日本呼吸器外科学会雑誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • 福井 絵里子, 舟木 壮一郎, 神崎 隆, 狩野 孝, 大瀬 尚子, 南 正人, 新谷 康
    2019 年 33 巻 4 号 p. 380-386
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    悪性リンパ腫は縦隔腫瘍の鑑別診断の一つである.組織型を決定するために十分な組織量を採取する必要があるが,リンパ腫が多彩な組織像をとることや挫滅による変化などで診断に難渋する事も少なくない.当科において2006年から2018年3月までに悪性リンパ腫と診断された縦隔腫瘍生検手術例の27例について検討した.男性12人,女性15人,年齢は19歳から75歳(平均43.3歳)であった.術前にCTガイド下生検や気管支鏡検査等で診断がつかなかった例は16例あった.外科的生検のアプローチ法は胸腔鏡下生検14例,傍胸骨アプローチ10例,縦隔鏡下生検2例,剣状突起下アプローチが1例であった.診断までに複数個の検体が必要な症例が多く,Hodgkinリンパ腫では他の組織型より多くの検体を必要としていた.悪性リンパ腫の外科的生検は,腫瘍本体から十分な組織を採取することが可能であり有用であると考えられた.

  • 東郷 威男, 渥實 潤, 下田 清美, 平松 美也子, 吉田 勤, 白石 裕治
    2019 年 33 巻 4 号 p. 387-393
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    内科治療に抵抗性の肺非結核性抗酸菌症(NTM)においては病状コントロール目的で外科治療が必要となる場合がある.手術に際して主病巣は一側肺に限局していることが望ましい.しかし肺NTM症例の中には両側に気道破壊性病変を有する症例も存在する.2010年1月~2017年12月に当院で肺MAC症に対して手術を行った184例中,二期的に両側肺切除術を行った症例7例について検討を加えた.全例が女性で,結節気管支拡張型が5例,結節・気管支拡張型と線維空洞型とを有する混合型が2例であった.術前の化学療法期間は44.7±70.4ヵ月(中央値15.0ヵ月)であり,5例は右→左,2例は左→右の順に二期的に両側手術を施行した.初回手術と2回目との手術間隔は8.0±4.1ヵ月であった.2回目術後からの化学療法継続期間は28.6±21.7ヵ月であり,38.7±27.9ヵ月の観察期間で再燃・再発を認めた症例はなかった.

  • 林 祥子, 児嶋 秀晃, 水野 潔道, 保浦 慶之, 清水 麗子, 茅田 洋之, 井坂 光宏, 庭川 要, 大出 泰久
    2019 年 33 巻 4 号 p. 394-399
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    腎細胞癌(以下,腎癌とする)は血行性転移を来たしやすく転移部位として肺が最も多い.2002年9月~2015年3月に,腎癌根治術後に当科で切除した腎癌肺転移症例23例の治療成績と予後因子を検討した.5年無再発生存率は38.4%,5年生存率は91.3%であった.予後因子の解析では,区域切除または楔状切除症例は肺葉切除症例に比べて有意に予後良好であった(5年生存率100.0%/60.0%,P=0.01).腫瘍の主座では,末梢症例が中枢症例に比べ(5年生存率100.0%/77.8%,P=0.10),またDisease-free intervalでは24ヵ月以上の症例で予後良好な傾向を認めた(5年生存率100.0%/81.3%,P=0.11).腎癌肺転移は内科治療では根治が期待できないため,少数であるが無再発長期生存が期待できること,非担癌期間が得られることより,外科的切除の意義は高いと思われる.

症例
  • 則竹 統, 谷口 哲郎
    2019 年 33 巻 4 号 p. 400-406
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    近年,膿胸に対し局所陰圧閉鎖療法を適用した論文が散見される.我々は膿胸に対し,開窓術と有茎筋弁充填術を一期的に施行後,局所陰圧閉鎖療法を行い早期の創閉鎖が得られた2例を経験した.膿胸に対し局所陰圧閉鎖療法を用いた文献では,開窓術後に局所陰圧閉鎖療法を行い,膿瘍腔の感染が落ち着いた後で二期的に創部閉鎖を施行する方法で治療したと報告されることが多いが,この方法では開窓術時に生体組織を充填することで死腔が縮小し,さらに肉芽形成が早期に起こるため,局所陰圧閉鎖療法からの離脱が早期に可能であった.また,手術が1回で済むため入院期間の短縮,患者・医療者両者の負担軽減に繋がると考えられた.

  • 早坂 一希, 塩野 知志, 鑓水 佳, 鈴木 克幸, 遠藤 誠, 柳川 直樹
    2019 年 33 巻 4 号 p. 407-412
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    今回我々は術前針生検で高分化型脂肪肉腫と診断したものの,永久病理で胸壁脂肪腫と診断した1例を経験した.症例は63歳男性.増大する胸壁腫瘤の精査目的に受診した.術前の画像診断では脂肪腫か高分化型脂肪肉腫かの鑑別は困難であったが,CTガイド下生検で高分化型脂肪肉腫と診断した.腫瘍が肋骨や肋間筋などの周囲組織へ浸潤していた場合は合併切除する方針で手術を行った.小開胸でアプローチし,胸膜外で腫瘍は容易に剥離可能であったため胸壁は合併切除せず,腫瘍は肺と癒着していたため肺を部分切除した.永久病理では炎症を伴った胸壁脂肪腫の診断で,周囲組織への浸潤はみられなかった.術後14ヵ月経過し無再発生存中である.術前に高分化型脂肪肉腫を疑った場合,その診断が困難なことや広範囲切除が躊躇される場合もあるため,まず辺縁切除を行い,脂肪肉腫の確診が得られた場合は術後補助療法を検討する方針もあると考えられた.

  • 樋口 光徳, 渡部 晶之, 押部 郁朗, 添田 暢俊, 斎藤 拓朗, 鈴木 弘行
    2019 年 33 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は72歳男性.咳嗽の治療中に偶発的に両側後縦隔に腫瘤陰影を指摘された.CTでは,Th9レベルの右側傍椎体部に32 mm大の腫瘤陰影とTh11レベルの左側傍椎体部に33 mm大の腫瘤陰影を認め,ともに神経原性腫瘍が疑われた.腫瘍の確定診断と治療を目的に右側の腫瘍に対して胸腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腫瘤は暗紫色を呈した囊胞状で,非常に脆弱で易出血性であった.病理学的所見では,顆粒球系,巨核球系,赤芽球系の細胞群から成る造血巣が広範に認められ,髄外造血巣と診断した.術後の検索では血液疾患の存在を認めなかった.左側の腫瘍に対する評価目的に,インジウム(111In)シンチグラフィーを施行したところ,左側の腫瘍に一致した111Inの集積を認めたため,右側と同様に髄外造血巣と診断し経過観察の方針とした.両側後縦隔傍椎体領域に腫瘤を認める場合には血液疾患の存在や髄外造血巣も念頭に精査を行なう必要がある.

  • 石田 裕人, 岡見 次郎, 徳永 俊照, 須崎 剛行, 楠 貴志, 東山 聖彦
    2019 年 33 巻 4 号 p. 420-427
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例1は65歳男性,健診を契機に胸部食道癌を指摘され,その術前精査で右上葉肺癌および右中葉肺癌が疑われた.食道癌に対して術前導入化学療法施行後,食道亜全摘,縦隔リンパ節郭清,右上中葉切除,食道瘻造設術を施行した.その20日後に皮下胃管再建術を施行した.現在術後1年で無再発生存中である.症例2は72歳男性,嚥下困難の精査で胸部食道癌を指摘され,同時に右下葉肺癌が疑われた.右下葉部分切除,食道亜全摘,縦隔リンパ節郭清,食道瘻造設,気管切開術を施行した.その32日後に皮下胃管再建術を施行した.現在術後8ヵ月で無再発生存中である.右肺と食道の同時性重複癌に対して,右肺および食道切除後に二期的消化管再建を行った2例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

  • 鈴木 嵩弘, 小澤 広輝, 森田 雅子, 稲葉 浩久
    2019 年 33 巻 4 号 p. 428-435
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    原発性肺髄膜腫は極めて稀な良性腫瘍であり,報告が少ない.症例は46歳,女性.胸部CT検査でSpiculationを伴う結節影を右肺上葉に認め,経気管支肺生検で異型細胞を認めた.原発性肺癌cT2a(PL1)N0M0,Stage IBの術前診断で右肺上葉切除術を予定した.しかしながら,術中に先行して行った部分切除術の迅速病理検査の結果,髄膜腫と診断されたため,肺葉切除術を追加せずに手術を終了した.その後の病理組織学的精査で髄膜腫と診断され,MRI検査により中枢神経原発腫瘍は否定されたため,原発性肺髄膜腫と診断した.本疾患の予後は概ね良好であり,良性腫瘍として基本的に部分切除術が行われる.本例のSpiculationは,腫瘍へのリンパ球浸潤によるものと考えられ,悪性度との関連は否定的であった.一方で異型細胞の存在から,本例は異型髄膜腫に相当すると考えられ,今後の慎重な経過観察が必要と考えられた.

  • 中橋 健太, 大泉 弘幸, 鈴木 潤, 濱田 顕, 阿部 昂平, 佐藤 秀則
    2019 年 33 巻 4 号 p. 436-441
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は67歳男性.胸部大動脈瘤の精査目的のCTで指摘されたすりガラス影を呈する左肺下葉の結節に対して胸腔鏡下左肺部分切除術を施行し,病理診断はLepidic pattern主体の肺腺癌(pT1miN0M0-IA1 UICC8th)であった.術後2年5ヵ月後に呼吸困難で来院し胸部X線写真で左肺に大量の胸水を認め,CTでは左肺底部に胸膜肥厚を認めた.癌性胸膜炎を疑い胸腔鏡下胸膜生検術を施行し,病理診断は低分化腺癌であった.病理学的に異時多発か再発かの鑑別に難渋したため網羅的癌遺伝子パネル解析を施行し,初回と今回の病変いずれもEGFR p.R521K変異が認められ,かつ体細胞変異が約9割(88%)一致したため再発と診断した.現在,シスプラチン+ペメトレキセドによる化学療法を施行中である.

  • 米井 彰洋, 吹井 聖継, 森山 裕一
    2019 年 33 巻 4 号 p. 442-447
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は74歳,女性.腸閉塞で当院外科に入院した際の入院時胸部単純X線で右上肺野に47 mm大の腫瘤影を認めたため,当科紹介となった.外科退院後,当科にて気管支内視鏡検査を行ったところ,細胞診にてClass Vであった.胸部造影CT,PET CTを施行し,T2bN0M0,cStage IIAと診断した.またこの際の3D CTにて上肺静脈の上大静脈への還流異常(V4,5は下肺静脈と共通幹)を認め,部分肺静脈還流異常(PAPVR:partial anomalous pulmonary venous return)を合併した肺腺癌と診断した.術前経胸壁心臓超音波検査では推定肺動脈圧は33.9 mmHgと高値であったが,切除予定肺葉からの還流異常のため,術後心不全のリスクは低いと判断し,胸腔鏡併用下右上葉切除を行った.PAPVRは稀であり術前診断が困難で,手術時に確認されることが多い.自験例では術前3D CTにてPAPVRを指摘でき,適切な手術計画を立てることができた.

  • 山本 耕三, 緑川 健介, 今給黎 尚幸, 平塚 昌文, 米田 敏, 岩﨑 昭憲
    2019 年 33 巻 4 号 p. 448-452
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例42歳男性.屋外作業中に背後から後頚部に巨大な丸太が落下し受傷,当院へ救急搬送された.来院時呼吸困難,喘鳴があり前頚部から胸部に著明な皮下気腫と呼吸性に前頚部皮膚の膨隆と陥凹を認めた.

    CTで気管は頚部で完全に断裂していたが頚髄損傷は認めなかった.軟性気管支鏡で気管断端末梢側を確認できたため気管支鏡ガイド下に気管挿管でき,気管再建術を施行した.気管は胸骨柄の高さで完全断裂していたが挫滅の程度は比較的軽度でありトリミングを要せず端々吻合した.両側反回神経麻痺のため術後8日目に気管切開を要したが,リハビリを進め32日目に気管カニューレを抜去,術後37日目に自宅退院となった.受傷機転,治療法について文献的検討を加え報告する.

  • 松原 慧, 三竿 貴彦, 川名 伸一, 吉川 武志, 青江 基
    2019 年 33 巻 4 号 p. 453-459
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    若年者に術後再発した悪性孤立性線維性腫瘍に対して,再切除で良好な経過が得られた症例を報告する.症例は22歳,女性.胸痛を主訴に当院を受診した.胸部CTで,右胸腔背側に長径11 cm大の充実性腫瘤を認めた.CTガイド下生検で確定診断は得られなかったが,画像所見から孤立性線維性腫瘍(SFT)を疑い手術を施行した.腫瘤は周囲に強固に癒着していたため,右肺下葉の一部,横隔膜,壁側胸膜を合併切除した.病理所見は悪性SFTの診断であった.術後1年で右胸壁に再発し,再手術(胸壁切除,右第10,11肋骨合併切除)を要したが,その後は経過観察で再手術後7年無再発生存を得ている.外科的治療はSFTの局所再発に対しても有用である.しかし,SFTは術後遠隔期に再発することがあり,長期間の経過観察が必要とされている.今回若年者の症例を経験し,特に胸膜SFTの術後再発に関して文献的考察を行う.

  • 光田 清佳, 曽我部 将哉, 柴野 智毅, 山本 真一, 手塚 憲志, 遠藤 俊輔
    2019 年 33 巻 4 号 p. 460-465
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は57歳女性.健診での喀痰細胞診で異常を指摘.精査の結果,気管分岐部に隆起性病変を認め,生検の結果扁平上皮癌と診断された.病変は気管分岐部から右は4軟骨輪,左は2軟骨輪に及んでおり,気管分岐部切除+右肺上葉管状切除を施行し,再建にはdouble-barrel変法を用いた.術後は吻合部の虚血や狭窄所見などの合併症を認めず経過し,現在術後2年半無再発生存中である.double-barrel変法による気管分岐部再建は吻合部の張力を最小限とし,断端の血流を確保することができ,切除範囲が比較的広い分岐部肺癌の症例にも有用と思われた.

  • 福井 麻里子, 鈴木 健司, 尾泉 広明, 谷口 敬, 高持 一矢, 王 志明
    2019 年 33 巻 4 号 p. 466-470
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    58歳女性.S状結腸癌肝転移に対しS状結腸切除,肝部分切除(19ヵ所)を施行した.1年後,肝転移に対しラジオ波焼灼術(Radiofrequency ablation:RFA)を施行.RFA後28日目に38℃台の発熱と右胸水を認め入院した.胸水中の総ビリルビン23.5 mg/dlと高値であったため胸腔内胆汁瘻と判断し,胸腔ドレナージと内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(Endoscopicnasobiliary drainage:ENBD)を行った.炎症所見は改善したためドレナージ開始6日後に胸腔ドレーンを抜去したところ発熱が再燃した.その後胆汁コントロールが得られるまで30日間の胸腔ドレナージを要した.

    胸腔内胆汁瘻はRFA後の合併症として極めて稀であるが,適切な治療介入がないと重篤化し得る.胆道ドレナージによる胆汁性排液のコントロールとそれまでの胸腔ドレナージ継続が必要である.

  • 田内 俊輔, 内田 孝宏, 戸部 智
    2019 年 33 巻 4 号 p. 471-475
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は37歳男性.検診で胸部レントゲン異常を指摘され当院受診となった.胸部CTにて気管分岐部から左主気管支の前面に内分低濃度域を有する腫瘍を認めた.経気管支鏡穿刺で乳白色の内容液が確認され気管支原性囊胞と診断された.本人の希望で外来経過観察となっていたが,徐々に腫瘍の増大傾向とそれに伴う左主気管支の狭窄を認めたため手術施行となった.手術に際して腫瘍の位置から縦隔鏡経路でのアプローチが選択された.縦隔鏡下での腫瘍の一塊摘出は困難であり囊胞壁の剥離,切離を繰り返し腫瘍を細断しながら手術を行った.肺動脈等との剥離は容易であったが,気管と一部強固に癒着していた.気管の損傷を懸念し同部は切除を行わず腫瘍亜全摘とし残存囊胞壁の内腔を電気メスにて焼灼した.術後経過は良好であり,現在外来通院中である.術後4年経過したが,明らかな再発兆候は認めていない.

  • 岡村 純子, 後藤 行延, 柳原 隆宏, 小林 尚寛, 菊池 慎二, 佐藤 幸夫
    2019 年 33 巻 4 号 p. 476-481
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は57歳,男性.胸部大動脈瘤フォロー中の前医CTで前縦隔に36 mm大の腫瘤性病変を認め,当院を受診した.浸潤性胸腺腫を疑い,胸骨正中切開により腫瘍を含む拡大胸腺摘出術を施行した.術中所見にて腫瘍の浸潤を疑った局所心膜を合併切除し,心膜欠損部位をGore-Texシートで再建した.術後8日目より38℃台の発熱と心囊水貯留,また心電図で広範な誘導におけるST上昇を認め,心膜切開後症候群を疑いコルヒチンとNSAIDsを投与するも腎障害を来し内服困難となった.その後も著明な隔壁形成を伴う心囊水が増加したため,初回手術後15日目に胸腔鏡下心膜開窓術を施行した.再手術後よりステロイド投与も開始し,心囊水は減少,解熱を得て,白血球数とCRP値は正常化した.心膜切開後症候群は,心臓手術後の合併症として比較的よく知られるが,心膜切開を要する縦隔腫瘍手術後においても認識されるべき病態と考える.

  • 上村 亮介, 松岡 英仁, 土井 健史
    2019 年 33 巻 4 号 p. 482-485
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    80歳女性.胸部単純写真で右上肺野に異常陰影を指摘され,胸部CTでは右上葉に径21 mmの比較的境界明瞭な腫瘤陰影を認めた.CTガイド下生検で扁平上皮癌,c-T1aN0M0 stageIAと診断し,右上葉切除術を施行した.術後病理組織検査で,髄膜腫と診断されたが頭蓋内に明らかな病変を認めなかったため肺原発髄膜腫と判断した.術後30ヵ月無再発生存中である.

アンケート報告
  • 相馬 孝博, 佐田 諭己, 吉野 一郎
    2019 年 33 巻 4 号 p. 486-496
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/05/15
    ジャーナル フリー

    肺動脈損傷は肺葉切除の際の重大な合併症の一つであるが,その対処法は各外科医の経験や考え方による.我が国の実態を調査するために日本呼吸器外科学会の評議員719名にアンケートを依頼した.アンケートに回答を頂き集計し得たのは418名(58.1%)であった.肺動脈処理の手技や損傷時の対応について貴重な共有すべき結果が得られた.肺葉切除は,鏡視下が81.8%で行われており,肺動脈処理は,右肺動脈A1+3:自動縫合器93.0%,左肺動脈A3:自動縫合器83.3%,右肺動脈A2b:中枢結紮+エナジーデバイス(もしくは結紮用クリップ)65.6%であった.肺動脈損傷と修復は,90%以上の呼吸器外科医が経験していた.半数が500 ml以上の出血時で創の拡大を行っており,約1/4が止血操作の際に補助循環装置の使用経験を有していた.肺葉切除における呼吸器外科医の汎用している手技が今回のアンケート調査で示された.

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