日本呼吸器外科学会雑誌
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巻頭言
症例
  • 橋本 博史, 小森 和幸, 吉川 滉太郎, 田口 眞一, 尾関 雄一
    2021 年 35 巻 4 号 p. 264-269
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は78歳女性.全身倦怠感を主訴に受診,著明な貧血を認めたため当院血液内科を紹介.精査の結果赤芽球癆と診断,またCTで前縦隔腫瘍(胸腺腫)を認めた.シクロスポリンによる治療を開始し,貧血は輸血が不要な程度に改善した.胸腺腫の切除につき当科紹介となった.重症筋無力症合併例に準じて拡大胸腺摘出術を胸骨正中切開下に施行した.前縦隔腫瘍の病理診断はsclerosing thymoma(硬化性胸腺腫)であった.周術期に貧血の進行を認めず,また退院後もシクロスポリンの再投与を必要とせず寛解に至ったと考えられた.術後2年の現在無治療で貧血の進行を認めていない.胸腺腫合併赤芽球癆に対する胸腺摘出術の治療効果は乏しく,シクロスポリンやステロイドによる全身治療が効果的とされている.今回胸腺腫合併赤芽球癆に対してシクロスポリンによる導入療法後に拡大胸腺摘出術を行い,全身治療が不要となり寛解した1例を経験した.

  • 星 史彦, 佐藤 伸之, 小林 数真, 冨山 史子, 羽隅 透
    2021 年 35 巻 4 号 p. 270-275
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    <背景>気胸では,胸腔ドレーンを挿入し持続吸引にて肺の伸展を得ることは日常的に行われている手技である.今回,ドレーンを挿入し持続吸引したことで呼吸状態が悪化した症例を経験したため報告する.

    <症例> 34歳男性,側弯症のため左右の胸郭に大きな較差が生じていた.顔面肩甲上肢型筋ジストロフィーの末期として気管切開・人工呼吸にて呼吸管理を行いながら近医入院中であった.胸部違和感の訴えで撮影した胸部単純X線写真で,右気胸を認め治療目的に当科へ転院となった.右胸腔にドレーンを挿入し持続吸引を行ったところ呼吸状態が悪化,1回換気量が減少した.人工呼吸器の設定変更などでは状態の改善が得られず,最終的に胸腔ドレーンを持続吸引器から外し,末梢側を大気に開放することで呼吸状態の改善を図ることが出来た.

    <結語>本症例の様にコンプライアンスが低下した胸郭,胸郭と肺の大きさのミスマッチ,人工呼吸器による陽圧換気という特殊な条件が揃うと胸腔ドレーンの持続吸引を行うことで,呼吸状態が悪化することがある.

  • 樽川 智人, 川口 瑛久, 山口 大輔, 髙尾 仁二
    2021 年 35 巻 4 号 p. 276-280
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は72歳,男性.他疾患の治療中に左肺上葉S1+2に全体径3.1 cm,充実径1.6 cmの腫瘤影を指摘され,造影CTにて右上葉肺静脈の一部が上大静脈に還流する部分肺静脈還流異常(PAPVC)を認めた.PAPVCが非切除肺葉にある場合の肺切除はシャント率を増大させ右心不全を発症するリスクがある.術前右心カテーテル検査で左A1+2a+bの選択的閉塞でも肺体血流比(Qp/Qs)は1.23でありPAPVCに対する血行再建は必要ないと考え,左上葉肺癌に対し左S1+2区域切除術を行った.術後1年経過したが右心不全発症無く経過観察中である.

  • 宮澤 正久, 松岡 弘泰, 中村 大輔, 小林 宣隆
    2021 年 35 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は71歳男性.横隔膜浸潤をともなう左肺下葉扁平上皮癌に対し,左下葉切除を施行,横隔膜を5.2×4.5 cmの大きさで合併切除し縫合修復した.第4病日夕より嘔気および食思不振が出現し第5病日には経口摂取不能となった.同日の胸部X線で胃泡の胸腔内脱出所見を認め,CTでは左横隔膜の連続性が消失し大網の一部や胃全体が胸腔内に存在していた.左横隔膜ヘルニア嵌頓として同日緊急開胸術を施行,横隔膜縫合部の一部が裂け胃および大網が嵌頓している状態であった.臓器壊死所見はなく胃内を穿刺脱気,ヘルニア門を拡大した上で腹腔内に還納,メッシュ補填によりヘルニア修復を施行した.術後13ヵ月経過し横隔膜ヘルニアの再発はみられていない.横隔膜縫合部の過度緊張がヘルニア発生の主因と考えられ,横隔膜切除後の直接縫合修復に関しては慎重であるべきと考えられた.

  • 荻原 哲, 宮野 裕, 前田 英之, 森田 賢, 坂井 修二, 神崎 正人
    2021 年 35 巻 4 号 p. 286-291
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    肺底動脈体動脈起始症に対し,血管内治療で異常血管の塞栓を施行した症例を報告する.症例は20歳代女性.主訴は喀血.胸部造影CT検査で腹腔動脈より分岐し,左肺底区に分布する異常血管を認めた.3D-CTでは肺底区の肺静脈,気管支の分枝はいずれも正常で,外側肺底区動脈(A9)の底小区動脈(A9b)のみ欠損していた.手術治療も考慮したが,肺静脈,気管支の分枝が正常で,異常血管の灌流域は狭く,肺炎などの感染の既往がなかったこと,若年未婚で整容面も考慮し,バスキュラープラグにより異常血管を塞栓した.術後に肺炎,肺塞栓などの合併症は見られなかった.症状再燃はなく,異常血管の再開通や瘤化は認めず,厳重に外来で経過観察中である.肺底動脈体動脈起始症に対する血管内治療は,長期予後は明らかでないが,治療の選択肢となり得る.

  • 原田 洋明, 藤原 誠, 仁科 麻衣, 柴田 諭
    2021 年 35 巻 4 号 p. 292-296
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は80歳男性.約1ヵ月前に転倒し右上腕骨近位部を骨折したため局所麻酔下にキルシュナー鋼線による骨折部の固定術が行われていた.固定に用いられた鋼線のうち2本を抜去した4日後に皮下気腫が出現し,X線透視検査で残りの鋼線のうち1本が胸腔内に迷入していたため当院気胸センターへ搬送された.CT検査で迷入した鋼線は右中葉内にあり,血胸や肺実質内の出血は明らかでないものの気胸と皮下気腫が認められた.同日に緊急手術を行い,胸腔鏡下アプローチにて鋼線を摘出した.鎖骨周囲や肩関節近傍の骨折固定に使用されたキルシュナー鋼線の胸腔内迷入はまれであるものの,致死的になりうる合併症であり,文献的考察を含めて報告する.

  • 山本 耕三, 桑原 元尚, 山本 聡
    2021 年 35 巻 4 号 p. 297-302
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    進行非小細胞肺癌に対し一般に化学療法,分子標的薬など全身治療が選択されるが,分子標的薬は一定期間で耐性が獲得され再発をしばしば経験する.

    65歳男性.健診レントゲン異常で当院呼吸器内科を紹介受診した.胸部CTで右上葉S1に50 mm大の腫瘤を認め肺門リンパ節と一塊となり,また頭部MRIで10 mm大の脳転移病変を認めた.気管支鏡検査で腺癌(cT2bN1M1b Stage IVA)と診断した.開頭腫瘍摘出術を施行し腺癌/ALK遺伝子転座陽性でありアレクチニブ(600 mg/day)を開始した.投与開始後原発巣は著明に縮小したが,14ヵ月後のCTで原発巣とは別に同肺葉内結節を2ヵ所認め,胸腔鏡下右上葉切除を施行した.術後病理では原発巣に明瞭な癌細胞を認めず,2ヵ所の同肺葉内結節は再発病変と第二癌であった.経過中の新出病変に対し可能であれば積極的に組織診断を行い治療方針を決定する必要があると思われた.

  • 山田 祐揮, 前田 純一, 星野 竜広, 横田 俊也, 森田 茂樹, 池田 晋悟
    2021 年 35 巻 4 号 p. 303-308
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は71歳女性.検診で初めて胸部異常陰影を指摘され,胸部CTで右中葉に充実性結節陰影を認めた.悪性リンパ腫のため49歳から抗癌剤治療を開始し,66歳で完全寛解を得ていた.悪性リンパ腫治療経過中のCTを見直すと,13年前から同部位に充実性結節陰影を認めており,緩徐に増大していた.精査目的に当科紹介となり,CTガイド下肺針生検を施行したが確定診断は得られなかった.CT所見と臨床経過から炎症性変化を第一に考えたが,悪性リンパ腫治療後で発がんリスクが通常より高いことを考慮して手術の方針とした.右中葉部分切除を行い,術中迅速病理診断で肺腺癌の診断を得たため,右中葉切除術+ND2a-2を施行した.遅延発育型肺腺癌はこれまでにも報告されているが,悪性リンパ腫治療後の二次性発がんの可能性が示唆され,かつ腫瘍出現時から充実性結節陰影を呈した報告はなく非常に稀である.

  • 蜂須賀 康己, 藤岡 真治, 魚本 昌志
    2021 年 35 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は48歳男性.健康診断の胸部単純X線写真で異常を指摘され,前医を受診した.CTで前縦隔腫瘍を認め,加療目的で当科紹介となった.造影CTで前縦隔に高い造影効果を有する7.5×5.8×3.4 cmの腫瘍を認め,浸潤傾向のある胸腺腫と診断した.術中所見で腫瘍内に内胸動脈から分岐した多数の流入血管を認め,拡大胸腺摘出術を行った.病理検査の結果,硝子血管型(hyaline-vascular type)のCastleman病と診断された.縦隔以外の他領域に病変は認めず,前縦隔に単独発生した単中心性Castleman病と診断した.術前の画像診断および術中所見で胸腺腫と鑑別困難であったCastleman病の1例を経験した.

  • 金田 真吏, 栃井 祥子, 河合 宏, 栃井 大輔, 須田 隆, 星川 康
    2021 年 35 巻 4 号 p. 315-319
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    横隔膜交通症は持続腹膜透析(CAPD)の併発症として重要である.横隔膜交通症に対して胸腔鏡下横隔膜部分切除術を施行し横隔膜上の瘻孔に異所性子宮内膜組織を認めた症例を報告する.症例は42歳の女性.CAPD開始後に,右胸水貯留を認めた.精査の結果,横隔膜交通症と診断し胸腔鏡下手術を行った.インジゴカルミン液を混注した腹膜透析液を腹腔内に注入し瘻孔を同定後に同部を自動縫合器で切除し,切除断端を結紮とポリグリコール酸シートで補強した.病理組織学的に,横隔膜の瘻孔部に異所性子宮内膜組織を認めた.術後7日目に腹膜透析を再開し異所性子宮内膜症に対しホルモン療法を開始した.横隔膜交通症の原因として異所性子宮内膜症が関与している可能性があり,再発予防のためにも病理組織学的診断が有用と考える.横隔膜交通症に対して横隔膜部分切除術を施行し異所性子宮内膜組織が瘻孔形成に関与する可能性を示唆する症例を経験した.

  • 渡邉 裕樹, 今村 由人, 岡阪 敏樹, 平松 義規
    2021 年 35 巻 4 号 p. 320-325
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は36歳の女性.34歳時に月経後に右気胸を発症,以降毎月右気胸を繰り返していたがいずれも胸腔ドレナージは要さなかった.35歳時に妊娠後は気胸の発症なく経過,帝王切開で出産した.産後2日目に右気胸を発症,安静のみで経過観察していたが,産後7日目に増悪し胸腔ドレナージを施行した.産後30日目に手術を施行し,右肺上葉の臓側胸膜の肥厚および横隔膜に複数の小孔を認め,右肺上葉と横隔膜の部分切除を施行した.術後2ヵ月からジエノゲストの内服を行い,2年経過の現在も再発は認めていない.

    本例は妊娠以前の月経時に複数回の気胸を併発しており,かつ手術時には明らかな肺囊胞を認めず,臨床的に月経随伴性気胸と診断した.妊娠中は気胸を認めず,産後は特有のホルモンの変化により再発症・増悪したと考えられた.本症の既往のある患者の産後には妊娠前よりも重度の気胸を発症する可能性を念頭に置く必要があると考えられた.

  • 名波 勇人, 三由 僚, 土屋 恭子, 森木 利昭, 前田 明則, 千原 幸司
    2021 年 35 巻 4 号 p. 326-331
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症状はなく,胸部X線の異常陰影で精査となり,肺切除により診断確定後の経過観察中の病態に応じて化学療法を施行した肺MALTリンパ腫の4症例(女3例,男1例,平均年齢62歳)を報告する.胸部CTでは腫瘤影,結節影,スリガラス陰影など様々な陰影を呈した.気管支鏡検査が施行された3例では肺生検や細胞診にて診断は確定せず,全例,診断と治療を目的の肺切除による病理組織にて診断が確定した.術後は血液内科が観察し,術後2~10年の時点で2例が術後補助療法として,2例が他の部位に出現したMALTの制御を目的に化学療法を施行した.1例は術後26年に他の悪性疾患で病死したが,ほかの3例は11年,2年6ヵ月,1年8ヵ月,再発なく健在である.標準治療がいまだ確定されていないこの疾患に対する肺切除は有効な治療選択肢の一つであり,血液内科と連携しての経過観察が重要と考えられた.

  • 加藤 文章, 巻幡 聰, 佐藤 勇一郎, 鍋島 一樹, 岩﨑 昭憲
    2021 年 35 巻 4 号 p. 332-336
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    10年間に3回の肺切除を施行しいずれも肺原発平滑筋肉腫と診断された腫瘍について,臨床経過及び病理学的再評価から転移性肺平滑筋肉腫と考えられた症例を経験したので報告する.症例は53歳女性.検診の胸部単純X線写真の異常陰影で当院受診.気管支鏡下生検では確定診断に至らず,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.本症例は17年前に子宮筋腫の手術既往歴があり,切除標本を再評価した結果,核異型を伴う腫瘍細胞増殖や中心壊死の所見より悪性も否定できないと判断し,子宮平滑筋腫瘍からの肺転移と診断するに至った.原発臓器の鑑別に苦慮した症例であり,今回文献的考察を加えて報告する.

  • 片桐 忍, 遠藤 秀紀, 橘 賢廣, 西澤 延宏, 佐藤 之俊, 山本 亮平
    2021 年 35 巻 4 号 p. 337-343
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は77歳男性.2年前に左上葉肺癌に対し胸腔鏡下左上葉切除術が施行されたが,術後慢性膿胸となり胸腔ドレナージと胸腔内洗浄が継続されていた.術後30ヵ月目に外来にて生理食塩水で胸腔内洗浄を施行した直後に急激に意識レベルが低下しショックを呈した.心電図でST上昇を認め,胸部CTで血管内の空気像を認めたため冠動脈空気塞栓症と診断し緊急心臓カテーテル治療を施行した.上行大動脈内と右冠動脈に流入空気を認めたためカテーテルを用いて吸引したところ状態は改善した.その後は軽度の脳空気塞栓症を認めたものの保存的治療とリハビリにより改善し退院となった.慢性膿胸に対する胸腔内洗浄で空気塞栓症をきたした症例はいくつか報告されているが,その機序は解明されていない.本症例では心臓カテーテルを用いて多量の流入空気を除去したことで重症化を防ぐことができたため,心臓カテーテル治療は空気塞栓症治療の第一選択になり得ると考えられた.

  • 西川 仁士, 林 同輔
    2021 年 35 巻 4 号 p. 344-348
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    穿通性胸部外傷に対しては,迅速に手術適応を判断し処置を行う必要がある.今回我々はクロスボウによる肺刺創に対して胸腔鏡補助下でpulmonary tractotomy(PT)を施行した症例を経験したので報告する.症例は50歳代男性.自分でクロスボウをセットし,左前胸部を撃った.その後意識を保ったまま胸痛,呼吸苦を自覚し,矢が刺さったまま当院へ救急搬送された.矢は左前胸部より刺入し左背部に貫通していた.胸部CTでは左中等度気胸と少量の胸水を認め,矢は左舌区と下葉S6を貫通していた.胸腔鏡で観察しながら矢の摘除と損傷部の修復を行う方針とした.S6の貫通部は自動縫合器を用いて部分切除した.舌区の貫通部は深く長かったため,自動縫合器を用いてPTを施行し修復した.術後経過は問題なく転院となった.胸腔鏡補助下で自動縫合器を使用したPTは,損傷部を迅速に処置でき手術時間の短縮にも有用であった.

  • 鈴木 光恵, 石川 善啓, 伊坂 哲哉, 菊池 章友, 奥寺 康司, 益田 宗孝
    2021 年 35 巻 4 号 p. 349-354
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    症例は62歳女性.左背部痛と側腹部痛を契機に施行したcomputed tomography(CT)で下行胸部大動脈の背側横隔膜上に,直径が20×12×30 mmの後縦隔腫瘤を認めた.造影thin-section CT及びmagnetic resonance image(MRI)では大動脈からの異常血管を認めなかった.胸膜腫瘍や肺葉外肺分画症を疑い,胸腔鏡下に手術を施行.術中所見より下行大動脈前面から異常血管が突出する肺葉外肺分画症と診断した.直径約1 mmの数本の異常血管を結紮切離し,胸腔鏡下分画肺切除術を施行した.今回,症例の概要を肺葉外肺分画症の画像診断に関する文献的考察を加えて報告する.

  • 久保 友次郎, 藤原 俊哉, 岡田 和大, 中村 龍二, 牧 佑歩, 松浦 求樹
    2021 年 35 巻 4 号 p. 355-362
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    Solitary fibrous tumor(SFT)は,間葉系細胞由来の稀な腫瘍である.今回,特異な経過を示した悪性SFTの2例を経験した.症例1は70歳代,女性.X-8年より左胸腔内の腫瘤影を経過観察されていたが,X-1年から突如急速な増大傾向を認めた.X年,開胸下に腫瘍切除を施行した.胸膜上に無数の結節を認め,完全切除は困難であった.病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.症例2は60歳代,女性.Y年に右肺腫瘍に対して右中葉+底区域切除を施行し,病理組織学的検査で悪性SFTと診断された.またY+3年に急性胆囊炎で胆囊摘出を施行したところ,胆囊内腫瘍を認め,同様にSFTと診断された.さらにY+4年,右後腹膜腫瘍に対して腫瘍摘出を行ったところ,同様にSFTと診断された.SFTは多彩な病態を呈することを念頭に,手術の検討あるいは厳重な経過観察が必要と思われた.

  • 鈴木 幹人, 政井 恭兵, 朝倉 啓介, 菱田 智之, 加藤 靖文, 淺村 尚生
    2021 年 35 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    フレイルチェストは,胸部外傷による多発肋骨,胸骨骨折で,胸郭の動揺性から奇異性呼吸を来たす.フレイルチェストの治療は外固定術と陽圧換気による内固定術が一般的であるが,Nuss法を利用した外科的固定術の報告は少ない.症例は81歳男性.心肺蘇生時の胸骨圧迫により多発肋骨骨折と,2ヵ所の胸骨骨折を来たしフレイルチェストとなった.奇異性呼吸のため2度人工呼吸器離脱に失敗した.フレイルチェストに対する胸郭固定として,Nuss法が有効と考え,チタン製金属バー2本を第3,4肋間に挿入し,外科的固定術を行った.術後経過は良好で,術後15日目に人工呼吸器を離脱できた.特に胸骨骨折を合併したフレイルチェストに対し,Nuss法は低侵襲な外科的固定術であると考えられた.

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