日本呼吸器外科学会雑誌
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33 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 伊藤 祥隆, 髙山 哲也, 新納 英樹, 宮澤 秀樹
    2019 年 33 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    気管切離の速度がステープル形成に与える影響について比較検討を行った.slow mode(以下SM)群6例,Adaptive Firing™ technology(以下AFT)群6例とし,いずれの群もブタ摘出気管をトライステープル黒カートリッジにて縫合切離した.気管断端を蛋白分解しステープルを回収,B型形成の肉眼的形状が良好なものから3,2,1,0点に分類した.各点数にステープルの個数を乗じたものを加算し各症例のスコアとした.両群間で回収したステープル個数に有意差はなかった(25.5±1.0個vs 26.3±0.8個,p=0.16)が,切離時間はSM群が有意に長かった(20.5±0.3秒vs 14.7±0.9秒,p<0.01).スコアはAFT群と比しSM群で有意に良好であった(66.8 vs 49.3,p=0.008).通常より厚いもしくは硬い気管支には,SMでの縫合切離がAFTより安全と考えた.

症例
  • 奥谷 大介, 片岡 正文
    2019 年 33 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    前立腺間質性腫瘍は前立腺に固有な間質から発生する腫瘍であり,2004年のWHO分類にてStromal tumor of uncertain malignant potential(STUMP)とStromal sarcoma(SS)に分類される.STUMPは組織学的に核分裂像,壊死,間質の異常増殖を認めない点でSSと鑑別される.STUMPは良好な経過をたどることが多いのに対しSSの3年生存率は10%と予後不良である.症例は75歳男性.72歳時,約100×80 mmの前立腺間質性腫瘍に対して腫瘍摘出+直腸切除術を施行した.術後病理にて腫瘍の周辺部がSTUMP,中心部がSSと診断された.前立腺間質性腫瘍の術後,それぞれ1年5ヵ月,2年7ヵ月経過して認められた肺転移に対して手術を施行した.今回われわれは前立腺間質性腫瘍から異時性に肺転移を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

  • 近藤 泰人, 玉川 達, 園田 大, 松井 啓夫, 塩見 和, 佐藤 之俊
    2019 年 33 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    抗リン脂質抗体症候群(APS)は,動静脈血栓症を伴う自己免疫疾患である.APS合併肺癌は稀で,その意義は明らかでない.【症例1】75歳女性.検診で血小板低値を認め,精査でAPSと診断された.胸部CTで右下葉に103 mm大の腫瘤影と#7リンパ節腫大を認めた.精査で扁平上皮癌(SCC)と診断され,右下葉切除術を行った.入院時に血小板低値を認めた.術前,術中に血小板輸血を行い,合併症なく退院した.【症例2】66歳男性.副甲状腺腺腫精査のMIBGシンチグラフィーで左S6に31 mm大の腫瘤影を認めた.精査でSCCと診断され,左下葉切除術を行った.入院時に血小板低値と凝固時間延長を認めた.既往歴にAPSと心房細動があり,バイアスピリンとワルファリンを内服していた.術前に同薬剤を休薬し,未分画ヘパリンを投与し,合併症なく退院した.APS合併肺癌の外科的治療には慎重な周術期管理を要すると考える.

  • 木村 賢司, 奥村 典仁, 松岡 智章, 中島 尊, 高橋 鮎子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    今回我々は2006年から2015年の10年間に当科で手術を行った新生児・乳児を含む先天性囊胞性肺疾患小児例9例を検討した.疾患の内訳はCCAMは6例,肺リンパ管腫は1例,肺分画症は2例であった.男児が6例,女児が3例であった.患児の年齢は生後28日は1例,9ヵ月は1例,1歳は2例,3歳は1例,4歳は2例,5歳は1例,7歳は1例であった.このうち緊急手術は2例で,ともに囊胞の巨大化による縱隔偏位を認め,呼吸促迫で来院した.病変の局在は右上葉は1例,右下葉は3例,左下葉は5例であった.全例で肺葉切除を行い,開胸手術は5例,胸腔鏡下手術は4例であった.平均手術時間は3時間32分で,全例で術中輸血は行わなかった.平均術後在院日数は9.7日であった.重篤な合併症はなく,全例術後の発育には問題なかった.手術時期に関しては,残存肺の成長を促す目的と胸腔鏡下で低侵襲の手術を行うために,待機できれば2歳前後に手術を行うのが望ましいと考えた.

  • 福島 尚子, 松平 秀樹, 石川 あい, 小川 匡市, 大木 隆生
    2019 年 33 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は78歳男性.5年前からの胸部違和感を自覚し当院循環器内科を受診した.冠動脈疾患は否定的であったが,以前から心臓超音波検査にて上行大動脈の拡張を認めた.そのため施行した造影CTで右肺動脈A1b起始部に30 mm×18 mm×18 mmの造影効果を伴う紡錘状拡張を認め,肺動脈造影の結果,肺動脈瘤の診断となった.

    手術適応と判断し第4肋間で前側方開胸し,右肺上葉切除を施行した.術中,右上葉に腫瘤および同部位に拍動を触知した.術前診断どおり上幹動脈が責任血管と判断し,全ての手技に先行して上幹動脈を血管用自動縫合器で切離した.切離後は拍動が消失した.術後10日目で合併症なく経過良好にて退院となった.病理所見では最大径12 mmの血管の紡錘状拡張を認め,上幹動脈末梢の流出動脈と交通していた.組織学的には内膜肥厚と中膜断裂を認めたが,炎症所見は認めず特発性肺動脈瘤と診断した.術後1年現在,経過良好である.

  • 山口 智之, 芳竹 宏幸, 新谷 紘史
    2019 年 33 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は83歳男性で,2012年1月に肺癌に対し左肺上葉切除術を行った.術後病理診断はstage IIBであったが,高齢でありまた維持透析中であったため術後補助化学療法は行わず画像検査のみを行っていた.術後11ヵ月目の胸腹部CT検査で肝S8に径1.5 cmの腫瘤が認められ,肺癌孤立性肝転移再発の診断となり,肝部分切除術を行った.術後病理検査は転移性扁平上皮癌で肺癌肝転移の診断となった.肝切除後5年を経過しているが現在無再発生存中である.肺癌の肝転移症例は切除の対象となることは少ないが,他に非治癒因子がなく肝転移巣が完全に切除できるのであれば肝切除により予後の改善が見込める症例が存在すると思われた.

  • 髙橋 有毅, 宮島 正博, 辻脇 光洋, 多田 周, 槙 龍之輔, 渡辺 敦
    2019 年 33 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    Solitary fibrous tumor(SFT)は,間葉系細胞由来の稀な腫瘍である.今回,特異な病態を呈した3例を経験した.症例1は76歳男性,右肺上葉中枢側に60 mm大の腫瘤影を認め,原発性肺癌の疑いで右上葉切除を行った.病理診断は肺原発SFTであった.症例2は46歳女性,右下葉肺原発悪性SFTに対する下葉切除術後4年目に右中葉肺転移,胸膜播種をきたした.このため中葉切除と胸膜播種巣切除術,胸腔内化学療法を行った.その後,再発し初回手術から77ヵ月後に原病死した.症例3は63歳女性,CTで右胸腔に190 mm大の一部石灰化と血管新生を伴う巨大な腫瘤を認め,Chronic Expanding Hematomaの疑いで手術目的に当科紹介となった.術中出血低減目的に肋間動脈,内胸動脈塞栓術を施行した後手術を行い,病理診断はSFTであった.

  • 大亀 剛, 重松 義紀, 中島 潔, 八木 健郎, 山本 傑, 波戸岡 俊三
    2019 年 33 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    肺内で肺動脈が突然破綻し,さらに肺内の出血が胸膜を穿破して血胸を来すことは極めて稀である.今回我々は,肺内肺動脈の破裂により喀血を発症し,その後大量血胸をきたしたため緊急開胸手術を行い,救命した症例を経験したので報告する.患者は60歳代男性.自宅で誘因なく突然喀血し当院に救急搬送された.胸部CTでは左血気胸を認めたが,検査時点では原因は不明であった.バイタルサインが安定せず,緊急開胸手術を行った.開胸時,左肺S1+2外側面に広範な裂傷と同部からの出血を認めた.裂傷部を仮閉鎖した後,左上葉切除術を施行した.術後10日目に軽快退院し,現在経過観察中である.切除標本を検討したところ,左肺上葉内の肺動脈分枝の破裂が出血源と考えられた.肺循環系の血行動態の異常が示唆されたが,肺動静脈瘻や肺高血圧症などの明らかな背景疾患は特定されなかった.

  • 宮本 英明, 佐藤 泰之, 磯和 理貴
    2019 年 33 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    比較的稀な化膿性胸鎖関節炎の2手術例を経験したので報告する.

    症例1は56歳男性.糖尿病性足潰瘍治療後,右前胸部痛精査のCTで右化膿性胸鎖関節炎を認めた.抗菌薬加療・胸壁膿瘍ドレナージ後も軽快せず,第55病日に鎖骨・第1肋骨・胸骨部分切除及び縦隔・胸壁膿瘍掻爬術を施行した.術後8ヵ月の現在,感染の再燃を認めていない.症例2は67歳男性.左肩痛精査のCTで左化膿性胸鎖関節炎を認め,第3病日に左鎖骨・第1肋骨部分切除及び縦隔・胸壁膿瘍掻爬術を施行した.術後3ヵ月の現在,感染の再燃を認めていない.

  • 古山 和憲, 松本 勲, 吉田 周平, 懸川 誠一, 竹村 博文
    2019 年 33 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は49歳,男性.髄膜炎様症状のため当院神経内科へ紹介となった.胸部CTで左肺上葉肺門部に大きさ2.1 cmの不整形結節を認め,気管支鏡検査を行ったが確定診断に至らなかった.肺癌も否定できない画像所見のため外科的肺生検目的に当科紹介となった.手術は左肺上葉切除術を施行し,病理学的診断で肺クリプトコッカス症と診断された.術前の髄液検査ではクリプトコッカス抗原,培養検査ともに陰性であったが,術前の保存血液検体からクリプトコッカス抗原が検出されたため,髄膜炎様症状もクリプトコッカス症に伴うものと考え,抗真菌薬による治療を行った.症状は速やかに改善し,術後2年の現在,再発なく経過している.肺クリプトコッカス症は画像所見だけでは鑑別が難しく,診断に難渋する場合が多いが,切除生検が診断に有用であると考えられた.

  • 横田 圭右, 深井 一郎, 設楽 将之
    2019 年 33 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    左―右シャントを形成する稀な血管奇形の部分肺静脈還流異常症(PAPVC)が非切除肺葉に存在する場合,肺葉切除はシャント率を増大させ右心不全を発症するリスクがある.今回著者らは,右上葉肺静脈が上大静脈に還流するPAPVCを合併した78歳男性の右下葉肺癌症例を経験した.術後の右心負荷リスク評価のため,術前に選択的肺動脈閉塞試験を施行した.下葉肺動脈の閉塞は技術的に困難なため,中間肺動脈を閉塞し,より厳しい中下葉切除後の条件で評価した.実際には,肺動脈閉塞前後で右房と異常還流部より遠位の上大静脈の2ヵ所で酸素飽和度を測定した.O2 step upは3.2%から6.2%と上昇しシャント率は増大したが,有意とされる7.0%を下回り,また閉塞後の肺体血流比は1.07と,血行再建を要する1.5を下回り,右下葉切除は安全に行えると判断し得た.術後2年3ヵ月経過し,右心不全の徴候なく経過は良好である.

  • 萩原 清彦, 池田 政樹, 村田 祥武, 藤永 卓司
    2019 年 33 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    前縦隔腫瘍に対する術式として胸骨正中切開や胸腔鏡下アプローチが挙げられるが各々利点,欠点がある.当院では症例に応じ,胸骨部分正中切開に横切開を加えて胸腔鏡を併用する術式を選択している.今回,右前縦隔の胸腺カルチノイドに対して胸腔鏡併用mini-sternotomyアプローチを用いた1例を経験したので報告する.

    症例は81歳男性.胸部CTで前縦隔腫瘤を指摘され,1年半の経過観察にて増大傾向を認め,胸腺腫疑いで当院を紹介受診となった.腫瘍が無名静脈に近接し,剥離操作及び胸腺動静脈処理を安全に行うために,胸腔鏡併用mini-sternotomyアプローチを選択した.胸腔鏡で腫瘍の露出や播種及び横隔神経及び内胸動静脈の走行を確認し,胸骨切開部から腫瘍と胸腺動静脈や無名静脈を良好な視野で確認でき,安全に手術を行うことができた.病理診断は非定型カルチノイドであった.

  • 喜田 裕介, 徳永 義昌, 岡本 卓
    2019 年 33 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    縦隔の囊胞性病変は,偶然発見されることが多く,鑑別として気管支囊胞や食道囊胞,心膜囊胞,ミュラー管囊胞などが挙げられる.縦隔ミュラー管囊胞は2005年にHattoriらが報告した縦隔囊胞性疾患である.組織所見より気管支原性囊胞との鑑別が問題になるが,最も重要なマーカーは免疫染色での囊胞壁のエストロゲンレセプター,プロゲステロンレセプター陽性の所見である.今回,検診発見の後縦隔に発生したミュラー管囊胞を経験したので報告する.

    症例は50歳女性,検診で異常影を指摘され,当科紹介となった.CTで左第4/5椎体レベルで23×21 mmの低吸収結節を認め,囊胞性病変が疑われた.診断と治療目的に胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を行った.囊胞状の構造が見られ,その内面を立方状・円柱状の単層上皮が被覆し,一部は線毛を認め,卵管上皮に類似し,免疫組織化学的検査を行いミュラー管囊胞と診断した.

  • 池 晃弘, 大瀬 尚子, 新谷 康, 奥村 明之進
    2019 年 33 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    排卵期に発症した月経随伴性気胸の症例を報告する.症例は40歳女性.39歳時,月経の3日前に右胸痛と呼吸困難感が出現した.右気胸の診断で胸腔ドレナージを施行されたが,気漏が遷延し,前医で胸腔鏡下右上葉部分切除術を施行された.術中,横隔膜に菲薄化病変を認め,ポリグリコール酸シートを貼付された.その4ヵ月後,月経終了後約10日目の排卵期に右気胸が再発し,胸膜癒着術を施行された.しかし,その2ヵ月後の排卵期に右気胸の再々発を認め,当院で再手術を行った.横隔膜腱中心に網目状の多数の小孔を認め,腹腔と交通し肝臓を視認できた.横隔膜病変を切除後縫縮し,酸化セルロースシートで横隔膜及び全肺胸膜を被覆した.病理組織学的に横隔膜内に子宮内膜様間質組織を認め,異所性子宮内膜症と診断した.排卵期に繰り返し発症した本症例は,月経周期に依存しない異所性子宮内膜症の存在を示唆する1例である.

  • 油原 信二, 河野 匡, 藤森 賢, 鈴木 聡一郎, 藤井 丈士
    2019 年 33 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    滑膜肉腫は若年成人の四肢関節近位部に好発する悪性軟部腫瘍であり,肺原発は稀である.今回,肺原発滑膜肉腫に対し3-port胸腔鏡下右上葉切除+リンパ節郭清(ND2a-1)を施行し,5年間の無再発生存を得た1例を経験したので報告する.症例は生来健康な42歳男性.検診Xpで右上肺野に結節影を指摘され,造影CTでは右S2に12×9 mm大の結節性病変を認めた.肺癌を疑い胸腔鏡下右上葉部分切除を施行.術中迅速病理で孤立性線維性腫瘍や滑膜肉腫が鑑別に挙がる紡錘形腫瘍細胞と判断し,部分切除のみで手術終了とした.術後病理組織診でRT-PCR法によりSYT-SSX2型の融合遺伝子を認め,滑膜肉腫と診断.肺外に原発巣を認めず肺原発滑膜肉腫と診断し,初回手術より1ヵ月後に胸腔鏡下右上葉切除+ND2a-1を施行.腫瘍残存やリンパ節転移は認めなかった.定期的に全身PET-CTを施行し,術後5年現在再発を認めていない.

  • 岩井 俊, 船崎 愛可, 本野 望, 関村 敦, 薄田 勝男, 浦本 秀隆
    2019 年 33 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は30代,女性.健診の胸部X線で右肺尖部の結節影を指摘された.胸部CTで右第1および第2肋間に境界明瞭で内部不均一な結節性病変が3つ存在した.胸部MRIのT2WIで内部は高信号を呈し,リンパ管腫あるいは囊胞性変化を来した神経原性腫瘍を疑い,手術を施行した.術中所見では,表面平滑な結節性病変が第1肋間および第2肋間に数珠状に3つ存在し,完全鏡視下にすべての病変を摘出した.病理所見は異形成の乏しい紡錘形細胞の柵状配列を示す部分(Antoni A)と,粘液性器質が主体の部分(Antoni B)が混在しており,一部に囊胞性変化や血管壁の硝子化を認め,神経鞘腫と診断された.通常は孤立性発生であり,数珠状に多発する神経鞘腫の報告は散見されるが,複数の肋間に多発した神経鞘腫の報告は極めて稀である.胸腔内に多発する神経鞘腫の文献的考察を加えて報告する.

  • 住谷 隆輔, 関原 圭吾, 石黒 勇輝, 長阪 智, 喜納 五月
    2019 年 33 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    Swyer-James症候群は呼吸器感染症後に,胸部X線上一側肺もしくは肺葉の透過性亢進,肺血管陰影の減少を来す疾患である.症例は24歳男性,生後3ヵ月より肺炎を繰り返し,1歳8ヵ月でSwyer-James症候群と診断された.肺炎を繰り返し,左肺は荒蕪肺となっていた.感染のコントロールが不良となり,左肺全摘の方針となった.術中,胸腔内の癒着は軽度で,肺動脈,気管支に低形成は認めず,肺全摘を施行した.合併症なく退院,その後も感染なく経過している.Swyer-James症候群は通常,経過観察されるが,大量の喀血,治療抵抗性の感染症など限られた適応で手術を検討する.本症例は,気管支拡張症を伴い,感染を繰り返し,荒蕪肺と化したため片肺全摘を行い,良好な経過を得た.Swyer-James症候群に対する肺全摘は稀であるが,有効な症例も存在するため,適切な症例選択が肝要である.

  • 山﨑 宏継, 近藤 泰人, 内藤 雅仁, 松井 啓夫, 塩見 和, 佐藤 之俊
    2019 年 33 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/01/15
    ジャーナル フリー

    化膿性胸鎖関節炎は,コントロール不良な糖尿病,静脈注射乱用者,外傷などが原因で発症する稀な疾患である.今回我々は,化膿性胸鎖関節炎による広範囲な胸壁,縦隔膿瘍に対して,外科的ドレナージ術を施行し治癒した1例を経験したので報告する.症例は55歳,男性.既往歴に特記事項なし.1ヵ月前から前胸部腫脹と倦怠感を自覚するも症状の改善を認めず.CTで前胸壁を主座に,頸部から右胸腔内まで連続する広範囲な膿瘍形成を認め当院搬入となった.採血上,炎症反応は著明に上昇し,HbA1cが10.7%と未治療の糖尿病を認めた.前胸壁の腫脹部位を穿刺し,膿瘍の存在を確認の後,手術の方針とした.まず耳鼻科で経皮的に前胸壁をドレナージした.次いで,当科で胸腔内のドレナージを施行し,最後に予防的に気管切開を施行した.術後は,連日の胸腔内洗浄,頸部の処置,ならびに抗生剤治療で,膿瘍と炎症反応は改善を認め,56病日で軽快退院となった.

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