日本呼吸器外科学会雑誌
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28 巻 , 6 号
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原著
  • 鈴木 久史, 清嶋 護之, 北原 美由紀, 中尾 啓太, 朝戸 裕二, 佐々木 和人, 川崎 普司, 阿部 秀樹, 吉見 富洋, 永井 秀雄 ...
    2014 年 28 巻 6 号 p. 694-700
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移の治療方針としては切除可能であれば外科的切除が推奨されている.しかし肝転移切除後にさらに肺転移も発生した際の肺切除に対する手術適応指針として明確なものはない.当施設で行った肝転移切除の既往のある大腸癌肺転移切除30例について臨床病理学的因子および予後を解析し,肺転移巣切除の有用性を検討した.原発巣および肺転移巣切除後の5年生存率はそれぞれ67.5%と41.6%であった.臨床病理因子別による生存率の比較では,多発肺転移例が単発例よりも予後が悪い傾向にあった.肺転移巣切除後24例に肝や肺などに再転移が認められたが,さらに再転移巣切除が行われた群は非切除群に比べ有意に予後良好であった.大腸癌肺転移症例においては,肝転移切除の既往があっても肺転移切除は十分考慮されるべき治療法と考えられた.ただし予後不良傾向である多発肺転移例や高い再転移出現率への対応が今後の課題であると考えられた.
  • 林 雅太郎, 溝口 高弘, 村上 順一, 佐野 史歩, 上田 和弘, 濱野 公一
    2014 年 28 巻 6 号 p. 701-706
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    当科では完全胸腔鏡下手術時に硬膜外麻酔を行っていないが,2011年12月からは閉胸前肋間神経ブロックを行っている.肋間神経ブロック開始前の6ヵ月間と開始後の6ヵ月間の患者を対象とし,VASを用いて術後疼痛を評価した.全症例数は63例(男38)で,平均年齢は68.5歳.疾患は原発性肺癌が46例で,葉切または区切が50例であった.ブロック施行群(39例)と未施行群(24例)との間で,背景因子に差はなかった.VASスコアは,術後5日目までのどの時点でも両群間に差はなかった.しかし術当日の病棟での鎮痛剤使用症例は,ブロック施行群の方が少なかった(p=0.01).術後6時間の時点でのVASスコアに影響した因子は,術後ドレーン留置の有無のみであった.肋間神経ブロックは安全で簡便な鎮痛法として選択しうる方法であるが,その有用性をVASで示すことはできなかった.さらなる工夫を加え,有用性を示す必要がある.
手技の工夫
症例
  • 中村 玉美, 須藤 学拓, 小林 成紀, 玉井 允, 上田 和弘, 濱野 公一
    2014 年 28 巻 6 号 p. 718-724
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    稀な腫瘍である混合型大細胞神経内分泌癌と紡錘細胞癌を含む異時性多発肺癌の1切除例を経験したので報告する.症例は60歳代,男性で,健診の胸部レントゲンで異常陰影を指摘され当院を受診した.CTで左上葉S5に充実性結節,S1+2, S3にスリガラス陰影を認め,胸腔鏡下左上葉切除術を施行した.病理検査でS5の結節は腺癌成分を含む混合型大細胞神経内分泌癌(T1bN0M0)と診断された.その他の結節は腺癌であった.術後補助化学療法を施行したが,術後1年で右中葉に孤立性の充実性結節が出現した.混合型大細胞神経内分泌癌の転移を疑い,化学療法を行ったが短期間で増大した.発見より8ヵ月後に右中葉切除術を施行した結果,紡錘細胞癌(T2aN0M0)と診断され,異時性多発癌と考えられた.現在再手術後1年経過し無再発生存中である.
  • 田村 和貴, 生田 安司, 生野 久美子, 酒見 好弘, 孝橋 賢一, 小田 義直
    2014 年 28 巻 6 号 p. 725-729
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は6ヵ月,女児.母体の前期破水および子宮内感染にて在胎24週3日で出生し,新生児呼吸窮迫症候群に対し人工呼吸管理が行なわれた.日齢4より胸部X線上,左下肺野に境界明瞭な透過性亢進域が出現し徐々に増大した.胸部CTでは左舌区の大部分を占める嚢胞性変化を生じ,左上区,左下葉を圧排し縦隔の右方偏位を認めた.啼泣時には経皮的酸素飽和度が容易に80台に低下するようになったため,先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)の疑いで日齢185に左上葉切除を施行した.病理組織学的には嚢胞壁の一部に平滑筋層を伴う呼吸上皮が認められ,CCAMI型と考えられた.
  • 大野 貴志, 鈴木 喜雅, 門永 太一
    2014 年 28 巻 6 号 p. 730-734
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代男性.左前胸部痛を主訴に近医受診した.胸部X線にて,左肺門部異常影を指摘され,当院紹介となった.胸部CTにて大動脈弓部左縁下方に3 cm大の境界明瞭な隔壁構造を伴う多房性嚢胞性腫瘤を認めた.胸部MRIでは,T1WIにて筋と同等の低信号,T2WI及び脂肪抑制像にて不均一な高信号を呈した.縦隔良性腫瘍を疑い,手術の方針とした.手術は右側臥位で,分離肺換気のもと,胸腔鏡補助下に行った.腫瘍表面は平滑で,周囲組織への浸潤は認められなかった.左迷走神経と連続し,反回神経分岐部より中枢側に位置していた.術中迅速病理診断にて良性神経鞘腫と診断された.神経切断による反回神経麻痺を危惧し,切開及び内容物掻爬を行った.術後,発声に関する愁訴はないが,左声帯は正中に固定している.再発の兆候はない.胸腔内迷走神経由来の神経鞘腫は比較的まれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 目崎 久美, 花岡 俊仁, 福原 哲治, 小林 一泰, 白川 敦子
    2014 年 28 巻 6 号 p. 735-740
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性.右上葉の肺膿瘍による血痰が持続し手術目的に紹介となった.高度の漏斗胸を伴っていた.左側臥位,片肺換気下に後側方切開で開胸し右上葉切除術を行った.全体的に炎症が強く,易出血性で多量の出血を伴った.肺尖部では空洞部が胸郭にくい込むように広がっていた.組織培養でAspergillus flavusが検出された.術後,抗真菌剤も併用して加療し,全身状態は安定していた.しかし,術後39日目から発熱と咳が出現し,術後40日目にかけて急激に呼吸不全となり,NPPVを開始した.画像検査では心拡大と健側である左側にのみすりガラス影が出現した.うっ血の関与を疑い,感染コントロールとともに利尿薬,カルペリチドを開始し,数日の経過で呼吸状態,左肺野の陰影はともに改善した.右肺優位の高度の漏斗胸と右上葉切除により相対的に左肺の血流が増加し,左側の片側性の肺水腫を生じた可能性が考えられた.
  • 橋本 崇史, 宮脇 美千代, 齊藤 華奈実, 石川 一志, 甲斐 宜貴, 杉尾 賢二
    2014 年 28 巻 6 号 p. 741-747
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    頭皮原発血管肉腫の肺転移は,続発性気胸を高率に引き起こすことが知られている.症例は83歳,男性.80歳時,頭皮原発血管肉腫の診断にて皮膚科で手術療法,放射線療法,化学療法をうけ,寛解したが,20ヵ月後に薄壁空洞型の肺転移を認めた.その数日後に左気胸をきたし,当科へ紹介となった.胸腔ドレーンを留置したが,エアリークの改善なく,胸腔鏡補助下左上葉切除術を施行した.免疫組織化学的にCD31陽性であり,頭皮原発血管肉腫の肺転移巣と診断された.短期間で気胸の再発を認め,エアリークが持続したため,2回目の手術を行った.残存する左下葉に多発する薄壁の小嚢胞性病変を認め,その数ヵ所よりエアリークを認めた.小嚢胞を一部楔状切除し,被覆術を行った.小嚢胞も病理学的に頭皮原発血管肉腫の肺転移と診断された.気胸は治癒したが,原病の進行による呼吸不全のため術後36日に死亡した.本疾患の肺転移による気胸は難治性であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 常塚 啓彰, 加藤 大志朗, 下村 雅律, 寺内 邦彦, 島田 順一
    2014 年 28 巻 6 号 p. 748-753
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    Carney's triadは胃平滑筋肉腫,肺軟骨腫,副腎外傍神経節腫の3病変を伴う稀な疾患で,この内の2病変を発症したものを不完全型とされている.我々は初回手術後19年目に肺・胃の再切除を行った不完全型Carney's triadの1例を経験した.症例は30歳女性で11歳時に胃平滑筋肉腫の核出術を受け,21歳時に肺軟骨腫に対する肺部分切除術を施行され不完全型Carney's triadと診断された.今回PET-CTで左肺S1+2bの結節とFDGの異常集積を伴う胃腫瘤性病変を指摘された.胃病変はgastrointestinal stromal tumorと診断され幽門側胃切除術を施行された.肺病変に対し胸腔鏡下に左肺部分切除術を行い,病理学的に軟骨腫と診断した.再切除後5年経過しているが更なる新病変の出現は認めていない.Carney's triadでは異時性に腫瘍発生するため長期的に経過を観察する必要がある.
  • 門松 由佳, 上野 陽史, 岡阪 敏樹, 森 正一
    2014 年 28 巻 6 号 p. 754-758
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    無症状のCongenital Pulmonary Airway Malformation(CPAM)に対しての治療方針は,確立されていない.今回,我々は無症状のCPAM4型の1例を経験したので報告する.症例は無症状で肺炎などの既往のない5歳女児.健診胸部X線にて右下肺野に異常陰影を指摘された.胸部CT画像で右下葉に直径40 mmのやや壁の厚い円形嚢胞を認めた.1年間の経過観察後,嚢胞の縮小を認めなかったため胸腔鏡下右下葉切除を行った.術後経過は良好で術後8日目で退院.切除標本の割面には大小の嚢胞が形成され嚢胞壁は扁平な上皮細胞で覆われ,TTF-1陽性であった.また,異型細胞や軟骨・粘液成分は認めず嚢胞周囲に閉塞性肺炎の所見も認めなかった.以上よりCPAM 4型と診断した.CPAM4型の頻度は全体の2-4%と少なく,極めて稀な疾患であり本邦では2例目の報告である.無症状例における手術治療の是非,手術時期については一定の指針がなく,個々の症例ごとに十分な検討を行い手術時期および経過観察期間を決定していくべきである.
  • 大瀬 尚子, 竹内 幸康, 林 明男, 須崎 剛行, 小林 良司, 前田 元
    2014 年 28 巻 6 号 p. 759-763
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性.66歳時に頸椎の後縦靭帯骨化症で手術歴がある.30年前に横隔膜挙上を指摘されていたが無症状のため放置.1年ほど前から労作時呼吸困難が出現.1週間前から急に悪化したため受診.胸部X線写真では右横隔膜が第7肋骨背側レベルの高さまで挙上.呼吸機能はVC0.98 L,%VC38.0%と著明な拘束性障害を認めた.横隔膜弛緩症と診断し完全胸腔鏡下横隔膜切除,縫縮術を施行した.弛緩した横隔膜の頂を小切開し腹腔内の癒着がないことを確認し,切開部を中心に横隔膜を鉗子に巻き取り,自動吻合器で切除した.術後の胸部X線写真では右横隔膜が第9肋骨背側レベルの高さまで低下し,呼吸困難感が消失した.術後1年経過後もVC1.64 L,%VC62.4%と呼吸機能の改善が維持されている.
  • 小林 宣隆, 沼波 宏樹, 山地 雅之, 田中 元也, 北村 淳子, 羽生田 正行
    2014 年 28 巻 6 号 p. 764-770
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    紡錘形細胞から成る肺腫瘍の鑑別診断はときに困難である.症例は45歳男性.39歳時に額部の皮膚腫瘤を切除された.隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の亜型である,線維肉腫成分を伴うDFSPと診断された.45歳時に左肺S4に18 mmの境界明瞭な結節を認め,悪性腫瘍を否定できず,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.肺腫瘍は線維肉腫様の配列をとる紡錘形細胞から成り,CD 34陽性,vimentin陽性,cytokeratin陰性であり,線維肉腫成分を伴うDFSPの転移が示唆された.しかし,DFSPに特徴的な花むしろ様形態(storiform pattern)成分を欠き,他の肉腫疾患と鑑別を要した.RT-PCR法で遺伝子検索を行ったところ,DFSPに特異的なCOL1A1-PDGFB融合遺伝子が検出された.肺腫瘍に線維肉腫成分のみを認める症例では遺伝子検査は有用である.
  • 宮原 栄治, 板垣 友子, 桑原 正樹, 亀田 彰
    2014 年 28 巻 6 号 p. 771-776
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は,66歳,男性,COPDにてHOT導入中,左気胸を発症し癒着術を施行された.また非結核性抗酸菌症を合併しリファンピシンを内服していた.その後,左気胸再発のためドレナージを施行されたが気瘻が軽快しないため当院に転院した.胸部CTにて両側気胸を認め,両肺はびまん性に低吸収領域を,また上葉中心に嚢胞性変化を認めた.右上葉にはMAC感染症による空洞を認めた.低心肺機能のため2期的に手術を行った.転院翌日,左上葉部分切除術を施行した.術後状態は安定していたため,左上葉部分切除術後7日目に,右上葉部分切除術を施行した.MAC感染巣および肺尖部嚢胞を切除するよう自動縫合器で上葉を部分切除した.呼吸リハビリ後,21病日に退院した.術後6ヵ月を経過したが,MACの再燃なく,呼吸機能の改善を認めた.胸部X線検査にて,横隔膜の平低化の改善を認め,上葉部分切除により肺容量減少手術の効果が認められた.
  • 池田 政樹, 青山 晃博, 松尾 幸憲, 園部 誠, 伊達 洋至
    2014 年 28 巻 6 号 p. 777-782
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    悪性胸膜中皮腫治療後に血小板減少を呈した症例を報告する.68歳男性.右悪性胸膜中皮腫にて右胸膜肺全摘・シスプラチン・ペメトレキセド併用化学療法後,強度変調放射線治療中に放射線肺臓炎を来したため照射中止し,ステロイドを開始した.1ヵ月後血小板2×103/μLに著減し頻回に血小板輸血を行った.サイトメガロウイルス(CMV)抗原血症の診断でガンシクロビル治療後も血小板は増加しなかった.骨髄検査で細胞密度はやや低形成であったが巨核球数は保たれており,免疫性血小板減少性紫斑病に準じ治療を行なった.免疫グロブリン治療後も数万/μLに留まり,トロンボポエチン受容体作動薬も効果不良であった.ステロイド投与中に発症し,薬物治療への反応が不良かつ一時的という点から,化学療法による骨髄機能低下に,放射線・薬剤・CMV感染など複合的要素が関与し血小板減少が発症・遷延したと考える.
  • 佐原 康太, 原田 匡彦, 比島 恒和, 高橋 祐介, 堀尾 裕俊
    2014 年 28 巻 6 号 p. 783-789
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    今回CA19-9上昇とPET/CTにおけるFDG高集積を認めた肺葉内肺分画症の一手術症例を経験した.症例は46歳女性.検診にて右下肺野の胸部異常陰影を指摘,CT上S7-10に楔状の充実性腫瘤影を認めた.血清CA19-9が64.1 U/mLと高値でPET/CTにて腫瘍に一致してSUVmax:4.3のFDG集積を認めたため肺癌疑いで精査加療目的に当科に紹介された.ダイナミックCTでは下行大動脈右側から肺靭帯経由で腫瘍に流入する異常動脈と,腫瘍から下肺静脈に潅流する異常静脈を認め,肺葉内肺分画症と診断した.胸腔鏡補助下右肺底区切除術を施行した.1ヵ月後の採血でCA19-9は12.7 U/mLと正常化した.肺分画症はCA19-9などの腫瘍マーカー上昇やPET/CTでのFDG高集積を伴うことがある.本疾患を疑ったダイナミックCTは肺癌との鑑別に有用であり,安全な術式選択にも寄与するものと思われた.
  • 市成 秀樹, 帖佐 英一, 米井 彰洋, 峯 一彦
    2014 年 28 巻 6 号 p. 790-794
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血患者は血小板低下など手術を躊躇させる要因を有している.今回重症再生不良性貧血患者に胸腔鏡下肺葉切除を行った症例を経験した.症例は62歳男性,2007年重症再生不良性貧血と診断され免疫抑制療法が開始された.2009年12月左肺浸潤影が出現し,精査の結果真菌感染症の診断で抗真菌薬による治療が開始された.その後治療効果がないため手術目的で2010年1月紹介となった.血液検査では白血球1,800/μL,ヘモグロビン5.5 g/dL,血小板2,000/μLであった.術直前に血小板と赤血球の輸血を行い,胸腔鏡下左下葉切除を行った.周術期経過は順調で病理学的にはムコール性肉芽腫の診断であった.現在輸血も必要とせず,寛解状態で通院中であり,真菌感染症の再燃も認めていない.胸腔鏡下肺葉切除術は重症再生不良性貧血患者においても周術期管理に留意すれば,安全に遂行できる手術と考えられた.
  • 小田 梨紗, 水野 幸太郎, 坂根 理司, 松井 琢哉, 山田 健
    2014 年 28 巻 6 号 p. 795-799
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.咳嗽を主訴に近医を受診.胸部CTで前縦隔に25 mm大の境界明瞭な充実性結節性病変を指摘され,当院呼吸器内科を紹介受診した.胸腺腫を疑われ手術を勧められたが経過観察を希望された.4年後の胸部CTで僅かな増大と分葉状変化を指摘され,手術目的に当科紹介受診となった.手術は炭酸ガス送気装置を用いた胸腔鏡下胸腺腫摘出術を施行した.術中病理検査でリンパ性間質を伴う小結節性胸腺腫と診断された.
  • 西 英行, 清水 信義
    2014 年 28 巻 6 号 p. 800-808
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    原発性悪性心膜中皮腫(MPerM)に対して化学療法を行った2例を経験したので報告した.症例1は61歳,女性.主訴は労作時呼吸困難.胸腔鏡下心膜生検にてMPerMの診断となる.び慢性病変であり手術適応がないと考え,Pemetrexed(Pem)+carboplatin(CBDCA)による化学療法を開始し,2コース後には心膜肥厚は改善した.しかし,6コース後に増悪し救済化学療法としてirinotecan hydrochlorideを投与したが,発症から18ヵ月後に腫瘍死した.症例2は77歳,男性.主訴は労作時呼吸困難.心嚢液の細胞診と画像所見より胸腔鏡下生検は施行せずMPerMと診断した.び慢性病変のためPem+CBDCAを開始し,6コース投与後に腫瘍は消失した.維持化学療法としてPemを投与したが再発し,15ヵ月後に腫瘍死した.非切除MPerMに対する化学療法は有用な治療法の1つと考えられた.
  • 内藤 雅仁, 三窪 将史, 中島 裕康, 松井 啓夫, 塩見 和, 佐藤 之俊
    2014 年 28 巻 6 号 p. 809-815
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    胸腔内結石は,本邦での報告が29例と少ない疾患である.今回我々は胸腔内結石の3例を経験し臨床病理学検討を加えたので報告する.症例1は57歳女性.検診で胸部異常影を指摘された.CTで左S4に20 mm,横隔膜上に10 mmの結節影を認め,胸腔鏡下手術を施行した.S4の結節は炎症性肉芽種で,横隔膜上の結節は結石の診断であった.症例2は34歳女性.自然気胸にて胸腔鏡下手術を施行した.術前CTでは結石を疑う所見を認めなかった.術中に心膜脂肪組織に付着した結石を認め摘出した.症例3は49歳男性.右後縦隔神経原性腫瘍にて胸腔鏡下手術を施行した.術前より横隔膜上に10 mmの結節を認めており,摘出したところ結石の診断であった.胸腔内結石は稀な疾患であるが,末梢肺,横隔膜上の結節の鑑別診断として考慮する必要がある.また画像所見で他疾患との鑑別が困難である場合は,切除を考慮すべきであると考えられる.
  • 田中 里奈, 青木 稔, 橋本 公夫, 石川 浩之, 大竹 洋介
    2014 年 28 巻 6 号 p. 816-821
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.腹水貯留と下肢浮腫のため当院に紹介受診となった.造影CTでは,中縦隔に主座をもつ10×7 cm大の境界不明瞭な腫瘤を認め下大静脈は高度に狭窄していた.開胸下に腫瘍摘出術を施行.下大静脈との剥離は可能で,右肺下葉,心膜,横隔膜を合併切除し腫瘍を摘出した.下大静脈壁は一部変色しており腫瘍の浸潤と考えられたが,心膜や横隔膜など他の剥離面にも腫瘍は露出しており,完全切除は困難であったため,下大静脈の合併切除は行わなかった.術後,下大静脈の狭窄は解除され,腹水と下肢浮腫はすみやかに改善したが,術後11ヵ月で腫瘍の進行により死亡した.病理組織学的には,肺原発の唾液腺型腫瘍で,典型的なcribriform patternはみられないものの,腺様嚢胞癌が最も考えられた.本例は,文献的報告とは異なる,稀な進展形式と高い悪性度を示した.
  • 大迫 努, 寺師 卓哉, 飯森 俊介, 宮原 亮
    2014 年 28 巻 6 号 p. 822-826
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    最近,肺尖部胸壁浸潤肺癌(superior sulcus tumor)は良好な治療結果を得られるようになってきたが,第2癌の発生や治療についての報告はまれである.17例の肺尖部胸壁浸潤肺癌に手術を行った.このうち男2例,女1例の計3例に,5年目以降に第2癌を認めた.3例ともに術後10年前後で,同側が1例,対側は2例であった.対側発生の2例は手術侵襲を可及的に縮小するために,完全胸腔鏡下に,それぞれ上葉上区切除と部分切除を行なった.また,同側例では左残存肺全摘術(左下葉切除)を行い得た.全例が組織学的に異時的多発肺癌と診断された.術後経過は良好で最長6年生存中である.再発,多発肺癌の報告は多いが,進行肺癌では初回手術が侵襲的であるために,術後5年を経過しても,出来るだけ早期に第2癌を発見することで,より完全で,安全な術式を採用でき,それが予後を改善する可能性があると考えた.
  • 田中 真, 井野川 英利, 橋本 好平, 前田 宏也
    2014 年 28 巻 6 号 p. 827-831
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性.20年前に甲状腺腫を指摘され,他院にて腺腫様甲状腺腫と診断され経過観察されていた.ここ数年左頸部の腫瘤は徐々に増悪し,最近になり呼吸困難を自覚してきたため近医受診した.胸部CT検査にて甲状腺両葉の著明な腫大とそれによる左右からの気管圧迫狭窄を認めたため当院紹介となった.甲状腺左葉は体表に向かって約12 cmに腫大しており,右葉は後縦隔に進展し気管分岐部まで達していたため縦隔内甲状腺腫として手術を施行した.頸部横切開を置き,頸部からの操作で腫瘍摘出を試みた.甲状腺左葉は摘出可能であったが後縦隔内に進展している右葉は頸部からのアプローチでは剥離困難であったため胸骨縦切開を追加し甲状腺腫を摘出した.病理組織診断は腺腫様甲状腺腫であった.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.頸部切開に胸骨縦切開を追加し摘出した縦隔内甲状腺腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 森田 琢也, 花岡 伸治, 佐藤 澄, 市橋 良夫, 越智 薫, 勝間田 敬弘
    2014 年 28 巻 6 号 p. 832-835
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は多発性外骨腫のある12歳男児.外傷の既往なく胸痛発症後1ヵ月に血胸をきたし緊急手術を行った.開胸時壁側胸膜と臓側胸膜の双方から出血を認め,胸腔内に突出した第6肋骨の一部と肺中葉臓側胸膜の癒着の破綻が出血源と考えられた.手技は壁側胸膜の止血と肺部分切除術を行うにとどめ,胸腔内突出は軽度であったことから骨切りは行っていないが,術後1年3ヵ月の経過観察期間中,血胸の発症は認めていない.外骨腫による血胸の報告数自体が少ないこともあり術後再発や反対側発症の報告は見当たらず,手術時の適切な対応に関するコンセンサスも得られていない.呼吸器外科医は多発性外骨腫が外傷のない小児血胸の発生原因となることを知らねばならない.
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