日本呼吸器外科学会雑誌
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28 巻 , 1 号
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原著
  • 三澤 賢治, 三島 修, 高橋 祐輔, 牛山 俊樹, 北野 司久
    2014 年 28 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    ソラシックエッグ(以下TE)は,留置に伴う疼痛が軽度で,管理も容易であるため,気胸治療において広く使われている.しかし,胸膜が硬い症例では,挿入の際に剥離操作を必要とするため,疼痛が強くADL低下を認めることがある.ドレーン挿入時および留置中の疼痛をさらに軽減する目的で,中心静脈カテーテル(以下CVカテーテル)をドレナージチューブとして代用し,TEの排液ボトルと組み合わせ,気胸ドレナージ治療を行ったので報告する.胸水を伴わない中等度以上の気胸患者で,2010年9月~2012年8月までに治療した69症例を対象とした.経過中に通常の胸腔ドレーンへの入れ換えが必要であった症例は13例であり,約8割の症例がCVカテーテルのみでドレナージ治療が可能であった.CVカテーテルとTEを利用した気胸ドレナージ治療は,ドレーン挿入に伴う疼痛がほとんどなく,日常生活の快適性を損なわない治療法になるものと考えた.
  • 坪島 顕司, 若原 鉄平, 的場 保巳, 眞庭 謙昌
    2014 年 28 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    【背景】特発性血気胸(spontaneous hemopneumothorax:SHP)は緊急性が高く早期手術の有用性は報告されているが自然気胸の側面からの検討はこれまでない.【対象と方法】2009年1月より2013年4月までに当科で手術を施行したSHP 5症例と原発性自然気胸85症例を比較した.【結果】SHP 4症例ではブラと胸壁間の異常血管近傍にブラを認めた.SHP,原発性自然気胸の患者背景,手術時間,ドレーン留置期間は有意差がなかったが,出血量はそれぞれ896.0±466.3,5.7±11.2 ml(P<0.05),術後在院日数はそれぞれ6.2±2.9,4.0±2.6日(P<0.05)であった.気胸再発率は有意差は認めなかったもののSHPのほうが低い傾向であった.【まとめ】多くの症例で異常血管近傍にブラが発生しており,その関連性が示唆される.SHPは気胸再発率が低い可能性がある.
  • 西野 豪志, 滝沢 宏光, 吉田 光輝, 川上 行奎, 先山 正二, 近藤 和也
    2014 年 28 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    進行肺癌に合併する続発性気胸は,難治性であることが多く,患者のQuality of Lifeおよび予後を著しく悪化させる深刻な病態である.当院では進行肺癌に合併した続発性気胸の治療に対しては,胸腔内フィブリン糊注入療法を第一選択としている.2009年4月から2012年5月の期間に進行肺癌の治療中に発症した続発性気胸を5例経験した.平均年齢は60.8歳で,組織型は扁平上皮癌が4例,腺癌が1例であった.全例がStage IIIA以上の切除不能進行肺癌であり,化学療法中の発症が4例,化学放射線療法中の発症が1例であった.5例中4例は胸腔造影検査で気漏部位が特定でき,フィブリン糊注入療法で気漏の停止が得られた.全例で,気漏停止後に化学療法または放射線治療の追加が可能となった.進行肺癌に合併する難治性続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法は有効であり,まず試みる治療として妥当であると考える.
症例
  • 我喜屋 亮, 城間 寛
    2014 年 28 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性,歩行困難,呂律障害が出現し当院の神経内科を受診した.小脳失調症が認められたが頭部MRIでは小脳に明らかな異常は認めず,腫瘍随伴性小脳変性症が疑われた.FDG-PET/CT検査でFDGの集積を伴う縦隔リンパ節腫脹を認め,リンパ節転移が疑われた.診断,治療目的で当科紹介となった.診断目的で胸腔鏡下縦隔リンパ節摘出術を施行したところ,数日で呂律障害が改善し,歩行可能となった.病理組織検査にて小細胞癌と診断され,術後化学療法及び放射線治療を開始した.転移リンパ節摘出術により症状の改善を認めた原発不明縦隔リンパ節癌の症例を経験した.
  • 小山 孝彦, 峯浦 一貴, 茜部 久美, 加藤 良一
    2014 年 28 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性.左肺腺癌に対し左上葉切除,リンパ節郭清術を行い,混合型腺癌,pT1aN0M0 Stage IAと診断した.再発の兆候なく経過していたが,術後6年半以上経過した頃から左胸背部痛が出現した.X線検査では明らかな異常は認めなかった.しかし,痛みが徐々に増強したため,7年半経過した時点で胸部CTを行ったところ左第4肋間背側を中心に胸壁に浸潤する長径5 cm大の腫瘍を認め,CTガイド下生検で肺腺癌の再発と診断した.再発部位は肺癌術前に行ったCTガイド下生検針穿刺部位と一致し,他に遠隔転移を認めないことなどから,インプラントによる局所再発と診断し,第3~5肋骨を含む胸壁を切除した.腫瘍の胸膜播種や肺への浸潤はなく,胸壁の切除断端は陰性で術後経過も良好である.CTガイド下生検における生検針穿刺部位への再発は稀とされており報告する.
  • 松原 恵理, 青木 良佑, 中島 明彦, 山﨑 宏司
    2014 年 28 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    胸膜の外側方向に突出する増殖を示したPulmonary hyalinizing granulomaの1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.2005年より検診の胸部X線にて右肺尖部胸膜に限局する異常陰影を指摘されていた.2011年の検診にて増大傾向を認め,当院紹介となった.胸部CTにて右第4肋骨背側に胸膜よりなだらかに立ち上がりextrapleural signを呈する径3 cmの軟部陰影を認め,壁側胸膜由来の腫瘍と考えられ手術を施行した.胸腔鏡にて観察したところ,右肺上葉表面に白色の腫瘍を認め,肺の外側方向に茸状に突出していたため,肺実質を含めて切除した.病理組織学的には,厚い膠原線維束の不規則な増生を認め,腫瘤辺縁や内部ではリンパ球浸潤が少量観察され,肺実質由来のPulmonary hyalinizing granulomaと診断した.
  • 山下 貴司, 卜部 憲和
    2014 年 28 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.検診にて左胸部異常影を指摘され当院を受診した.気管支鏡検査の結果では組織型の確定は困難であるが,低分化扁平上皮癌もしくはLCNECが疑わしく,cT1b(27×27×29 mm)N0M0 stage IAの診断にて当科へ紹介された.左開胸にて左下葉切除+リンパ節郭清術(ND2a-1)施行し,術後経過は良好で第8病日に退院された.切除標本の病理学的検討では,大細胞癌に類似した形態を示すものの,34βE12(+),synaptophysin(-),chromogranin A(-)であり,類基底細胞癌(Basaloid carcinoma),pT2a(35×30×35 mm)N0M0 stage IBと診断された.術前CTと手術日まではわずか33日であり,固定後の標本における腫瘍の拡がりでさえも急速な増大が確認された.術後11ヵ月の間,無再発生存中である.
  • 角岡 信男, 平山 杏, 稲沢 慶太郎
    2014 年 28 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性,検診にて胸部X線上,右中肺野の結節影を指摘された.胸部CTにて右S4に2 cm大のSpiculaを呈す結節で,有意なリンパ節腫脹を認めず.気管支擦過細胞診ではClass Iであるが,PET-CTではSUV max 5.4と上昇を認め,肺癌の可能性を否定できず,手術の方針とした.胸腔鏡下に針生検を施行するも確定診断に至らず,中枢性結節につき胸腔鏡下中葉切除を施行した.摘出標本は黄白色充実性結節で,迅速病理検査では「リンパ腫の疑い」であった.術後経過は良好で,術後7日に退院した.最終病理では結節は小型から中型のリンパ球が主体で腫瘍性ではなく,IgG4が染色された.また血清IgG4は427 mg/dlと上昇を認め,さらに左頸部リンパ節様部分のPET-CTでの集積もあり生検を行い,免疫染色で同様の所見を得た.以上よりIgG4関連疾患と診断した.現在他の兆候なく経過観察中である.
  • 松本 崇秀, 竹中 賢, 浦本 秀隆, 宗 知子, 花桐 武志, 田中 文啓
    2014 年 28 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性.大学健診の胸部レントゲン写真で右下肺野の異常陰影を指摘され近医を受診した.胸部CT検査で胸膜由来の腫瘍が疑われ当科紹介となった.1ヵ月後のCT再検で腫瘤は軽度に増大傾向であったが,PET-CT検査で有意な集積亢進を認めず,胸部MRI検査においても線維性腫瘍をはじめとした良性腫瘍が疑われた.術前画像検査における鑑別は困難であり,診断と治療を兼ねた手術を施行した.術中所見として腫瘤性病変は壁側胸膜側では有茎性,臓側胸膜側は広基性,数珠状に認めた.病理組織では線維性組織を背景に異型性に乏しい紡錘形細胞を認め,炎症細胞浸潤,砂粒状石灰化を伴っていた.免疫組織化学染色ではvimentinのみが陽性であった.以上より,胸膜発生のCalcifying Fibrous Tumor(以下,CFT)と診断した.胸膜発生CFTは胸腔内腫瘍の鑑別の一つとして念頭に置くべき疾患と考えられた.
  • 加藤 雅人, 松本 耕太郎, 川波 哲
    2014 年 28 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    右胸腔内横隔神経に発生した神経鞘腫の一例を経験した.症例は58歳,女性.検診での胸部X線写真で右縦隔の異常陰影を指摘された.胸部CTでは右縦隔で上大静脈に接する境界明瞭な腫瘤陰影を認めた.右縦隔腫瘍(右横隔神経由来の神経原性腫瘍の疑い)の診断で胸腔鏡下に腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘍は右横隔神経から発生した36×26×25 mmの神経鞘腫で,横隔神経を切離して腫瘍を摘出後に神経の断端を胸腔鏡下に再建した.術後3ヵ月目の胸部X線写真で右横隔膜の可動性は改善し,横隔神経機能の回復を確認した.横隔神経発生の神経鞘腫は稀な疾患であり,本邦における報告例は自験例を含め27例にすぎない.また,本症例は胸腔鏡下に腫瘍を切除した後に横隔神経の再建を行い,神経機能が改善した最初の報告である.
  • 成毛 聖夫, 大塚 崇, 赤塚 誠哉
    2014 年 28 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    肺に発生する扁平上皮癌の特殊型である類基底細胞型(basaloid variant of squamous cell carcinoma)は,多くが肺門部の太い気管支に発生する稀な組織型である.今回,末梢肺に発生し肺葉切除を施行した本症を経験したので報告する.症例は77歳,女性.重喫煙者.約2年間の経過中の増大傾向と18F-FDGによるPET/CT陽性所見により肺癌を疑う2 cm大の肺腫瘍に対して胸腔鏡下肺切除生検を施行.術中病理診断にて低分化癌と診断したため左下葉切除術+ND2a-1を施行した.類基底細胞型扁平上皮癌,pT1aN0M0と最終的に病理診断した.術後2年7ヵ月間無再発生存中である.
  • 岩田 力, 重光 希公生, 川崎 成章
    2014 年 28 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    肝内胆管癌の単発肺転移はまれである.今回肝内胆管癌,十二指腸乳頭部癌および肝内胆管癌の肺転移を二期的に切除した症例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.整形外科通院中に胸部単純X線検査にて左中肺野の結節影を指摘され,精査の結果,肺癌,肝内胆管癌および十二指腸乳頭部癌の三重癌と術前診断された.二期的切除の方針にて,肝左葉切除術,左尾状葉切除術および幽門輪温存膵頭十二指腸切除術をまず先行させ,その術後37日目に左上葉切除術が施行され合併症なく退院した.病理組織検査にて肝内胆管癌肺転移と診断された.腫瘍は術後11ヵ月で肺に再発し,その11ヵ月後に患者は癌死した.医学中央雑誌で検索する限り本邦において肝内胆管癌の肺転移切除報告は自験例を除き1例のみである.他の文献と合わせ,肝内胆管癌の肺転移に対する外科的治療の意義を考察する.
  • 後藤 正司, 角岡 信男, 稲沢 慶太郎
    2014 年 28 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性.咳嗽を主訴に近医を受診,胸部レントゲンで右気胸を指摘され当院へ紹介となった.胸部CTでは右中葉に壁の厚い約10 cmののう胞を認めた.胸腔ドレナージを行うも,リークが遷延し良好な再膨張が得られないため手術を施行した.手術時,のう胞は中葉をほぼ占拠しており中葉切除を施行した.術後病理では,のう胞の内腔は腺管の増生で裏打ちされた多列線毛上皮が認められ,また間質の一部では平滑筋や軟骨の形成が認められたため,肺間葉性のう胞性過誤腫と診断された.肺間葉性のう胞性過誤腫は多発することが多く,突然の出血や気胸を合併することが多いとされる.術前の診断は困難であるが,悪性転化の報告もあり,外科的切除と適切な経過観察が勧められる.稀ではあるが,のう胞性疾患の鑑別疾患として念頭に置く必要がある.
  • 田中 里奈, 青木 稔, 堤 奈央, 石川 浩之, 大竹 洋介
    2014 年 28 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は77歳女性.頸部膿瘍,降下性壊死性縦隔炎に対して,気管切開の後に頸部膿瘍開放・ドレナージを施行,その後胸腔鏡下縦隔ドレナージを施行.大動脈弓より頭側の左上縦隔と気管分岐部より尾側の中縦隔の膿瘍を開放し,洗浄ドレナージを行った.術後5日目に乳糜胸と診断した.禁食・中心静脈栄養を行うも1日1000 ml以上のドレーン排液が続いた.術後12日目に胸腔鏡下に再手術を行い,術直後はドレーン排液が減少したが,再手術後1日目の夜より再び排液が増加した.再手術後2日目よりオクトレオチドの皮下投与(300 μg/日)を開始した.その後すみやかに排液は減少し,経口摂取再開後も乳糜胸の再発は認めなかった.降下性壊死性縦隔炎は縦隔を広く切開し膿瘍を開放する必要があるため,乳糜胸も起こりうる合併症で注意すべきである.また,オクトレオチドは降下性壊死性縦隔炎術後の乳糜胸にも有用であった.
  • 名部 裕介, 中川 誠, 花桐 武志, 川波 敏則, 迎 寛, 田中 文啓
    2014 年 28 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性.30年間アーク溶接作業に従事しており,じん肺健康診断での胸部単純X線写真で経時的に増大する左上肺野の空洞性病変を指摘された.胸部CTで左肺上葉に空洞性結節を認め,気管支鏡検査を施行したが確定診断は得られなかった.画像上肺癌を否定できず,診断および治療目的で胸腔鏡下に左上葉部分切除を施行した.術中迅速病理組織学的診断では炎症性変化の所見を認めるのみで悪性所見は認められず,永久標本での病理組織学的診断はpulmonary siderosisで,職業歴から溶接工肺と診断した.溶接工肺は溶接作業によって発生する吸入性有害物によって起こる職業性健康障害の良性疾患であるが,時に肺癌との鑑別を要することがある.
  • 田中 由美, 大橋 拓矢, 前部屋 進自
    2014 年 28 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性.左背部痛と呼吸苦を主訴に近医を受診し,左自然気胸で当院呼吸器内科を受診.外来ドレナージ療法で一時的に気胸は改善したがすぐに再発し,外科的治療を目的に当科紹介となった.胸部CTにて左肺尖部にブラの多発とブラ壁近傍に肺結節影を認め,気胸の治療と結節の診断確定目的で手術を施行した.肺結節の術中迅速検査で肺癌と診断されたため,左上葉切除術と縦隔リンパ節郭清を施行した.術後病理組織診断で腺癌成分を混在したcombined large cell neuroendocrine carcinoma(pT1aN0M0, Stage IA)と診断された.術後化学療法(CDDP+CPT-11)を2コース施行し,1年9ヵ月再発なく生存中である.
  • 元石 充, 岡本 圭伍, 片岡 瑛子, 澤井 聡, 大塩 麻友美, 花岡 淳
    2014 年 28 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性.胸部レントゲンで両側胸水を指摘された.両側胸腔穿刺を行い両側乳糜胸と診断,精査にて明らかな原因を指摘できなかったため両側特発性乳糜胸と診断した.脂質制限・ドレナージにて軽快したが約3ヵ月で再燃したため胸管結紮術を施行した.術翌日夕より左胸腔ドレーンから乳糜様排液の増加を認め,術後3日目の左胸腔ドレーンからの排液は1日800 mlとなった.同日よりオクトレオチド投与・脂質制限を開始した.乳糜胸水の減少を認め,オクトレオチドを2週間投与し退院とした.術後1年以上経過しているが明らかな再燃を認めていない.特発性乳糜胸はまれな疾患であり確立された治療法は存在しない.その上手術で軽快せず追加の治療を要することが多い.胸管結紮術で改善しない症例に対してオクトレオチドの投与は追加治療として有用であると考えられた.
  • 山田 響子, 近藤 竜一, 三浦 健太郎, 藏井 誠, 石井 恵子
    2014 年 28 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.背部の腫瘤を主訴に近医を受診した.右背部肩甲骨下に,硬く可動性のない3 cm大の腫瘤を認めた.CT上は境界不明瞭,MRIではT1強調画像で等信号・T2強調画像で高信号の中に索状の低信号域を認めた.穿刺吸引細胞診では診断がつかず,腫瘍局在から弾性線維腫を疑い,腫瘍摘出術を行った.術後病理組織検査では弾性線維はほとんどみとめない膠原線維主体の組織で,線維形成性線維芽細胞腫と診断された.これは,線維芽細胞・筋線維芽細胞の増殖を主体とする線維性腫瘍に分類されており,比較的珍しい組織型であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 田中 洋子, 村松 高, 四万村 三恵, 古市 基彦, 竹下 伸二, 塩野 元美
    2014 年 28 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.咳嗽と呼吸困難を主訴に近医を受診し,肺炎と診断され加療を行うが軽快しないため当院に紹介された.胸部単純X線写真及び胸部CT上,左下葉に径7 cm大の腫瘤影と左下葉の無気肺を,さらに左気管支の腫瘍による狭窄像,肺門縦隔リンパ節の腫大と胸水を伴っていた.気管支鏡検査では左下葉支入口部直下に灰白色の不整な隆起性病変を認め,生検の病理組織検査では悪性黒色腫であった.全身検索にて,頭頂部皮膚面に径6 mmの皮下結節を認めたが,病理組織検査では悪性黒色腫の皮膚転移であった.本症例の肺病変は径7 cm大の塊状影であり,他に原発部位を認めなかったため,肺原発性悪性黒色腫と診断した.根治手術の適応ではなかったが,対症療法として左下葉切除術を行い,術後には化学療法と放射線療法を行った.現在初診時より3年以上が経過し,転移は認めるものの生存中であり,集学的治療の効果と考えられる.
  • 柳沼 裕嗣, 米地 敦, 樋口 光徳, 管野 隆三, 大石 明雄, 鈴木 弘行
    2014 年 28 巻 1 号 p. 102-108
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    背景:肺原発リンパ上皮腫様癌(lymphoepithelioma-like carcinoma, LELC)は大細胞癌の特殊型に分類される稀な腫瘍で,Epstein-Barrウイルス感染が発症に関与するとされる.症例1:83歳女性.検診で胸部異常陰影を指摘された.CTで右上葉に19×19 mmの不定形腫瘍を認めた.気管支検査で低分化腺癌と診断,胸腔鏡下右上葉切除術を施行された.病理診断はLELC, EBER-1のin situ hybridization(ISH)は弱陽性であった.症例2:84歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘された.左S6に22×20 mmの類円形腫瘍を認め,気管支鏡で大細胞癌と診断された.低肺機能にてS6区域切除術を施行された.病理診断はLELC, EBER-1のISHは陰性であった.症例1は術後29ヵ月,症例2は4ヵ月無再発生存中である.まとめ:高齢者のLELC症例を報告した.
  • 左近 佳代, 佐々木 正人, 岡田 晃斉, 池田 岳史, 今村 好章
    2014 年 28 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    著明な骨形成を伴う原発性肺癌の1例を経験したので報告する.症例は75歳,女性で,CTにて左上葉に著明な石灰化を伴う腫瘤影を認めていた.経過観察にて増大傾向であったため手術を施行した.病理検査では腫瘍内部に著明な骨形成を伴う腺扁平上皮癌の診断であった.骨形成を伴う原発性肺癌の報告は非常に稀であり,これまで本症例を含めて13例の報告しかなく,腺扁平上皮癌は本症例だけであった.組織所見は症例により様々であり,骨形成の機序についてもBMP2やTGF-βの関与も示唆されているが,不明な点も多い.今後さらなる症例の蓄積により,機序や特徴,予後といった様々な点において検討,解明されることが期待される.
  • 小林 広典, 鈴木 実
    2014 年 28 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    骨肉腫の一亜型である骨内分化型骨肉腫は,低悪性度で,長期経過をとることが知られている.今回,我々は肋骨原発の骨内分化型骨肉腫を経験したので報告する.症例は70歳女性で33歳時に左第6肋骨に線維性骨異形成を指摘され,左第6肋骨前方1/2の切除術を受けた.45歳時には開胸創皮下に鶏卵大の腫瘤が出現したため,再度腫瘍摘出術を受けた.さらに67歳時にCT検査で左第6肋骨切除断端から胸腔内に突出する辺縁平滑で内部不均一な結節性陰影を指摘された.結節性陰影が徐々に増大し3 cm大の腫瘤となり,線維性骨異形成病変の肋骨切除断端再々発が疑われ,腫瘤切除を目的に前医より当科に紹介された.この胸壁腫瘤に対し左第6肋骨及び上下肋間筋と第5肋骨の部分合併切除を行った.病理組織検査で腫瘍は骨内分化型骨肉腫と診断された.切除断端は腫瘍陰性で,予後が良好と期待できることから,術後補助療法を行わず,経過観察中である.
  • 櫛田 正男, 渡邊 淳一郎, 塩 豊, 大杉 純, 長谷川 剛生, 鈴木 弘行
    2014 年 28 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性,消化器癌の既往がありサーベイランスCTにて後縦隔腫瘍を指摘され当院へ紹介となった.随伴症状等無く腫瘍マーカーを含む術前検査にて異常を認めなかった.CTでは左後縦隔胸椎傍に境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.2011年4月胸腔鏡下に摘出術(R0)を施行.病理学的検索では壊死と角化を認める腫瘍細胞が増殖しType B3胸腺腫様のリンパ球浸潤を伴っていた,免疫染色にてCD5(+)bcl-2(+)であり胸腺癌(扁平上皮癌)正岡I期と診断された.術後2年再発無く外来通院中である.本例は異所性胸腺由来の胸腺腫瘍と考えられCarcinoma showing thymus-like differentiation(CASTLE)と分類されたが,後縦隔発生例は本邦報告2例と極めて稀であった.切除可能と判断され完全切除が施行されたCASTLEの1例を報告する.
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