日本呼吸器外科学会雑誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • 岩本 直也, 一瀬 淳二, 山道 尭, 大村 兼志郎, 小澤 広輝, 近藤 泰人, 橋本 浩平, 松浦 陽介, 中尾 将之, 奥村 栄, 文 ...
    2021 年 35 巻 6 号 p. 644-650
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    目的:重症筋無力症非合併胸腺腫に対する胸腺部分切除術と胸腺全摘術の治療成績を比較した.対象:2005年から2018年に正岡I,II期重症筋無力症非合併胸腺腫に対して胸腔鏡下胸腺部分切除術または胸腔鏡下胸腺全摘術を施行した65例.結果:胸腺部分切除群は胸腺全摘群に比べ,手術時間が有意に短く,出血量,術後在院期間,術後合併症率は同等であった.開胸移行なし.観察期間中央値4年で,両群ともに胸腺腫再発および重症筋無力症発症を認めなかった.胸腺部分切除群では胸腺全摘群と比較し腫瘍と左腕頭静脈との距離が離れていた.結論:重症筋無力症非合併早期胸腺腫に対する胸腔鏡下胸腺部分切除術の成績は胸腔鏡下胸腺全摘術と比較して同等であった.腫瘍の大きさや位置にもよるが左腕頭静脈から20 mm以上離れていれば胸腺部分切除術も選択肢の1つとなりうる.

  • 亀田 洋平, 山本 健嗣, 菅原 海, 前原 孝光, 益田 宗孝
    2021 年 35 巻 6 号 p. 651-658
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    背景:肺多形癌はまれな腫瘍であり悪性度が高く予後不良とされている.当科での手術症例における臨床経過を検討した.対象と方法:2002年8月から2020年1月における肺多形癌切除例28例について後方視的に検討した.結果:年齢は46-87歳(中央値73歳).性別は男性25例,女性3例.喫煙者は25例であった.腫瘍浸潤径は17-92 mm(平均44.6 mm).リンパ節転移はpN0:22例,pN1:5例,pN2:1例であった.生存期間中央値は32.0ヵ月で5年生存率は39.5%であった.1年,3年無再発生存率はそれぞれ38.7%,31.0%であった.6例にPD-L1検査を行い全例で陽性であった.それら6例に免疫チェックポイント阻害薬が使用され,5例に奏功した.結語:肺多形癌は術後早期再発・死亡例が多く予後不良であった.再発病変に対して免疫チェックポイント阻害薬治療の効果が期待できると考えられた.

症例
  • 伊藤 龍一, 月岡 卓馬, 泉 信博, 小松 弘明, 井上 英俊, 西山 典利
    2021 年 35 巻 6 号 p. 659-664
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    ムコール症は日和見感染症として基礎疾患を有する患者に生じやすいが,骨破壊を伴う事は稀である.今回胸壁浸潤を伴う肺ムコール症に対し胸壁合併切除を伴う肺切除を行うことで良好な経過を得た一例を経験したので報告する.症例は66歳女性.急性骨髄性白血病に対し化学療法中,治療開始18日目に胸痛が出現,CTで左上葉肺炎を認めた.侵襲性肺アスペルギルス症を疑いアムホテリシンBによる治療を開始するも抗真菌薬抵抗性であり,各種検査からも確定診断は得られなかった.90 mm大の膿瘍形成と骨破壊が出現したため診断と治療をかねて左肺上区域切除術及び第3-5肋骨合併切除を施行した.手術検体から肺ムコール症の診断を得た.術後経過は良好であり,ムコール症の再燃無く化学療法を再開した.広範囲の胸壁合併切除により根治切除を行う一方で,区域切除による肺機能温存で全身状態も良好であり,原疾患に対する早期の治療再開が可能であった.

  • 末吉 国誉, 石橋 洋則, 森 恵利華, 中島 康裕, 小林 正嗣, 大久保 憲一
    2021 年 35 巻 6 号 p. 665-671
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は84歳男性.右胸水貯留と胸膜肥厚に対して胸腔鏡下胸膜生検を施行し胸膜プラークの診断となったが,生検後に膿胸を発症した.ドレナージおよび胸腔鏡下醸膿胸膜掻爬に不応であったため開窓術を行った.糖尿病やうっ血性心不全などの併存疾患を管理しながら,計5回にわたる掻爬術を行うことで石灰化胸膜プラークを徹底的に除去し,部分的な有茎大網充填にて大きな死腔を残したまま閉胸した.本邦において,開窓後膿胸症例の閉胸の原則は,無菌化および膿胸腔への組織充填による死腔の閉鎖とされるが,本症例で死腔を残存させたまま閉胸できた理由について考察した.

  • 上村 亮介, 松岡 英仁
    2021 年 35 巻 6 号 p. 672-675
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    化膿性胸鎖関節炎は稀な疾患であり,急性期から亜急性期にかけての報告は散見されるが慢性化した報告は見られない.症例は49歳男性.4ヵ月前から発熱と右前胸部の腫脹を繰り返していた.近医で関節炎と診断されステロイドの内服を開始したが改善がなく当院紹介となった.画像上,右鎖骨頭,胸骨に骨吸収像と骨髄炎の所見を認め,胸鎖関節周囲,大胸筋に膿瘍形成を認めた.化膿性胸鎖関節炎と診断して手術を施行した.手術は膿瘍腔洗浄・掻爬に加えて右鎖骨,胸骨柄,右第1肋骨,大胸筋部分切除を行った.合併症なく術後18日目に退院した.外来で経過観察したが,術後12ヵ月間感染の再燃は認めなかった.

  • 中村 勝也, 生田 安司, 内山 明彦
    2021 年 35 巻 6 号 p. 676-681
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    有瘻性アスペルギルス膿胸に対し遊離大網充填,胸郭形成術を施行し治療せしめたので報告する.症例は78歳,女性.肺非結核性抗酸菌症加療中に左気胸を発症した.左上葉切除後で強固な癒着で肺切除は行えず,フィブリン糊とポリグリコール酸シートを重層に挿入し胸腔鏡下肺瘻閉鎖を施行した.半年後に左有瘻性膿胸に至り,開窓術を施行した.開窓後Aspergillus fumigatusを認め,有瘻性アスペルギルス膿胸に至った.ミカファンギンナトリウムの投与と全身麻酔下胸腔鏡下掻爬術を行い,約半年後に遊離大網充填,胸郭形成術を施行した.肺瘻が頭側高位で複数あり,血管吻合を伴う遊離大網充填術が必要であった.術後約4年7ヵ月経過するが再発はない.遊離大網充填術は目的部位に十分量の大網を充填することが可能であり,本例のように死腔が大きな場合,胸郭形成術で膿胸腔の縮小化を図り,遊離大網充填術は有用な術式であった.

  • 天白 宏典, 藤永 一弥
    2021 年 35 巻 6 号 p. 682-686
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は67歳男性.11ヵ月前に胃癌,直腸癌にて幽門側胃切除と低位前方切除を施行された.術後の経過観察目的のCTで右上葉に経時的に増大する結節影を認め当院へ紹介となった.気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らず,原発性肺癌もしくは転移性肺癌を疑い手術を施行した.術中迅速診断で低分化腺癌(原発性肺癌)と診断され,右上葉切除+ND2a-1を施行した.病理組織診断の結果,絨毛癌様の形態を伴った肺腺癌(pT1bN0M0 stage IA2)と診断された.術後は補助化学療法なしで無再発生存中である.

  • 闞 秋明, 田川 公平, 石田 輝明, 西村 光世, 青山 克彦
    2021 年 35 巻 6 号 p. 687-692
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    気管腫瘍の開胸方法には胸骨正中切開と右側方開胸がある.我々は気管下部に位置する気管癌に対して正中切開アプローチを行い,良好な視野を得た症例を経験した.症例:43歳女性.労作時呼吸苦と喘鳴(吸呼気の連続性ラ音)を主訴に受診.CT検査では大動脈弓レベルの気管左側壁から内腔に突出した16 mm大の結節,及びそれと連続して気管壁外に20 mm大の結節を認めた.気管支鏡検査では気管左側壁に基部を持つ隆起性病変を認め,気管内腔は80%狭窄していた.生検では粘膜下進展傾向を示すcribriform typeの腺様囊胞癌と診断したため,肉眼的に腫瘍を完全切除し,断端陽性であれば,術後放射線治療を追加する方針にした.手術は胸骨正中切開アプローチで気管管状切除(5リング,3 cm長)・端々吻合術を施行し,術中迅速病理検査は施行しなかった.病理診断では切離断端陽性のため,術後2ヵ月目に吻合部に対し放射線治療45 Gyを施行した.術後2年無再発生存中である.

  • 阿南 健太郎, 宮脇 美千代, 野田 大樹, 安部 美幸, 小副川 敦, 杉尾 賢二
    2021 年 35 巻 6 号 p. 693-698
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は67歳,男性.発作性上室性頻拍(PSVT)に対しカテーテルアブレーションを予定されていたが,縦隔囊胞を指摘され当科に紹介.囊胞は44 mm大で気管分岐下左側にあり,左房・左上肺静脈を圧迫していた.手術所見では囊胞は腫瘍成分を認めず良性と思われたが,食道,左房,左上肺静脈との間には高度な癒着を認めた.癒着を剥離せずに囊胞壁を一部残して切除し,粘膜を焼灼した.組織学的には円柱上皮と軟骨組織を認め,気管支囊胞と考えられた.術後に不整脈は消失した.不整脈を伴う気管支囊胞はまれであり,国内外の報告11例の検討を加えて報告する.

  • 川角 佑太, 後藤 まどか, 市川 靖久, 福本 紘一, 内山 美佳, 森 正一
    2021 年 35 巻 6 号 p. 699-704
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    ロボット支援内視鏡下(以下RATS)肺葉切除が2018年4月に保険収載された.その手術件数は増加しているが,合併症についての報告は少ない.今回RATS肺葉切除に特有と思われる術後合併症(出血)を経験した.症例は54歳の男性.RATS右下葉切除+ND2a-1を実施したが,術後6時間後に多量出血による急性循環不全を生じた.再開胸すると椎体前面の肋間動脈より出血を認め止血した.出血の原因は,モニター視野外で術者左手のロボット鉗子と椎体とが接触したことと考えられた.まずCO2送気のため縦隔が通常より奥深くなっていた.近接視野で#7リンパ節郭清を実施したため,視野外でロボット鉗子が椎体を圧迫していたが触覚がないためこれを認識できなかった.その結果肋間動脈を損傷していた.更にCO2送気に伴う加圧により術中に出血が抑制されていたため遅発性出血となった.RATS実施においては従来の手術とは異なる特徴を理解することが重要である.

  • 大村 征司, 政井 恭兵, 加勢田 馨, 朝倉 啓介, 菱田 智之, 淺村 尚生
    2021 年 35 巻 6 号 p. 705-711
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    Micronodular thymoma with lymphoid stroma(リンパ性間質を伴う小結節性胸腺腫,以下MNTLS)は胸腺腫の1.4%を占める比較的稀な胸腺腫の一型である.今回我々は二例のMNTLSを経験した.症例1.60歳女性.胸部CTで前縦隔に17 mm大の結節を指摘され,胸腔鏡下前縦隔腫瘍切除術を施行した.症例2.70歳女性.胸部CTで前縦隔に18 mm大の結節を指摘され,胸腔鏡下前縦隔腫瘍切除術を施行した.いずれの腫瘍もBリンパ球が豊富な間質を背景に,腫瘍細胞が敷石状に広がっており,MNTLSと診断した.MNTLSは,針生検や迅速診断ではAB型胸腺腫や胸腺リンパ濾胞過形成と誤診される可能性もあるが,過去の報告では予後は良い疾患であり症例1においては術後4年,症例2においては術後1年6ヵ月経過した現在も無再発生存中である.文献的考察を加えて報告する.

  • 古河 奈央, 水口 真二郎, 高濱 誠, 簡野 泰成, 東山 智彦, 山本 良二
    2021 年 35 巻 6 号 p. 712-717
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    気管支肺動脈瘻は気管支縫合不全に伴う肺動脈周囲の炎症により生じる例が多いが,今回,気管支吻合部狭窄に対するステント留置術後の気管支肺動脈瘻を経験したため報告する.症例は74歳男性.右上葉気管支入口部浸潤を伴う扁平上皮癌に対し,右上葉管状切除,縦隔リンパ節郭清術を施行した.術後6ヵ月目に吻合部狭窄を来たし,術後10ヵ月目に気管支拡張バルーンによる気道拡張術を施行したが狭窄が再燃し,術後11ヵ月目にシリコンステントを狭窄部に留置した.しかし,留置8日後に大量喀血を来たし,胸部CT検査にてステントのスタッドが肺動脈壁を穿通したことによる気管支肺動脈瘻と診断された.分離肺換気にて健側肺の換気を確保後,右主肺動脈をバルーンカテーテルで閉塞させることで,気道内出血の制御が可能となり,右肺全摘除の耐術能も示された為,右残肺全摘除術を施行し救命が可能であった.

  • 酒井 絵美, 中原 和樹, 喜納 五月, 宮永 茂樹
    2021 年 35 巻 6 号 p. 718-723
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は62歳男性.検診で胸部異常影を指摘された.病変は右S1に18 mm大の結節影として存在し胸膜嵌入を認めた.画像所見よりcT1bN0M0の肺癌疑いで手術の方針とした.

    胸部CT所見では,右上中葉間は完全不全分葉であり右上葉気管支は右B1a+B2aで形成されており,右B1b+B2bとB3が中葉気管支から分岐する気管支分岐異常を認めた.腫瘍に流入するB1bは中葉気管支から分岐していたことから,予定術式は右上中葉切除術とした.手術所見は,右上葉の腫瘍部の楔状切除を行い術中迅速病理診断でadenocarcinomaと診断されため,完全胸腔鏡下右上中葉切除術+ND2a-1を施行した.術前の気管支・肺動静脈の3D-CTによる再構成画像を作成し術前検討を行うことは,それらの変異を確認できるため,安全な手術の遂行に寄与すると考えられる.

  • 油原 信二, 河野 匡, 藤森 賢, 鈴木 聡一郎, 菊永 晋一郎
    2021 年 35 巻 6 号 p. 724-730
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    ナイロン糸付きマーカーによるCTガイド下マーキングでは,気胸,肺内出血,空気塞栓などの合併症が知られる.今回,マーカーが気管支を経由し消化管に迷入した2例を経験したので報告する.症例1:左上葉結節に対して手術前日にマーキングを施行したが,術中,胸腔内にマーカーを認めなかった.病変は触知し得たため部分切除を施行.CTでは下行結腸にマーカーを認め,第3病日に便中へ排出された.症例2:右中葉結節に対して手術前日にマーキングを施行.処置後のXpでマーカーを認めず,CTで小腸内に認めた.腫瘍を触知し得たため中葉部分切除を施行.腺癌の迅速診断のため中葉切除を施行した.第3病日の腹部Xpでマーカーは消失し,CTでも腸管内に認めず,排出されたと判断した.マーカーが気管支から喀出され消化管に迷入したと考えられ,気管支を避けたマーカー留置,付属ナイロン糸の皮膚への固定が迷入を避けるために効果的と考えられた.

  • 河内 隆将, 田中 俊樹, 村上 順一, 吉峯 宗大, 山本 直宗, 濱野 公一
    2021 年 35 巻 6 号 p. 731-735
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    転位気管支は稀な気管支の破格で,肺血管の分岐異常や分葉異常を伴うこともあり手術前には十分な検討を要する.今回,左B1+2転位気管支を伴った肺癌に対し胸腔鏡下左S3区域切除術を施行した1例を経験した.症例は71歳の男性で,CTで左S3に増大する1.3 cmの部分充実型結節を認めた.原発性肺癌を疑い,左S3区域切除を行う方針とした.術前の3次元CT(three-dimensional computed tomography,3D-CT)で肺動脈の背側を走行して分岐する左B1+2転位気管支を確認し,気管支と肺動脈の立体的な位置関係を視覚的に捉えることができた.3D-CTに基づく十分な手術計画を立案したことで,稀な左B1+2転位気管支症例に対して安全且つ計画通りに左S3区域切除を完遂し得た.

  • 印藤 貴士, 青山 晃博, 原 重雄, 藤本 寛太, 濵川 博司, 高橋 豊
    2021 年 35 巻 6 号 p. 736-741
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代男性.200X年に異所性ACTH症候群と診断された.腹部CT・静脈サンプリングで十二指腸ACTH産生腫瘍が疑われ,膵頭十二指腸切除を施行するも病理結果は炎症性腫瘍であった.ACTH産生部位不明のまま内服加療としていたが12年後,胸部CTで左下葉に20 mm大の結節を指摘,生検困難な部位であり当科紹介となった.胸腔鏡下左下葉部分切除を施行し,病理検査でACTH産生肺定型カルチノイドと診断された.術後,副腎皮質機能低下を来たし,ステロイド補充を行った.肺カルチノイドは5年間再発なく経過している.本症例は異所性ACTH症候群診断から長期経過後に責任病変が同定された.標準治療はACTH産生腫瘍の摘出であり,異所性ACTH症候群の原因の約半数を占める胸部領域の腫瘍を念頭に置いた上で,各種画像検査を用いて全身検索を行うことが責任病変の発見につながると考えられる.

  • 井口 拳輔, 棚橋 雅幸, 鈴木 恵理子, 吉井 直子, 渡邊 拓弥, 千馬 謙亮
    2021 年 35 巻 6 号 p. 742-748
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は63歳,男性.検診の胸部X線検査で左肺野に不整な結節影を指摘された.胸部CT上,左上葉の過分葉間に径4 cm大の腫瘤影を認めた.FDG-PETでは同部位にSUVmax 14.6のFDG集積があり,悪性腫瘍が疑われたため診断治療目的に手術を行った.左上葉の腫瘍は,胸壁への浸潤や癒着はなく,左上葉切除を行った.病理組織学的に臓側胸膜より発生した限局性二相型悪性胸膜中皮腫の診断となった.今回我々は過分葉区域間裂の臓側胸膜より発生した限局性悪性胸膜中皮腫の切除例を経験した.本疾患は稀な疾患と考えられ,文献的考察とともに報告する.

  • 荒木 健太郎, 伊藤 祥隆, 都島 由紀雄
    2021 年 35 巻 6 号 p. 749-753
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    症例は19歳男性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,その際に施行された胸部CTで縦隔に腫瘤性病変を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.胸部CT検査で前縦隔から右側にかけて右房を圧排する大きさ97×42 mmで脂肪濃度の腫瘤性病変を認めた.胸部MRI検査でT1強調画像,T2強調画像でともに高信号を示し,脂肪抑制画像で低信号を示した.以上より,脂肪腫もしくは脂肪肉腫の術前画像診断で手術の方針とした.胸骨縦部分切離に右第4肋間前方開胸を繋げたHemi-clamshell approachで前縦隔から右胸腔に突出する腫瘍を摘出した.横隔神経や心膜への浸潤は認めなかった.切除標本は大きさ175×100 mmで重量800 gであり,菲薄な血管に富んだ被膜に覆われた成熟脂肪細胞で構成され,小リンパ球より成る胸腺組織が散見された.悪性所見は認めず,胸腺脂肪腫と診断した.術後経過は良好で,術後第6病日に退院した.

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