日本呼吸器外科学会雑誌
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巻頭言
症例
  • 坂巻 寛之, 岡 直幸, 橋本 浩平
    2020 年 34 巻 1 号 p. 2-5
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    背景:Epipericardial fat necrosis(EFN)は,心膜外脂肪の壊死を起こす原因不明の稀な良性疾患である.症例:65歳男性.胸痛を契機に胸部CTを施行され,前縦隔に6 cmの腫瘤影を認めた.血液検査で強い炎症反応を認めた.胸部MRIでは腫瘤は被包化され,浮腫を伴う脂肪主体で,周囲に炎症性変化を伴っていた.5年前の胸部CTでは病変は存在しなかった.画像所見からは悪性病変が否定できず診断目的に手術の方針となった.胸腔鏡下で開始したが,腫瘤と右肺上葉・心膜に強固な癒着が存在し,胸骨正中切開に移行した.腫瘤とともに心膜と右肺上葉を部分的に合併切除した.術後合併症はなく,術後10日目に退院した.術後に胸痛は消失し炎症反応は陰性化した.病理診断では,脂肪組織の中に壊死像を認め,短期間で生じた臨床像も考慮しEFNと診断とした.結論:胸痛を契機に発見されたEFNの一切除例を経験した.

  • 岩井 俊, 船崎 愛可, 関村 敦, 本野 望, 薄田 勝男, 浦本 秀隆
    2020 年 34 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例1:70歳,男性.3年前から良性石綿胸水で経過観察されていたが,急激な胸水の増加を認めた.内科で胸腔ドレナージを開始したが膿胸を併発した.抗菌薬不応性のため手術を施行した.胸腔鏡下に膿胸腔を掻爬し,10 Lの生理食塩水でパルス洗浄装置による高圧洗浄を行い,手術を終了した.術後11日目にドレーンを抜去し,術後16日目に退院した.

    症例2:74歳,男性.右乳癌の術後で,2年前に右側の癌性胸膜炎を発症し,化学療法が施行されていた.その後,膿胸を併発し手術を施行した.胸腔鏡下に膿胸腔を掻爬し,8 Lの生理食塩水でパルス洗浄装置による高圧洗浄をし,手術を終了した.術後2日目にドレーンを抜去し,術後7日目に退院した.2症例とも慢性の胸水貯留の経過があり,死腔が完全には消失しない状況であったが,膿胸腔を掻爬し,パルス洗浄装置による高圧洗浄を行い,一期的に膿胸を治癒することができた.死腔が遺残した場合,膿胸の再熱が懸念されるが,本症例のように掻爬とパルス洗浄装置による高圧洗浄で手術時に限りなく無菌化に近い状態にすることで膿胸が治癒する可能性も見出された.

  • 石黒 勇輝, 関原 圭吾, 平井 星映, 住谷 隆輔, 椙村 彩, 長阪 智
    2020 年 34 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    【序文】神経原性腫瘍は後縦隔に発生し,交感神経や肋間神経に由来するものが多い.今回,左主気管支を圧排し,咳嗽を呈した迷走神経由来の神経鞘腫を経験した.【症例】咳嗽を主訴とする69歳女性.胃粘膜下腫瘍の精査で施行したCTで左主気管支を背側から圧排する14 mmの結節影を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,神経鞘腫の診断となった.気管支鏡では,膜様部が腫瘍に圧排されていたが,粘膜は正常で主気管支への浸潤はないと判断した.胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は被膜に包まれており,周囲への浸潤はなく,剥離可能であった.迷走神経の分枝から発生していた.手術時間:59分,出血:少量.【考察】神経原性腫瘍で迷走神経由来のものは稀である.多くは無症状で,偶発的に指摘されることが多い.症候性で迷走神経由来の神経鞘腫の手術例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

  • 渡辺 健寛, 古泉 貴久, 廣野 達彦
    2020 年 34 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は33歳,男性.2年前に右自然気胸に対して胸腔鏡下ブラ切除を施行された.今回検診で胸部X線異常影を指摘され当院受診.胸部CTで前回の気胸手術創に一致する右胸壁腫瘍を指摘された.手術は腫瘍を第4,5肋骨・肋間筋とともに一塊にして切除し,その後胸壁再建を行った.病理検査では紡錘形の腫瘍細胞からなるデスモイド腫瘍で肋骨・肋間筋への浸潤を認めたが,完全切除と診断された.術後12年経過したが再発を認めていない.胸壁デスモイドは稀な疾患であるが,胸部手術創に発生した腫瘍の鑑別疾患として考慮すべき疾患である.

  • 武村 真理子, 髙﨑 千尋, 小林 正嗣, 石橋 洋則, 菅原 江美子, 大久保 憲一
    2020 年 34 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    気管癌は自覚症状に乏しく発見時点で切除不能と判断される症例が少なくない.今回我々は化学放射線療法(CRT)が奏効し切除可能となった気管癌に対して根治術を行った.症例は47歳男性.血痰精査で気管扁平上皮癌の診断となった.腫瘍は茎部だけで全長6 cm(9軟骨輪)あり,右気管傍リンパ節転移と食道浸潤が疑われた.同時CRT(シスプラチン―ビノレルビン2コースと放射線外照射50 Gy)が奏効し,気管内腫瘤と縦隔リンパ節は共にpartial regressionの判定となったが,気管粘膜の再生検で活動性癌細胞の遺残が否定できなかったため,気管管状切除再建+大網被覆術を行なった.術後は吻合部トラブルなく経過し,13ヵ月無再発である.導入CRT後の気管管状切除再建術はリスクを伴うが手術手技の工夫で安全に行うことができ,切除不能な気管癌の効果的な治療オプションとなり得る.

  • 冨田 栄美子, 尹 亨彦, 内海 朝喜, 松村 晃秀
    2020 年 34 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は81歳女性.2009年に喀血を主訴に受診し,左胸腔に石灰化を伴う腫瘤を指摘された.結核菌排菌を認めたため肺結核として化学療法を開始した.その後,排菌は認めなくなり自覚症状も改善したが,腫瘤の増大を認めた.chronic expanding hematoma(CEH)と診断し手術を勧めたが経過観察を希望した.2014年4月に喀血と体動時呼吸困難が出現した.排菌は認めなかったが,血腫はさらに増大し縦隔偏位も伴っていたため,当症例に対して左胸膜肺全摘(EPP)を施行した.術後縦隔偏位は解除され呼吸困難も改善した.不用意な血腫周囲の手術操作は出血や再発の危険性を高めるため,患側肺の機能回復が期待できない自験例のようなCEHに対しては,EPPは有効な術式であると考えられた.

  • 渡邉 裕樹, 岡阪 敏樹, 平松 義規
    2020 年 34 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は64歳の男性.喀血を主訴に受診した.胸部CTで左肺S6に径0.8 cmの充実性結節影を認め,FDG-PETで同部位にSUVmax 1.7の集積を認めた.気管支鏡検査を施行したが,組織学的,細菌学的に確定診断は得られなかった.1年の経過でCYFRA21-1は経時的に上昇し胸部CTで結節影が径1.2 cmに増大したため,原発性肺癌を疑い左肺S6区域切除を施行した.病理組織検査にてactinomycosisと思われる菌塊を認め肺放線菌症と診断した.菌塊周囲にはサイトケラチン陽性の肺胞上皮による小型管腔構造を多数認め,本症に伴うCYFRA21-1の上昇に寄与していた可能性が示唆された.CYFRA21-1は病巣の切除,術後の抗菌薬投与で正常範囲まで低下した.本症は画像検査で原発性肺癌との鑑別困難なことも多いが,CYFRA21-1が上昇したという例は報告が無く,極めて稀な1例であると考えられた.

  • 船﨑 愛可, 岩井 俊, 関村 敦, 本野 望, 薄田 勝男, 浦本 秀隆
    2020 年 34 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は50代男性.13年前に慢性腎不全に対し左腎摘出術・献腎移植術を施行し,摘出腎より腎細胞癌と診断された.経過観察中,CTで左肺上区に結節影と前縦隔に緩徐に増大する腫瘤を認め,当科に紹介された.右側アプローチで胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行したところ,淡明細胞癌を認め,腎細胞癌の縦隔リンパ節転移と診断した.左上肺結節影に対しても二期的に胸腔鏡下左上区域切除術を施行し,腎細胞癌の肺転移と診断した.腎細胞癌は血行性転移が最多とされるが,肺転移巣と対側の孤立性の縦隔リンパ節転移の切除に関する予後は不明である.転移経路が異なる孤立性病変に対して,完全切除することで予後の改善が期待できる可能性がある.

  • 光星 翔太, 松本 卓子, 井坂 珠子, 鬼塚 裕美, 多賀谷 悦子, 神崎 正人
    2020 年 34 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    【背景】硬化性肺胞上皮腫は肺腫瘍全体の1%程度であり比較的稀である.病理学的多様性から術前診断は難しいとされている.【症例】48歳,女性.家族性大腸ポリポーシスの既往を有し大腸全摘術後.健診で胸部異常陰影を指摘され,胸部単純CTで左B6内腔へ進展する境界明瞭な18 mm大の結節を認めた.気管支鏡検査で肺腺癌が疑われ,当科へ紹介受診した.根治的治療のため胸腔鏡下左下葉切除,縦隔リンパ節郭清術を施行した.病理所見で硬化性肺胞上皮腫の診断であった.【考察】硬化性肺胞上皮腫は術前確定診断が得られるのは12.1%と報告され,本症例でも肺腺癌との鑑別が困難であった.硬化性肺胞上皮腫が中枢性に気管支内腔へ突出するものは1%程度と稀である.【結語】今回,肺腺癌と鑑別困難であった気管支内腔へ突出を認めた硬化性肺胞上皮腫の1切除例を経験したため,文献的考察を加え報告する.

  • 須﨑 剛行, 岡見 次郎, 石田 裕人, 木村 亨, 馬庭 知弘, 東山 聖彦
    2020 年 34 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は69歳,男性で,胸部CTにおいて左肺腫瘤を認め,気管支鏡検査にて左肺腺癌と診断された.既往歴として,食道癌に対し放射線化学療法および陽子線照射(計70 Gy)後,食道癌局所再発に対しサルベージ食道切除を施行されていた.陽子線照射野に縦隔以外にも左肺門部血管,気管支が含まれていたこと,低栄養状態(BMI 15.6 kg/m2),糖尿病の併存があったことから,高度な線維化による手術の困難さに加え,気管支断端瘻などのリスクが高いと考えられた.このため,術式として左肺上区域切除を選択し,先に肺動脈本幹をテーピングしてから操作を進め,有茎性広背筋弁にて気管支断端を被覆するなどの工夫を行い,安全に施行することができた.術後経過は良好であり,術後1年無再発であった.

  • 光井 卓, 清水 奈保子, 田中 雄悟, 大路 剛, 亀井 克彦, 眞庭 謙昌
    2020 年 34 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は46歳女性.中米を拠点として中南米で勤務している.健診で胸部異常陰影を指摘され,CT検査で右肺下葉に辺縁明瞭な2 cmの小結節が認められた.現地でCTガイド下生検術を施行されるも悪性所見は認めず,抗酸菌,真菌の感染所見も認めなかった.精査目的で帰国後,前医で気管支鏡検査を施行されるも壊死のみで診断がつかず,肺生検目的で当科に紹介となった.胸腔鏡下右下葉部分切除術を施行し,術中迅速検査にて悪性所見は認めず,炎症性肉芽腫の診断であった.検体は黄白色調,凝固壊死を伴った類上皮肉芽腫であり,病理診断では抗酸菌染色は陰性,Grocott染色で類円形,楕円形の酵母様真菌が認められた.術後血清H. capsulatum陽性を確認し,肺ヒストプラズマ症と診断した.免疫正常者であり,無症状であることからIDSAガイドラインに則り,経過観察となった.術後20ヵ月現在,感染の再燃なく経過している.

  • 牧角 倫之介, 上田 和典, 白石 恵子, 古川 克郎
    2020 年 34 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は73歳女性.全身倦怠感の精査で高γグロブリン血症とIL-6高値を伴う多発性リンパ節腫大を指摘された.多中心性Castleman病が疑われステロイド治療が行われるも病状は悪化した.診断および病勢コントロールを目的に,最も腫大していた右上縦隔リンパ節を胸腔鏡下に摘出したところ,上記症状は改善した.病理組織学的所見では,リンパ濾胞には血管の増生や樹状細胞が目立ち,マントル層のリンパ球は同心円状の構造を示すなど硝子血管型の特徴を認めた.また,濾胞間には多数の形質細胞の浸潤を認め,形質細胞型の特徴もみられた.以上より,混合型のCastleman病と診断した.特発性多中心性Castleman病において,薬物治療による対症療法が中心とされるが,症状緩和のため主病変の外科的切除などの局所治療も考慮すべきである.

  • 伊藤 槙, 山道 尭, 牧野 洋二郎, 大平 達夫, 荻野 均, 池田 徳彦
    2020 年 34 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    症例は46歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘された.胸部CTにて中縦隔に造影効果を有する4.3 cm大の腫瘤が確認され,胸部MRIではT1強調像で低信号,拡散強調像で淡く高信号であった.123I-MIBGシンチグラフィ上,同部位に核種の取り込みを認め,傍神経節細胞腫を疑った.胸骨正中切開,人工心肺補助下に中縦隔腫瘍摘出術を施行した.大動脈弓および冠動脈から腫瘍へ流入する血管を多数認め,それぞれを結紮切離した.術後病理所見では腫大した類円形核に豊富な細胞質を有する腫瘍細胞を認め,免疫染色所見はchromogranin A(+),synaptophysin(+),CD56(+)であり,傍神経節細胞腫と診断した.術後1年6ヵ月が経過したが明らかな再発は認めていない.傍神経節細胞腫は中縦隔に発生する頻度は稀ではあるが,特徴的な画像所見から術前診断を得て手術に臨むことのできる疾患であると考えられた.

  • 梁 泰基, 竹中 裕史, 川崎 成章, 石黒 太志, 重光 希公生
    2020 年 34 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    非常に稀な右縦隔型底区肺動脈(A7)の症例を報告する.61歳,男性,右下葉の肺腺癌,cT2bN0M0 Stage IIAと診断された.術前の3次元CT(three-dimensional computed tomography,3D-CT)にてA7が右主肺動脈から直接分岐し,中間気管支幹から内側に離れて心囊外背側を下行し下葉に入る肺動脈の解剖学的破格を認めた.胸腔鏡下右下葉切除および系統的リンパ節郭清術を施行した.破格A7を安全に確認し切離することができたが,3D-CTにて事前にその血管の存在を把握していたことで,術中の予期せぬ出血を回避できたのであろうと考える.

  • 阪口 全宏
    2020 年 34 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    胸壁発生のまれなhibernoma(褐色脂肪腫)の1例を経験したので報告する.症例は,49歳女性.右乳癌に対し,右乳房全切除術およびセンチネルリンパ節生検を受け,内分泌療法実施下に経過観察中,術後2年目に右胸壁腫瘤を指摘された.画像上,浸潤所見に乏しかったが3カ月で急速に増大したため,悪性病変も否定できず診断の確定と病巣の摘除目的に胸腔鏡下切除術を行った.組織所見では,1個の空胞を有する成熟した脂肪細胞と細胞質に多数の小さな空胞がみられる褐色脂肪細胞様の2種類の異なる脂肪細胞が混在しており,hibernoma(褐色脂肪腫)と診断された.

  • 吉田 大介, 深見 武史, 井上 雄太, 柴崎 隆正
    2020 年 34 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    66歳女性.血痰を主訴に胸部CTで左上葉空洞性病変を指摘された.気管支鏡検査にてアスペルギルス菌が検出されたため,抗真菌薬が開始され,1年間の治療にも関わらず空洞陰影の改善がなかった.再検された気管支鏡検査にて肺原発MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫が疑われ,生検目的で手術を施行し,MALTリンパ腫の診断に至った.肺原発MALTリンパ腫は多彩な画像所見を呈すが,空洞形成の報告は稀である.また,肺アスペルギルス症と診断され,抗真菌薬治療が効果不十分な場合は,悪性腫瘍の合併も考慮する必要がある.

  • 常塚 啓彰, 西村 友樹, 岡田 悟, 石川 成美, 内堀 篤樹, 井上 匡美
    2020 年 34 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    局所進行肺癌の根治切除では肺実質を温存する目的で肺動脈形成が行われ,左肺下葉切除術ではしばしば舌区肺動脈を温存するために行われる.症例は69歳女性,4年前に直腸癌肺転移に対し左肺S6区域切除術を行われ経過観察中に断端再発を指摘され紹介となった.胸部CTで断端近傍に2.2×1.4 cmの葉間肺動脈に接する結節影を認め,舌区肺動脈は葉間型A4+5であった.左後側方開胸でアプローチし胸腔内は広範に強固な癒着を認め,まずその剥離を行った.下肺静脈と下葉気管支を先に切離してから葉間処理を行った.葉間組織は固着し血管処理は困難であり,血流遮断し葉間肺動脈壁ごと下葉を摘出した.温存した肺底動脈の血管壁をフラップ状に折り返しトリミングし非吸収性モノフィラメント糸の連続縫合で肺動脈断端の欠損部を再建した.肺底動脈壁をフラップとし肺動脈形成を行い舌区の温存を図った完遂左肺下葉切除術の1例を経験したため報告する.

  • 渡辺 健寛, 古泉 貴久, 廣野 達彦
    2020 年 34 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

    肺アスペルギルス症術後の同側遺残肺に再燃し,そこを感染源として対側肺炎を起こした症例に遺残肺全摘術を行う経験は稀と考えられたので報告する.症例は64歳,男性.9年前に左肺アスペルギルス症に対して左上葉切除+下葉S6区域切除を施行されている.今回咳嗽・喀痰,食欲低下,体重減少で当院受診.右肺炎,左肺膿瘍の診断で入院し,抗生物質と抗真菌薬が投与された.右肺炎は改善したが,左下葉の肺膿瘍は改善せず,遺残肺全摘術を施行した.術後の経過は良好で,第30病日に軽快退院した.切除検体からアスペルギルスが検出され,肺アスペルギルス症の再燃と診断した.術後8年経過したが再燃を認めていない.

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