日本呼吸器外科学会雑誌
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31 巻 , 4 号
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巻頭言
原著
  • 西野 豪志, 滝沢 宏光, 澤田 徹, 河北 直也, 坪井 光弘, 梶浦 耕一郎, 鳥羽 博明, 吉田 光輝, 川上 行奎, 近藤 和也, ...
    2017 年 31 巻 4 号 p. 432-438
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    【目的】肺癌手術における周術期口腔機能管理の肺炎予防効果を検討した.【対象】2013年4月~2015年3月に原発性肺癌に対して胸腔鏡下肺葉切除術を行った連続100例を対象とした.周術期口腔機能管理導入前後で介入群50例,非介入群50例に分類し検討した.【結果】患者背景,腫瘍因子,手術因子には有意差を認めなかった.術後合併症は,介入群で5例(10.0%),非介入群で16例(32.0%)と介入群で有意に少なく,術後肺炎は,非介入群では6例(12.0%)にみられたが,介入群では1例もみられなかった.術後に発熱を認めた症例は,介入群で有意に少なく,術後CRP値は,介入群で低い傾向にあった.術後在院日数は,介入群で有意に短かった.【結語】周術期口腔機能管理には肺癌の術後肺炎を予防する効果がある可能性がある.今後,医科歯科の連携を強め,広く行われるべきであると考える.

  • 松岡 弘泰, 松原 寛知, 佐藤 大輔, 内田 嚴, 市原 智史, 大貫 雄一郎, 宮内 善広, 椙村 彩, 鈴木 章司, 中島 博之
    2017 年 31 巻 4 号 p. 439-445
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    肝細胞癌(HCC)患者では,ウイルス肝炎治療の進歩により肝関連死亡は減少し,遠隔転移例増加が見込まれ,その治療戦略が重要になる.当科で肺切除を施行したHCC肺転移10例について,炎症の指標であるリンパ球好中球数比(NLR)とGlasgow Prognostic Score(GPS)が予後因子になりうるかと,肺切除後の予後を検討した.10例中7例に再々発を認め,6例が死亡した.多変量解析ではそれぞれNLR>2.31が肺切除後の再発に対して(P=0.043),転移数≧2個が死亡に対して(P=0.04)独立した危険因子であった.再発7例中3例はさらなる外科切除を施行し,他の4例より有意に生存期間が延長した(中央値98.6 vs 12.2ヵ月;P=0.01).HCC肺転移例において,NLR>2.31の症例は再発に注意が必要だが,再発例であっても,再切除可能ならば積極的に再切除する意義があると考えられた.

  • 門松 由佳, 森 正一, 上野 陽史, 福本 紘一, 内山 美佳, 重光 希公生, 吉岡 洋, 横井 香平
    2017 年 31 巻 4 号 p. 446-452
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    目的:呼吸器外科手術において上大静脈や腕頭静脈の合併切除と血行再建を行った症例について,手術方法,周術期管理および再建血管の開存性について検討した.

    方法:2005年から2014年までに上大静脈および腕頭静脈の切除と再建を施行した15例を対象とした.患者背景,再建術式,使用した人工血管の種類,抗凝固療法および再建血管の閉塞の有無および閉塞時の症状等を調査した.

    結果:対象疾患は胸腺上皮性腫瘍11例,胚細胞性腫瘍2例,肺癌・悪性リンパ腫各1例で,切除した血管は上大静脈13例,右腕頭静脈12例,左腕頭静脈14例であった.全例で,血行再建には径10 mm以上の人工血管が使用され,周術期に抗凝固療法が行われていた.再建血管の閉塞が確認されたのは6例で,左右腕頭静脈再建例では人工血管閉塞時の症状出現が少なかった.

    結論:大血管の切除を伴う手術は現在においても困難な術式であるが,今回検討した症例では周術期死亡や術後急性期の人工血管閉塞は認められなかった.また,人工血管閉塞に伴う症状が出現しない場合には血管閉塞時にも経過観察が可能であると考えられた.

症例
  • 後藤 英典, 中西 浩三, 伊藤 知和
    2017 年 31 巻 4 号 p. 453-457
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    患者は35歳女性.切迫早産管理中の妊娠29週に右原発性自然気胸を発症した.胸腔ドレナージを施行し入院,翌日には気漏は停止して肺の再膨張を見たが,入院4日目に大量の気漏が出現した.胸部レントゲンでは肺の虚脱を認めた.産科では切迫早産の症状は落ち着いていると判断されており,ドレーン留置の長期化が予想されたため,手術の方針となった.入院7日目に胎児心拍数監視下に胸腔鏡下ブラ切除術を施行した.術中,母体・胎児共に特に問題は認めなかった.その後の経過は良好で,術後4日目に胸腔ドレーンを抜去し,翌日,切迫早産の管理のため産科病棟へ転棟した.以降気胸の再発なく,妊娠39週に自然分娩で健児を出産した.妊娠中の自然気胸では,治療による母体と胎児への影響を配慮しつつも,時機を失せず手術を検討することも必要と思われた.

  • 鈴木 仁之, 庄村 心, 井上 健太郎, 矢田 真希, 島本 亮, 近藤 智昭
    2017 年 31 巻 4 号 p. 458-463
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    肺多形癌は稀な肺癌であり,ときにgranulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)産生による白血球増多症や呼吸器感染症を合併することがある.今回我々は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.発熱と右上肺野腫瘤影で受診された.右肺上葉膿瘍+膿胸の診断で抗生剤投与が開始されたが,改善傾向を認めないために右上葉切除+リンパ節郭清を施行した.病理診断は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌であった.しかし術後3ヵ月で胸膜播種を認め,術後6ヵ月で肝転移による肝不全で死亡した.感染症と悪性疾患は胸腔内で共存することを常に考慮に入れておくべきであると考えられた.

  • 佐々木 高信, 稲福 斉, 照屋 孝夫, 國吉 幸男
    2017 年 31 巻 4 号 p. 464-469
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    膵仮性囊胞が胸部から頚部まで進展し,その診断・治療に難渋した症例を報告する.56歳男性,慢性膵炎の急性増悪を契機に入院.腹腔内に膵仮性囊胞を形成し,膵囊胞ドレナージが施行された.入院経過中,嗄声の出現,頚部腫脹あり.壊死性降下性縦隔炎と診断され,当院へ紹介となった.膿瘍ドレナージを考慮するも,頚部の腫脹が軽快し嗄声が消失,CTにて後咽頭の液貯留が縮小した.食道周囲の後縦隔膿瘍とし,ドレナージのみ行う方針とした.膵炎は落ち着いていたが,膵から横隔膜を経由し縦隔へ伸びる索状物を認め,縦隔内容液に膵液瘻の関与も考慮,右開胸とした.術後胸水中のamylaseが異常高値を示し,膵液瘻からの膵性胸水と判断した.根本的な膵の加療が必要と考え,膵液の内瘻化を行い,軽快した.膵仮性囊胞縦隔進展の報告は散見されるが,頚部にまで進展したケースは海外の文献にて数例みられる程度である.稀な病態と考え,報告する.

  • 大内 政嗣, 井上 修平, 尾崎 良智, 上田 桂子
    2017 年 31 巻 4 号 p. 470-476
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    胸壁発生の類上皮血管内皮腫は非常に稀である.我々は急速に進行した胸壁原発類上皮血管内皮腫の1手術例を経験したので報告する.症例は29歳,女性.出産後より右背部痛が出現し,胸部X線検査で肋骨の異常を指摘されたため当科紹介受診となった.胸部CT検査で溶骨性変化を伴った第7肋骨を中心に右胸壁に約5 cm大の腫瘤と左肺下葉に径約2 cmの腫瘤影を認めた.左肺腫瘤に対する経気管支肺生検で確定診断は得られず,疼痛も高度であったため,右胸壁腫瘍切除・再建術と胸腔鏡下左肺下葉部分切除術を一期的に施行した.術中所見で両肺胸膜下に多数の結節を認め,これらも可及的に切除した.病理組織学的所見から胸壁原発類上皮血管内皮腫,両肺転移と診断した.術後放射線治療,化学療法を行ったが,骨転移,肝転移や悪性胸水・心囊水が出現し,術後12ヵ月目に永眠された.

  • 片岡 正文, 小林 照貴, 奥谷 大介, 伏見 卓郎, 武田 正, 大原 利憲
    2017 年 31 巻 4 号 p. 477-481
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は49歳,女性.原発性肺癌にて右肺上葉切除(高分化型腺癌,腺房型,pT1N0M0)を行い経過観察中,3年6ヵ月後のCTにて左下葉に小結節が出現した.9年後には増大し両側下葉に新たに4個の結節が出現した.他に転移病巣を認めなかったため切除の方針とし,胸腔鏡補助下に右下葉1個,左下葉4個の結節の部分切除を行った.組織学的に5病変とも再発転移病巣と診断された.術後療法は行わず経過観察中で3年3ヵ月無再発生存中である.本症例は対側肺葉を含む多発転移で極めて予後不良な群と考えられるが,切除のみで3年間以上無再発で経過しており稀な症例だと思われる.初回手術から再発の期間が長いこと,増殖速度が遅いことが切除適応の因子となるかもしれない.ALK遺伝子変異があり,生検で診断しALK阻害剤を投与する方針も考えられたが,呼吸機能の損失も少なく,化学療法をせずに過ごせたことを考えると手術は有益だったと考える.

  • 設楽 将之, 棚橋 雅幸, 雪上 晴弘, 鈴木 恵理子, 吉井 直子, 丹羽 宏
    2017 年 31 巻 4 号 p. 482-487
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    背景:肺癌の自然退縮は非常に稀であり,カルチノイドに関する報告は極めて少ない.症例:72歳女性.検診にて胸部異常影を指摘され,前医受診.胸部CTにて右肺S9に10 mm大の境界明瞭な結節を認め,精査加療目的で当科紹介となった.気管支鏡にて右B9に腫瘍を認め生検施行,定型的カルチノイドとの診断を得た.外科的切除の方針とし,術前(気管支鏡39日後)にCTを再検したところ,腫瘍径は3 mmと著明に縮小していた.当初の予定通り右下葉切除術を施行.術後の病理所見では,結節辺縁には腫瘍細胞を認めたが,内部では腫瘍細胞が消失していた.

  • 菅野 健児, 永島 琢也, 椎野 王久, 乾 健二, 益田 宗孝
    2017 年 31 巻 4 号 p. 488-493
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は73歳男性.血痰を主訴に来院し胸部CTで左肺S6に70 mm大の腫瘤を指摘された.気管支鏡下生検で扁平上皮癌の診断となり手術の方針となった.腫瘍はS1+2に浸潤し,葉間肺動脈や上葉気管支を巻き込み左肺全摘が必要と判断した.また胸部CTで胸部下行大動脈への腫瘍浸潤が疑われ,大動脈壁の合併切除が必要と考えた.肺切除に先行し大動脈ステントグラフトを内挿したが,強度の観点から二重内挿とした.続けて右側臥位に体位変換し開胸左肺全摘を施行し,大動脈への腫瘍浸潤が疑われ大動脈外膜を合併切除した.周術期合併症はなく退院した.病理診断は多形癌であり,大動脈外膜への腫瘍浸潤を認めた.後療法は施行せず,術後1年の時点で再発やステント挿入による合併症はない.本法は低侵襲かつ安全に手術を完遂することができ,大動脈浸潤肺癌に対する手術法として有効な方法の1つであると考えられた.

  • 坂本 鉄基, 櫻井 禎子, 井上 啓介, 若狭 朋子, 太田 善夫, 塩野 裕之
    2017 年 31 巻 4 号 p. 494-500
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    肺癌の大腸転移はまれであり,自覚症状に伴い発見されることが多い.肺癌術後の無症状経過中にPET-CTで病変を指摘し得た症例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.右上葉肺癌(acinar adenocarcinoma,pT1aN0M0,pStage IA)に対して右肺上葉切除+ND2a-1施行後,外来経過観察中であった.自覚症状はなく,術後2年目の胸腹部CTにて左肺門リンパ節腫大および盲腸周囲リンパ節腫大を認めた.PET-CTで回盲部に集積を認め,下部消化管内視鏡検査を施行した.生検の結果Group 5,腺癌を認め,大腸癌と診断し手術を施行した.病理組織学的検査結果にて肺癌盲腸転移と診断した.

    根治切除が行われた早期肺癌でも大腸転移を起こすことがあり,PET-CTでの全身検索の検討の余地がある.

  • 田口 瑠美子, 沼波 宏樹, 古田 ちひろ, 山地 雅之, 矢野 智紀, 羽生田 正行
    2017 年 31 巻 4 号 p. 501-505
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例1は71歳,女性.CT検査で右肺下葉結節を指摘された.精査にて肺腺癌と診断され,胸腔鏡下右肺下葉切除術を施行した.病理診断では肺腺癌pT2aN2M0 stageIIIAであった.術後第4病日に血液検査で著明な低Na血症を認め,精査にてSIADHと診断した.症例2は82歳,女性.左肺腺癌術後のCT検査で,右肺上葉の結節を指摘された.その後,結節の増大を認め,診断・治療を目的として胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した.病理診断は肺腺癌であった.術後第1病日に血液検査で低Na血症を認め,精査にてSIADHと診断した.症例1,2ともに水制限と高張食塩水の輸液で血清Na値は正常化した.小細胞肺癌では,腫瘍随伴症候群としてSIADHを発症することは知られているが,非小細胞肺癌において発症することは稀である.今回,肺腺癌術後にSIADHを来たした2症例を経験したので報告する.

  • 德永 拓也, 横枕 直哉, 上村 豪, 内匠 浩二, 中村 好宏, 佐藤 雅美
    2017 年 31 巻 4 号 p. 506-510
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    Chemical shift MRI(CSM)とは脂肪成分を鋭敏に捉えることができるMRI撮影法であり,副腎腺腫などの診断に活用されている.画像診断的には肺内結節において内部の脂肪成分の存在は肺過誤腫に特徴的な所見とされている.

    症例は66歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,良性腫瘍の診断で経過観察となっていた.6年後に腫瘍の増大を認めたため当科で手術の方針となった.術前のCSMで,腫瘍内部の脂肪成分を指摘し肺過誤腫を非常に強く疑い,肺組織温存のため腫瘍核出術を施行した.

    本症例においてCSMは肺過誤腫診断に有用なMRI撮影法であった.今後,その有用性が示されれば,外科的切除の際に核出術といった肺組織温存のための縮小手術を施行することが可能となる.

  • 都島 由紀雄, 梶原 崇弘, 川上 英之, 石森 章太郎, 宍倉 有里
    2017 年 31 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    本邦では高齢者肺癌患者の増加が著しく,80歳以上の高齢者に対する肺癌手術症例が増加傾向にある.近年は85歳以上の超高齢者に対する肺癌手術症例の報告も珍しくない.症例は89歳,女性.発熱を主訴に近医を受診し,胸部単純X線とCTで左肺下葉に肺炎像を伴う腫瘤を認めたため,当院へ紹介となった.PET-CTを加えた画像所見で局所進行肺癌を疑い,cT3(胸壁浸潤)N0M0と診断した.糖尿病,高脂血症,高血圧,狭心症,膀胱癌等,複数の疾患を合併していたが,PSは1であり,呼吸機能は正常のため,手術の方針とし,胸壁合併切除を伴う左肺下葉切除術を施行した.病理診断は扁平上皮癌pT3N0M0であった.PSが低下することなく術後経過は良好である.種々の合併症を有する超高齢者の局所進行肺癌に対する手術を安全に施行した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

  • 橋本 章太郎, 西岡 祐希, 森本 真人, 良河 光一
    2017 年 31 巻 4 号 p. 517-521
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は68歳,男性.検診の胸部X線にて左肺結節影を指摘され当院へ紹介された.胸部CTで左S9外側に境界明瞭な12×10 mm大の類円形腫瘤を認めた.肺過誤腫の臨床診断にて約1年のフォローアップがなされ,緩除な増大傾向を示したため,診断と治療を兼ねた切除を行った.手術は3ポート完全鏡視下に部分切除を行った.術後は特に問題なく経過し,術後第5病日に退院した.組織学的には類円形の核と淡好酸性の豊かな胞体を持つ腫瘍細胞が,胞巣状構造,あるいは渦巻き状構造を形成し,周囲圧排性に増殖する像を認め,免疫染色では,EMA陰性,vimentin陽性,CD34陰性,S-100陰性であったことから髄膜腫と診断された.術後に頭部および脊髄MRIを施行したが明らかな腫瘍性病変は指摘しえず,肺原発髄膜腫であると結論した.肺原発髄膜腫は極めて稀な疾患であり,その発生由来については結論が出ていない.文献的考察を加えて報告する.

  • 柳原 章寿, 坂口 浩三, 山崎 庸弘, 藤野 節, 石田 博徳, 金子 公一
    2017 年 31 巻 4 号 p. 522-527
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は38歳女性.散歩中に突然左胸痛が出現し近医に緊急搬送となった.胸部X線・CTで左胸腔2/3を占める胸水を認めたため左胸腔ドレーンを挿入したところ血胸であった.造影CTで左肺動静脈奇形の破裂が疑われた.出血の持続が疑われたため,翌日当院転院搬送となり緊急手術を施行した.左肺S5の末梢に約2.5 cmの赤黒い血管様病変を認め胸腔鏡下に病変部含めS5の部分切除を行った.組織学的に左肺動静脈奇形と診断された.肺動静脈奇形の破裂は比較的稀であるが,胸膜に接している肺動静脈奇形の場合は破裂の可能性を念頭に置いたうえで積極的な治療を考慮する必要がある.

  • 都島 由紀雄, 鎌田 信悦, 宍倉 有里
    2017 年 31 巻 4 号 p. 528-533
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    患者は46歳,女性.2013年8月,他院で右外耳道癌と診断され,サイバーナイフ治療が施行された.2014年1月,腫瘍残存のため,当院頭頸部外科を受診し,右側頭骨亜全摘・頸部郭清術を施行した.同年11月,右頸部に腫瘤が出現し,局所再発の診断で腫瘍を切除した.2015年5月,右中内深頸領域に腫瘍が出現し,局所再々発の診断で腫瘍切除術を施行した.同年12月,右肺下葉に結節が出現し,転移性肺腫瘍疑いの診断で右肺下葉楔状切除術を施行した.病理診断は外耳道癌肺転移が最も考えられた.初回治療から38ヵ月,肺転移巣切除から12ヵ月の時点で再発・転移を認めていない.外耳道癌は極めて稀な疾患であるが,他の頭頸部癌と同様に肺転移巣切除が予後を改善する可能性があるため,肺転移巣に対しても手術適応はあり,術式は切除断端を安全に確保した楔状切除が妥当であると考えられた.

  • 齋藤 芳太郎, 鈴木 洋平, 黒川 博一, 守田 亮, 榎本 克彦, 河合 秀樹
    2017 年 31 巻 4 号 p. 534-538
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は40歳代女性.主訴は特になく,レントゲン写真で気管の右方偏位を指摘された.CTで胸骨切痕部から大動脈弓部の高さにかけて,前縦隔に長径4.9 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は内部に小石灰化を伴い辺縁整,境界明瞭であり,内部densityは甲状腺と同様であったが,甲状腺とは明らかな連続性を認めなかった.異所性縦隔内甲状腺腫を疑い手術の方針となった.手術は,頸部襟状切開のみでは腫瘤摘出が困難であり,部分的胸骨正中切開を加え,摘出術を施行した.術中所見でも甲状腺との連続性は確認されず,被包化された境界明瞭な腫瘤であった.病理学的には腺腫様甲状腺腫であり,異所性縦隔甲状腺腫と診断した.異所性縦隔甲状腺腫は稀な疾患であり,様々な手術手技の報告があるが,腫瘍の位置,大きさにより適切なアプローチが必要と考えられる.

  • 吉岡 孝房, 井上 雄太, 深見 武史
    2017 年 31 巻 4 号 p. 539-543
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は18歳,男性.2014年6月,左胸部絞扼感を主訴に前医受診し,左自然気胸の診断を受け,当院入院.胸腔鏡下左肺上葉肺囊胞切除を施行し, 術後経過良好にて退院した.切除標本の病理組織学的検査で断端に2 mm大の腺癌が認められ,原発性肺癌(pT1a)と診断した.術前CTで確認すると左肺尖ブラの近傍に4 mm大のすりガラス陰影を認めた.病理組織にて断端陽性であったため,2014年7月,胸腔鏡下左肺上葉追加部分切除を施行した.退院後26ヵ月,再発なく経過観察中である.若年者の気胸症例の切除標本内から偶然発見された肺癌であったが,術前胸部CTで肺野の他病変,少なくとも切除予定線に対する注意深い観察が必要と考えられた.

  • 熊田 早希子, 松岡 勝成, 松岡 隆久, 長井 信二郎, 植田 充宏, 宮本 好博
    2017 年 31 巻 4 号 p. 544-548
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    円形無気肺の原因は粉塵暴露および滲出性胸水貯留が大半であるが,自然気胸に続発する例も報告されている.典型的な円形無気肺は,胸部CTでは腫瘤影やcomet tail signを示すが,中には増大傾向を示し,肺癌との鑑別に苦慮することがある.症例は65歳女性で,慢性気胸に続発し増大傾向を示した右上葉腫瘤影に対して,悪性腫瘍の可能性も疑って右上葉切除術を施行した.慢性気胸に続発し,増大傾向を示した円形無気肺の1切除例を報告する.

  • 上田 翔, 小林 尚寛, 佐伯 祐典, 菊池 慎二, 後藤 行延, 佐藤 幸夫
    2017 年 31 巻 4 号 p. 549-553
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は19歳,男性.右胸痛と呼吸困難にて近医を受診した.右自然気胸の診断で保存的治療を行ったが改善しないため,本院に転院し手術の方針となった.麻酔導入後,左片肺換気でSpO2が70%まで低下した.気管支鏡で分離肺換気用チューブの位置の確認と痰による気管支閉塞がないこと,聴診所見等に異常所見がないことを確認した.分離肺換気に伴う換気血流不均等分布が強く生じていると判断し,左片肺換気に右肺の持続陽圧換気を加えて手術を継続した.しかし,手術を終了し麻酔覚醒後も低酸素血症が持続した.精査にてD-dimerの高値,CTで左主肺動脈に血栓を認め肺血栓塞栓症と診断した.下大静脈フィルターの留置と抗凝固療法で加療し,潜在的な血栓素因の検索でアンチトロンビンIII欠損症が疑われた.若年者であっても肺血栓塞栓症の危険因子が潜在していることがあり,常に肺血栓塞栓症の可能性を留意しておく必要がある.

  • 諸鹿 俊彦, 濱武 大輔, 山本 聡, 吉田 康浩, 前川 隆文, 岩﨑 昭憲
    2017 年 31 巻 4 号 p. 554-560
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    右第1肋間神経由来の胸壁神経線維腫に対して,右鎖骨下切開に胸腔鏡を併用したアプローチが有用であった症例を経験したので報告する.症例は15歳女性,家族歴に神経線維腫症1型あり.出生時より体幹部に多数のカフェ・オ・レ斑あり.学校健診で右胸部異常陰影を指摘され当院受診.CTで右第1肋間より胸腔内へ突出する長径約5 cmの腫瘤性病変および右胸水貯留を認めた.造影MRIでは右鎖骨下静脈に接する,不均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.手術は右鎖骨下に約6 cm長の皮膚切開,および右側胸部に3ヵ所の胸腔鏡ポートを作成し,胸骨・鎖骨の切離はせずに胸腔鏡併用下に腫瘍切除を行った.腫瘍は第1肋骨に固着しており,第1肋骨は一部合併切除した.病理診断は神経線維腫であった.本症例では胸腔鏡下に良好な手術視野を得ることができ,右鎖骨下の切開創からのアプローチで安全に腫瘍切除を行うことが可能であった.

  • 富岡 泰章, 戸矢崎 利也, 千葉 直久, 上田 雄一郎, 後藤 正司, 中川 達雄
    2017 年 31 巻 4 号 p. 561-565
    発行日: 2017/05/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    79歳女性.数年前から続く右前胸部痛を主訴に近医を受診.右前胸壁に腫瘤を指摘され,当院に紹介となった.胸部CTで第3肋骨を含む右前胸壁へ浸潤する約9 cm大の分葉状腫瘤を認めた.腫瘤は胸骨近傍まで進展し,右肺上葉への浸潤も疑われた.経皮針生検で孤立性線維性腫瘍の診断となり手術を施行した.手術は鏡視下に開始した.右前胸壁腫瘍は上葉への浸潤を認め,自動縫合器で肺部分切除を行った.第3および第4肋骨の腫瘍浸潤外側縁を胸腔内から気動式骨手術用ドリル(エアトーム)を用いて切離した.尾側縁は第5肋骨上縁,頭側縁は第2肋骨下縁とし,胸腔内より肋間筋を切離した.胸骨近傍に小切開を置き,直視下に第3肋骨基部で切離し摘出した.胸壁再建は行わなかった.エアトームを使用することで広範囲な胸壁切除が低侵襲に可能であった.

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