日本呼吸器外科学会雑誌
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7 巻, 7 号
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  • Single surface cooling と LPDG 液の比較
    宮出 喜生
    1993 年 7 巻 7 号 p. 754-763
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    犬を用いた Bilateral Single Lung Transplantation (BSLT) により, non-Bush surface cooling (SC) 法とlow potassium dextran glucose (LPDG) 液保存法を比較した.
    Donor肺をSC群 (n=6), LPDG群 (n=5) に分け, 両群とも臨床肺移植に則し, 保存時間5~6時間でBSLTを行った.移植肺機能評価に最も重要な移植後12時間は, recipientを人工呼吸器管理下においた.両群とも人工心肺を使用することなくBSLTが可能で, 全例移植後12時間生存し, 良好な肺機能を示した.移植12時間後のPaO2 (FiO2=1.0), PaCO2, m-PAPは, それぞれ, SC群 : 482±67, 37.6±4.6, 20。1±3.4Torr, LPDG群 : 590±18, 44.3±4.0, 27.3±3.0 Torrと良好で2群間に有意差を認めなかった.以上より, 保存時間5~6時間であれば, SC法, LPDG液保存法ともに, 有用な保存法であり, これを使用することでBSLTが可能であると考えられた.
  • 器械縫合と手縫い縫合の気管支瘻
    滝沢 恒世, 寺島 雅範, 小池 輝明
    1993 年 7 巻 7 号 p. 764-769
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    器械縫合の332例と手縫い縫合の500例において気管支に対する器械縫合と手縫い縫合の安全性を比較検討した.気管支瘻発生率は器械縫合332例中8例2.4%, 手縫い縫合500例中6例1.2%であった.一葉切除では器械縫合267例中4例1.5%, Sweet法手縫い縫合253例中1例0.4%, 0verholt法手縫い縫合172例中0例0%の気管支瘻発生率で, 手縫い縫合に比して器械縫合の気管支瘻発生率が高い傾向にあった.一葉切除の器械縫合気管支瘻例では脚高3.5mmのステープルで気管支が強く絞められすぎて損傷している所見が認められた.一葉切除でも気管支壁が厚ければ脚高4.8rnmのステープルを使用した方がよいと考えられた.特に炎症性肥厚のある気管支は器械縫合で損傷がおきやすいので注意を要する.二葉切除では器械縫合40例中3例7.5%, Sweet法手縫い縫合29例中2例6.9%, Overholt法手縫い縫合24例中1例6.4%の気管支瘻発生率であった.肺摘除では器械縫合25例中1例4.1%, Sweet法手縫い縫合12例中2例16.7%, Overholt法手縫い縫合20例中0例0%の気管支瘻発生率であった.Sweet法手縫い縫合は一葉切除, 二葉切除, 肺摘除の順に気管支瘻発生率が高くなった.Sweet法手縫い縫合の気管支瘻例の所見からSweet法縫合は膜様部側に弱点があることが示唆された.肺摘除ではSweet法手縫い縫合より器械縫合の気管支瘻発生率が低かった.今回の対象例では一葉切除, 二葉切除, 肺摘除ともOverholt法手縫い縫合が最も気管支瘻発生率が低かった.
  • 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析
    永松 佳憲, 小野 博典, 都志見 睦生, 松尾 敏弘, 平木 啓正, 林 明宏, 足達 明, 林田 良三, 掛川 暉夫
    1993 年 7 巻 7 号 p. 770-775
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    今回, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析で, 肺切除術後の日常生活における運動能力の評価が可能であるか否かについて検討した.1989年11月より1991年10月までに肺切除術が行われ, かつ術後に, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析を行った27例を対象とし, AT, Vo2maxの測定を行い, さらに, AT/m2, Vo2max/m2を算出した.また, 対象症例を, 術後の日常生活には全く支障のない症例をA群, 日常生活に何らかの支障を訴える症例をB群として, 前述したそれぞれの項目について比較検討した.B群においてATとAT/m2はA群に比較して有意 (p<0.001) に低値を示し, かつAT/m2の標準偏差が最も小さかった.Vo2max, Vo2max/m2も同様にB群が有意 (p<0.01) な低値を示した.肺切除術後の運動能力を数値化する目的で, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析を行なったところ, 客観的指標として, 術後比較的早期においてはAT/m2が有用と考えられた.
  • 乾 健二, レシャード カレッド, 高橋 豊, 横見瀬 裕保, 八木 一之, 水野 浩, 青木 稔, 和田 洋巳, 人見 滋樹
    1993 年 7 巻 7 号 p. 776-781
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1980年9月から1992年12月までの間に, 島田市民病院呼吸器科および京都大学胸部疾患研究所胸部外科で4例の肺切除術後の対側気胸を経験した.全例男性で, 年齢は44歳から73歳であった.3例において術前の胸部X線写真または胸部CTで両側に気腫性肺嚢胞を認めた.対側気胸の発症時期は術中が1例, 術後1週間以内が2例, 術後3年11カ月が1例であった.術中発症 (人工呼吸中) の1例をのぞき, 呼吸困難と胸痛が発見動機となった.全例において, 胸部X線写真で対側気胸が確認された.気胸確認後, 直ちに胸腔ドレナージが行われ, 4例中3例は胸腔ドレナージで治癒した.1例では空気漏れが持続したため, 胸腔鏡下にブラ基部の結紮を行い治癒した.肺切除術後の対側気胸の頻度は少ないが, 治療の遅れは予後不良の原因となる.胸腔ドレナージが救急治療して有効であるが空気漏れ持続例では外科治療が必要となる.胸腔鏡下治療は術後の痙痛や呼吸機能の低下が少なく, 肺切除術後対側気胸治療の-つの選択枝となり得る.
  • 切除例と非切除例との比較
    斎藤 誠, 平栗 俊介, 瓜生 和人, 日吉 利光, 輿石 晴也, 高橋 秀暢, 河手 典彦, 小中 千守, 加藤 治文
    1993 年 7 巻 7 号 p. 782-788
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    T4肺癌の切除例60例と非切除例137例を比較し, T4肺癌の診断, 治療成績, 予後因子を検討した.切除例で術前T4と診断し得たのは16例 (26.7%) のみで, 逆にcT4と診断し手術を行ったうちの19例中16例 (84.2%) がpT4であった.術前後のN因子の一致した症例は60例中26例 (43.3%) で, 術前の過小評価を同数に認めた.切除例全体の5生率は13.9%で, 非切除例は8%であった.術後3年以上生存した7例はN, M因子が低く, 全例単一臓器浸潤であり, 術後補助療法が行われていた.術前後の因子はcN3および根治性と予後とに差を認めたが, 組織型, 胸膜播種, pm, 拡大合併切除, 放射線治療の有無との関係は認められなかった.
    非手術例の治療成績と対比した場合, 現時点では, 術前の悪性胸水を除き, 開胸時の播種を含むcT4, cNO-2, cMO-1 (切除予定肺のPM) は手術適応と考えられた.
  • 前 昌宏, 大貫 恭正, 西内 正樹, 瀬戸 拓, 五味 久左子, 笹野 進, 舘林 孝幸, 石倉 俊榮, 横山 正義, 新田 澄郎
    1993 年 7 巻 7 号 p. 789-792
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    自然気胸に対する外科治療としての胸腔鏡下手術と開胸手術における, クレアチンキナーゼ (CK) 及びCRPを指標とし, 手術侵襲につき比較検討した.対象は, 1992年1月より12月末までの1年間に外科手術を行なった自然気胸の患者35例で, 腋窩開胸群 (28例) と胸腔鏡下手術群 (7例) に分け, 術後のCKとCRPを測定し比較した.両群で, 年齢, 発症回数, 発症から手術までの日数, 入院期間, 術後入院期間, 胸腔ドレーン留置期間, 手術時間等は, 両群間に差を認めなかった.CKは手術翌日, CRPは, 術後1日目と3日 目で有意に胸腔鏡下群が低く, 胸腔鏡下手術は, 開胸手術に比べ手術侵襲の点で優れていると考えられた.
  • 縄田 純彦, 杉 和郎, 金田 好和, 高木 靖彦, 江里 健輔
    1993 年 7 巻 7 号 p. 793-797
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    右心横隔膜角部に発生した心膜嚢腫を胸腔鏡下に完全切除した.症例は54歳, 男性.検診で胸部異常陰影を指摘され, 諸検査で心膜嚢腫の診断で胸腔鏡下切除を行った.患者を左半側臥位とし, 右第4, 5, 6前腋窩線上と第5肋間鎖骨中線上からそれぞれ surgi port を挿入した.嚢腫を穿刺し, 内容液を約半分程度排液した後に, 頭側より順次電気凝固を行い, 心膜嚢腫を完全切除した.心嚢腔との交通はなかった.手術時間は120分で, 薬剤性肝障害のため退院は術後14日目であったが, その他の合併症はなかった.胸腔鏡下手術は侵襲も少なく, 一般の開胸手術に比較して手術時間も短く有用な術式と思われる.
  • 明石 章則, 大橋 秀一, 余田 洋右, 神野 浩樹, Toshihiro Okada, 洪 基浩, 鄭 一秀, 小間 勝
    1993 年 7 巻 7 号 p. 798-802
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    自然気胸症例50例に対して胸腔鏡下外科手術を施行した.その外科手術手技は, (1) 肺嚢胞 (ブラ・ブレブ) の処置, (2) 壁側胸膜切除術, (3) 化学的胸膜癒着術で, これらの3手技を「胸腔鏡下気胸治療の基本手技」とした.合併症は術中出血が2例 (11.8%), 肺損傷が1例 (5.9%) であった.胸腔ドレーンを抜管するまでの日数は, 5日±1日であった.最長2年6ヵ月の経過観察での再発数は, 基本手技の非適用期問 (1990.10~1991.8) が17例中3例 (17.6%) であったのに対して, 基本手技の適用期間 (1991.9~1993.3) は33例中0例 (0%) であった (p<0.01).この「基本手技」は極めて有効な治療法であると考えられる.
  • 乾 健二, 横見瀬 裕保, 高橋 豊, 八木 一之, 水野 浩, 青木 稔, 小田 伸吾, 清水 克時, 和田 洋巳, 人見 滋樹
    1993 年 7 巻 7 号 p. 803-808
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は45歳, 女性.1992年8月, 第1腰椎破裂骨折の診断で上部腰椎前方固定術 (Th12-L3) を受けた.術後2週より左胸水が増加したため9月20日当科を受診.胸腔穿刺で白濁した胸水をみとめ, 検査の結果乳糜胸と診断した.胸腔ドレナージ, 絶食・IVHを4週間施行したが治癒しなかった.同年10月30日再開胸した。Th11の左側方で前方固定器のスクリューが胸腔内に露出しており, この軸に沿って透明な液が湧出していた.露出したスクリューを覆うように横隔膜と壁側胸膜を縫合固定し, 同部にフィブリン糊を重層し閉胸した。術後1週間の絶食後, 経口摂取を再開したところ乳糜胸が再発した.さらに2週間絶食とし, 2回のドレナージを用いての胸膜癒着術を行い治癒した.後腹膜腔で胸管を損傷し, 乳糜が前方固定器に沿って胸腔内に流入したことが原因と思われた.整形外科関連での乳歴胸の報告はきわめて少ないため今回報告した.
  • 大鹿 芳郎, 佐藤 光春, 根本 悦夫, 柳内 登, 玉井 誠一, 田中 勧
    1993 年 7 巻 7 号 p. 809-815
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性.1990年, 検診にて左S6領域に空洞を有する腫瘤陰影を指摘され当院を受診した.外来にて3回気管支鏡検査を施行したが, 確診は得られなかった.増大傾向が認められるため悪性疾患も否定できず手術を施行した.組織学的には, 原因不明の壊死性肉芽腫と血管炎の所見から, Wegener肉芽腫症と診断された.術前より血尿が認められており, 腎病変も存在していたと思われた.術後に施行した腎生検では軽度のmesangial cellの増加を認めた.術後2ヵ月目に, 多発性の肺病巣が出現したため, サイクロフォスファマイド100mg/dayを経口投与したところ著効を認めた.術前より認められた血尿もサイクロフォスファマイドにより軽減した.
  • 君野 孝二, 飛永 晃二, 武富 勝郎, 仲宗根 朝紀, 柴崎 信一
    1993 年 7 巻 7 号 p. 816-821
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌で左肺全摘後心臓脱を生じた症例を経験した.症例は67歳女性で心嚢内肺動脈処理を行い左肺全摘術を施行した.48時間後血圧低下, 頻脈, チアノーゼを認め, 胸部写真・CTにて左胸腔内に心陰影の突出を認めた.緊急手術で脱出心の還納, 心膜補填を行った.本邦報告は10例で9例が肺癌による肺全摘術後, 1例が気管・気管支形成の心膜利用例である.発症は全例2日以内で, 24時間以内が8例である.修復は人工硬膜4例, ゴアテックス2例, 胸膜1例, ダクロソやテフロン材2例, 縫合閉鎖1例で全例治癒している.本症は予防が第一で, 心膜切除・切開時は確実な修復を行い, パッチによる修復は異物反応が少ない材質が好まれる.
  • 山田 俊介, 小川 純一, 井上 博元, 井上 宏司, 正津 晃
    1993 年 7 巻 7 号 p. 822-826
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性, 健診で左下肺野に8mm大の境界明瞭な小円形陰影を指摘された.気管支鏡下の肺生検や擦過細胞診では確定診断がつかず, 良性腫瘍の疑いで腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は肺原発の血管外皮細胞腫であった.以後外来で経過を観察していたが, 術後1年7ヵ月目に左肺門部に肺転移を認め, 肺部分切除術を施行した.再切除後1年2ヵ月を経過したが, 再発の兆候はない.本症例は病理所見で悪性像はみられなかったが, 原発巣と転移巣のDNAパターン, 増殖細胞核抗原を比較し, 悪性度の指標になり得る可能性が示唆された.
  • 福本 泰三, 宇山 正, 田中 克浩, 先山 正二, 高橋 敬治, 住友 正幸, 門田 康正
    1993 年 7 巻 7 号 p. 827-832
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    我々は後縦隔および胸壁に発生した神経鞘腫・筋肉内血管腫・筋肉内脂肪腫の各々1例に対し, 傍脊柱切開による後方アプローチにて非開胸切除術を経験した.後胸壁脊椎傍組織より発生する良性腫瘍に対しては従来繁用されている後側方開胸によるアプローチに比べ, 後方アプローチによる非開胸切除術では, 直視下での手術操作・手術時間の短縮・肺に対する最小限の侵襲・術後患側上肢の運動障害の軽減等の利点が挙げられる.
    米山らの提唱した後胸壁 (後縦隔) 良性腫瘍に対する非開胸切除術式の有用性に関しての追試報告を行なった.
  • 中島 由槻, 和久 宗明, 今井 均
    1993 年 7 巻 7 号 p. 833-838
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性.1988年4月肺結核発症.多剤耐性結核にて排菌止まらず, 1990年8月21日に右肺上葉切除施行.その後気管支瘻となり同年10月9日に気管支瘻閉鎖, 胸郭成形を行うも気管支瘻再発し右MRSA膿胸を併発, 同年12月20日右腋窩前方に膿胸腔を開放した.連日の包交にて創面の浄化をはかり, 創面MRSA感染は持続したものの, 1991年4月2日創面掻爬, 気管支瘻閉鎖を行い, 同4月16日Scapular Flapにて開放創面の被覆閉鎖を施行した.手術手技は右肩甲部にてcircumflex scapulararteryの横走するcutaneous branchを中心に14×8cmの皮膚弁を作成し, 腋窩背側部の筋間にトンネルを開け有茎にて創面へ誘導, 創縁にflapを全周性に縫合し肺raw surfaceを含む浅い開放創全体を被覆した.術後MRSAによる小膿瘍が創縁に生じたが, 数回の小処置にて現在創下端に僅かな皮膚瘻を残すのみで, 開放創の閉鎖にほぼ成功した.
  • 佐藤 伸之, 岡田 克典, 佐川 元保, 斉藤 泰紀, 小林 俊介, 岡庭 群二, 藤村 重文
    1993 年 7 巻 7 号 p. 839-844
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    55歳男性の右下葉に発生した肺原発非ホジキン悪性リンパ腫の一例を経験した.患者は胸部異常陰影にて精査目的に来院, TBLBでは慢性気管支炎の所見であり, 気管支鏡下吸引細胞診にて肺小細胞癌との診断であった.
    CDDP, CPA, VCRによる化学療法施行の後手術を施行した.腫瘍は右S6にあり, 上下葉間を越え上葉及び上葉気管支周囲に浸潤していたため右肺全剔術を施行, 病理組織診にてB cell 系, diffuse, small cell typeの悪性リンパ腫との診断がっいた.縦隔リンパ節にリンパ腫の所見はなかった.術後ADM, CPA, VCR, PSLによる化学療法を施行したが間質性肺炎を合併し死亡した.剖検では縦隔, 左肺を含め他部位に悪性リンパ腫の所見はなく肺原発と思われた.
  • 星 永進, 青山 克彦, 高柳 昇
    1993 年 7 巻 7 号 p. 845-849
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の女性で約5年前より左胸部異常影に気づかれていたが, 確診がつかず無治療であった.胸部CT上腫瘍は左胸腔の大部分を占めていたが, 周辺臓器に対しては浸潤性発育は示していなかった.経皮針生検の結果は胸膜中皮腫疑いとの診断であったため, 経過から限局性胸膜中皮腫と診断した.開胸所見では原発部位は明かにできなかったが, 他臓器への浸潤所見はなく, 摘出可能であった.摘出腫瘍は重さ2040gで, 組織学的には膠原線維の増生を伴った紡錘型細胞の増殖が見られ, 一部に核異型が強く, 細胞分裂像の多い部分がありborder-line malignancyの線維性胸膜中皮腫と診断した.限局性胸膜中皮腫症例の中には悪性の例も多くみられるので, 疑いのあるときには放置せず積極的に外科切除を施行すべきであると考えられた.
  • 坪田 典之, 前田 昌純, 亀山 耕太郎, 杉田 礼典, 林 栄一, 川口 仁, 谷口 清英, 岡田 貴浩, 桂 浩, 中元 賢武, 那須 ...
    1993 年 7 巻 7 号 p. 850-855
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    肺癌全?剔?後の対側肺転移に対して, percutaneous cardiopulmonary support system (PCPS) を用いて肺部分切除術を施行した症例を経験した.症例は65歳男性, 肺扁平上皮癌で, 右肺全別術を行い, p-T3N2M0, stage IIIAと確定された.術後約3年を経過して, 左肺に単発性の再発転移を認めた, 孤立性であり, 他臓器への転移再発は認めなかったので, 手術療法の適応と考え部分切除を施行した.大腿動静脈からPCPSを装着し, 開胸直後から潅流を開始 (2L/min) した.約20分の手術経過中, SaO2は全肺圧迫の無換気状態でも96%以上を維持でき, 血行動態も安定していた.術後も問題なく経過し, 術後1年3ヵ月生存中である.呼吸器外科領域におけるPCPSの意義について考察を加えた.
  • 1993 年 7 巻 7 号 p. e1
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
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