は極めて稀であるので報告した.
  • 深井 隆太, 入江 嘉仁, 宮元 秀昭
    2013 年 27 巻 4 号 p. 465-471
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.右腎盂癌に対し右腎尿管全摘術を受けた.また,左肺転移に対し,2度の肺部分切除を行い,最終的に左上区切除を施行した.その間,3種類の化学療法を計11コース受けていた.その後,外来通院中,頑固な咳と水様性痰が出現,さらに高熱のため当科緊急入院となった.抗生剤治療で改善がみられず,膿胸を疑い胸腔ドレナージ施行,胸水培養検査でAspergillus flavusを検出,胸腔鏡検査で菌塊を認め,アスペルギルス膿胸と診断した.ミカファンギン及びボリコナゾールによる抗真菌薬治療のみでは改善せず,EWS®(endobronchial Watanabe spigot)を用いた気管支充填を行ない治癒せしめた.
  • 川口 晃司, 宇佐美 範恭, 谷口 哲郎, 石川 義登, 福井 高幸, 横井 香平
    2013 年 27 巻 4 号 p. 472-476
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    肺門部肺癌に対する気管支・肺動脈管状切除(ダブルスリーブ切除)を伴う左上葉切除の術中に大量の空気が左心系に流入し空気塞栓を発生した症例を報告する.症例は72歳の男性で高度の肺気腫を合併していた.肺腺癌(cT2aN1M0)に対し左肺上葉ダブルスリーブ切除術を行い,まず気管支を吻合後に空気漏れ試験(リークテスト)を施行した.気管支吻合部より空気漏れのないことを確認し,肺動脈を吻合後再度リークテストを行った.その直後に心室細動が発生したため蘇生術を施行した.経食道超音波検査にて左房内に空気の存在を認め,体外循環補助装置を装着した.その後心肺機能が安定し,さらなる空気塞栓の発生も認めず手術を終了した.肺動脈を遮断したまま空気漏れ試験を行ったことにより拡げられた末梢肺血管が瞬間的に相対的に虚脱した状態となり,気道との圧較差が非常に大きくなったために空気が吸い込まれたと思われ,ダブルスリーブ切除術における手技には注意が必要と考えられた.
  • 谷岡 利朗, 田中 浩一, 山上 英樹
    2013 年 27 巻 4 号 p. 477-482
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    肺分画症は比較的まれな疾患である.肺葉内分画症に対して胸腔鏡下肺葉切除術を施行し,良好な結果を得た1例を経験したので報告する.患者は32歳女性で,発熱とそれに続く背部痛を自覚し,前医を受診した.胸部X線と胸部CTで肺化膿症が疑われ,精査加療目的に当院を紹介された.当院で撮影した胸部X線では,右下肺野に鏡面像を伴う浸潤影を認めた.胸部CTでは,右S10に一部空洞化を伴う炎症像を認めた.また横隔膜下より病巣内へ流入する異常血管が確認され,肺分画症が疑われた.追加して行われた血管造影で,右下横隔膜動脈より病変へ流入する異常動脈を認め,肺葉内分画症の診断となった.肺静脈の還流異常は認めなかった.手術は胸腔鏡下右肺下葉切除術を選択した.肺分画症は,診断技術の向上とともに術前診断の精度も上がってきており,より低侵襲を考慮した胸腔鏡下手術も症例によっては可能である.
  • 西 英行, 清水 信義
    2013 年 27 巻 4 号 p. 483-488
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    両側性同時性悪性胸膜中皮腫の診断に対してFDG-PET,対側胸腔鏡が有用であったので報告した.症例は59歳男性.石綿ばく露歴があった.健診の胸部X線にて左肺野に異常影を指摘された.胸部CTで左胸水および右胸膜の肥厚が認められ,FDG-PETでは右胸膜の肥厚部に軽度集積が認められた.左胸水細胞診にて悪性胸膜中皮腫の診断となり,当センターに紹介となった.左胸腔鏡検査では多数の小隆起が認められ,生検にて上皮型胸膜中皮腫の診断となった.右胸腔鏡検査では,プラーク様の胸膜肥厚を認め,生検にて上皮型胸膜中皮腫の診断となった.両側I期(IMIG分類)の診断で,手術療法の適応はないと考え,現在全身化学療法中である.結語:早期病変であっても,対側にも病変がある可能性は否定できないと考えられる.FDG-PET,対側胸腔鏡検査は手術療法の適応を考える際には,考慮すべき検査であると考えられた.
  • 土肥 良一郎, 赤嶺 晋治, 谷口 大輔, 生田 安司, 近藤 能行, 卜部 省悟
    2013 年 27 巻 4 号 p. 489-494
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.胸部X線異常影を指摘され,胸部CT上,縦隔上部から中縦隔にわたって大血管と気管に囲まれる径57×46 mm大の類円形の腫瘤を認めた.FDG-PETでは高集積を示し,悪性縦隔腫瘍が疑われた.診断治療を目的に当科紹介となった.手術は胸骨部分切開でアプローチし,腕頭動脈周囲から広基性に発生する腫瘍に対し,腕頭動脈の合併切除は行わずに可及的に腫瘍を摘出した.良性の孤立性線維性腫瘍の病理組織診断であった.免疫組織化学的検討ではCD34陰性,bcl-2の染色性の低下,MIB-1高値,p53陽性などの悪性を示唆する所見も認めたが,再切除は希望されず,経過観察とした.術後5ヵ月で再増大し,放射線治療を行った.現在術後2年が経過し生存中である.縦隔発生のSFTは非常に稀であるが,胸膜発生のSFTと比べてより侵襲性で悪性度が高いとされる.生物学的特性と治療に関する文献的考察を加えて報告する.
  • 川崎 成章, 加藤 毅人, 重光 希公生, 横山 幸房
    2013 年 27 巻 4 号 p. 495-499
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    大量気道出血による窒息に対し経皮的心肺補助(PCPS)併用手術により救命しえた一例を経験したので報告する.症例は75歳女性.血痰の原因精査目的の気管支鏡検査にて右B2内腔に突出する表面平滑な隆起性病変を認め,組織生検を行ったところ大量出血をきたした.ただちに気管内挿管を行ったがすでに血餅が気道内に充満しており,換気不能となったためPCPSを設置した.抗凝固法としてメシル酸ナファモスタットを投与した.PCPS導入後,全身の酸素化は速やかに改善し,循環動態は安定し,その後肺切除を施行した.術中には気管支断端より左右の気管支内の血腫を除去した.PCPSは術直後に離脱できた.術後5日目に人工呼吸器を離脱した.その後は経過良好で術後13日目に退院した.
  • 生田 安司, 田村 和貴, 古賀 孝臣
    2013 年 27 巻 4 号 p. 500-504
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    肝内胆管癌(ICC)の肺転移は,発見時には両側多発性や多臓器転移を伴っていることが多く,単発性肺転移の報告は稀である.今回私たちは,原発性肺癌との鑑別が困難であったICC肺転移の1切除例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.ICCにて肝切除術を受けた48ヵ月後に胸部CTで右肺上葉に単発性結節を指摘され,当科を受診した.術前検査では確定診断を得ることはできなかった.原発巣切除後48ヵ月を経ており他に明らかな再発巣を認めず,ICCの単発性肺転移は極めて稀であるので,原発性肺癌を疑い右上葉切除リンパ節郭清術を施行した.切除標本の免疫組織学的検索でICC肺転移と診断された.悪性腫瘍肺転移と原発性肺癌との鑑別が困難な肺腫瘍の手術適応の決定には,慎重な検討が必要と思われた.
  • 本野 望, 上野 正克, 町田 雄一郎, 薄田 勝男, 佐川 元保, 佐久間 勉
    2013 年 27 巻 4 号 p. 505-510
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    81歳男性.検診の胸部単純X線写真にて胸部異常影を指摘され当科紹介となった.胸部CTで前縦隔に5 cm大の腫瘤を認め,一部に嚢胞性変化を疑わせる所見を認めた.しかし,胸部MRIにおいてT1WIで高信号,T2WIで低信号領域を認め,腫瘍性病変の存在も疑われたため手術の方針とした.左胸腔アプローチの完全鏡視下前縦隔腫瘤摘出および胸腺部分切除術を施行した.病理検査では血性成分や壊死物質を内容物とする多房性胸腺嚢胞と一部にA型胸腺腫の合併を認めた.術前画像診断では病変全体が腫瘍性病変である可能性も考慮し手術を施行したが,実際には腫瘍性病変は一部であり,病変の大半が嚢胞性病変であった.
  • 門磨 聖子, 尾関 雄一, 亀田 光二, 中山 健史, 橋本 博史, 前原 正明
    2013 年 27 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は,59歳女性.下垂体腺腫の手術後25年目に肺癌検診で発見された気管狭窄を伴う縦隔内甲状腺腫に対し,胸骨正中切開により腫瘍摘出術を施行した.MRIで下垂体腺腫の再増大を認め,血清成長ホルモン(GH),血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)の上昇を認めた.下垂体腺腫の再発によって血清GHが上昇し,これに伴う血清IGF-Iの上昇により甲状腺濾胞細胞の増殖が促されることによって甲状腺腫が増大したことが考えられた.術後にオクトレオチドの投与を継続しつつ経過観察中であるが良好な経過を得ている.末端肥大症に甲状腺腫が比較的多く合併することは知られているが,本症例のように気管狭窄を生じるほどの腫大を認める例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 竹下 伸二, 村松 高, 田中 洋子, 塩野 元美
    2013 年 27 巻 4 号 p. 517-521
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は,骨髄異形成症候群を合併している80歳の男性.左再発気胸のために入院し,胸膜癒着を施行するも気漏が遷延した.胸腔造影において左肺尖部からの気漏を確認後,超高齢者でかつ骨髄異形成症候群を合併しているため局所麻酔下に手術を施行した.手術は3ポートで内視鏡用結紮糸を用いて,肺尖部の嚢胞の根部を2重結紮,さらにPGAシートを貼付した.術後経過は感染徴候もなく良好で,術後第5病日に退院となった.
  • 大杉 純, 武藤 哲史, 岡部 直行, 柳沼 裕嗣, 長谷川 剛生, 鈴木 弘行
    2013 年 27 巻 4 号 p. 522-527
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は,85歳,男性.自覚症状なく検診で胸部異常陰影を指摘された.近医の胸部CTで縦隔腫瘍を認め,当院紹介となった.胸部CT,MRIで前縦隔に6 cm大の内部に乳頭状に突出する充実性腫瘤を有する嚢胞を認めた.FDG-PETで腫瘤の辺縁のみに軽度の集積認め,嚢胞状変性を来した胸腺腫(cystic thymoma)の疑いで,胸腔鏡下に手術を施行した.摘出した腫瘤は,単房性の嚢胞で,壁内に充実性病変を認めた.病理組織所見で胸腺腫(正岡I期,WHO TypeA)を合併した胸腺嚢胞と診断された.胸腺腫を合併した胸腺嚢胞は,極めて稀であり,本邦では19例目の報告となる.本邦報告例に関し文献的考察を加え報告する.
  • 町野 隆介, 土肥 良一郎, 田川 努
    2013 年 27 巻 4 号 p. 528-533
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,男性.胸部CTにて右上縦隔に右甲状腺下極から奇静脈頭側までの嚢胞部分と充実部分が混在した腫瘤を指摘された.充実部は甲状頸動脈から血液供給を受け,上大静脈に還流されていた.異所性甲状腺腫や気管支嚢胞を疑い,頸胸部アプローチで切除した.病理所見にて充実部では内腔が繊毛円柱上皮に覆われた腺腔構造や軟骨,気管支腺を認め,異常血管も同定されたことから肺葉外肺分画症と診断された.上縦隔発生の肺葉外肺分画症は稀であり,文献的考察を含めて報告する.
  • 張 吉天, 吉村 誉史, 大畑 恵資, 伊東 真哉, 寺田 泰二, 松原 義人
    2013 年 27 巻 4 号 p. 534-537
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は33歳男性.4年前に健康診断で巨大肺嚢胞を指摘され,当科を紹介されたが,治療を受けず再診しなかった.労作時息切れ,両手浮腫,チアノーゼと関節痛を自覚するようになり,受診した近医より巨大肺嚢胞を指摘され再診.関節炎症状が強かったため,膠原病科に精査依頼したところ,びまん皮膚硬化型の全身性強皮症(SSc)と診断された.SScに対してNSAIDsとPGI2誘導体の投与が開始され,巨大肺嚢胞に対しては,胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行した.術後には,呼吸器症状の改善を認め,SScに対してプレドニンの内服を継続している.肺嚢胞を併発する膠原病としてはシェーグレン症候群が多く報告されているが,SScの合併は非常に少ない.SScと巨大肺嚢胞の関係は不明であるが,SScによる肺胞壁の破壊が肺嚢胞形成に関与している可能性が考えられた.
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