日本呼吸器外科学会雑誌
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28 巻 , 2 号
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原著
  • 稲田 一雄, 岩崎 昭憲
    2014 年 28 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    今回当科で経験した特発性縦隔気腫を臨床的に検討した.1992年4月から2009年6月までに入院加療した縦隔気腫症例のうち喘息に続発した縦隔気腫をA群17例,胸部基礎疾患の無いものに誘因無く発生した縦隔気腫をB群16例,日常的イベントが誘因と思われた縦隔気腫をC群9例とした.A群男性13例(76.5%),B群男性15例(93.8%),C群男性5例(55.6%)で,平均年齢はA群21.6歳,B群26歳,C群23歳であった.症状のべ内訳(疼痛:呼吸困難:画像のみ)はA群8:9:2,B群16:4:0,C群7:2:2であった.真の意味での特発性縦隔気腫(B群)はほとんどが男性で症状の大半は疼痛であった.全例保存的治療で軽快退院した.発症当時の気象観測値の比較検討では,A群とB+C群の間には明らかな差を認めなかった.また全天日射量に関してB群がC群よりも高い傾向があったが,有意差を認めなかった.
  • 庄村 遊, 藤永 一弥, 高橋 豊, 浜川 博司, 阪本 瞬介, 藤井 健一郎, 寺西 智史, 水元 亨
    2014 年 28 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    心嚢液貯留の治療としては抗炎症剤や利尿剤などの投薬治療,剣状突起下や胸骨傍アプローチによる心嚢穿刺,剣状突起下心膜切開ドレナージ術が一般的に行われている.しかし,再発例や局在性心嚢液貯留のため上記では対処できない症例には胸腔鏡下心膜開窓術を行っており,過去5年間に経験した8例(男4/女4,平均年齢69歳)を検討した.病因は開心術後心嚢液貯留6例,心不全再発,癌性心膜炎に伴う局在性心嚢液貯留が各1例であった.胸腔鏡下心膜開窓術の選択理由は,局在性心嚢液貯留6例,再発1例,ペースメーカーリードの位置が原因で他のアプローチが困難なものが1例であった.開窓の大きさは2×2~5×2 cmで全例軽快退院した.術後観察期間3.0±1.7年で,術後再発は3年2ヵ月後の1例のみであった.再発例や局在性の心嚢液貯留の治療として,胸腔鏡下心膜開窓術は良好な視野の下,確実な開窓手技を行うことができ有益である.
  • 橋本 昌樹, 多久和 輝尚, 奥村 好邦, 近藤 展行, 黒田 鮎美, 松本 成司, 田中 文啓, 長谷川 誠紀
    2014 年 28 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    胸膜肺全摘術における横隔膜パッチ(以下パッチ)脱落は比較的頻度の高い合併症の一つである.我々は悪性胸膜中皮腫(MPM)に対して胸膜肺全摘術(EPP)54例施行し,4例の横隔膜パッチ脱落を経験した.パッチ脱落の原因はすべて支持組織となった軟部組織の断裂によるものであった.支持組織となった軟部組織にかかる緊張を分散させることが発生の防止に重要と考えられた.パッチ脱落を防ぐには,①腹膜を温存する,②パッチを縫着した軟部組織に緊張がかからないように骨性胸郭への縫着を行う,③横隔膜を合併切除する際には“縫い代”となる部分を残すように剥離を行う,④横隔膜は生理的な高さで再建する.の4項目が重要であると考える.パッチ脱落は手術手技の工夫で発生頻度を低下できる可能性のある合併症であり,再建には十分に注意し慎重に施行すべきである.
  • 木村 秀, 石倉 久嗣, 松岡 裕, 松本 大資
    2014 年 28 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    当院では2008年1月から2013年の3月までに肺非結核性抗酸菌症(pNTM)12例に手術を行った.8例に肺葉切除,1例に区域切除,3例に部分切除を行った.女性の7例中5例に気管支洗浄を行い早期診断が可能であった.また,外科治療の指針に則り女性は7例全例,男性は1例に術前半年以上の治療を行った.術後経過は1例再発した以外,現在まで再発無く経過している.男性は5例中3例が肺癌との鑑別が困難であった.この3例は肺部分切除を行いpNTMと診断した.その3例中2例は術後投薬せずに経過観察中であるが再発は認めていない.肺葉切除が標準術式ではあるが,散布影のない限局した空洞症例は部分切除で対処できる可能性がある.また,pNTMは広範囲に進展すると治療は困難となるため,できるだけ病変が限局している早期に診断し,積極的に外科治療の指針に沿った手術を考慮すべきと考えた.
症例
  • 梅原 正, 永田 俊行, 中村 好宏, 鈴木 聡一, 横枕 直哉, 佐藤 雅美
    2014 年 28 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性.妊娠36週で右自然気胸を発症し,胸腔ドレナージを施行した.ドレナージ後,再膨張性肺水腫をきたし呼吸状態が悪化した.低酸素による胎児への影響が懸念されたため緊急帝王切開を行った.術後2日間は挿管下に呼吸管理を継続した.術後9日目に退院となった.妊娠中は循環血液量の増加と血管透過性の亢進により再膨張性肺水腫を発症遷延しやすい状況下にあるため注意が必要と考えられる.
  • 松岡 弘泰, 木村 尚子, 森田 敬知, 山田 和昭, 松原 寛知, 松本 雅彦
    2014 年 28 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性で,健康診断の胸部単純X線写真にて気管の右方への偏位を認めたため,精査加療を目的に来院した.術前のCT検査で気管左側に2.8 cmの低濃度結節を認め,超音波検査では甲状腺嚢胞などの嚢胞性疾患が疑われた.気管圧排所見があり今後の病変拡大の懸念もあるため,診断および治療の目的に手術を施行した.頸部左半襟状切開にて嚢胞摘出術を施行し,病理組織学的に嚢胞壁に線毛円柱上皮,粘液腺,平滑筋を認めたため,気管支原性嚢胞と診断した.術後は一過性の左反回神経麻痺をきたしたが,退院半年後には麻痺は消失し,再発は認めない.2012年12月までの期間で医学中央雑誌にて検索しえた範囲では,頸部に発生した気管支原性嚢胞は47例報告されており,その内で小児および皮膚発生症例を除く26例と自験例を合わせて検討を行った.
  • 平良 彰浩, 下川 秀彦, 浦本 秀隆, 迎 寛, 山口 幸二, 田中 文啓
    2014 年 28 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    胸壁発生のカンジダ膿瘍は我々が検索しうる限り報告例はない.今回悪性腫瘍との鑑別診断に苦慮したカンジダ膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は80代男性.2011年9月に肝細胞癌に対し,肝後区域切除施行.術後肝膿瘍(candida albicans)を発症し,経皮経肝膿瘍ドレナージ,ボリコナゾール投与にて,軽快し退院となった.2012年6月に右前胸部痛と腫脹,弾性硬の腫瘤を自覚.精査にて肝細胞癌の胸壁への転移が疑われた.胸壁腫瘍に対して,胸壁合併切除(第5-7肋骨)及び胸壁再建を施行した.術後病理診断にて膿瘍形成,炎症細胞の浸潤を認め,細菌培養にてCandida albicans陽性となりカンジダ膿瘍と診断された.術後はミカファンギン150 mg/dayを4週間投与,ボリコナゾールの内服を2週間行った.術後6ヵ月において再発は認めていない.胸壁に発生したカンジダ膿瘍に対し外科的切除を施行した症例を経験したので報告する.
  • 高萩 亮宏, 松田 英祐, 田尾 裕之, 田中 俊樹, 林 達朗, 岡部 和倫
    2014 年 28 巻 2 号 p. 164-169
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.某年5月に頭皮の血管肉腫に対して外科的治療が行われた.翌年1月に他院で両側気胸に対して右胸腔鏡下生検が行われ血管肉腫の肺転移と診断され,当院緩和ケア病棟に入院となった.その後右気漏が残存したため,胸腔鏡下に右肺瘻閉鎖術を施行した.気漏部位を連続縫合と自動縫合器で閉鎖しポリグリコール酸シートを用いて補強した.術後5日目に右胸腔ドレーンを抜去し,術後21日目に退院となった.術後36日目に左気胸が再燃し緩和ケア病棟に再入院した.血胸,肺出血を併発し術後91日目に死亡退院となった.肺転移から続発する気胸は内科的治療による改善が難しく,緩和治療においてもドレーンによる創痛や行動制限の原因となる.長期間病状が安定している場合外科的な肺瘻閉鎖を検討すべきであり,緩和的意義もあると考えられた.
  • 大内 政嗣, 井上 修平, 尾崎 良智, 藤田 琢也, 上田 桂子, 花岡 淳
    2014 年 28 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    シカ生肉が感染源と考えられたウエステルマン肺吸虫症の1例を経験したので報告する.症例は49歳,男性.腹部不快感に続く気胸,胸水のため当科紹介となった.発症2週間前にシカ生肉の摂食歴があり,末梢血と胸水の好酸球増多から肺吸虫症を疑った.胸水が高度に混濁しており,膿胸を合併した自然気胸の可能性を否定できず,胸腔鏡下手術を施行した.横隔膜と壁側胸膜に多数の膿苔が認められ,下葉の臓側胸膜にも膿苔が存在していたため,胸膜生検と下葉部分切除術を行った.血清学的診断で肺吸虫症と診断,プラジカンテルにより治療し,好酸球増多は改善した.術後13ヵ月を経過し再発を認めていない.肺吸虫症例を疑う症例では早期に血清学的診断を行い,迅速にドレナージと薬物療法を行うことが重要である.また,肺吸虫症における胸腔内病変の存在部位はメタセルカリアの移動経路に一致しているものと考えられた.
  • 神保 充孝, 郷良 秀典
    2014 年 28 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    今回われわれはコントロール困難な肝性胸水を伴う横隔膜交通症に対し,気腹による横隔膜の瘻孔を同定,閉鎖した2例を経験したので報告する.症例は44歳男性と79歳男性で,両者ともに肝硬変に伴うコントロール困難な右大量胸水の精査の結果,横隔膜交通症と診断し,手術を施行した.2症例とも気腹による瘻孔の同定を行った.まず,患者を左半側臥位とし,臍下部に気腹用のポートを留置し,胸部にも3ヵ所ポートを留置した.2症例とも胸腔鏡下に横隔膜を観察するも瘻孔は確認できなかったため,胸腔内を生理食塩水で満たし,気腹を開始したところ,気腹と同時に横隔膜腱中心付近より気漏を認めた.自動縫合器を用いて横隔膜を切除し,切除断端をPGAシートとフィブリン糊で被覆した.2症例とも術後経過は良好であった.術中気腹は,容易に横隔膜病変の同定が可能であり,非常に有用な方法であると考えられた.
  • 神保 充孝, 郷良 秀典
    2014 年 28 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は18歳,男性.17歳時に左自然気胸に対し手術が行われた.その際,軽度のPT延長を認め,精査の結果,先天性第VII因子欠乏症と診断された.今回,胸痛のため当科を受診し,左自然気胸術後再発の診断で胸腔鏡下に手術を施行した.肺尖部に認めたブラを処理し,止血を確認後,14Fr胸腔ドレーンを留置し手術を終了した.術翌日の胸部レントゲン写真で大量の胸水を認め,22Fr胸腔ドレーンに入れ換えたところ,大量の血性胸水を認めた.止血剤を投与し保存的加療を行ったが,約20 ml/時間の血性排液を認め,貧血の進行を認めたため,第VII因子製剤の投与を行ったところ,完全に止血が得られたため,術後3日目に胸腔ドレーンを抜去した.その後の経過は良好で術後7日目に退院となった.先天性第VII因子欠乏症患者の自然気胸術後の止血に第VII因子製剤の投与は有効であった.
  • 藤原 俊哉, 西川 仁士, 小谷 一敏, 松浦 求樹
    2014 年 28 巻 2 号 p. 188-192
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    後縦隔に発生した非機能性巨大傍神経節腫の1切除例を経験したので報告する.症例は28歳,男性.背部の圧迫感を自覚していた.検診にて左胸部異常影を指摘され,胸部CTで左後縦隔に10 cmの腫瘤を認めたため,当院に紹介となった.造影CTおよびMRIでは造影効果の強い腫瘤を認め,PET-CTでは高度の集積を認めた.傍神経節腫を疑い,内分泌検査を施行したが,すべて正常範囲であった.また,I123-metaiodobenzylguanidineシンチグラフィでは腫瘤に一致して取り込みを認めた.CTガイド生検にて傍神経節腫と確定診断された.第6肋間側方開胸で腫瘍摘出術を行った.腫瘍は易出血性であり,輸血を要した.術後3年で再発は認めていない.傍神経節腫はカテコラミンを産生する場合があり,安全な周術期管理のためには内分泌検査による機能性の有無の検索は必須であると考えられた.
  • 森山 裕一, 吹井 聖継, 西村 嘉裕
    2014 年 28 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    患者は64歳の女性.大腸癌肺転移切除術後の経過観察中に,左胸壁腫瘤を認めた.次第に増大し,悪性腫瘍も否定できないために,胸腔鏡併用胸壁腫瘍摘出術を施行した.前回手術時の胸腔ドレーン挿入部に一致する肋間筋とともに,壁側胸膜を被った半球状の腫瘤を摘出.病理診断にて,紡錘形細胞の束状の増殖を認め,紡錘形細胞は,免疫染色にてSMAとVimentinに陽性であった.結節性筋膜炎の診断を得た.結節性筋膜炎は,四肢,特に前腕に多く発生する良性の線維芽細胞の反応性増殖性病変であるが,急激に増大する経過から,悪性腫瘍との鑑別が難しいことがある.胸腔鏡手術創や胸腔ドレーン挿入部から,結節性筋膜炎が発生したとの報告はなく,稀な症例と思われた.
  • 大竹 洋介, 青木 稔, 田中 里奈, 石川 浩之
    2014 年 28 巻 2 号 p. 198-204
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium abscessusM. abscessus)肺感染症の2手術例を報告し,本邦報告例32例とあわせて検討した.症例1は基礎疾患のない45歳男性で,咳嗽,発熱,呼吸困難,胸痛を主訴に,症例2は肺結核,肺非結核性抗酸菌症の既往のある75歳男性で,咳嗽,喀痰,喀血を主訴に受診した.2例とも右上葉切除を施行し術前後にクラリスロマイシン(CAM),アミカシン(AMK),イミペネム/シラスタチン(IPM/CS)を投与し良好な経過で無排菌生存中である.本邦報告例32例を検討すると,肺結核,悪性疾患の既往が多かった.有効と報告されたレジメンの中ではCAM+AMK+IPM/CSが最も多かった.手術例は5例で全例排菌なく退院していた.M. abscessus肺感染症は,病変が限局し耐術能がある症例では,手術及びCAM+AMK+IPM/CSの投与を検討するべきであると考えられた.
  • 青木 輝浩, 井上 芳正, 酒井 章次
    2014 年 28 巻 2 号 p. 205-209
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.胸部CT異常影にて当科紹介となった.上縦隔気管右側に径約3 cmの腫瘤を認め,同時に右肩甲骨に径約2 cmの骨破壊を伴う腫瘤を認めた.FDG-PET検査ではともに有意な集積を認め,それぞれSUV(standard uptake value)max=3.5,1.3であった.診断と治療目的に,まず縦隔腫瘍の胸腔鏡補助下による切除術を行った.病理診断はAntoni-A typeとB typeの混在した良性の神経鞘腫であった.次いで肩甲骨の部分切除術を行った.肩甲骨腫瘍の病理診断はossifying fibromyxoid tumor(骨化性線維粘液性腫瘍OFMT)であった.OFMTの起源は不明であったが,近年免疫組織化学的手法により,Schwann細胞由来の可能性が示唆されている.今回我々は,同じSchwann細胞由来と考えられる縦隔神経鞘腫と肩甲骨ossifying fibromyxoid tumorの併存した症例を経験したが,このような併存例の報告は無く希有な症例と思われた.
  • 山本 恭通, 戸矢崎 利也, 小阪 真二
    2014 年 28 巻 2 号 p. 210-214
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は35歳男性.後縦隔腫瘤に対し超音波内視鏡下穿刺生検を行った3日後に感染兆候と腫瘤影増大を認めた.食道筋層内に発生した気管支食道嚢胞感染からの縦隔炎と診断し胸腔鏡補助右開胸で嚢胞壁切除および胸腔ドレナージを行った.嚢胞壁は食道と一体で完全切除すると広範囲の食道欠損が生じるため,また嚢胞壁の欠損部より食道粘膜を認めたため嚢胞壁の一部を遺残した.術後食道胸膜瘻を発症し抗菌剤治療,中心静脈栄養と胸腔ドレナージを併用した.術後17日ドレーンからの嚢胞内容類似の黄色ゲル状排液が停止し術後39日にドレーンを抜管した.超音波内視鏡下穿刺生検で気管支食道嚢胞内感染より縦隔炎となったが手術で救命しえた1例を経験した.嚢胞壁を遺残せざるをえず嚢胞再発の可能性があり長期にわたる経過観察を行う.
  • 山浦 匠, 大杉 純, 星野 実加, 樋口 光徳, 吉野 泰啓, 鈴木 弘行
    2014 年 28 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は30歳代女性.眼瞼下垂と嚥下困難を自覚し近医で前縦隔腫瘍と重症筋無力症を指摘された.神経症状に対する内科的治療を先行した後,前縦隔腫瘍の切除を考慮し当科紹介となった.血液学的検査では血清抗アセチルコリン受容体抗体,血清SCC抗原(SCCA)が高値を示し,CT検査で前縦隔腫瘍と胸膜播種が疑われた.生検の結果WHO type B2胸腺腫,正岡IVa期と診断し拡大胸腺胸腺腫摘出,壁側胸膜全摘術と肺,心膜,横隔膜部分切除術を施行した.最終診断はWHO type B2/B3胸腺腫であり,免疫組織学的検索ではSCCAの発現を認めなかった.術後,胸腺腫の病勢と無関係に血清SCCAの著明な上昇を認め,その後減少傾向に転じた.全身検索するも他の悪性腫瘍の合併は認めなかった.胸腺腫において腫瘍マーカーの上昇は稀で血清SCCA高値の本邦報告はこれまでに4例のみであった.
  • 深澤 拓也, 森田 一郎, 沖本 二郎, 山根 弘路, 物部 泰昌, 猶本 良夫
    2014 年 28 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    背景,Alpha fetoprotein(AFP)は,原発性肝癌やyolk-sac tumorで高値を示しその診断や治療効果判定に有用な腫瘍マーカーとして確立されている.一方でAFP産生型の消化器癌および肺癌が少数ながら報告されている.症例は64歳,男性.右上葉S1に原発した肺癌(T1aN0M0,臨床病期1A)に対して,胸腔鏡補助下に上葉切除を施行した.術後4ヵ月での腹部CTにて,多発性肝腫瘤を認め,肝生検の結果,肺原発AFP産生腫瘍の肝転移と診断された.結論,術後肝転移を来したAFP産生型肺腺癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
  • 町田 雄一郎, 田中 良, 本野 望, 薄田 勝男, 佐川 元保, 佐久間 勉
    2014 年 28 巻 2 号 p. 227-229
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    非常にまれな胸骨体部後方脱臼を外科的に治療した一例を経験した.症例は23歳男性.スノーボードで滑走中に,胸部を強く強打し,胸骨体部後方脱臼を発症した.保存的に経過観察したが,整復されないため,プレート固定なしの整復手術を行った.術後経過は順調で再発の兆候はない.
  • 春木 貴史, 上田 和弘, 林 雅太郎, 田中 俊樹, 濱野 公一
    2014 年 28 巻 2 号 p. 230-234
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例.70歳代の男性.咳嗽を主訴に精査が行われ,右肺腫瘤を指摘された.CTで右下葉に胸膜陥入を伴う28 mmの不整型,充実性結節を認め,PETで同部にFDGの異常集積を認めた.血液検査にて,CEAとSCCの上昇を認めた.TBLBおよびCT下針生検では確定診断に至らず,原発性肺癌T1bN0M0を疑い手術を行った.鏡視下に右下葉切除術を行った.腫瘍は,線毛を有する高円柱状の腫瘍細胞と扁平上皮細胞からなり,いずれの細胞も異型に乏しいことから,扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫と診断された.脈管侵襲はなく,リンパ節転移もなかった.結論.本疾患は良性腫瘍に分類されるが臨床像は肺癌と酷似しており診断に注意を要する.
  • 高橋 宜正, 守尾 篤, 葛城 直哉, 中原 和樹, 鈴木 健司
    2014 年 28 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代,男性.健診で右上肺の異常影と右大動脈弓を指摘された.精査の結果肺癌の診断となり当科入院となった.術前のCTでは右大動脈とともに右後上葉区静脈(V2)が右主気管支の背側を走行し,独立して直接左房に流入する破格が確認された.右大動脈はまれな症例であるが,このような肺静脈の破格も非常にまれである.本症例は右大動脈と肺静脈の破格を合併する極めてまれな症例であり,手術操作上注意を要する症例と考えられたため報告する.
  • 守尾 篤, 葛城 直哉, 中原 和樹, 鈴木 健司
    2014 年 28 巻 2 号 p. 241-248
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部CTにて右S2に辺縁整な径2.2×2.0 cm大の腫瘍を認め,気管支鏡下肺生検を施行し原発性肺癌の診断を得て,胸腔鏡下右上葉切除,縦隔リンパ節郭清を施行した.術後の免疫組織学的検討から無色素性悪性黒色腫と診断した.皮膚,網膜,咽喉などの全身検索を行い,上部下部消化管内視鏡検査およびFDG-PET検査を施行したが,原発を示唆する異常所見を認めなかったため,肺原発無色素性悪性黒色腫と診断した.術後15ヵ月経過しているが,無再発生存中である.肺原発悪性黒色腫は現在までに27例が本邦で文献報告され,治療は大半が切除されている.予後は非常に不良で多くが一年以内に死亡しているため,術後は十分な経過観察が必要である.
  • 山崎 成夫, 岡安 健至, 鈴木 康弘
    2014 年 28 巻 2 号 p. 249-255
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    胸腺腫は直接浸潤を中心とする進展形式をとることが多く,胸腔外の遠隔転移は稀である.また,WHO組織分類のB1型胸腺腫の予後は比較的良好で再発の頻度は低いとされる.今回我々はB1型胸腺腫が切除後に肝転移をきたした症例を経験した.症例は64歳,女性.61歳時に肺癌に対して左上葉切除を受け,その際に前縦隔病変を同時に切除された.前縦隔病変は正常胸腺と類似した画像所見と肉眼所見を呈していたが,病理組織学的にB1型胸腺腫と診断された.切除3年6ヵ月後に肝左葉に4.0×3.0 cmの病変を認め,肝外側区域切除が行われた.肝病変は病理組織学的にB1型胸腺腫の転移と診断された.肝切除1年4ヵ月後に肝に多発転移が再度出現し,化学療法(ADOC療法)が行われた.その後1年3ヵ月が経過するが無増悪生存中である.B1型胸腺腫であっても切除後に肝転移をきたすことはあり,慎重な経過観察が必要であると考えられた.
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